小学校行かない子どもにフリースクールは必要?出席扱い・向いている子の特徴を解説 更新時間 2025.12.02
様々な理由から小学校に行かない子どもが増えており、それに伴い近年は学校に代わるフリースクールの利用が注目されています。
文部科学省が公表する不登校調査では、小学生で不登校の子どもは過去最多の13万人越えで、その内フリースクール等で支援を受ける生徒は6割を超えています。
多くのフリースクールは小学生も受け入れており、一定の条件を満たせば学校の出席扱いとして認められる制度も整備されているので、選択肢として非常に有効です。
本記事では、フリースクールの基本的な仕組みや出席扱いの要件、小学校に行かずにフリースクールを利用するメリット・デメリットを信頼できるデータや制度情報を基に解説します。
また、フリースクールが向いている子どもの特徴、費用相場・補助制度、復学の可能性についても詳しく解説します。
小学校行かないでフリースクールに通う子どもは多い!
文部科学省によると、小学校で不登校状態にある子どもは137,704人で過去最多を更新しています。
このうち、小・中学校全体で218,246人(61.7%)が学校外の機関で専門的な相談・指導を受けており、フリースクール等の民間施設もその受け皿の一つになっていることが分かります。
参照:文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
ここでは、そもそもフリースクールはどういった役割・仕組みの施設なのか、小学生も受け入れているのかを詳しく解説します。
【フリースクールの基礎知識】
- フリースクールとは
- フリースクールは小学生も受け入れている
- フリースクールの活動内容
フリースクールとは
フリースクールとは、不登校の子どもを対象に学習支援や体験活動などを行う民間の教育支援施設です。
文部科学省は不登校支援において「登校そのものを目的としない」という方針を示しており、フリースクールは教育支援センターやICT学習支援と並ぶ多様な教育機会の1つとして位置づけられている点が特徴です。
学校や自治体などの公的機関とも連携し、学校では対応しきれない学習・生活の支援をします。
通所型・オンライン型など様々な種類があり、子どもの状況・家庭の事情に合わせた利用が可能です。
また、学校のように週5回通う義務はなく、「週1~2回の利用」など子どものペースに合わせた頻度で通えます。
フリースクールとは?メリット・デメリットや種類・出席扱いの有無・費用を徹底解説!
フリースクールは小学生も受け入れている
フリースクールは小学校1年生からでも通えるところが多いです。
また小・中学生はもちろん、フリースクールによっては高校生・過去に学校に行けなかった20歳程度の若者など、幅広い年齢の子どもを受け入れているところもあります。
入所にあたって試験なども実施されず、体験入学や面談後に入所するのが一般的です。
学校と異なり様々な年齢の子どもと一緒に活動するので、小学生の子どもにとって以下の点がメリットとして挙げられます。
- 年上から手本となる行動・より複雑な考え方を自然と学ぶ
- 年上の存在が、心理的な安心感や心の支えになる
- 年下への思いやりや面倒見の良さが育まれる
- 将来に対して視野が広がる
- ロールモデルが見つかりやすい
フリースクールの活動内容
フリースクールの活動内容は、施設によって多岐にわたります。
- 学習支援
- 個別指導
- 体験型学習(工作・運動・地域活動など)
- 生活リズムの調整支援、など
また、フリースクールは学校教育法上の「学校」ではないためカリキュラムは一律ではありません。
しかし、義務教育段階の小学生を対象に 柔軟な支援プログラムを提供します。
小学校行かない場合でもフリースクールは出席扱いになる
文部科学省の通知では、不登校の子どもがフリースクールで学習や支援を受けた場合、一定の要件を満たせば出席扱いとすることが定められています。
出席扱いとなるための要件は以下の通りです。
- 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
- ICT(パソコン、インターネット、遠隔教育システムなど)、郵送、FAXといった方法を使った学習活動であること。
- 自宅などへの訪問による対面指導が適切に行われていること。
- 学習活動は、その生徒の理解度に合わせて作られた計画的なプログラム であること。
- ※学習を提供しているのが 民間事業者であれば、その内容が 子どもにとって適切か どうかを学校がしっかり判断すること。
- 校長は、対面指導や学習の様子について、指導担当者からの定期的な報告や、担任・保護者との連絡会などを通じて、状況を漏れなく把握 すること。
- ICT等を使った学習を出席扱いにするのは、原則として、学校外の施設(公的・民間)で相談や指導を受けられない場合に限られること。
- 学習の成果を成績(評価)に反映できるのは、学校が把握している学習の計画や内容が、学校の授業(教育課程)に照らして適切だと判断できる場合であること。
参照:文部科学省「(別記1)義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
なお、上記の要件を満たすかどうかは、学校長が設置者である教育委員会と連携して判断します。
実際に出席扱いとなった生徒は42,978人に上っており、フリースクール等の学校外施設の活用が広がっています。(参照:文部科学省調査より)
小学校行かない子どもにフリースクールをおすすめする理由・メリット
ここでは、小学校行かない子どもにフリースクールをおすすめする理由や、メリットを4つ紹介します。
子どもをフリースクールに通わせるべきか悩んでいる方は参考にしてください。
【小学校行かない子どもにフリースクールをおすすめする理由・メリット】
- 子どもが安心できる居場所ができる
- 少人数・個別対応で学習の遅れを補いやすい
- 対人関係のストレスが減る
- 学校復帰の練習ができる
不登校で支援を受けるメリット!再び登校できるようになります!
子どもが安心できる居場所ができる
フリースクールは、学校に行きづらい子どもが日中に学習や活動に取り組める多様な学びの場です。
「子どもが安心できる居場所であること」を第一の理念として掲げ、子どもが安心して過ごせる環境作りを重視するフリースクールが多くあります。
心理カウンセラーなどの専門家が在籍していることもあり、心身が疲弊した子どもに寄り添い、適切なメンタルケアができる点も特徴です。
また、フリースクールの多くが少人数制なのでスタッフの目が行き届きやすく、子どもの状況を細かく把握しやすいです。
活動プログラムも固定されていないので、子どもがやりたいことを選択しやすい環境にあります。
小さなできることを積み重ねることで、子どもの自信を取り戻せます。
少人数・個別対応で学習の遅れを補いやすい
文部科学省の調査では、フリースクールごとの在籍者数は1~5人が最も多く、また学習支援は個別対応が9割近くを占めます。
参照:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」
少人数制かつ個別学習で対応してもらえるので、子どもの理解度やペースに合わせて学習を進められる点は大きなメリットです。
実際、不登校になるきっかけとして「勉強についていけない」と回答した小学生は30%を超えます。
参照:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」
しかしフリースクールなら、小学校に行かないままでも必要が学習教育をしっかり受けられ、自信の回復にもつながります。
ただし、フリースクールの中には学習には重きを置かないところもある点に注意が必要です。
対人関係のストレスが減る
不登校の要因には、対人関係によるストレスが影響しているケースが多いです。
文部科学省の調査では、いじめ・いじめ以外の友達との関係が不登校になるきっかけと回答した小学生はそれぞれ20%以上でした。
参照:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」
しかし、フリースクールは基本的に少人数制なので、学校で生じやすい同調圧力や関係ストレスが生じにくいです。
また、不登校支援の経験豊富なスタッフが子ども一人ひとりに合ったサポートをするので、学校以外の環境で安心して過ごせます。
活動内容を子ども同士で相談して決める仕組みがあり、対等な関係性の中で活動できる点もメリットです。
学校復帰の練習ができる
フリースクールは、学校生活に戻るための段階的な適応を進めやすい点もメリットです。
学校とは異なる少人数制・柔軟な学習形態の中で、決まった時間に通う・スタッフと学習に取り組む・集団活動に参加するなど、学校復帰に必要な行動に取り組みやすい仕組みが整っています。
また、外部の学びの場で日常的な活動を継続することは、生活リズムの安定や対人場面への慣れにつながり、復帰へ向けた準備段階として効果的です。
学校としっかり連携して出席扱い制度を利用したり、情報共有を行っていれば、学校復帰をスムーズに進められるでしょう。
小学校行かないでフリースクールに通う注意点・デメリット
フリースクールは学校に代わる学びの場として有効な選択肢ですが、利用する前に確認しておくべき注意点やデメリットがあります。
【小学校行かないでフリースクールに通う注意点・デメリット】
- 費用負担がある
- フリースクールによって質に差がある
- 学校との連携が弱い場合がある
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費用負担がある
フリースクールは民間団体が運営しており公的な教育機関ではないため、利用には入会金や月額費用などの負担が発生します。
料金体系はフリースクールごとに異なり、学習支援や活動内容によって必要額が大きく変動する点がデメリットです。
また、国や自治体は教育支援センターなど公的機関への予算措置を行っていますが、フリースクール自体への利用料補助制度は限定的であり、費用負担はほとんど保護者側に生じます。
そのため、費用面の見通しを事前に把握しておくことが大切です。
フリースクールによって質に差がある
フリースクールは運営団体や支援方針が多様であ基準で統一されていないため、支援の質にばらつきが生じる可能性がある点もデメリットです。
利用を検討する際は以下を比較し、子どもの状況に適した施設かどうかを確認することが大切です。
- 学習支援の方法
- スタッフ体制
- 活動内容など
学校との連携が弱い場合がある
フリースクールは学校外の民間施設であるため、在籍校との連携方法や頻度は施設によって異なります。
学校との情報共有が十分でない場合、フリースクールでの学習や活動が成績評価や学校復帰の調整に反映されにくくなる可能性があります。
子どもの教育的な支援を途切れさせないためには、フリースクールと学校の連携体制を事前に確認し、連携が確保されている施設を選ぶことが重要です。
フリースクールが向いている小学校行かない子どもの特徴
フリースクールは様々な事情から不登校になった子どもを受け入れていますが、すべての子どもがフリースクールと相性が良いわけではありません。
ここでは、文部科学省による不登校児童生徒の実態調査をもとに、小学校ではなくフリースクールが向いている子どもの特徴をまとめました。
- 学校に行く気力が出にくい状態が続いている子ども
- 不安や抑うつなど心理的負担が大きい子ども
- 登校時間に原因不明の体調不良が起こる子ども
- 生活リズムが乱れやすく整えるための環境が必要な子ども
- 友だち付き合いや人との関わりにストレスを感じやすい子ども
- 集団行動や決まったペースに合わせるのが苦手な子ども
- 自分のペースで学んだり活動を選びたい子ども
外へ出ることが怖い子どもや、引きこもり状態が長い子どもはオンライン型フリースクールがおすすめです。
一方で、専門的な医療ケアが必要な子どもや、「短期で学校に戻りたい」という明確な意思がある子どもなどは、フリースクールではなく他の支援施設が適切な場合があります。
小学校行かない子どもがフリースクールを選ぶポイント
小学校に行かずにフリースクールに行く際、以下のポイントを押さえてフリースクール選びをすると後悔しにくいです。
【小学校行かない子どもがフリースクールを選ぶポイント】
- 子どもが安心できる環境か確認する
- 学校との連携が取れるか確認する
- 費用と通いやすさが合うか確認する
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子どもが安心できる環境か確認する
フリースクールを選ぶ際は、まず子どもが落ち着いて過ごせる環境かどうかを確認することが重要です。
以下をポイントに、子どもが安心できる居場所となるか見極めましょう。
- 施設内の雰囲気は落ち着いているか
- スタッフの関わり方
- 他の子どもの様子はどうか
- 安心して過ごせる空間があるか
- いじめ防止・トラブル対応の明確なルールがあるか、など
学校との連携が取れるか確認する
学校(在籍校)との連携が取れるフリースクールかどうかも、出席扱いや学習評価に関わるので大切です。
学校へ通所状況や学習内容を共有する仕組みがあるか、報告書の提出や教員との連絡体制が整っているかを確認しましょう。
連携が取れるフリースクールを選ぶことで、学校復帰や学習面のサポートが途切れず進めやすくなります。
費用と通いやすさが合うか確認する
小学校で不登校の子どもの内、90日以上不登校の状態が続いている子どもは過半数を占めます。(参照:文部科学省調査)
そのため、不登校が長期化することも踏まえて、フリースクールにかかる費用が予算に合うか、継続的に通える立地にあるか、きちんと計画を立てることが重要です。
費用は入会金・月額費用・活動費などの総額をきちんと把握しておきましょう。
施設の場所や開所時間、通う頻度が子どもの生活リズムに無理がないかも重要です。
また自宅からフリースクールまで距離がある場合、送迎の有無や送迎費・交通費の負担も確認してください。
通いやすさと費用の両面が家庭に適しているかを確認して選ぶことが大切です。
小学校行かないフリースクールの費用・補助制度
ここではフリースクールの費用相場や、自治体の補助制度を詳しく解説します。
【小学校行かないフリースクールの費用・補助制度】
- フリースクールの費用相場は1~5万円
- フリースクールで活用できる補助制度
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フリースクールの費用相場は1~5万円
フリースクールの月額費用の相場は1~5万円です。
また、入会金の費用相場は1~3万円になります。
参照:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」
しかし、実際の料金は利用日数・活動内容などによって異なります。
また、教材費・イベント費が追加発生する場合もあるので、料金体系が明確かを前もって確認しておくと安心です。
長期的に利用する可能性も踏まえて、家庭の負担が無理のない範囲で検討しましょう。
フリースクールで活用できる補助制度
自治体によって、フリースクールの利用料が補助される助成制度があります。
補助される金額は自治体によって様々です。
例えば、東京都では月額最大2万円まで補助してもらえますが、鎌倉では月額利用料3分の1または上限1万円までの補助となります。
なお、助成制度を利用するには自治体が定める要件を満たす必要があります。
家庭の費用負担を減らすため、自治体の助成制度を利用できるかまずは確認してみましょう。
小学校に行かずにフリースクールに通う際によくある質問
子どもが小学校に行かずにフリースクールに通うと選択した場合に、保護者のよくある質問に回答しました。
- 小学生でもフリースクールに通える?
- フリースクールは出席扱いになる?
- フリースクールから学校に戻れる?
- フリースクールの費用はどれくらい?補助はある?
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小学生でもフリースクールに通える?
小学生1年生からでも通えるフリースクールは多いです。
フリースクールでは小・中学生を中心に、高校生や20歳程度の若者など、様々な年齢の子どもを受け入れています。
入所に試験は不要なので、入所をするフリースクールにまずは問い合わせ、見学や面談を実施してもらいましょう。
フリースクールは出席扱いになる?
一定の要件を満たす場合、出席扱いとなる可能性があります。
ただし、保護者・フリースクール・学校間の連携が必須です。
フリースクールによっては学校との連携が難しいところもあるので、事前に連携の可否を確認しておきましょう。
なお、出席扱いの最終判断は在籍校の校長に委ねられ、フリースクールに決定権がない点に注意してください。
フリースクールから学校に戻れる?
一時的にフリースクールに通った後、学校に復帰することは可能です。
フリースクールは不登校の子どもが自分のペースで学習や生活リズムを整え、学校復帰に向けて必要な準備を進める場として適しています。
学校との連携が取れているフリースクールであれば、在籍校が状況を把握しやすく、復帰時の調整も進めやすくなります。
フリースクールの費用はどれくらい?補助はある?
フリースクールの月額費用の相場は1~5万円で、入会金は1~3万円程度です。
ただし、フリースクールによって実際の費用には幅があり、教材費等追加費用が発生するケースもあります。
しかし自治体によって、利用料の一部を補助する制度を設けています。
補助の有無や条件は自治体により異なるため、事前に確認しておきましょう。
小学校に行かない子どもにはフリースクールが選択肢としておすすめ
小学校に行かない・行けない子どもにとって、フリースクールは安心して過ごしながら学習や生活リズムを整えられる環境です。
少人数や個別支援を取り入れている施設も多く、学校ではフォローが難しい部分を補える点が特徴。
また、必要な条件を満たせば在籍校で出席扱いになる制度を利用でき、後の学校復帰にも不利が生じにくい仕組みになっています。
費用や通いやすさ、学校との連携体制を確認しながら検討すれば、子どもの状況に合った支援を選択しやすくなるでしょう。



