学校に行かない子どもにフリースクールが合う理由!出席扱い・費用相場・後悔しない選び方 更新時間 2025.12.02
フリースクールは、学校外で学習支援や生活支援を提供する民間施設であり、小学生から高校生までの不登校の子どもを幅広く受け入れています。
不登校者数は10年前より約3倍も増加しており、文部科学省の最新調査によると小・中・高校生の不登校者数は42万人を超えました。
| 年齢 | 不登校者数 |
|---|---|
| 小学生 | 137,704人 |
| 中学生 | 216,266人 |
| 高校生 | 67,782人 |
参照:文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
不登校者数の増加に伴い、文部科学省が認める出席扱い制度・自治体の助成制度など、フリースクールを利用するにあたっての仕組みが整ってきています。
これにより、保護者や子どもたちが経済的な負担や将来の不安を軽減しながら、フリースクールを学びの選択肢の1つとして捉えやすくなっています。
この記事では、フリースクールの役割、学校に行かない子どもに向いている理由、出席扱い制度について詳しく解説します。
費用相場や後悔しないフリースクール選びのやり方、将来の進路についても解説しますので、子どもが学校に行かない状況に不安を抱いている保護者は必見です。
学校に行かないフリースクールとは
フリースクールは、不登校の子どもが学校以外で学習や活動に取り組める民間施設として文部科学省によって位置づけられています。
教育機会確保法などの制度でも、多様な学びの場として重要性が示されています。
ここでは、フリースクールの役割や仕組みなど、基本情報について詳しく解説します。
【学校に行かないフリースクールとは】
- 学校以外の学びの場として機能している
- 小・中・高校生が利用できる
- 柔軟な仕組みで利用しやすい
フリースクールとは?メリット・デメリットや種類・出席扱いの有無・費用を徹底解説!
学校以外の学びの場として機能している
フリースクールは学校や教育支援センター以外で、子どもが日中に学習や興味のある活動に取り組める場です。
教育機会確保法では、学校外で行われる多様な学習活動の必要性が示されており、フリースクールもその1つとして位置づけられています。
また、国の不登校支援においては、教育支援センター、不登校特例校、ICT学習などと並ぶ支援先とされ、子どもの社会的自立を支える役割が期待されています。
参照:不登校児童生徒等への支援についての法律「教育機会確保法」って何?
小・中・高校生が利用できる
フリースクールは特定の学年だけを対象としているわけではなく、小学生・中学生・高校生まで幅広く利用できる点が特徴です。
フリースクールによっては、20歳程度まで受け入れしているところもあります。
フリースクール全国ネットワークの相談事業では不登校に関する相談が最も多く、中でも小学生からの相談が5割近くを占め、次に中学生からの相談が多かったです。(参照:フリースクール全国ネットワーク調査より)
国のCOCOLOプラン(誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策)でも、小・中・高校生が多様な学びにつながれる環境整備が求められており、フリースクールもその受け皿として含まれています。
柔軟な仕組みで利用しやすい
フリースクールは、子ども一人ひとりの状況に応じた柔軟な支援を行える点も特徴です。
例えば、一定の要件を満たすと出席扱いが認められる場合があり、学校に行かない場合でも内申点や進級・卒業で不利になることはありません。
また、以下のように学校では対応しにくい柔軟な仕組みが多く整っている点もポイントです。
- 入学資格・入学試験が不要である
- 通う頻度や時間を子どもに合わせて調整できる
- 活動内容は子どもの状況に応じて選択できる
- 学校との連携内容を柔軟に設定できる
- 評価方法が固定されていない、など
柔軟な運営体制により子どもの体調や心理状態に合わせて利用でき、学校に行かない期間の学びの選択肢として機能しやすい仕組みとなっています。
学校に行かない子どもにフリースクールが合う理由
学校に行かない・行けない子どもがフリースクールに適している理由として、以下4点を詳しく解説します。
【学校に行かない子どもにフリースクールが合う理由】
- 学校以外の環境で居場所が見つかる
- 自分のペースが尊重される環境で過ごせる
- 勉強の遅れを取り戻せる
- 次の一歩を踏み出す準備ができる
フリースクールの種類7つを解説!子どものタイプに合わせた選び方も解説
学校以外の環境で居場所が見つかる
フリースクールは、学校生活の負担が大きい子どもにとって、安心して過ごせる「第2の居場所」として機能します。
学校では、集団生活やクラスのペース・人間関係が負担になってしまい不登校に至るケースは少なくありません。
しかしフリースクールでは同調圧力が弱く、他者と比べられる機会も少ないため、自分らしくいられる時間を確保しやすくなる点がポイントです。
不登校への理解があるスタッフや、同じ経験を持つ子どもとの関わりにより、安心感を得やすい点も特徴。
信頼できる関係の中で過ごすことは、学校での経験によって低下した自己肯定感の回復にもつながります。
心の安定を取り戻しながら次の一歩に備える場として、フリースクールは有効に機能します。
自分のペースが尊重される環境で過ごせる
フリースクールは、子どもの状態に応じて通う回数や時間を自由に調整できるため、学校のように決まった時間に登校する負担がありません。
決まったルールが少なく活動の選択肢も広いため、子ども自身が「何から始めるか」を決めやすいのも特徴です。
フリースクールの活動内容は、以下のように多岐にわたります。
- アート
- 音楽
- 調理体験
- 自然体験
- 社会見学
- スポーツ、など
また、スタッフとは上下関係ではなく「ナナメの関係」が意識されており、安心して相談や対話ができる環境が整っています。
柔軟な環境により、学校が負担だった子どもも、無理のない形で生活リズムや意欲を回復しやすくなります。
勉強の遅れを取り戻せる
フリースクールでは子どもの理解度に合わせた学習支援が行われるため、不登校期間に生じた学習の遅れを無理なく補いやすい環境が整っています。
個別指導や少人数の学習が中心で、分からない部分をそのままにせず、理解できるまで自分のペースで取り組める点が特徴です。
また、一定の要件を満たすと在籍校で「出席扱い」として認められる場合があり、学習内容が教育課程に照らして適切と判断されれば、成績評価に反映されることもあります。
学校復帰や進級に向けて負担を軽減できる点は、学習面に不安を抱える家庭にとって大きな支えになります。
不登校中におすすめの勉強方法とは?遅れを取り戻す勉強方法やモチベーションを保つ方法を紹介
次の一歩を踏み出す準備ができる
フリースクールは学習だけでなく、社会的自立に向けた力を育むことも重視されています。
探求型の学びや体験活動、地域との関わり、就労体験など、学校では得にくい経験を積める場が整っている点も特徴です。
こうした多様な取り組みが生活リズムの安定や人間関係の再構築につながり、将来を考える機会にもなり、復学・進学・就職といった次のステップを支える土台になります。
さらに、活動が安定すると家庭内の過ごし方にも変化が生まれ、保護者との関係が改善する事例もあります。
学校に行かない期間を「空白」にしない環境として、制度面・実践面の双方から子どもを支える役割を果たしています。
学校に行かないフリースクールの出席扱い制度
フリースクールでの学習や活動は、一定の条件を満たすことで「出席扱い」として認められる制度があります。
義務教育段階の不登校児童生徒に対し、学校外で取り組んでいる努力を正式に評価し、復学や進路選択への不利益を減らすために設けられた仕組みです。
出席扱いが認められると在籍校の指導要録に出席として記録され、学習内容が適切であれば成績評価に反映される場合もあります。
ここでは、出席扱い制度の要件や注意点を詳しく解説します。
【学校に行かないフリースクールの出席扱い制度】
- 出席扱いになるための要件
- 最終判断は校長がする点に注意
不登校で支援を受けるメリット!再び登校できるようになります!
出席扱いになるための要件
出席扱いが認められるためには、文部科学省が示す複数の要件を満たす必要があります。
主な要件は以下の通りです。
- 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
- ICT(パソコン、インターネット、遠隔教育システムなど)、郵送、FAXといった方法を使った学習活動であること。
- 自宅などへの訪問による対面指導が適切に行われていること。
- 学習活動は、その生徒の理解度に合わせて作られた計画的なプログラム であること。
- ※学習を提供しているのが 民間事業者であれば、その内容が 子どもにとって適切か どうかを学校がしっかり判断すること。
- 校長は、対面指導や学習の様子について、指導担当者からの定期的な報告や、担任・保護者との連絡会などを通じて、状況を漏れなく把握 すること。
- ICT等を使った学習を出席扱いにするのは、原則として、学校外の施設(公的・民間)で相談や指導を受けられない場合に限られること。
- 学習の成果を成績(評価)に反映できるのは、学校が把握している学習の計画や内容が、学校の授業(教育課程)に照らして適切だと判断できる場合であること。
参照:文部科学省「(別記1)義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
上記の要件を満たしたうえで、子どもの学習状況・活動内容が教育的に妥当と判断されれば、フリースクールで過ごした日数が出席として扱われます。
最終判断は校長がする点に注意
出席扱いとなるかどうかは、最終的に在籍校の校長が判断する点に注意が必要です。
校長は、教育委員会と連携しながら次のような点を確認して判断を行います。
- フリースクールでの学習計画・活動内容が適切か
- 子どもの様子を学校側が把握できているか
- 必要に応じて学校や教育委員会による施設の訪問・確認が行われているか
フリースクールでの活動が教育上妥当と判断された場合に限り、出席扱いとして認められます。
出席扱い制度を利用する際は、「フリースクールが必ず出席扱いになる」というものではなく、学校との連携や校長の判断が必須である点に注意しましょう。
学校に行かないフリースクールの費用相場【助成制度】
公的な学校と異なり、フリースクールの費用は運営する団体ごとに設定されるため、料金幅が大きいです。
フリースクールを検討する際は事前に費用相場や、助成制度について確認しておきましょう。
文部科学省が実施した調査を基に、一般的な費用水準と自治体の支援制度について解説します。
【学校に行かないフリースクールの費用相場【助成制度】】
- 月額1~5万円が費用相場
- 自治体によって助成制度がある
フリースクールの費用相場はいくら?学校の種類別・地域別の違いや補助金制度を徹底解説!
月額1~5万円が費用相場
文部科学省によると、フリースクールの利用料は月額1〜5万円程度が全国的な相場とされています。
| 区分 | 団体・施設数 | 割合(%) |
|---|---|---|
| ~5,000円 | 25 | 9.5% |
| 5,001~10,000円 | 15 | 5.7% |
| 10,001~30,000円 | 100 | 38.2% |
| 30,001~50,000円 | 95 | 36.3% |
| 50,001円以上 | 27 | 10.3% |
| 計 | 262 | 100.0% |
(月単位で会費を徴収していないと回答した団体・施設は、49か所:通所した際、その都度利用料を徴収している場合など)
引用:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」
また、入会金は1〜3万円が一般的です。
その他、教材費・活動費などが別途発生する場合があります。
通所頻度や学習支援の内容によって、料金が変動する点も注意が必要です。
学習支援が多い施設ほど費用が高くなる傾向があるので、長期利用を想定している場合は「月額」「追加費用」「年間総額」を確認しておきましょう。
自治体によって助成制度がある
一部の自治体では、フリースクールの利用料を補助する制度が設けられています。
例えば、東京都では月額最大2万円、鎌倉市では上限1万円または利用料の3分の1といった助成が実施されています(制度内容は自治体ごとに異なる)。
助成制度の一般的な特徴は以下の通りです。
- 住んでいる自治体ごとに助成の有無・金額が異なる
- 利用できる施設が自治体の指定を受けている必要があるケースが多い
- 世帯要件(収入等)や通所実績の提出が求められる場合がある
助成制度は全国一律ではなく地域差が大きいため、利用を検討する際は「自治体名+フリースクール補助」の情報を個別に確認しておきましょう。
学校に行かないフリースクールの後悔しない選び方
フリースクールは施設ごとの方針や支援内容に大きな違いがあるため、事前に情報を整理して比較すると後悔しにくいです。
安心して子どもを預けられる、信頼できるフリースクールを見つける参考にしてください。
【学校に行かないフリースクールの後悔しない選び方】
- 学習支援の方法・活動内容を確認する
- 見学・体験・面談を実際に行う
- 信頼できるフリースクールを見極める
不登校を克服するきっかけとは?親や周囲の人にできることを紹介
学習支援の方法・活動内容を確認する
フリースクールごとに学習支援の方法は異なり、個別指導型・少人数型・自由学習型などさまざまな形式があります。
▼チェックポイント
- どのような学習方法を採用しているか
- 学校の教育課程に沿った学習をサポートしているか
- 生活リズム・社会性を育てる活動があるか
- 活動内容に偏りがないか
復学・進学に向けて準備したい家庭は、学びの進め方に無理がないフリースクールがおすすめです。
見学・体験・面談を実際に行う
フリースクールは施設ごとの運営方針が大きく異なるため、外からは分かりにくい点を直接確かめることが重要です。
利用前には、見学・体験・面談を必ず実施して実際の雰囲気を確認しましょう。
▼チェックポイント
- 子どもの様子・活動中の雰囲気
- スタッフの関わり方
- 同行した保護者への説明の丁寧さ
- 他の子どもとの関係性が適切に保たれているか
体験を通して子どもが安心して過ごせるかどうかを見極めることが、後悔しない選択につながります。
信頼できるフリースクールを見極める
フリースクールは施設によって支援の質や体制には差があり、安全性や信頼性を確保するため、以下の観点を確認することが大切です。
▼チェックポイント
- 学校との連携が適切に取れているか
- 活動内容・料金体系が明確か
- 出席扱い制度への理解があり、学校と情報共有できる体制があるか
- 職員数や資格、経験が適切か
- トラブル対応・安全管理の方針が整備されているか
一方、「必ず出席扱いにできます」などと断言する施設は、制度上あり得ないため注意が必要です。
出席扱いは最終的に校長が判断する仕組みであり、フリースクール側が保証できるものではありません。
学校に行かないフリースクールの将来の進路
学校に行かずにフリースクールを選択した場合、子どもの将来に影響がないか心配する保護者は多いのではないでしょうか。
ここでは文部科学省の調査を基に、不登校経験者の進路について詳しく紹介します。
【学校に行かないフリースクールの将来の進路】
- 不登校経験者の約5割が復学・進学している
- 不登校経験者の5割以上が就職に成功している
不登校経験者の約5割が復学・進学している
文部科学省の調査によると、不登校経験者(義務教育段階)48.1%が中学校卒業後、高校・専門学校・大学などに進学しているという結果が出ています。
この調査結果から、不登校の期間があっても学びや進学に戻ることは可能だということが分かります。
フリースクールなど学校外の環境を活用しながら、復学・進学への道を選びやすくなる可能性がある点は、保護者にとって重要なポイントです。
参照:文部科学省「第14章 高等学校等進学者の卒業等の状況と他項目との関連」
不登校経験者の5割以上が就職に成功している
同じ文部科学省の調査では、不登校経験者の54.1%が「就業している」という結果でした。
不登校経験者であっても5割以上が就職に成功できることが分かります。
また、就業または就職している割合を合わせると8割を超えます。
参照:文部科学省「第14章 高等学校等進学者の卒業等の状況と他項目との関連」
学校に行かないフリースクールに関してよくある質問
学校以外の学び場として注目されているフリースクールに関して、よくある質問に回答しました。
【学校に行かないフリースクールに関してよくある質問】
- フリースクールは何歳から通える?
- フリースクールは出席扱いになる?
- やばいフリースクールを見分ける方法は?
- 学校に行かないままフリースクールから進学できる?
フリースクールは何歳から通える?
多くのフリースクールは小学校1年生から高校生まで幅広く受け入れています。
年齢要件は施設ごとに異なるため、対象学年や受け入れ条件を事前に確認することが重要です。
入所にあたって学力試験はありません。
フリースクールは出席扱いになる?
文部科学省の基準を満たした場合、フリースクールでの活動が在籍校で出席扱いとして認められる可能性があります。
ただし、最終判断は在籍校の校長が行い、保護者・学校・施設の連携が必須です。
やばいフリースクールを見分ける方法は?
「必ず出席扱いにできます」など制度上不可能な説明をしたり、料金体系が不明確な施設は注意が必要です。
学校との連携体制、安全管理、スタッフの資格・人数などが透明に公開されているかを確認することで、信頼できるフリースクール選びができます。
学校に行かないままフリースクールから進学できる?
不登校経験者のうち約48%が高校などへ進学しているという国のデータがあり、フリースクールを利用しながら進学することは可能です。
フリースクールは少人数制・個人学習を採用しているところが多く、学習に不安がある子どもも自分のペースで学べます。
また、出席扱い制度を活用することで、進学準備を進めやすくなります。
学校に行かない子どもにはフリースクールがおすすめ!
フリースクールは、様々な理由から学校に行かない・行けない子どもに対し、安心できる居場所や柔軟な学習環境を提供します。
個別学習や少人数支援により学習の遅れを補いやすく、要件を満たせば在籍校で出席扱いとなる仕組みも整っている点もメリットです。
また、多様な活動を活用することで、復学・進学・就職など次のステップへ進む準備もしやすくなります。
学校と違って費用が発生しますが、自治体の助成制度を活用することで安く抑えられる場合も。
子どもの状況に合わせて適切なフリースクールを選んで、将来の選択肢を広げてあげましょう。



