不登校になっても大丈夫!支援施設をすべて紹介! 更新時間 2024.06.20
不登校は親御さんや学校だけでは解決できないケースが多く、学校以外でどこに相談していいのか分からない方も多いと思います。
そこで今回は、不登校のお子さんを支援している公的な支援施設や相談センター、民間団体などをまとめました。
不登校問題のゴールは「学校に行くこと」ではなく、お子さんが自立して楽しく豊かな生活を送ることにあります。
支援施設を利用することで、学校以外の居場所を見つけられたり、同じ悩みを共有できる仲間に出会えたり、また学校へ復帰する際の原動力にもなるでしょう。
また、こちらの記事に不登校の子供に対して親がやってはいけない行動をまとめているので、是非「不登校や引きこもりの親が実はやってはいけない行動6つ」をご覧ください。
不登校の子どもに必要な支援とは?
令和2年度の不登校児童数は、以下のようになっています。
- 小学校 63,350人
- 中学校 132,777人
- 高校 43,051人
とくに中学生の不登校児童は13万人に及び、前年度と比較すると1万人ほど増えている状況です。
不登校は今やめずらしいことではなく、「子どもを取り巻く環境の変化」や「成長過程における心理状態」から、誰でも起こりうる問題といえます。
不登校になる主な理由は、人間関係や家庭環境、無気力、いじめ、学業不振、発達障害、また複数の原因が絡み合っているケースもあり非常に複雑です。
どんな理由であっても、不登校は子どもが自分を守るための行動であると同時に、自宅にいても大きな不安や悩みを抱えていることに違いはありません。
さらに学校に行けないことで、自分自身を責めてしまう子どもも少なくないようです。
私たち大人の役目は、不登校の子どもに無理やり学校に行かせることではなく、行動や変化を見守りながら、学校や支援施設などの関係機関と連携してサポートしていくことが重要です。
また、高校の再入学についても、「高校中退しても再入学はできる!再入学すべき理由と方法についてご紹介!」にてご紹介しているので、是非ご覧ください。
不登校サポートをする6つの公的な支援施設・相談機関
不登校児童のサポートを行なっている公的な機関は、主に以下の6つです。
教育支援センター
教育支援センターとは、教育委員会が設置した公的機関で、全国に1,142カ所設置されています。
主に小・中学生を対象としていますが、一部高校生を受け入れいている施設もあるようです。
教育支援センターで不登校児童の指導にあたるのは、多くが教員免許を保持する職員で、中には社会福祉士や臨床心理士といった国家資格を持った職員も在籍しています。
さらにスクールカウンセラーやソーシャルワーカーなど、心理や福祉の専門家が派遣されているケースもあり、情報的混乱や人間関係の不安を抱える子どものサポートや指導にあたっています。
教育支援センターでは、個別学習や集団活動、スポーツ、社会体験などの活動を行いながら、お子さんと保護者の個別カウンセリングを実施。
また施設によって異なりますが、必要に応じて家庭訪問や保護者会を実施している支援センターもあるようです。
教育相談所
教育相談所とは、区市町村教育委員会が設置する施設で、主に幼児から高校生まで(施設により異なる)の教育に関する相談を受け付けています。
不登校をはじめ、学校生活や家族関係、お子さんの性格や行動問題、自傷行為、家庭内暴力など、幅広い悩みに対応している機関です。
問題の内容に応じて、職員やスクールソーシャルワーカーなどが対応し、学校と連携する役割も担っています。
児童相談所
児童相談所は、児童福祉法に基づいて設置された行政機関です。
18歳未満のお子さんやその家族を対象に、子育てやしつけに関する悩み、発達障害、行動上の問題などの相談を受け付けています。
施設には児童福祉司や児童心理司、医師、保健師などの専門家がいて、主に以下のようなサポートを行なってくれます。
- 助言指導
- 継続的なサポート
- 一時保護
- 養育家庭
- 施設への入所
- 愛の手帳交付
子ども家庭支援センター
子ども家庭支援センターは、地域の子育てを支援するための機関として、全国に設置されています。
18歳未満のお子さんとその家庭の支援を目的に、児童相談所よりも身近な相談窓口として、児童福祉施設に併設するかたちで設置されました。
電話や来所による相談を受け付けており、また子どものショートステイ事業を行なっている自治体もあります。
子育てに関する知識や技術の提供、また子育て支援講座を開催しながら、子育てで悩む家庭に寄り添ったサポートを行なっている機関です。
深刻な問題がなくても、初めての子育てをアドバイスしてくれる場として、気軽に活用してみるといいでしょう。
保健所
保健所は地域保健法に基づき、全国469カ所に設置された公的機関です。
保健所では主に、メンタルヘルスに関する相談を受け付けています。
地域の医療機関や市町村保健センターと連携しながら、住民に必要なサービスの提供や、健康管理の拠点として活動しています。
お住まいの保健所を調べる際には、厚生労働省ホームページの「保健所管轄区域案内」で検索してみてください。
「〇〇保健所」ではヒットしない地域もあります。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、精神保健福祉法によって定められた、都道府県または政令指定都市に設置されている支援機関です。
地域によっては、「精神医療センター」と呼称されているところもあります。
心の問題や困りごとに関するアドバイスを行ったり、医療機関や支援機関の情報提供をおこなったりしています。
医師や臨床心理士、精神保健福祉士などの専門スタッフが在籍し、お子さんはもちろん親御さんや周囲の人からの相談も受け付けています。
公的な機関なので無料で相談ができ、以下のような幅広い問題に対処しているのが特徴です。
- 心の問題や病気
- 思春期・青年期のメンタルヘルス
- 精神科医療について
- 依存症についてなど
不登校サポートをする4つの民間団体や民間施設
次に、不登校サポートや子どものための居場所を提供している、民間団体や施設をご紹介します。
フリースクール
フリースクールは、子どもの「学校に代わる学びの場」として、NPO法人や個人、ボランティア団体などが運営している民間の教育機関です。
主に不登校や引きこもり、身体障害、軽度の発達障害などを抱える小学生・中学生・高校生が利用しています。
フリースクールの特徴は、施設によって教育方針がまったく異なるところです。
そのためお子さんが通学される際には、お子さんや親御さんの教育理念と合っているか、しっかりと見極めなくてはいけません。
フリースクールは「子どもたちの居場所」になる施設や、「学校復帰」を目標とする施設、「共同生活」を行なっている施設など多種多様です。
地域の学校と連携しているフリースクールであれば、フリースクールへの参加が「出席扱い」になるケースもあります。
ただし、義務教育の過程のみですので、高校生の場合は当てはまりません。
不登校カウンセラー
不登校カウンセラーとは、学校に行けない子どもやその家族に対し、周囲と協力しながら問題解決のサポート行う専門家です。
支援センターのカウンセリングルームや、医療機関の不登校専門外来などで、プライバシーを厳守しながら個別のカウンセリングを受けることができます。
施設への来訪がむずかしい場合には、メールや自宅訪問などで情報を共有し、教育機関と連携しながら関わっていきます。
不登校の親の会
不登校の「親の会」とは、障害や不登校などの問題を抱える親たちが、自身の体験を共有したりアドバイスしたりしながら交流するグループです。
専門家ではなく、同じ悩みを抱える親同士が交流することで、「自分だけじゃない」と心の負担を軽くすることができます。
子どもの将来を心配し動揺するのは、親として当然のことです。
しかしお子さんが不登校になった際には、誰よりも冷静に子どもの将来を考えてサポートしなくてはなりません。
不登校の親の会に参加することで、いろんな症例が聞けたり情報が共有できたりして、解決の糸口が見つかることもあります。
ひきこもり地域支援センター
ひきこもり地域支援センターは、厚生労働省が設置する「引きこもり支援」や「自立支援」を行う機関です。
小学生や中学生などの制限がなく、20代や30代の引きこもりの方でも利用対象になります。
ひきこもり地域支援センターでは、臨床心理士や社会福祉士、精神保健福祉士などの専門家と連携してサポートに当たっています。
各都道府県に1拠点以上は設置されているため、地方の方でも利用しやすいでしょう。
ひきこもり地域支援センターは引きこもり支援の拠点となる機関ですので、必要であれば各専門機関を紹介してもらうことも可能です。
不登校の児童・生徒が支援を受ける4つのメリット
不登校に関する支援が受けられる、さまざまな支援施設をご紹介してきました。
学校だけに頼るのではなく、専門的な支援施設の利用をおすすめする理由は以下の4つです。
- 家庭や学校以外の居場所ができる
- 学習の遅れをカバーできる
- 自分自身の成長や変化を実感できる
- 自立に向けた精神的なフォローが受けられる
では、不登校のお子さんにどのようなメリットがあるのか、詳しくご紹介していきます。
家庭や学校以外の居場所ができる
不登校の子どもは、心に傷を負っているか、心のエネルギーがなくなっている状態です。
問題解決に家族のサポートは欠かせませんが、学年が上がるほど対応が困難になります。
とくに思春期では、心が傷ついているのにそうじゃないフリをしたり、心を開かなかったりと、専門家でないと対応できないようなケースが多々あります。
悩みを吐き出せる場所、イヤなことを忘れられる場所があることで、心の傷が癒えてエネルギーを回復させることができるかもしれません。
人間関係を外側に広げることで、自然と前に踏み出せるようになるでしょう。
学習の遅れをカバーできる
不登校になると、学習の遅れはやむを得ません。
小学生の低学年くらいであれば自主学習で対応できても、授業内容が高度になると自習だけでは間に合わなくなります。
支援施設を利用することで、学校へ行かなくても学習が受けられ、復帰した際にもスムーズに授業に馴染めるのがメリットです。
またフリースクールや通信制高校では「少人数制の授業」や「個別学習」など、個人のレベルに応じた学習を展開しています。
自分自身の成長や変化を実感できる
不登校になると外部との関わりがなくなることから、成長が止まってしまったと感じることがあります。
すると「友だちが勉強しているのに自分は・・・」「世の中から取り残されている・・・」など、ネガティブな感情が芽生えてくるケースも少なくありません。
家族や学校以外でこれまでにない出会いがあると、新しいコミュニティーの場に参加でき、自分自身の成長を感じられる瞬間が増えます。
その成長が自信につながり、結果的に自立へとつながる架け橋の役割を果たしてくれることも期待できます。
自立に向けた精神的なフォローが受けられる
お子さんにとって、「学校に行けない」ということを言葉で伝えるのは容易ではありません。
そのため大人が気付きにくく、何かしらの身体不調が出てはじめて理解されることも多いでしょう。
専門家によるフォローが受けられれば、その状態に必要な支援や専門機関の紹介が受けられます。
また「何をゴールにするか」「何をモチベーションにするか」といった中長期的なアドバイスがもらえ、早い解決が見込めるケースもあります。
集団生活が苦手なお子さんに、強引に慣れるように仕向けるのではなく、順を追ってストレスがないような支援が期待できるのがメリットです。
不登校は支援施設のサポートを受けて解決しよう
不登校の問題は非常に深刻で、学校に行けないお子さんが毎年増え続けているのが現状です。
「1日も早く学校に行ってほしい」と願う気持ちもあると思いますが、「登校すること」を目標にしても、問題解決にはならないかもしれません。
不登校の期間は、子どもが自分自身や進路を見つめ直す時間として大切な意味を持っています。
精神的にも社会的にも自立して、豊かな人生が送れるよう支援することが真の目的であるべきです。
お子さまに関する悩みや心配事があれば、まずは本記事でご紹介した支援施設に問い合わせてみましょう。
専門家によるサポートが受けられたり、該当する専門機関を紹介してくれたりと、解決の糸口が見つかるはずです。
また親御さんは心配が尽きませんが、自宅にいる間はお子さんの心が休まるよう、心地よい居場所を作ってあげましょう。
また、起立性調節障害の学生についても、「私はHSC?HSCとは?HSCでも大丈夫な通信制高校を紹介!」でまとめているので、是非そちらもご覧ください!