通信制高校はどんな人がいく?通信制高校にいく6つの理由や通学者の特徴を紹介 更新時間 2025.01.10
通信制高校というと、「不登校」や「中退」といったネガティブなイメージが強いですが、一体どんな人が通っているのでしょうか?
通信制高校に興味はあるけど前に踏み出せない方は、通信制高校に行く人たちの理由を知ることが大切です。
現在、通信制高校に通う生徒は21万人を超え、ポジティブな理由で通信制高校を選ぶ生徒も増えいています。
全日制高校にはない自由度の高さや、教師の手厚いサポートが注目され、特技や専門的な知識を持った生徒の新しい選択肢として注目されているようです。
本記事では、通信制高校に通っている人の理由を紹介しながら、全日制高校との違いやメリットについて解説しています。
通信制高校にどんな人がいるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
不登校とはどのような状態なのか?改善と対策どんな人が通ってる?通信制高校に行く6つの理由
通信制高校を選ぶ理由は十人十色。
でも、どんな人が通っているのかを知る上で、通信制高校を選んだ理由も気になりますよね?
本章では、通信制高校に行く主な理由をご紹介していきたいと思います。
中学生のときに不登校だった
令和2年における文部科学省の調査によると、通信制高校に通うおよそ半分の生徒が不登校を経験していました。
一度不登校になってしまうと、また学校に行けなくなるんじゃないかと不安を抱える生徒や親御さんも多いでしょう。
中学は義務教育のため留年することはほとんどありませんが、全日制高校は1年ごとに必要な「単位」や「出席日数」が決まっており、どちらかが不足すると同じ学年をもう1年やり直さなくてはなりません。
不登校になった生徒は、また学校に行けなくなっても留年するリスクがない通信制高校を選ぶのです。
通信制高校は単位制なので、3年以上在籍して単位を習得すれば、出席日数を問わず卒業することができます。
友人や先輩とのトラブルやいじめ
部活の先輩とのトラブル、友人同士の人間関係やいじめなどが原因で、通信制高校を選択する生徒もいます。
人間関係をリセットしたいと考えたとき、中学時代の同級生がたくさん通う全日制の高校ではなく、知人がほとんどいない通信制高校の方が快適な高校生活が送れるからです。
また、せっかく入学した高校に馴染めず、中途退学して通信制高校に編入するケースも少なくありません。
転入や編入の場合は、前の高校で修得していた単位を引き継げるので、最短で高校を卒業することができるのも選ばれる理由の1つです。
また学校により異なるのですが、全日制や定時制と比較すると、通信制高校は少人数でアットホームな雰囲気の学校が多いのが特徴です。
さまざまな生徒がそれぞれ目的を持って学校に通っているため、転入や編入をしても馴染みやすいと言われています。
ツラい人間関係を経験していても、高校に行って勉強したい高校卒業の資格を取得したいという志を持って通っている生徒が多いことを覚えておきましょう。
学業不振で全日制高校を退学
受験でワンランク上の高校に合格したはいいものの、授業についていけず学業不振になってしまう生徒もいます。
通信制高校は「個別指導」や「少人数制指導」など、生徒の学力や勉強の仕方に合った学校を選べるのがメリットです。
また科目別指導で苦手な科目を集中して克服することもできるため、勉強への意欲を無くしてしまった人からも選ばれています。
中には完全マンツーマンで、不登校から大学進学を目指せる通信制高校もあり、全日制高校にはない手厚いサポートも魅力です。
家庭の事情や金銭的理由
通信制高校に通う約4人に1人は、ひとり親家庭の生徒です。
アルバイトなどで生活費を稼いでいる生徒もおり、「日中は働きたい」という生徒が通信制高校を選択しています。
学校により異なりますが、通信制高校は年間20日ほどのスクーリング(面接指導)で卒業可能です。
そのため、「学校とアルバイトを両立したい」「日中は親の介護で学校に行けない」といった、毎日学校に通えない生徒の学びの場となっています。
また全日制や定時制高校と比較すると、通信制は学費の負担も少なく通いやすいのが特徴です。
学業以外の活動に集中するため
近年は、「学業以外に専念したいから通信制高校を選ぶ」というケースが増えています。
具体的な例をご覧ください。
- プロスポーツ選手を目指すため
- 起業した会社が忙しい
- 芸能活動をやっている
- 専門的な科目を勉強したい
- 大学受験に向けて予備校に通っている
通信制高校では自分の都合に合わせてスケジュールが組めるので、学業以外の活動に専念することができます。
知名度が高い人でいうと、日本女子ゴルフ界で活躍する畑岡奈紗選手をご存知でしょうか?
世界ランキングで日本人トップの7位に君臨する選手で、17歳で出場した日本女子オープンで、国内メジャー史上初となるアマチュア優勝を果たしました。
その畑岡奈紗選手は、「大好きなゴルフに専念したい」という理由で通信制高校を選択したようです。
学業も大切ですが、「10代でしかできない目標を成し遂げたい!」という人が、通信制高校の自由度の高さに魅力を感じています。
その他にも、「起業した会社が忙しいので通信制で高卒の資格を取得したい」「美術のスクールで技術を磨きながら芸術大学を目指す」など、ポジティブな理由で通信制高校を選ぶ人が増えつつあるようです。
働きながら高卒資格を取得するため
一時的に学業から離れたものの、「今後のキャリアのために高卒の資格を取りたい」という理由で通信制高校を選択するケースもあります。
通信制高校は通学の負担が少ないので、子育てをしている人や社会人として働いている人でも通いやすいのが特徴です。
また全日制高校には「入試」があり、学力による「ふるい」がかけられますが、通信制高校は作文や面接が中心になります。
そのため入学のハードルが低く、再スタートが切りやすいのも大きな魅力でしょう。
通信制高校に向いている人について詳しく知りたい方は是非「通信制高校は不登校の人が行くものではない!通信制高校に行くべき人は ?」を参考にしてみてください!
通信制高校に通うメリット
通信制高校を選択する5つのメリットをご紹介します。
自分のスタイルに合わせて勉強が進められる
全日制高校は、学校に通うことが必要です。
出席日数が足りなかったり、1年で必要な単位が取れていなかったりすると、強制的に留年になるケースも少なくありません。
一方で、通信制高校は「自主学習」がメインとなっており、自分のライフスタイルに合わせて学習することが可能です。
「日中はサッカーの練習に専念したい」「子どもがいて毎日の通学がむずかしい」という場合でも、通学や宿題に時間を割かれることもありません。
学校に拘束される時間が少ないので、病気を持っていて入退院を繰り返している人、妊娠中の女性も通いやすくなっています。
厳しい校則がない
高校生の校則といえば、「染髪・パーマの禁止」や「アルバイト禁止」、まれに「男女交際禁止」を掲げている学校もありますよね。
しかし通信制高校には厳しい校則がないことが多く、基本的なルールを守れば大丈夫とされています。
通信制高校には色んな生徒が通っているので、服装や髪型について教師に指導されることはほとんどありません。
また全日制では制服を導入している高校が多いのに比べ、通信制高校は制服がない学校も多数あります。
また制服があったとしても、購入が必須になるケースは少なく、個人の意見が尊重されている印象です。
全日制高校よりも学費が安い
通信制・全日制・定時制高校の学費を比較してみました。
以下の表をご覧ください。
全日制や定時制と比較すると、通信制高校の学費が圧倒的に安いことが分かりますね。
また最初にかかる入学金も、公立の通信制高校であれば500円と格安です。
しかし文部科学省の調査によると、令和元年の通信制高校の生徒数は「私立が約14.1万人」、「公立が約5.6万人」と、圧倒的な差が生じています。
その理由は、ITを活用した学習の進め方やレポートの提出など、サポート体制の差に原因があるようです。
専門的な勉強や職業体験ができる
通信制高校の中には、音楽業界に特化したコースや、美容やメイクなどに特化したコースなど、夢を実現するための専門コースが用意されている学校も珍しくありません。
デザインが学べたり、声優を目指せたりといった、将来の目標に向かっての専門知識を身につけながら高卒の資格を取ることが可能です。
職業体験では農業や漁業、地域の伝統文化などをリアルに体験できたり、インターネットを通して学べるオンラインプログラムが用意されている学校もあります。
全日制や定時制高校の生徒と比較すると、より早い段階から興味のある分野に進み経験を積むことができるでしょう。
年齢を気にせず入学できる
中学卒業から何年も経って、「きちんと高校に行けばよかった・・・」「高卒の資格があったら仕事の選択肢が増えるのに・・・」と考える人もたくさんいます。
通信高等学校では入学においての年齢上限がないので、何歳からでも高校生活をやり直すことが可能です。
実は全日制高校や定時制高校であっても、満15歳以上という下限こそありますが、「何歳までに入学しなくてはならない」という上限は定められていません。
日本の法律では、高校入学の資格が以下のように定められています。
中学校を卒業しているか、中学卒業と同等の学力があると認められていること、入学の段階で満15歳以上であること(満15歳になる年度が終わるまでは、保護者が子どもを中学校に行かせる義務があるため) つまり、15歳以上で中学卒業程度の学力があれば、誰でも通信制高校に入学できるという訳です。
通信制高校について詳しく知りたい方は是非「通信制高校とは?」を参考にしてみてください!
通信制高校に通う生徒の特徴
前述したように通信制高校に通う理由は、多義に渡ります。
そのため、あらゆる事情に対応できる体制を整えている通信制高校を選ぶ生徒が近年急増しています。
実際、通信制高校に通う生徒とは、どんな人なのかを調べていくと、以下のような事情、考えを持つ生徒が在籍しています。
- 早い段階で専門知識を身に着けたい人
- 夢や目標が明確になっている人
- 全日制高校を中退した人
- 不登校の経験がある人
- マイペースで勉学に励みたい人
- 発達障害や起立性調節障害などの障害が見受けられる人
ここからは、上記6つの事情、考えについて解説していきます。
早い段階で専門知識を身に着けたい人
通信制高校には、イラストやデザイン、美容師などの専門コースを備えている学校が多く、専門分野に興味を持つ生徒が集まります。
代表的な通信制高校 | 特徴・取り組み |
---|---|
ヒューマンキャンパス高等学校 | メイクや美容、プログラミング、ファッションなど40以上の分野を学べる専門コースが用意されている。 |
トライ式高等学院 | 国公立大学や難関私立大学への多くの合格実績を持つ通信制高校で個別授業で築き上げた指導ノウハウを活かし、不登校や引きこもりで通学が難しい生徒には訪問指導を提供している。 |
これらの専門コースを活用することで、高校在学中に専門的な知識やスキルを身につけられます。
特に、将来その分野で活躍したいと考えている生徒にとっては、高校卒業資格を取得しながら専門分野を学ぶことで効率よく目標に近づける選択肢となっています。
夢や目標が明確になっている人
声優やタレント、eスポーツ選手など、特定の夢や目標を持つ人も通信制高校を選ぶ理由の一つです。
特定の夢や目標 | 専門分野に特化した通信制高校 |
---|---|
声優・タレント | ・鹿島朝日高等学校 ・未来高等学校 ・ID学園高等学校など |
eスポーツ選手 | ・ヒューマンキャンパス高校 ・明聖高等学校 ・興譲館高等学校など |
こうしたカリキュラムは全日制高校にはない場合が多く、専門学校に進むのが従来の一般的な進路でした。
しかし、専門学校に進む前に高校を卒業する必要がある場合、その分時間がかかってしまいます。
一方で、通信制高校では高校卒業資格の取得と同時に専門的な学びを深めることが可能です。
特に、認可校の通信制高校なら学歴が確実に高卒となり、夢や目標に向かう道を効率化できる点が支持されています。
全日制高校を中退した人
全日制高校を中退した生徒も、通信制高校を選ぶケースが多くあります。
その背景には、通信制高校が単位制を採用していることが挙げられます。
単位制では、以前在籍していた全日制高校で修得した単位を引き継ぐことができるため、最初から学び直す必要がありません。
また、卒業に必要な「3年以上の在籍期間」も、前の高校での在籍期間の加算もできます。
たとえば2年生の終わりで中退した場合、通信制高校に1年間在籍し、残りの単位を修得するだけで卒業できます。
このように、学業を続けやすい環境が整っているため、学び直しを希望する人にとって通信制高校は適した選択肢となっています。
不登校の経験がある人
通信制高校には、小中学校で不登校を経験した生徒も多く在籍しています。
これには、通信制高校の多くが自宅学習を主体とし、年間の登校日数が非常に少ない点が挙げられます。
例えば、年に数回のスクーリングを行うだけで高卒資格を取得できる学校もあります。
不登校経験があると、学習が遅れたことによる負担で学校に通いづらくなることがありますが、通信制高校では個別指導や少人数制を採用している学校が多く、学習面だけでなく精神面のサポートも充実しています。
さらに、不登校児童専用の相談窓口を設けたり、カウンセリングを行う専門スタッフが常駐している学校もあるため、安心して学業に取り組めます。
こうした柔軟な支援体制により、過去の不登校経験に関係なく、高校卒業を目指す環境が整っています。
通信制高校のスクーリングはどんなことをするの?リアル通信制高校生のスクリーングに密着マイペースで勉学に励みたい人
全日制高校では登校時間や時間割が決まっており、学校が定めたスケジュールに従う必要があります。
しかし、このような決まりに縛られず、自分のペースで学びたいと考える人にとって通信制高校は最適な選択肢です。
通信制高校では自主学習が基本であり、授業もオンラインや録画された動画を利用して行われることが多いため、周りの進度に左右されずに自分の理解度に応じて学習を進められます。
また、時間割が存在しないため、学ぶ時間やペースを自由に決められます。
このような特徴から、何かに縛られることなく、主体的に学びを進めたいと考える生徒が多く通信制高校に通っています。
発達障害や起立性調節障害などの障害が見受けられる人
通信制高校は、発達障害や起立性調節障害など、特定の事情を持つ生徒にも適した学びの場を提供しています。
通学日数を柔軟に選べる点や、スクーリングをオンラインで代替できる点が大きな魅力です。
全日制高校でも障害のある生徒を受け入れるケースはありますが、授業時間や環境が固定されているため、授業中のストレスや無理が伴う場合があります。
特に起立性調節障害の方は朝の通学が難しい場合も多く、無理に登校することで症状が悪化するリスクがあります。
一方で通信制高校では、個別に学習プログラムを組み、自身の症状や理解度に合わせた支援が受けられるため、無理なく勉学に取り組めます。
こうした配慮により、障害を抱えた生徒でも安心して高卒資格の取得が目指せます。
通信制高校の生徒は年々増えている
日本では少子化が大きな問題となっており、全日制・定時制高校の数は減少傾向です。
しかし一方で、通信制高校の数は増え続けており、生徒数においては何倍にも増加しています。
以下の表は、高校の生徒数の推移を公私別に計算したものです。
ご覧の通り、ここ30年ほどで全日制・定時制の生徒数は約245万人も減少しているのがみて取れます。
しかし私立の通信制高校では、7万人以上も生徒が増えており、高校生の16人に1人が通信制を選んでいるということが分かります。
通信制高校に通う生徒の年齢は?
色んな理由や事情で通信制高校を選択していることが分かりましたが、どんな年代の人が通っているのかも気になるところですよね。
そこで通信制高校に通う生徒を、年齢別にまとめました。
やはり10代が圧倒的に多いですが、20代でも2万人以上いて、50代や60代の生徒がいることも分かります。
今はオンラインや動画を用いて授業を行う通信制高校も増えており、中には社会人コースを設置している通信制高校もあるようです。
自分のペースで勉強したい人、通学が難しい人など、さまざまな事情を抱えた人の需要を満たせるような高校教育が実行できているということでしょう。
通信制高校に関する質問
通信制高校について詳しく知らない方や、進路の選択肢として検討している方に向けて、よくある疑問をわかりやすくまとめました。
通信制高校の仕組みやメリット、転校の可能性など、知っておきたいポイントを一挙解説します。
通信制高校に通えば高校卒業資格は取得できる?
通信制高校は、全日制高校や定時制高校と並ぶ高校課程の1つであり、卒業すると得られる資格は全日制と同じ「高等学校卒業資格」です。
そのため、大学進学や就職などでも同じように活用できます。
学習は基本的に自宅で進めるスタイルで、以下のような学習スタイルで単位を修得していきます。
- 定期的に提出するレポートやテスト
- スクーリング(登校授業)
登校日数は学校によって異なりますが、年間数日から数十日程度の学校も多く、柔軟な学び方が可能です。
このため、さまざまな事情で全日制に通えない生徒でも無理なく卒業資格を目指せます。
通信制高校に通うメリットはある?
通信制高校の最大のメリットは、自分のペースで学べる点です。
学年制ではなく単位制を採用しているため、進級や留年といった概念がなく、自分の進捗に合わせて学習を進められます。
また、学習スタイルが柔軟なので、アルバイトや趣味、専門的なスキルの習得など、学業以外の活動に時間を使えます。
そのため、以下のような目標や夢を抱く生徒に選ばれています。
- 不登校や持病を持つ生徒
- 芸能活動やスポーツを優先したい人など
多様な背景を持つ通信制高校は、学びながら自分の夢や目標を実現するための時間と自由を得られる選択肢です。
全日制高校から通信制高校に転入はできる?
全日制高校に通っている生徒が通信制高校に転校できます。
多くの通信制高校では、途中編入や転入を随時受け入れており、柔軟に対応しています。
また、全日制高校で取得した単位は基本的に引き継ぐことができるため、転入後に一から単位を修得し直す必要はありません。
そのため、卒業時期を同級生と同じにできる可能性も高いです。
転入後は、自分のペースで学びながら必要な単位を取得し、無理なく高校生活を送れます。
これにより、状況に応じた学び直しの選択肢を持つことができる点が魅力です。
自由度の高い通信制高校で自分らしく生きよう!
通信制高校に通う理由や、通信制を選ぶメリットについて解説しました。
高校に対してさまざまなニーズを求める生徒が増えており、それに対応できるよう通信制高校では学校ごとに特色を設けています。
「やりたいことに時間を注ぎたい」「専門的なことを学び夢を叶えたい!」という前向きな理由で選択する生徒もいますので、通信制高校へ行くことを後ろ向きに捉えることはありません。
2021年度には、通信制高校に行く生徒数は21万人以上を超えました。
みんなさまざまな理由で通信制高校を選択し、充実した高校生活を送っています。
無理なく通えそうか、自分のやりたいことができるかをじっくりと検討し、自分に合った学校を見つけてみましょう。
新たなきっかけを作りたいという人は是非「通信制高校は不登校の人が行くものではない!通信制高校に行くべき人は?」を参考にしてみてください!