通信制高校は就職に有利?就職活動に役立つ7つの知識 更新時間 2025.01.16
通信制高校への進学を検討するにあたって、就職に有利になるのかが気になる人も多いでしょう。
「通信制と全日制はどちらが就職に有利?」
「通信制高校から就職を成功させる方法が知りたい」
という方に向けて、この記事では、就職を有利にする方法や、就職に不利なのか解説したいと思います。
通信制高校から就職を成功させるには、高校選びや在学中の取り組みが重要なポイントです。
通信制高校は就職に有利?不利?
通信制高校というと、何となくマイナスなイメージがあると考える方もいるでしょう。
高卒の資格をとっても、「履歴書に通信制と書きたくない」「就職で不利になりそう」と思うかもしれません。
しかし高校卒業の資格は、通信制・全日制・定時制を問わず、同等の資格が得られます。
求人票に「高校卒業以上」「高卒レベルの学力」と書かれている場合、通信制であっても問題なく応募できます。
また近年は、通信制高校の学習環境やカリキュラムが多様化し、進路の選択肢が広がりつつあります。
ここでは、通信制高校卒業後の進路状況と就職率について詳しく解説します。
通信制高校の就職・進路事情
文部科学省の調査によると、通信制高校を卒業した生徒のうち、大学や専修学校などへの進学者は全体の40%を超え、最も多い割合を占めています。
高等学校 | 卒業者数 | 進学者数 | 就職者 | 左記以外のもの | 不詳・死亡者数 |
---|---|---|---|---|---|
通信制高校全体 | 56,283人 | 23,703人(42.2%) | 11,026人(19.6%) | 21,070人(37.4%) | 484人(0.9%) |
公立通信制高校 | 7,982人 | 2,026人(25.3%) | 1,745人(21.9%) | 4,091人(51.3%) | 120人(1.9%) |
私立通信制高校 | 48,301人 | 21,679人(44.9%) | 9,281人(19.2%) | 16,979人(35.2%) | 364人(0.8%) |
参照:文部科学省|高等学校通信教育の現状についてより
一方、就職を選ぶ生徒の割合は約20%となっています。
このデータから、通信制高校は進学・就職のいずれの道にも対応した教育を提供していると言えるでしょう。
また、卒業生の中には起業やフリーランスとしての活動を選ぶ人もおり、通信制高校の自由度がその選択肢を広げています。
通信制高校在校生の就職率
通信制高校の就職率は19.6%で、全日制高校の17.2%を上回っています。
高等学校 | 就職者 |
---|---|
全日制高校 | 17,693人(17.2%) |
定時制高校 | 8,237人(42.1%) |
通信制高校全体 | 11,026人(19.6%) |
公立の通信制高校 | 1,745人(21.9%) |
私立の通信制高校 | 9,281人(19.2%) |
参照:文部科学省|高等学校通信教育の現状についてより
この背景には、通信制高校が就職に直結する資格取得や実践的なスキルを習得できるカリキュラムを導入していることがあります。
たとえば、ITスキルや福祉関連資格の取得を支援する学校も多く、これらが即戦力として評価されることに繋がっています。
また、オンライン学習や自主学習を通じて培った自己管理能力や柔軟性が企業側に評価されるケースも少なくありません。
今後も通信制高校は、多様な進路に対応するための取り組みを強化していくと予想されます。
また、通信制高校にはどんな生徒が通うのか、については、「通信制高校はどんな人がいく?通信制高校にいく6つの理由」も是非ご覧ください。
通信制高校の就職が不利になるケース
通信制高校は自由度の高い学びの環境を提供しており、近年その価値が広く認識されつつあります。
しかしながら、一部では「通信制高校は就職に不利」という声があることも事実です。
このようなイメージは、いくつかの要因によって生じています。
- 進学や就職以外の進路が多い
- 就活サポートが専門学校などに比べて整っていない
- 通信制高校に対する偏見
- 求人票が少ない
例えば、通信制高校では進学や就職以外の進路を選ぶ卒業生の割合が比較的高い点が挙げられます。
冒頭で挙げたように、文部科学省の調査によると、通信制高校卒業生の約43%が「その他」の進路を選択しており、その中にはフリーターやニートのほか、夢を追うために進学や就職を選ばなかった人も含まれます。
また就職活動を支援する体制が十分に整っていない学校も存在します。
通信制高校では「高卒資格の取得」が優先される場合が多く、専門学校や全日制高校のように充実した就活サポートが行き届いていないがために「就職が不利」になる可能性があります。
結論を述べると、通信制高校だからといって必ずしも就職に不利になるわけではありません。
しかし、現状では学校の支援体制や社会的な偏見によって不利になる可能性があることは否定できません。
通信制高校からの就職を有利にする7つの方法
ここからは、通信制高校からの就職を有利にする方法について解説していきます。
通信制ならではの特徴を活かし、就職を有利に進められるよう準備しておきましょう。
また、通信制高校のメリット・デメリットについても「通信制高校に進学するメリット・デメリット!全日制・定時制の違いや覚えておきたい基本情報」にまとめていますので、是非こちらもご覧ください。
専門的な知識や技術を習得できる学校・コースを選ぶ
通信制高校の中には、美容師やネイリスト、プログラミングなどの資格が取得できる学校も多いです。
また社会にでて求めらる「思考力」「判断力」「コミュニケーション能力」などを、実践的に身につけられるカリキュラムを取り入れている学校のあります。
オンライン授業と並行しながら就職に関する知識を身につけることで、高校卒業と同時に即戦力として職場で活躍することができるでしょう。
職業体験やインターンシップを経験する
通信制高校に通う生徒の中には、アルバイトをしながら卒業資格を目指している学生も多いと思います。
将来携わりたい業界や職種に関連したアルバイト経験があると、働いたことがない学生よりも就職活動で有利に働きます。
またインターンシップ制度に積極的に参加して、ビジネスマナーや社会人としての基礎的スキルを身に付けておくのもいいでしょう。
働いた経験を通じ仕事への熱意や目標をアピールできれば、企業側からも高く評価され就職で有利になります。
就職に有利な資格を取得しておく
総務省の調査によると、通信制高校の就職先に多いのが、「サービス職業従事者」や「生産工程従事者」です。
また「医療・福祉」の分野で活躍している卒業生も多く、今後も高い需要が見込まれる就職先としてあげられます。
近年は看護や保育、介護、美容師、調理師、IT関連人材など、ニーズの高い分野を学べる学校が就職に強いと言われており、卒業のタイミングより前に資格が取得できるようなサポートが行われています。
就職に強い学校を選ぶ
就職に強い学校を選ぶことで、面接指導や社会人マナーといった就職に関する手厚いサポートが受けられます。
入学する前の段階から「社会人養成コース」や「専門コース」が設けられている学校を選ぶことで、将来の選択肢を広げてくれるでしょう。
また学校によっては特定の業界や企業にパイプを持っているケースもあるので、自分の目指す業界に強い学校を選ぶのがおすすめです。
学校からの推薦や過去の就職実績があれば、企業側からの信頼も高くなるので、就職もしやすくなるでしょう。
スクーリングや学校行事を通してコミュニケーション力を培う
通信制高校に通う学生の中には、不登校やいじめなどを経験した人も多いでしょう。
「コミュニケーションを取るのが苦手」「初対面の人と話せない」という場合は、学校行事やスクーリングを通して、さまざまな人と関わりを持つことが大切です。
社会に出ると自分の苦手な人とも関わるケースが増えますし、幅広い年代の人と仕事をしなくてはいけません。
少しずつスクーリングの回数を増やしたり、部活動に参加したりして、苦手を克服しておくようにしましょう。
専門学校や大学進学も視野に入れる
経済的にゆとりがある人や、少ないスクーリングも負担になってしまう人は、進学も視野に入れてみるのがおすすめです。
大学や専門学校で学ぶことで応募できる求人が増え、選べる職業や企業の幅も広がるでしょう。
また進学するとなると、通学の回数は当然増え、体力や精神的な負担も大きくなります。
しかし毎日の通学に慣れておかなければ、就職しても長く続かないかもしれません。
通信制高校は「自分のペースで学習を進められる」ことがメリットですから、1年生は週に1回、2年生は週に2回など、通学コースを変えていくのも良いでしょう。
勉強はもちろん、それに並行して気持ちや体調を整え、進学にチャレンジしてみてください。
就職サイト・就職エージェントを利用する
就職を有利にするため、就職サイトや就職エージェントを利用するのもおすすめの方法です。
とくに就職エージェントは、「求人紹介」「書類添削」「面接指導」などのサポートが充実しているので、面接が苦手な方や将来が見えない方は積極的に利用してみましょう。
就職活動においては、「通信制高校を選んだ理由」や「学生時代に力を入れたこと」など、さまざまな質問がされます。
いろんな質問を想定して的確に答えられるよう、エージェントの力を借りて準備を整えておくといいですね。
就職サイトや就職エージェントには「強み」や「強い業界・職種」などの特性があるので、自分に合ったサービスを選ぶことが重要になってきます。
また、通信制高校出身だからこそ将来的に成功できる理由についても、「通信制高校出身だからこそ成功できる理由を徹底解説!」でまとめているので、是非一度目を通してみてください!
【就職活動】通信制高校卒業と履歴書や面接で伝えるべき?
就職活動において、通信制高校を卒業したことを履歴書や面接でどのように伝えるべきか迷う方も多いでしょう。
ここから履歴書や面接で「通信制高校卒業と正直に伝えるべきか」という疑問について解説していきます。
履歴書に記載する必要はない
まず、履歴書に関しては「通信制課程」と記載する義務はありません。
高校卒業資格としての価値は全日制高校と変わりないため、学校名を記載するだけで問題ありません。
ただし、学校名に「通信制」と含まれている場合や面接で学校生活について聞かれた場合には、通信制高校に通っていたことを正直に話すことが大切です。
通信制高校であることを正直に伝えるのはデメリットではありません。
それよりも、通信制高校を選んだ理由とそこで得た経験を前向きに語ることで、自己管理能力や努力をアピールし、採用担当者に自身の強みをしっかり伝えることが就職活動成功のカギとなります。
通信制高校を選んだ理由を問われたら素直に伝える
通信制高校に通っていた理由や学んだことを前向きに伝えることで、採用担当者に好印象を与えられます。
例えば、「仕事や夢と学業を両立させた」「自己管理能力を身につけた」など、自分が通信制高校で得た経験や成長を具体的にアピールするのが効果的です。
逆に、通信制高校であることを隠そうとすると、不自然な受け答えになり、かえって不信感を抱かれる可能性があります。
また、通信制高校でも全日制高校と同様に、面接練習や自己PR文の添削、志望動機の指導を受けることができます。
これらのサポートを積極的に活用し、面接での回答をしっかり準備しておくことが重要です。
特に、面接では緊張がつきものですが、模擬面接を繰り返すことで、自信を持って受け答えができるようになります。
就職を成功させるには事前準備が肝心
通信制高校の就職率は高く、就職で不利になることもありません。
しかし少しでも就職を有利にするため、学生時代のうちから就職に向けて準備を進めておくといいでしょう。
資格を取得したり、専門コースに進んだりして、社会にでて即戦力になる技術やスキルを身に付けておくと有利に働きます。
またアルバイトやインターンシップの経験も、「現実を知るため」「自分の向き・不向きを知るため」に最適です。
就職活動は情報収集や事前準備が肝心ですので、卒業後を見据えて充実した高校生活を送りましょう。