通信制高校は不登校の人が行くものではない!通信制高校に通っている人や通学のメリットを解説 更新時間 2025.01.09
皆さんは、通信制高校に対して、どのようなイメージをお持ちですか?
不登校や引きこもりが多いというイメージを持っているかもしれません。
今回は、通信制高校の現状、どのような生徒が通っているのか、向いている人の特徴、通うメリット、通信制高校とサポート校の違いなどを紹介します。
通信制高校に通うかどうか迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
不登校とはどのような状態なのか?改善と対策通信制高校に通う生徒の現状
通信制高校と聞くと、不登校や引きこもりの生徒が多いというイメージを持つ人もいます。
しかし、実際には多様な背景を持つ生徒が在籍しています。
ここからは、通信制高校に通う生徒の現状と通学者の比率について紹介します。
通信制高校に通う生徒は不登校だけじゃない
前述したように、通信制高校には、全日制の高校に比べて不登校や引きこもりが多い傾向にあります。
しかし、不登校や引きこもりの人はごく一部で、多くの生徒が働きながら学んだり、芸能活動やスポーツなど特定の目標を追求するために通信制高校を選んでいます。
また、中学時代に不登校だった生徒や、いじめ、家庭の事情、全日制高校の退学経験を持つ生徒が、再び学び直す場として通信制高校を活用するケースもあります。
近年では、学業以外の活動に集中したいという前向きな理由で入学する生徒も増えています。
通信制高校はどんな人がいく?通信制高校にいく6つの理由通信制高校への通学者の比率
通信制高校の生徒数は増加傾向にあり、2020年度には約20.6万人※、そして2023年度には約26.5万人※に達しました。
参考:高等学校通信教育の現状についてより
これは、高校生全体の12人に1人が通信制高校に通っている計算になります。
2015年以降、通信制高校の数は50校以上増加し、現在では289校にのぼります。
この背景には、私立通信制高校の新設や技能連携校の転換が関係しています。
また、生徒の年齢層も若年化しており、平均年齢は17歳程度です。
中学卒業後すぐに通信制高校に進学する生徒が増えており、15歳から17歳の割合が年々高まっています。
このように、通信制高校は多様なニーズに応える教育機関としての役割を広げています。
通信制高校が多様な生徒に選ばれる理由
通信制高校は、学習環境やサポート体制の柔軟性から、全日制高校とは異なるニーズを持つ生徒に選ばれています。
- 受け入れ体制が整っている
- 登校日数や学習方法が選べる
- 同じ悩みを抱えた生徒が在籍している
不登校経験者や多忙な生活を送る若者、特定の目標に向けて取り組む生徒など、多様な背景を持つ人々が安心して学べる場として注目されています。
以下では、通信制高校が選ばれる具体的な理由を解説します。
通信制高校とは?どんな人が行く学校なのかを解説!受け入れ体制が整っている
通信制高校は、不登校や中学時代に学校生活に悩みを抱えていた生徒を含む多様な背景を持つ生徒を受け入れる体制が整っています。
多くの学校では、専任カウンセラーが常駐し、生徒のメンタル面を支えるサポートを行っています。
また、少人数の担任制や1対1の個別指導など、個々の学習ペースや精神状態に合わせた対応を提供することが一般的です。
一部の学校では、以下のような学習環境の提供や方法の柔軟性を高め、生徒の自信を取り戻すための環境を構築しています。
- 自宅訪問
- オンライン指導を取り入れるなど
このような充実した受け入れ体制が、通信制高校が多くの生徒に選ばれる大きな理由です。
登校日数や学習方法が選べる
通信制高校は、生徒自身が登校日数や学習方法を自由に選べます。
全日制高校のように毎日通学する必要がなく、一般的には、以下のようなコースが用意されています。
- 週1日だけ通うコース
- 年数回のスクーリングのみで卒業を目指すコースなど
また、オンライン授業やレポート学習を通じて、自宅での学習が中心となるため、自分のペースで進められるメリットがあります。
さらに、eスポーツや美容、芸術、大学進学準備など、専門性の高い学科が豊富に揃っており、生徒が自分の興味や目標に応じた学びを追求できる環境が整っています。
同じ悩みを抱えた生徒が在籍している
通信制高校には、学校生活や人間関係に悩んでいた生徒が多く在籍しているため、互いに共感しやすい環境が生まれています。
同じような経験を持つ生徒同士が集まることで、孤独感を抱きにくく、自然と居心地の良い関係性が築かれることが特徴です。
また、学校側もこうした生徒同士のつながりを大切にし、交流の場を設けるなど、心理的な負担を軽減する取り組みを行っています。
このように、安心して学べる環境が整っていることが、通信制高校が多くの生徒に選ばれる理由の一つとなっています。
通信制高校に向いている人の特徴5選!
通信制高校に通うべき人の特徴を5つ紹介します。
- 欠席が多いまたは不登校
- 発達障害・起立性調整障害
- 勉強がかなり苦手
- 働きながら高卒資格を取りたい!不登校じゃない!
- 夢に向かって努力する時間が欲しい!不登校ではない!
通信制高校でしかできないこともたくさんあります。
欠席が多いまたは不登校
通信制高校には、全日制よりも欠席が多いまたは不登校の生徒が多い傾向にあります。
不登校の状態(あるいは欠席が多かった状態)から全日制高校という新しい環境へ移ることは、いきなり難問に挑戦するようなものです。
問題を抱えていない生徒でさえ、失敗することがあります。
はじめはなんとか高校に通えたとしても、生活スタイルや学習方法がこれまでとは大きく変わります。
それに適応できず、不登校が続いてしまう可能性も決して小さくありません。
高校で再び不登校を経験すれば、「挫折感も生まれ、より深刻な状態」になります。
これは、絶対に避けたい事態ですね。
通信制高校なら、この危険を避けることができます。
発達障害・起立性調整障害
グレーゾーンと呼ばれる軽度の発達障害を持つ生徒でも「比較的生活、学習しやすい環境」なのが、通信制高校です。
勉強についていけない、コミュニケーションがうまくとれず、良好な人間関係を維持できないなど、全日制高校の環境や学習ペースに合わせられなくなるためです。
発達障害については学校関係者の理解が進んでいるにもかかわらず、多くの高校ではこうした問題に十分な対応ができていないのも現状です。
発達障害のある高校生への支援を行っている文科省の指定校もありますが、数もそう多くはありません。
勉強がかなり苦手
「この成績では高校に入ってから苦労するよ」と先生に言われたことはありませんか。
そして、自分でもそんな心配を感じていませんか。
学年制の高校では、成績が基準に満たないと上の学年に進級できません。
「留年です。」
高校の先生は、留年の可能性がある生徒に補習や追試をして、進級できるように努力しています。
毎回の追試や補習も、仲の良い友達、部活動に取り組むような環境があれば生徒もがんばれますが、そうしたものがないと、勉強へのモチベーションもなくなり、高校生活を続ける意欲も薄くなる人もいるでしょう。
働きながら高卒資格を取りたい。不登校じゃない。
通信制は、もともと働きながら勉強する人が学びやすいようにつくられた制度なので、中学卒業後すぐに「働きながら高卒資格を取りたいという生徒」に適した進学先です。
働きながら高卒資格を取るのならもちろん定時制という選択肢もありますが、通学や時間割が少ない通信制の方が、勉強・仕事・プライベートのスケジュールを柔軟に組むことができ、有利です。
夢に向かって努力する時間が欲しい。不登校ではない。
「将来の目標が、はっきりと決まっている人」なら、通信制高校が適しています。
夢に向かって、自分らしく時間を使えることが、全日制にはない通信制の長所だからです。そういう理由から、進学先を通信制高校にする中学生も増えています。
目標を早くから明確にして取り組むものとして、芸能やスポーツがあります。
プロを目指し、小、中学校時代から専門的なレッスンを始めている生徒もいます。
あるいは中学卒業後に活動を本格化したいと考えている生徒もいます。
通信制高校のメリット、デメリットについて詳しく知りたい方は 「不登校の人が通信制高校へ行くとどうなるの?進学するメリット・デメリットをご紹介」を参考にしてみてください!
通信制高校に行くメリット5選
最近では、通信制高校に通う生徒は増えています。
通信制高校に通うメリットはたくさんあります。今回はメリットを5つ紹介します。
- 自分のライフスタイルに合わせ、自分のペースで勉強できる!不登校じゃない!
- 学びたいことが学べる
- 先生や周りがいじめ、発達障害、不登校などに理解があるから
- 時間に余裕があり、自分のペースで勉強できる
- 一人ひとりのサポートが手厚い
自分のライフスタイルに合わせ、自分のペースで勉強できる!不登校じゃない!
スポーツや芸能活動に専念するため、通信制高校を選択する人も増えてきています。
理由は、通信制高校は登校日数が週に2回~年に数回と少ないため、高卒資格を目指しつつ、夢を叶えるための練習やレッスンが可能なのです。
また、学校によっては、スポーツ、芸能、eスポーツなど生徒の夢や目標を叶えるコースを設置しているところもあります。プロになる夢の練習をしつつ、「同じ志を持つ友人と出会える機会」も増えるでしょう。
学びたいことが学べる
通信制高校では、勉強以外のことの専門的な知識と技術を学べるチャンスも少なくありません。
スポーツや芸能活動だけではなく、漫画、アニメ、イラスト、声優といった若者に人気の講座もあります。
また、「美容、ネイルなどの資格を在学中に所得できるコース」もあり、「手に職を付けたい」という生徒に人気です。
また、起業プロジェクトなど社会にもなる授業を実施している通信制高校もあるなど、今のこの多様性の時代にマッチしているからこそ生徒数が増加しているのでしょう。
自宅学習を基本とする通信制高校に対して、社会とのつながりを失ってしまうのではないかと不安に思う人もいるでしょう。
しかし、通信制高校だからこそ可能な先進国な取り組みも多く、全日制高校ではできない体験をすることも期待できるのです。
先生や周りがいじめ、発達障害、不登校などに理解があるから
通信制高校では、先生や周りがいじめや発達障害に対して、全日制の高校よりも理解があります。
そういう生徒が多い傾向にあるので、「先生も生徒も配慮をしてくれる環境」にあります。
サポートしてくれる環境はあるので、自信をもって生活しましょう。
時間に余裕があり、自分のペースで勉強できる
通信制高校に通う大きなメリットは、「自分のペースで学習を進められる」ことです。
全日制高校の場合だとクラス全員同じペースで、決められた時間割の通りに学習していくことになりますが、通信制高校の場合は周囲の生徒のペースを気にせずに集中できる環境が整っています。
もちろん、通信制高校でもスクーリングと呼ばれる登校日や、レポートという提出物がありますが、それらに取り組む以外の時間は自分のライフスタイルに合わせることが可能です。
自宅などのリラックスできる環境の中で、ストレスに悩まされずに学習を進められます。
一人ひとりのサポートが手厚い
全日制高校では15歳~18歳までが生徒のほとんどを占めますが、通信制高校は15歳~80歳代まで、幅広い年齢層が共に学んでいます。
また、いじめや不登校を経験していたり、病気・障害などがあったりして全日制高校への登校が難しい場合も、通信制高校であれば個別に各種サポートを用意している学校が多いため、自宅などの無理のない環境で、「高校卒業資格を取得」することが可能です。
全日制・定時制との違いについて詳しく知りたい方は 「通信制高校も選択肢として考えたい!全日制・定時制との違いとその魅力とは」を参考にしてみてください!
通信制高校の入学・転入・編入の条件
通信制高校は、学び直しをしたい人や自分に合った学習スタイルを求める人に幅広く門戸を開いています。
年齢や背景を問わず、多様な生徒が安心して学べる環境を提供しているのが特徴です。
入学・転入・編入の各条件を理解することで、自分に最適な進路を見つける第一歩を踏み出しましょう。
通信制高校の入学の条件
通信制高校は、年齢に制限がないため、中学校を卒業していれば15歳から高齢の方まで誰でも入学が可能です。
一部の学校では、70歳を超える生徒も在籍しており、幅広い年齢層が学んでいます。
ただし、実際に在籍している生徒の多くは10代から20代で、平均年齢は19歳前後です。
また、学校ごとに生徒を募集する範囲が異なるため、例えば大阪府内のみで募集している学校もあります。
一方、全国から生徒を受け入れる広域通信制高校もあるため、近隣に希望の学校が見つからない場合でも選択肢は広がります。
気になる学校があれば、まず入学相談窓口に問い合わせて確認することが大切です。
通信制高校の入学手続きとは?手続きの方法と注意点通信制高校の転入・編入の条件
現在、全日制高校や他の通信制高校に在籍している人が転校を希望する場合、通信制高校への「転入」という形になります。
転入では現在の学校で取得済みの単位を引き継ぐことができるため、学び直しに要する時間を短縮できる点がメリットです。
一方、既に高校を退学している場合は「編入」の扱いとなり、前の学校で取得した単位が引き継がれます。
ただし、1年生の途中で退学し、単位を取得していない場合は新入学扱いになる点に注意が必要です。
編入時には面接が行われることが多いですが、これは生徒の背景や目標を理解するためのもので、難しい試験ではありません。
また、高校卒業資格を既に持つ人は、特定の科目だけを履修できる「科目履修生」として通学できます。
転入・編入を検討している場合は、単位の引き継ぎや条件について事前に学校へ相談することをおすすめします。
通信制高校とサポート校の違い
通信制高校とサポート校の違いについて紹介します。
通信制高校とサポート校の現状
通信制高校とサポート高校の現状の違いについて紹介します。
通信制高校の場合
通信制高校は学校教育法という法律により「高等学校」と定められています。
そのため、レポート、スクーリング、テストなど一定の条件を満たせば高校卒業資格を取得することができます。
サポート校の場合
通信制サポート校は学校教育法で「高等学校」と定められているわけではありません。
そのため通信制サポート校に単独で勉強したとしても、高校卒業資格を取得することはできません。
通信制高校とサポート校の学費
通信制高校とサポート校の学費の違いについて紹介します。
通信制高校の場合
通信制高校は公立と私立に分かれており、公立においては学費が1単位200円~、私立の通学タイプでは、1単位5000円~必要となっていますが、世帯収入によっては1単位4,812円が国から支給されるため、「経済的負担は少ない」でしょう。
サポート校の場合
通信制サポート校を利用する場合、通信制高校の学費にプラスしてサポート校の費用も必要となります。
「費用がかかる」のが迷いどころであるサポート校の利用ですが、何年も通信制高校に通って貴重な時間を無駄にしたり、挫折することで自信を失ってしまったりするのであれば、通信制高校への入学後からでもサポート校を利用し、必要な支援を受けながら高校卒業資格取得を目指すこともひとつの手なのではないでしょうか。
通信制高校の入学方法や時期について詳しく知りたい方は 「通信制高校はいつでも入れるの?入学時期と方法についてご紹介!」を参考にしてみてください!
通信制高校に行くのが不安の方へ
皆さんは、通信制高校にどんなイメージを持っていますか。
勉強が苦手な人、不登校の人など、「全日制高校に行けない人が行くところ」というネガティブなイメージが少なからずあるのではないでしょうか。
このような先入観のせいで「通信制高校を卒業することが就職に響くのではないか」という不安を持っている人も少なくないでしょう。
しかし、近年では多様な人材を採用したいと考える企業が増えており、全日制や通信制という分類ではなく、「学校でどんな経験や努力をしてきたか」「どんな意欲を持っているか」といった「本人の個性や人柄、将来のビジョン」などが重視される傾向にあります。
通った高校で、将来に向けて努力すればいくらでも成長できます。