不登校を担任に理解されない時の対処法!何もしてくれない?担任の気持ち・親ができることを解説 更新時間 2025.12.05
不登校が続くと、担任との関わり方や学校への伝え方に迷う場面が増えます。
担任が状況を十分に理解していないように感じると、家庭だけで対応するのは負担になりやすいです。
文部科学省では教育機会確保法に基づき、不登校の子どもに対して学校が行うべき支援や配慮の方向性・必要な連携方法などを明確に示しています。
本記事では、不登校について担任と適切に連携する方法や正しい伝え方を詳しく解説します。
また、担任との適切なコミュニケーション方法や、不登校に対する担任の気持ちをあわせて解説します。
「担任が理解してくれない」「何もしてくれない」と悩んでいる方は必見です。
不登校を担任が理解してくれないときの対処法
文部科学省の調査では、不登校のきっかけに関して子どもと担任の認識にズレがあることが分かっています。(参照:文部科学省調べ)
実際、子どもの状況や不登校について、「担任が正しく理解してくれていない」「何もしてくれない」など悩む保護者は少なくありません。
また、担任の認識がズレたままだと家庭での負担が増え、子どもの状況把握が難しくなる恐れもあります。
ここでは、不登校の子供の親ができる担任や学校側への対処法を詳しく解説します。
子どものサポートを円滑に進める参考にしてください。
【不登校を担任が理解してくれないときの対処法】
- 担任と認識をすり合わせる
- 学校に対応して欲しい支援を明確にする
- 担任以外の教師・専門家に相談する
- 担任・学校とのやり取りを記録する
不登校になる原因ランキング10選│原因がわからないときの対処法を解説!
担任と認識をすり合わせる
認識にズレがあると、保護者と担任の意思疎通が難しくなり、子どもに適切なサポートができません。
学校と家庭が「不登校を問題行動と捉えない」という共通理解を持つことは、不登校支援の基本です。
教育機会確保法でも、「不登校は問題行動ではない」と明言されています。(参照:文部科学省より)
担任と認識をすり合わせる際のポイントは以下の通りです。
- 子どもの現在の様子
- 家庭で把握している心身の負荷
- 現状で困っていること・解決したいこと
- 負担が少ない関わり方
- 避けたい対応(登校を過剰に促す、など)
すり合わせの主な目的は、「子どもの状況に合わせた支援方針を共有すること」です。
そのため、責任の所在を追及するのではなく、家庭と学校が協力できる範囲を明確にしましょう。
担任に状況を正しく理解してもらい、適切な支援を受けることで家庭での負担を軽減できます。
学校に対応して欲しい支援を明確にする
担任には、子どもの状況に応じて、以下を例に必要な支援を明確に伝えましょう。
- 連絡頻度・方法の希望
- プリントなど教材の受け取り方法
- 面談や家庭訪問の可否
- 子どもが落ち着いて取り組める環境づくり
「何を支援してもらうべきか分からない…」という保護者は、自治体の「学校への依頼文」を活用することをおすすめします。
参照:長野県「学校とのやりとりに関する依頼文フォーマットの使い方」
一方で、して欲しくない支援について伝えることも大切です。
例えば、登校を頻繁に促すなどの行為は子どもにとってプレッシャーになり、さらに学校に行きづらくなる場合があるため、控えるように伝えておきましょう。
担任以外の教師・専門家に相談する
担任が一人で支えるのではなく、学校が「チーム」として関わることも重要です。
担任との調整が難しい場合でも、他の教職員(学年主任・教頭・校長など)に相談する機会を設けましょう。
また、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーなど、専門家に相談するのも選択肢の1つです。
専門家は子どもの状況の整理や、担任との連携方法を調整する役割を持っています。
なお相談する際は、冷静に事実ベースで伝えること、言葉遣いに配慮することが大切です。
担任・学校とのやり取りを記録する
担任や学校とのやり取りは、以下のシーンで役立つためエビデンスとして記録しておくことをおすすめします。
- 話し合いの内容や改善点を振り返りやすくなる
- 連絡漏れ・誤解を防ぐ
- 学校との協力体制が安定しやすくなる
- 支援が適切に行われているか客観的に確認できる
メールやメッセージアプリの内容はもちろん、口頭での話し合いでの内容も文章化しておくと良いです。
不登校を担任に伝える時のポイント【例文付き】
不登校を学校へ伝える際のポイントと、支援の方向性を共有するための伝え方を詳しく解説します。
【不登校を担任に伝える時のポイント】
- 初回連絡で伝えるべきポイント5つ
- 担任との会話で避けるべきNGワード
初回連絡で伝えるべきポイント5つ
初めて不登校を担任に伝える場合、伝える内容がその後の支援方針を決める可能性があるため非常に重要です。
以下5点を事前に整理し、担任に伝えることで学校側の個別支援計画の作成がスムーズになります。
- 子どもの現在の状況(心身のストレス・生活リズムなど)
- 分かる範囲での不登校に至った経緯
- 子どもが負担なく取り組める範囲
- 避けたい対応(登校を促す・頻繁な連絡など)
- 必要な支援(連絡方法・プリント対応など)
学校は「個に応じた支援策」を作成する役割があるため、内容を具体的に伝えるようにしましょう。
【例文】状況別の伝え方
ここでは、担任への伝え方の例文を状況別にまとめました。
■状況①:体調面の負荷が大きく、登校が難しい場合
いつもご対応いただきありがとうございます。
現在、子どもは起床・食事など日常生活の動作に負荷があり、登校に必要な体力が十分ではありません。
当面は無理に登校促すようなことは避けていただき、連絡方法はメールでお願いできれば助かります。
プリントは週1回、職員室で受け取りたいと考えています。
■状況②:学校への不安が強く、精神的な負担が大きい場合
現在、学校に関する話題に不安が強く出ているため、家庭で状況を慎重に観察しています。
本人が落ち着いてから支援方針を検討したいため、しばらくは家庭での静養を優先したいと考えています。
家庭訪問や登校の働きかけについては控えていただけると助かります。
■状況③:状況整理のため、第三者との連携も検討したい場合
現在、状況の把握と支援の方向性を整理するため、スクールカウンセラーとの相談も含めて検討しています。
可能であれば、担任の先生・スクールカウンセラー・保護者で簡単に情報を共有する機会をいただければと思います。
連絡はメールにていただけると確認しやすいです。
担任との会話で避けるべきNGワード
不登校支援では、学校と家庭の協力関係を維持することが重要です。
そのため、担任との会話では誤解を生みやすい言い回しを避け、事実と目的に基づいたコミュニケーションを取ることを推奨します。
以下に、担任との会話で避けるべきNGワードをまとめましたので、参考にしてください。
| NGワード | 具体例 |
|---|---|
| 責任の所在を追及する言葉 | ・なぜ対応してくれなかったのですか ・〇〇が原因ですよね |
| 登校を強制するような言葉 | ・とにかく学校に来させてください ・説得してもらえませんか |
| 感情的・断定的な否定表現 | ・全く何もしていない ・間違っています |
| 相手の意図を決めつける言葉 | ・子どものことを理解していない ・ちゃんと見ていませんよね |
| 過度に比較する言葉 | ・ほかの子にはこうしているのに ・別の先生はもっと対応しています |
協力的な連携を継続するため、上記のようなNGワードを避けて担任と会話するようにしましょう。
不登校の親と担任が上手くコミュニケーションを取る方法
子どもが不登校の時、担任と適切な距離でコミュニケーションを取る方法を解説します。
コミュニケーションが円滑に進んでいると、保護者が過度な負担を抱えずに、担任と上手く連携して子どもをサポートできます。
【不登校の親と担任が上手くコミュニケーションを取る方法】
- 定期的に情報共有する
- 目的・要望を明確に伝える
- 言葉遣いに配慮する
- 冷静に対話する
不登校あるある15選!不登校の方にしてはいけないNG行動あるあるも紹介!
定期的に情報共有する
学校と家庭が継続して状況を共有することはとても大切です。
不登校の状態は日々変化するため、学校側は繰り返しアセスメント(見立て)を行い、必要に応じて支援計画を見直す必要があります。
保護者との情報共有があることで、学校内での理解が進み、支援の方向性も整えやすくなります。
家庭で把握している子どもの生活リズムや体調、気持ちの変化を共有してください。
保護者が無理のない範囲で共有することで、学校と家庭の支援が短期間で結びつきやすくなります。
メール・面談・家庭訪問など、どの形式で連絡を取り合うか事前に取り決めておくとスムーズです。
目的・要望を明確に伝える
担任や学校と連携する時は、支援の目的を明確にしたうえで要望を伝えることが効果的です。
保護者が具体的な依頼事項を提示することで、より良い支援環境が整います。
自治体が提供する「学校への依頼文」を参考に伝えると、学校側も理解しやすいです。(参照:長野県公式HPより)
また、学校側に要望等を伝える際は、子どもの意思を反映するように配慮しましょう。
言葉遣いに配慮する
担任と話し合いをする際は、言葉遣いに最大限の配慮をしましょう。
保護者が訴えたい内容が十分に理解できる場合であっても、強い言い回しや感情的な表現は、学校との協力関係を弱める要因になります。
教育機会確保法で「不登校は問題行動ではない」と明言されているのは、学校と保護者の間で不要な責任追及が起こり、連携が停滞することを避けるためです。
学校と保護者が丁寧なコミュニケーションを心がけることで、子どもに過度なプレッシャーがかかりにくい環境を保ちやすくなります。
冷静に対話する
担任との話し合いの場では、冷静に状況を整理しながら対話することが推奨されています。
教育委員会の支援を受ける場合でも、保護者が事実ベースで状況を伝えることが重要視される傾向にあります。
子どもの話と学校側の見立てが一致しないケースもあるため、複数の視点から状況を確認することが望ましいです。
また、責任の所在を追及するやり取りは協力関係の低下につながるため、「どのように連携すれば子どもの負担が軽くなるか」という目的を共有した上で対話を進めることが重要です。
感情的な言動を避けること、事実ベースで冷静に対話することを念頭に、担任とコミュニケーションを取りましょう。
不登校に担任が何もしてくれないと感じる理由【担任の気持ち】
不登校の支援では、保護者と学校が十分な連携を保てていない場合に、「担任が何もしていない」と感じる傾向にあります。
実際には、学校側の方針や組織体制、担任の勤務状況など、複数の要因が重なって見えにくい支援になっていることが原因として挙げられます。
以下では、担任の対応が見えづらくなる主な背景を解説します。
【不登校に担任が何もしてくれないと感じる理由【担任の気持ち】】
- 生徒を見守る方針を取っている
- 多忙で対応する時間や余裕がない
- 担任だけでは解決できない
不登校を克服するきっかけとは?親や周囲の人にできることを紹介
生徒を見守る方針を取っている
文部科学省は、不登校への支援方針として「登校のみを目標にしない」「休養が必要な場合は無理に刺激しない」という考え方を示しています。
登校を促すことが子どものストレスを強め、状態を悪化させる可能性があると考えられているためです。
そのため、担任・学校側が子どもの負荷を考慮して以下のような「意図的な配慮」をしている可能性があります。
- 電話連絡を控える
- 家庭訪問を行わない
- 登校を促さない
しかし、保護者側の視点では「何もしていない」と受け取られやすくなります。
また、不登校は短期的な再登校だけでなく、将来的な自立につながる支援が重視されています。
そのため、担任が「状況を悪化させない関わり」を優先しているケースもあり、結果的に保護者には支援の不足として映ることがあります。
多忙で対応する時間や余裕がない
ニュースなどで教員の多忙さは何度も取り上げられていますが、授業・生活指導・学校における役割分担などを同時に担当する担任は、個別対応の時間を十分に確保できない場合があります。
例えば、1クラスに30人以上の児童生徒が在籍する状況では、担任が一人ひとりに十分な時間や関わりを確保することが非常に困難です。
実際、ある調査では80%以上の教職員が不登校対応に悩んでいることが分かっています。(参照:宮城県総合教育センターより)
また、担任自身の不登校への理解不足や学校側の支援方法のばらつきなどから支援が遅れ、結果として保護者の期待する支援が見えづらくなることがあります。
また、保護者や子どもが求める以上の働きかけが逆効果になるケースもあり、担任側も「どの程度の距離感を保つべきか」を調整しきれずに動けなくなる場合もあります。
担任だけでは解決できない
不登校の要因は多様であり、担任一人がすべてを対応することは制度的にも想定されていません。
学校は本来、校長のリーダーシップのもとで、担任・養護教諭・学年主任・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーが連携する「チーム体制」で支援を行う仕組みです。
しかし、情報共有の不足・学校側の意思決定の分散・アセスメントや支援計画の不十分さ、担任が対応を抱え込む状況などにより、支援が機能しにくくなることがあります。
結果、学校側が動いていても保護者には見えにくい場合が。
また、文部科学省は「登校のみを成果としない」方針を示しており、必要に応じて刺激を控えることも支援に含まれます。
この方針が十分に共有されていないと、学校の判断と保護者の期待に差が生じ、「何もしていない」と感じられることがあるのです。
不登校と担任の関係に関してよくある質問
不登校中の担任とのやり取りや距離の取り方について、よくある質問に回答しました。
【不登校と担任の関係に関してよくある質問】
- 不登校中の担任の家庭訪問は断れる?
- 不登校中に担任に連絡しない期間を作っても良い?
- 不登校の子どもがいると担任にペナルティはある?
- 不登校の子どもに担任がしつこい場合はどうすれば良い?
不登校で支援を受けるメリット!再び登校できるようになります!
不登校中の担任の家庭訪問は断れる?
家庭訪問は義務ではなく、保護者の負担が大きい場合に断ることができます。
代わりに、メール等でのやり取りを提案しても問題ありません。
学校側も、状況把握ができれば訪問以外の方法で対応できます。
不登校中に担任に連絡しない期間を作っても良い?
子どもの負担軽減のためであれば、一定期間担任との連絡を控えることは可能です。
ただし、学校には支援継続の義務があるため、事前に「必要最低限の連絡方法」だけ共有しておくと支援が滞りません。
メール連絡のみにするなど調整しましょう。
不登校の子どもがいると担任にペナルティはある?
不登校は担任の責任とみなさないことが文部科学省の原則であり、ペナルティ制度はありません。
担任は状況把握や校内連携を担う立場ですが、不登校という結果自体が評価対象になることは基本的にないです。
不登校支援は学校全体の役割として位置づけられています。
不登校の子どもに担任がしつこい場合はどうすれば良い?
子どもの負担になる働きかけは避けることが推奨されているため、事実ベースで「避けたい対応」と「代替案」を伝えることを推奨します。
また、担任以外の窓口(養護教諭・学年主任・管理職)やスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーにも相談できます。
担任に伝える際は、冷静に申し出るようにしましょう。
適切な距離感で不登校について担任と連携しよう!
不登校支援は、家庭と学校が同じ方向性を共有し、子どもの負担を最小限に抑えながら連携することが重要です。
担任との認識調整、必要な支援内容の明確化、専門職との連携、適切なコミュニケーション方法の活用によって、子どものための支援体制を整えましょう。
担任とは無理のない距離感を保ちつつ、子どもの状況に合った方法で連携を続けていくことが、安定した支援につながります。



