司法試験に挑戦するにあたって、「もしも落ちたらどしたら良い…?」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。
司法試験は合格率が約40%の難関国家資格試験です。
さらに受験回数には制限があり、何度でも気軽に受けられる試験ではありません。
この記事では、司法試験に落ちたらどうすべきかの対処法や、落ちた後の一般的な進路を紹介します。
司法試験に落ちた場合の内定への影響や、落ちる人の特徴もあわせて解説します。
ぜひ最後まで読んでください。
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司法試験に落ちたらどうなる?受験は5回まで?
司法試験に落ちたとしても、翌年の司法試験にチャレンジ可能です。
「司法試験に落ちる=失敗」ではありませんので、諦めずに次回の試験に向けて学習計画を立て直しましょう。
ただし、司法試験の受験資格の有効期間は、法科大学院ルートまたは予備試験ルートで取得してから5年間です。
司法試験の実施は年1回のみなので、受験資格取得後に司法試験を受けられるのは実質5回までになります。
ただし、5回とも司法試験に落ちた場合、受験資格を失います。
その場合、その後の進路をどうするかは非常に重要な決断です。
司法試験に5回落ちたら再度の受験を考える一方で、就職や転職を選ぶ人もいます。
また、法曹にこだわらず、他の士業への転向を検討する人も少なくありません。
司法試験に落ちたとしても、その経験は無駄にはならず、次のステップに進むための貴重な教訓となります。
まずは落ち着いて自分に最適な進路を考え、行動に移すことが大切です。
司法試験に落ちた後の具体的な進路について、後述で詳しく解説しています。
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司法試験に受験回数制限がある理由
司法試験はこれまで、以下のように受験回数制限について法改正をしてきました。
司法試験制度 | 受験回数制限 |
---|---|
旧司法試験制度 平成17年(2005年)まで |
無制限 |
新司法試験制度 平成18年(2006年)~平成26年(2014年) |
5年間に3回まで |
新司法試験制度 平成27年(2015年)以降 |
5年間に5回まで |
旧司法試験制度で平成17年(2005年)まで、受験回数に制限はありませんでした。
しかし過度な受験競争状態を解消する目的等から、新司法試験制度が開始された平成18年(2006年)~平成26年(2014年)は、受験回数が5年間に3回までと法改正されます。
法務省の資料でも以下のように記されています。
受験回数制限制度は,旧司法試験の下での過度の受験競争状態の解消を図るとともに,プロセスとしての法曹養成制度を導入する以上,法科大学院における教育効果が薄れないうちに司法試験を受験させる必要があるとの考え方から導入したものであり,合理的な制度である。
出典:法務省『法曹養成制度検討会議第6回,事務局提出資料』
また、平成27年(2015年)以降は、5年間に5回までに受験回数の上限が上がりました。
ここでは、司法試験の受験制限回数がある理由について解説します。
- 進路変更を促すため
- 「受け控え」対策のため
- 心理的な負担を減らすため
司法試験の受験回数には制限がある?何回まで受けられる?5回落ちたら受験資格喪失?
進路変更を促すため
司法試験に受験回数制限がある主な理由の一つは、受験者に対して早期に進路変更を促すためです。
法律の世界では、司法試験に合格できなかった場合でも、他のキャリアパスは数多く存在します。
しかし、受験者が無制限に試験に挑戦し続けることで、他の可能性を追求する機会を失うリスクがあります。
年齢を重ねるごとに、就職・転職など新たなキャリアを築く際にハードルを感じる人もいるでしょう。
受験回数制限を設けることで、受験者は一定の期間内に合格を目指すことになり、それが叶わなかった場合には、法曹以外の分野でのキャリアを真剣に考えられます。
より現実的な選択を行うことで、自分の適性や状況に応じた最適なキャリアパスを見つけるきっかけになるのです。
予備試験・司法試験に年齢制限は無い?合格者の平均年齢や最年長・最年少は?
「受け控え」対策のため
司法試験の受験回数が3回から5回に法改正された理由の一つは、「受け控え」対策です。
「受け控え」とは、受験者が試験の難易度や自分の準備状況を見て、次回の試験に挑戦せずにあえて回避することを指します。
法科大学院卒業後、すぐに受験せず、勉強時間を長く取って「受け控え」する受験生が多かったため、受験回数制限が3回から5回に緩和されました。
受験回数が5回に緩和されたのは、受験者の心理的負担を減らすことで「法曹離れ」を抑制することも狙いの一つです。
心理的な負担を減らすため
受験制限回数を5年間に5回とすることで、受験者は一定の期間内に結果を出すことを求められると同時に「この回数内でベストを尽くす」という明確な目標が設定されます。
無制限に受験し続けることによる漠然とした不安感や、少ない回数で合格しなければならないというプレッシャーが軽減されるでしょう。
司法試験に落ちたとしても「5回のチャンスを全て使った」という事実は受け入れやすく、次のキャリアステップへと進む心理的な準備を整えやすいという側面もあります。
司法試験に落ちた後の進路
司法試験に合格できなかった場合、その後の進路について考えることが必要です。
具体的な進路や選択肢には、以下が挙げられます。
- 司法試験を再受験する
- アルバイト・パートで働く
- フリーランスとして働く
- 民間企業に就職・転職する
- 公務員として就職・転職する
- 他士業への転向を検討する
自分に最適な進路を見つけるため慎重に検討し、決断したら行動に移しましょう。
司法試験を再受験する
司法試験に5回落ちても、法科大学院ルートまたは予備試験ルートから受験資格を再度取得できます。
ただし、司法試験に再挑戦する場合、まずは前回の試験の結果をしっかりと振り返り、何が原因で失敗したのかを分析し、徹底対策することが重要です。
また、合格に必要な勉強時間を確保するためには、仕事やプライベートの時間を調整し、優先順位を再設定することが求められます。
専業で勉強するのか、アルバイト等をしながら兼業で再受験に受けて勉強するのか、自分の年齢・ライフスタイル・経済状況などを考慮して決断しましょう。
40代で司法試験に挑戦できる?合格者数・勉強のポイントを解説
アルバイト・パートで働く
アルバイトやパートで働く選択肢は、兼業で再受験を目指す場合、時間的に柔軟であり、勉強との両立がしやすい点が特徴です。
比較的自由な働き方ができるため、ライフスタイルにも合わせやすいです。
また、収入を得ながら経験を積むこともできるため、キャリアの選択肢が広がります。
例えば、法律事務所のアシスタントや、法務関連のデータ入力などの仕事を選べば、実務経験を積むことも可能です。
ただし司法試験に5回落ちた後も、アルバイトやパートを続けながら司法試験を目指すかどうかは慎重に検討しましょう。
フリーランスとして働く
フリーランスの場合も自分のペースで仕事を進められるため、勉強時間を確保しやすく、兼業で再受験を目指す人におすすめです。
特に、法律関連のWebライターなど、自身の知識を活かせる分野で活躍できるでしょう。
働く時間や場所を自由に選べるので、勉強や他の活動とのバランスを取りやすい点も大きなメリットです。
司法試験に落ちて進路変更を検討する際も、クライアントからの信頼を得て、安定して働けていれば生活基盤を整えやすいでしょう。
しかし、収入が不安定になるリスクがあるため、リスク管理や自己管理能力が求められます。
民間企業に就職・転職する
司法試験に落ちた後、法曹の道を断念して就職や転職を考えることも一つの選択肢です。
法律知識を活かして民間企業に就職・転職することは、安定した収入とキャリアを築くための有力な選択肢です。
特に、企業の法務部門やコンプライアンス関連の職種は、法律に精通した人材が求められており、司法試験で得た知識が大いに役立ちます。
契約書の作成・レビュー、法的リスクの管理、コンプライアンス教育の推進など、具体的な業務を通じて法律の専門知識を実践的に活用できます。
企業内でのキャリアパスが広がるため、将来的にはマネジメント職や専門分野でのスペシャリストとしての道も期待できるでしょう。
また、法務部に限らず金融系やIT系など選択肢は様々です。
ただし、基本的にフルタイムでの勤務となるため、再受験を希望する場合、勉強時間の確保が難しくなる可能性があります。
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公務員として就職・転職する
公務員として就職・転職する進路も魅力的です。
裁判所事務官や法制局職員、地方自治体や国の行政機関で法務担当者など、公務員の仕事は、法律の適用や解釈を日常的に行う業務が多く、司法試験で培った知識が直接的に役立ちます。
さらに、公務員としてのキャリアは、安定した収入と福利厚生が保証されており、長期的なキャリア形成に有利です。
ただし勤務時間が固定されているため、再受験や他の資格取得を目指す場合には、勉強が難しい可能性があります。
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他士業への転向を検討する
司法試験に落ちた後、他の法律関連資格を目指すというのも選択肢の一つです。
以下のような資格は、司法試験で得た知識を活かしながら、新たなキャリアを築くためのステップとなります。
- 司法書士
- 行政書士
- 弁理士
- 社会保険労務士
- 公認会計士
他の士業の資格取得には新たな勉強が必要ですが、既に法律を学んできた経験があるため、比較的スムーズに学習を進めることができるでしょう。
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司法試験に落ちたら内定に影響する?
結論、司法試験に落ちたことが、内定に大きく影響するということは基本的にありません。
一般的に、司法試験に挑戦したこと自体が高く評価されることが多く、その結果として合格・不合格に関わらず、積極的な姿勢や努力を評価する企業がほとんどです。
特に法律関連の職種や企業法務など、試験の過程で培った知識やスキルが直接活かせる分野では、試験に落ちたことが大きな障害になることは少ないでしょう。
ただし、司法試験の受験によって職歴に空白期間がある人は、面接で問われた際に的確に説明する必要があります。
試験に向けて努力した経験や、厳しい環境で学んだ自己管理能力、問題解決力などをアピールしましょう。
なお、「司法試験に合格すること」を前提に内定を受けていた場合、司法試験に落ちたら内定を取り消されるのが一般的です。
しかし中には、内定を取り消さず翌年の司法試験まで雇ってもらえるケースもあります。
万一の事態に備えるためにも、内定先とは日頃からこまめに連絡を取り、良好な関係を築いておくことが重要です。
司法試験に落ちる人の特徴
司法試験に落ちる人の特徴として、以下が挙げられます。
- 勉強時間・知識量が不足している
- 学習計画・勉強方法が合っていない
- モチベーションが低い
- プレッシャーに弱い
勉強時間・知識量が不足している
司法試験に落ちる人の特徴の一つが、勉強時間・知識量が不足している点です。
合格するためには、十分な勉強時間を確保し、知識を深めることが欠かせません。
司法試験に必要な勉強時間の目安は、5,000~8,000時間と言われます。
計画的な学習スケジュールを立て、進捗管理を徹底しましょう。
生活習慣を見直し、効率的な学習環境を整えることも重要です。
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学習計画・勉強方法が合っていない
司法試験に落ちる原因の一つは、学習計画や勉強方法が自分に合っていない点にもあります。
無計画に勉強を進めると、理解が浅くなり重要なポイントを押さえられないまま試験に臨むことになりかねません。
自分の弱点を把握し、それに合わせた計画を立てることが必要です。
効率的な勉強法として、過去問・問題演習や模試を積極的に活用し、出題傾向に慣れることが大切です。
勉強の質を高めるために定期的に勉強方法を見直し、自分に最適な方法で学びましょう。
予備校や通信講座に通い、最適化されたカリキュラムで効率よく学ぶのも選択肢の一つです。
司法試験の勉強法を紹介!科目別に最短マスターの方法と学習スケジュールを解説
モチベーションが低い
司法試験は長期間にわたる努力が必要であり、モチベーションの維持が合格の鍵となります。
モチベーションが低いと勉強時間の確保がおろそかになり、試験に落ちる可能性が高まります。
明確な目標を設定し、それに向けて努力する意義を見出すことが大切です。
また、勉強の中に楽しさや達成感を見つける工夫をすることで、モチベーションを維持できます。
短期的な目標を設定し、達成するたびに自分を褒めることや、勉強仲間との切磋琢磨も効果的です。
司法試験に挫折しそう…モチベを上げて前向きに勉強し続けるコツとは?
プレッシャーに弱い
司法試験は高いプレッシャーがかかる試験であり、そのプレッシャーに打ち勝つメンタルの強さが求められます。
プレッシャーに弱いと試験本番で実力を発揮できず、結果として試験に落ちる原因となります。
プレッシャーに打ち勝つためには、メンタルトレーニングやストレス対処法を身につけることが重要です。
模試や過去問演習を繰り返し行い、本番の試験と同じ環境に慣れることや、リラックスするためのテクニックを習得することも効果的です。
司法試験の過去問を活用した勉強法とは?合格のための過去問の使い方を徹底解説
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司法試験に5回落ち後に予備試験ルートを挑戦する場合でも、合格特典があるからモチベーションを維持できるでしょう。
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司法試験に落ちても進路の選択肢は幅広い
司法試験に落ちても再受験できます。
ただし、受験資格取得から5年間に5回までと受験回数制限がある点に注意が必要です。
司法試験に落ちた後の、主な進路として以下が挙げられます。
- 専業で再受験する
- 兼業で再受験する
- 民間企業や公務員に就職・転職する
- 他士業へ転向する
司法試験に落ちても選べる進路は様々です。
「司法試験に絶対に合格する!」という意気込みを重要ですが、試験に落ちた際の進路を事前に考えておくと良いでしょう。
万一試験に落ちた場合、再受験するのか、進路変更するのかなどを早期に決断できます。