司法試験は口述(面接)試験がありませんが、予備試験では口述(面接)試験が実施されます。
この記事では、予備試験の口述(面接)試験に関する詳細や、問題テーマの傾向をまとめて紹介します。
合格のポイントや、注意点もあわせて解説するので、ぜひ最後まで読んでください。
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司法試験の口述(面接)試験は廃止になった
司法試験の口述試験とは面接形式の試験のことです。
ただし、司法試験における口述試験は、旧司法試験の完全廃止に伴い、現在は行われていません。
そのため、現在の新司法試験は短答式試験と論文式試験のみで、口述試験がないです。
しかし、司法試験の受験資格取得ルートの一つである予備試験では、依然として口述試験が存在しています。
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予備試験の口述試験とは面接形式の試験のこと
予備試験の口述試験は、短答式試験・論文式試験に続く最終的な試験であり、面接形式で行われるのが一般的です。
予備試験の口述試験では、受験生は法律に関する質問に対して、口頭で回答することが求められます。
出題範囲は以下の通りです。
- 法律実務基礎科目(民事)
- 法律実務基礎科目(刑事)
まず、面接官が事例を読み上げます。
その後、問いかけられたことに対して、受験者は回答します。
受験生の法律知識だけでなく、論理的思考力やコミュニケーション能力、さらには瞬時の対応力も試される試験です。
面接官は、受験生が法律の知識を正確に理解し、実務でどのように適用できるかを評価します。
面接形式であるため、事前の準備が合否を左右する重要な要素です。
口述試験の再現例を収集し、様々なパターンに備えましょう。
ここでは、予備試験の口述試験に関する基本情報を紹介します。
- 日程
- 受験資格
- 試験時間
- 試験科目
- 合格率
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日程
令和6年(2024年)の予備試験の日程は以下の通りです。
令和6年 (2024年) |
試験日 | 合格発表 |
---|---|---|
短答式試験 | 7月14日(日) | 8月1日(木)17時ごろ |
論文式試験 | 9月7日(土)、8日(日) | 12月19日(木)16時ごろ |
口述試験 | 令和7年1月25日(土)、26日(日) | 令和7年2月6日(木)16時ごろ |
口述試験の実施は、翌1月下旬に実施されるのが一般的です。
令和6年(2024年)の口述試験の試験日は、令和7年1月25日(土)、26日(日)の2日間です。
合格発表は令和7年2月6日(木)16時ごろ、法務省の公式サイトで行われます。
論文式試験の実施日から3カ月程度、合格発表日からは1カ月程度の猶予があります。
口述試験対策を計画的に実施しましょう。
受験資格
口述試験の合格資格は、以下両方の試験に合格することで得られます。
- 予備試験の短答式試験
- 予備試験の論文式試験
予備試験の試験は3段階形式になっており、面接試験である口述試験は最終試験にあたります。
段階的にそれぞれの試験に合格できるよう、学習計画を立てると効果的です。
試験時間
令和6年(2024年)の予備試験の試験は、午前の部・午後の部に分かれています。
試験時間は15~20分程度が目安です。
午前の部の集合時間は8:30、午後の部の集合時間は12:20。
なお、受験生が口述試験を実施する時間は当日になるまで不明です。
待機時間が長くなることも想定して、万全を期して試験に臨みましょう。
試験科目
口述試験の科目は、法律実務基礎科目(民事・刑事)です。
合格点は例年、119点以上です。
また、採点は以下のように行われます。
法律実務基礎科目の民事及び刑事の採点は次の方針により行い,両者の間に不均衡の生じないよう配慮する。
(1) その成績が一応の水準超えていると認められる者に対しては,その成績に応じ,
63点から61点までの各点
(2) その成績が一応の水準に達していると認められる者に対しては,60点(基準点)
(3) その成績が一応の水準に達していないと認められる者に対しては,59点から57点までの各点
(4) その成績が特に不良であると認められる者に対しては,その成績に応じ,56点以下引用元:法務省『司法試験予備試験口述試験の採点及び合否判定の実施方法・基準について』
合格率
予備試験の口述試験の合格率は、過去10年で以下のように推移しています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和5年 (2023年) |
487名 | 479名 | 98.4% |
令和4年 (2022年) |
481名 | 472名 | 98.1% |
令和3年 (2021年) |
476名 | 467名 | 98.1% |
令和2年 (2020年) |
462名 | 442名 | 95.7% |
令和元年 (2019年) |
494名 | 476名 | 96.4% |
平成30年 (2018年) |
456名 | 433名 | 95.0% |
平成29年 (2017年) |
469名 | 444名 | 94.7% |
平成28年 (2016年) |
429名 | 405名 | 94.4% |
平成27年 (2015年) |
427名 | 394名 | 92.3% |
平成26年 (2014年) |
391名 | 356名 | 91.0% |
引用元:法務省『司法試験予備試験の結果について』
予備試験の口述試験の合格率は95%前後です。
しかし過去10年で合格率は上昇傾向にあります。
特に令和3年からは3年連続で合格率が98%を超えています。
論文式試験の合格者のほとんどが口述試験に合格しているというわけです。
予備試験は難関試験で合格率が3~4%程度ですが、論文式試験を通過できたなら自信を持って口述試験に臨むと良いでしょう。
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予備試験の口述(面接)試験の問題のテーマ
ここでは、過去5年の口述試験の問題のテーマをまとめましたので、過去問対策の参考にしてください。
令和5年(2023年)の口述試験の問題のテーマ
【1日目・民事】
所有権に基づく建物退去土地明渡請求訴訟における実体法及び攻撃防御方法に関する諸問題、弁護士倫理上の諸問題
【1日目・刑事】
特殊詐欺事案を踏まえた詐欺罪及び窃盗罪の諸問題(実行行為・共謀等)、逮捕・捜索差押えに関する諸問題
【2日目・民事】
保証債務履行請求訴訟における実体法及び攻撃防御方法に関する諸 問題、弁護士倫理上の諸問題
【2日目・刑事】
殺人罪、自殺幇助罪及び嘱託殺人罪の諸問題(実行行為・故意等)、逮捕・勾留、訴因変更に関する諸問題(公訴事実の同一性等)、弁護士倫理上の諸問題
引用元:法務省『令和5年司法試験予備試験口述試験における問題のテーマについて 』
令和4年(2022年)の口述試験の問題のテーマ
【1日目・民事】
所有権に基づく動産引渡請求訴訟における実体法及び攻撃防御方法 に関する諸問題、証拠、弁護士倫理上の諸問題
【1日目・刑事】
窃盗罪における不法領得の意思に関する諸問題、勾留延長に関する諸問題、証拠決定に関する諸問題、弁護士倫理上の諸問題
【2日目・民事】
所有権又は賃貸借契約の終了に基づく建物収去土地明渡請求事案における実体法及び攻撃防御方法に関する諸問題、弁護士倫理上の諸問題
【2日目・刑事】
私文書偽造罪の諸問題、証拠調べに関する諸問題
引用元:法務省『令和4年司法試験予備試験口述試験における問題のテーマについて 』
令和3年(2021年)の口述試験の問題のテーマ
【1日目・民事】
所有権に基づく動産引渡請求訴訟における実体法及び攻撃防御方法に関する諸問題,書証,弁護士倫理上の諸問題
【1日目・刑事】
窃盗罪等における占有に関する諸問題,公訴提起から第一審冒頭手続までの手続に関する諸問題,弁護士倫理上の諸問題
【2日目・民事】
譲受債権請求訴訟における実体法及び攻撃防御方法に関する諸問題,書証,弁護士倫理上の諸問題
【2日目・刑事】
犯人隠避罪及び証拠偽造罪の諸問題,実況見分調書の証拠能力に関する諸問題
引用元:法務省『令和3年司法試験予備試験口述試験における問題のテーマについて 』
令和2年(2020年)の口述試験の問題のテーマ
【1日目・民事】
時効取得した不動産の所有権移転登記手続請求訴訟における攻撃防御方法に関する諸問題,証拠方法弁護士倫理上の諸問題
【1日目・刑事】
強盗罪,強盗致死及び強盗殺人罪の諸問題,共同審理に関する諸問題弁護士倫理上の諸問題
【2日目・民事】
賃貸借契約の終了に基づく不動産明渡請求訴訟における実体法ない し攻撃防御方法に関する諸問題,書証,弁護士倫理上の諸問題
【2日目・刑事】
公務執行妨害罪の諸問題,薬物事犯における被疑者の留め置きに関する諸問題,逮捕の手続に関する諸問題
引用元:法務省『令和3年司法試験予備試験口述試験における問題のテーマについて 』
令和元年(2019年)の口述試験の問題のテーマ
【1日目・民事】
賃貸借契約の終了等に基づく不動産明渡請求事案における実体法ないし攻撃防御方法に関する諸問題,民事保全,弁護士倫理上の諸問題
【1日目・刑事】
遺棄罪,身分犯と共犯,不作為犯,公判前整理手続,証人尋問
【2日目・民事】
所有権に基づく不動産明渡請求訴訟における攻撃防御方法に関する諸問題,民事保全,立証方法,訴訟手続,弁護士倫理上の諸問題
【2日目・刑事】
同時傷害の特例に関する諸問題(要件,適用範囲等),承継的共同正犯,訴因変更
引用元:法務省『令和元年司法試験予備試験口述試験における問題のテーマについて 』
予備試験の口述(面接)試験に合格するポイント
予備試験の口述試験に合格するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 法律の基礎知識を固める
- 過去問を徹底的に分析する
- 模試で面接形式に慣れておく
- 面接官の問いに答えることに徹底する
- 面接官の誘導に逆らわない
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法律の基礎知識を固める
予備試験の口述試験では、法律の基礎知識がしっかりと身についているかが試されます。
各科目の基本的な概念を理解し、応用できることを示しましょう。
例えば、民法では「契約の成立条件」や「債務不履行の効果」について、具体的な事例をもとに説明できることが重要です。
基礎知識を確実に身につけるため、日々の学習の積み重ねを大切にしましょう。
予備試験の法律実務基礎科目はどう対策する?勉強法や基本書・過去問の活用法
過去問を徹底的に分析する
過去問を徹底的に分析することは、予備試験の口述試験に合格するための重要なステップです。
過去の出題傾向を把握し、頻出テーマや問題の形式を理解することで、試験対策を効率的に進められます。
過去問を繰り返し解いて、どのような質問に対しても適切に回答できる準備を整えましょう。
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模試で面接形式に慣れておく
模擬試験を通じて、実際の面接形式に慣れておくことも重要です。
模試では、緊張感のある環境で自分の考えを論理的に表現する練習ができます。
また、模試後にフィードバックを受けることで、自分の弱点を把握し、改善することができます。
面接形式に慣れることで、本番でもリラックスして、自信を持って臨むことができるでしょう。
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面接官の問いに答えることに徹底する
面接では、面接官の問いかけに対して的確に答えることが求められます。
問いかけに対して正確に答え、余計な情報を追加しないことが重要です。
話が長くなったり、回りくどくなったりしないよう、簡潔を心がけると良いでしょう。
質問が不明確な場合、面接官に確認して正確な回答ができるようにしてください。
また、誠実かつ率直な対応を心がけることで、面接官に好印象を与えることができます。
面接官の誘導に逆らわない
面接官の誘導に逆らわず、指示に従うことも重要なポイントです。
緊張したり焦った場合、面接官が軌道修正を促してくれる場合があります。
面接官が特定の方向に話を導こうとする場合、その意図を汲み取り、その方向に沿った回答を心がけましょう。
自分の主張を無理に押し通そうとせず、柔軟な姿勢を示すことで、面接官に良い印象を与えることができます。
面接官によって対応に違いはありますが、沈黙が続かないように注意し、時には六法を参照して回答してください。
予備試験の口述(面接)試験の注意点
予備試験の口述試験では、以下の点に注意しましょう。
- 服装はカジュアルすぎない
- 緊張しすぎない
服装はカジュアルすぎない
予備試験の口述試験では、第一印象が非常に重要です。
カジュアルすぎる服装は、面接官に対して不真面目な印象を与える可能性があります。
スーツやビジネスカジュアルを選び、清潔感があり、落ち着いた色合いの服装を心がけましょう。
また、髪型や靴などの細部にも気を配り、全体として誠実で真剣な印象を与えることが大切です。
緊張しすぎない
面接で緊張しすぎると、十分なパフォーマンスを発揮できないことがあります。
リラックスするために、深呼吸や軽いストレッチを行うなど、リラックスできる方法を事前に準備しておくと良いでしょう。
また、事前に十分な準備を行い、自信を持って試験に臨むことが、緊張を和らげる最も効果的な方法です。
自分の意見をしっかりと伝えるためには、適度な緊張感を保ちながらもリラックスした状態で臨むことが重要です。
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