通信制高校のメリット・デメリット!通信制高校を徹底解説! 更新時間 2023.11.02
通信制高校は、多様な学び方や学習スタイルの柔軟性が注目されています。
しかし学校選びを後悔しないためにも、通信制高校のメリットはもちろん、デメリットも理解した上で検討したいところです。
そこで今回は、通信制高校の長所と短所をじっくりと掘り下げ、その魅力と課題を解説していきます。
通信制高校のリアルな実情を知ることで、冷静な目で進学先を判断できるようになるでしょう。
通信制高校へ進学する7つのメリット
通信制高校には、進学を検討している皆さまに伝えたい多くのメリットがあります。
この記事では、7つの主なメリットを詳しく解説します。
自宅で学習できる
通信制高校は自宅学習のメリットを最大限に活かした教育形態です。
自分のペースで勉強を進めることができるため、学習効率が向上します。
また自宅で学習することで通学時間が不要となり、その分を勉強や趣味、家族との時間にあてることが可能です。
さらに、自分の好きな場所や時間帯に学習を行うことで、集中力を高めることが期待できます。
自分の生活スタイルや都合に合わせて学びの環境をカスタマイズすることが、通信制高校の大きな魅力といえるでしょう。
通学や人間関係のストレスから解放される
日常の学校生活は、通学や人間関係のストレスがつきものです。
しかし通信制高校ならば、人付き合いのストレスから解放されることが期待できます。
とくに不登校の経験がある生徒や、過去に人間関係でのトラブルを経験してきた生徒にとって、安心して学び直せる場所になるでしょう。
一人ひとりが自らのリズムで学べる通信制高校は、生徒たちの精神的な負担を大いに減少させ、学びの質を高める要因となります。
働きながら高卒資格が取得できる
通信制高校は毎日登校する必要がないため、働きながら学習を進めることが可能です。
経済的な困難や家庭の事情で従来の高校に通学するのが難しい生徒たちにとって、通信制高校で学ぶことは有効な手段になるでしょう。
生徒はアルバイトやフルタイムの仕事を持ちつつ、自分のペースで高卒資格を目指すことができます。
学費を自ら稼ぎながら通学することで、豊かな社会経験を体感でき、自立心も高まるでしょう。
通信制高校は学びと実生活を両立させる生徒たちの強い味方で、将来のキャリアパスを広げることが可能です。
さまざまな人に対応できる環境
通信制高校では、さまざまな事情を抱えた生徒を受け入れる体制が整えられています。
とくに発達障がいを持つ生徒や不登校経験のある生徒も、無理なく学びを続けることができる環境です。
通信制高校は、生徒一人ひとりのニーズやバックグラウンドを大切にし、個別のサポートを提供しています。
個別指導や専門のカウンセラーとの面談を通じて、生徒の個々の状況に合わせた教育環境を提供できるのが通信制高校の強みです。
また、学習の質を高めるために独自のカリキュラムを提供しており、生徒たちは自分の能力や才能を最大限に引き出すことができます。
このようなサポートによって個々のペースで学べるだけでなく、自分の進路に合わせた学びを深めることが可能です。
個別サポートが充実している
通信制高校では、きめ細かい個別サポートが充実しています。
少人数制やマンツーマン指導を採用することで、教師が生徒一人ひとりの学習の進行や疑問点に柔軟に対応できるのが特徴です。
また進学や就職活動のサポートも充実していて、大学進学を望む生徒には入試対策や学校選びのアドバイス、就職を目指す生徒には履歴書作成のアドバイスや面接対策が提供されます。
このようなサポート体制により、生徒は将来の夢に向かって効果的に学び進めることが可能です。
専門分野に特化した学校がある
通信制高校には、一般的なカリキュラムを提供するだけでなく、特定の専門分野に焦点を当てた学校も存在します。
例えば芸術やスポーツ、プログラミングなどの特定の分野に深く取り組みたい生徒にとって、その才能や興味を最大限に伸ばすことができる環境が整っています。
専門知識や技術を身につけることで、将来のキャリア選択の幅も広がるのが大きなメリットです。
また通常の高校教育では得られない専門的な技能や知識を習得することで、将来、その分野での就職や進学が有利になる可能性が高まります。
通信制高校の専門的なカリキュラムを活用することで、自分の未来に対してより具体的なビジョンを持つことができるでしょう。
どのタイミングでも編入・転入が可能
編入や転入の自由度も、通信制高校のメリットの1つです。
新入学の主なタイミングは4月や10月ですが、新入学の時期以外でも、編入や転入が随時可能な学校が多く存在します。
生徒は自身のライフイベントや学びのペースに合わせて、最適なタイミングで学校生活をスタートさせることができます。
自身の意思で学ぶスタイルを選択できる通信制高校は、生徒のさまざまなニーズに応えるために適した場所です。
通信制高校へ進学する3つのデメリット
通信制高校には、いくつかのデメリットも存在します。
ここでは、3つのデメリットについて詳しく解説します。
友人や教師との関わりが限定される
通信制高校に進学する際のデメリットの1つは、自分のペースで学ぶ自由度の高さから生じる友人や教師との関わりの限定です。
一般的な全日制高校と異なり、毎日の学校生活での友人や教師との交流が限られるため、人との関わりを重要とする生徒にとっては物足りなさを感じることがあるかもしれません。
人との交流は、情報共有や価値観の共有など、生徒の成長において大切な要素です。
そのため、限られた関わりがコミュニケーション能力の育成や情報交換の場として不足する可能性が考えられます。
自己管理ができないと卒業が難しい
通信制高校は自分のペースで学びながらも、学習の進め方や課題の提出がすべて自己管理に委ねられています。
この学習スタイルは高い自己管理能力が必要で、自分で課題の提出期限を守り学習計画を立て、その計画に従って進んでいく能力が必要です。
誰かに「勉強しなさい」と言われなくても、自ら進んで学習できないと卒業できません。
言い換えれば、通信制高校は自己管理能力を育む環境であり、その能力がない人には向いていない学習スタイルといえるでしょう。
周囲からの偏見が気になる
通信制高校というと、「学力が低い」「やる気がない」といったネガティブなイメージを持たれることが少なくありませんでした。
しかし、最近ではそのような偏見は大きく減少してきており、多様な教育方法が認められるようになっています。
現代の通信制高校は、一つの有効な教育選択肢として認知されていますが、いまだに周囲の一部からの偏見に悩まされることもあるかもしれません。
しかし、通信制高校の教育の質の高さは、大学進学実績や卒業率などが証明しています。
通信制高校を選ぶ生徒や保護者は、偏見を気にせず進むことが大切です。
高校の学費に困っている方は必見! 「高校の学費が払えない時の対処法!学費を安く高校を卒業するには?」を参考にしてみてください!
通信制高校を卒業するための要件とは
通信制高校の卒業要件は、教育の質を保証するために設けられています。
具体的には、「単位の取得」「在籍期間」、そして「特別活動の実施」の3つが必要です。
74単位以上の取得
通信制高校でも、学校教育法施行規則や高等学校学習指導要領により単位数が定められています。
卒業に必要な単位数は「74単位以上」で、これは全日制高校と共通の要件です。
通信制高校では、単位を修得するために以下を繰り返して卒業を目指します。
①レポート(添削指導)
②スクーリング(面接指導)
③単位認定試験(試験)
高等学校通信教育規程によって、これらの活動を通じて単位を獲得していく仕組みが採用されています。
3年以上の在籍
通信制高校での卒業には、最低3年以上の在籍が必要です。
これは全日制の高校と同じ期間の在籍が求められる部分ではありますが、少し違いがあります。
全日制の高校では、基本的に3年間のカリキュラムに従って学習を進める形が一般的です。
しかし通信制高校の場合、自分のペースで学習を進めることを重視しています。
そのため、一定の期間内に全ての単位を取得するというプレッシャーが少なく、生徒に合わせた学びが実現されます。
実際、通信制高校には3年を超える期間在籍する生徒も少なくありません。
これは仕事やその他の活動と学業を両立させながら、しっかりとした学習内容を身につけたいという生徒のニーズに向き合っているからです。
30単位時間以上の特別活動の実施
通信制高校には、30時間以上の特別活動への参加が卒業の要件として求められています。
特別活動とは、部活動や委員会活動、ボランティア活動など、学校生活の中で行われるさまざまな活動です。
これらの活動は、学問だけでは得られない経験や社会的スキルの獲得に非常に役立ちます。
例として、ボランティア活動に参加することで、社会貢献の意義や他者との協力の大切さを実感できるのです。
普段、多くの人と接する機会の少ない生徒にとって、将来の社会人としての基盤を築くための重要なステップとなります。
他にはどんな通信制高校があるのか気になる方は必見! 「偏差値60以上の難関大学を目指せる通信制高校一覧!通信制高校の大学進学は不利?有利?」を参考にしてみてください!
通信制高校に入学して卒業するまで
通信制高校の入学から卒業までの流れは、以下の通りです。
STEP1.入学式は主に4月と10月
STEP2.レポート・スクーリング・テストを繰り返して単位を取得
STEP3.さまざまな年間イベントへの参加
STEP4.3つの要件を満たして卒業
では、それぞれのステップを詳しく解説していきます。
入学式は主に4月と10月
通信制高校の入学式は、4月と10月に開催されるのが一般的です。
また学校によっては、時期を問わず転入や編入学を受け入れていることもあります。
全日制高校と異なり、入学のタイミングが柔軟なのが魅力の1つです。
生徒は自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて、入学する時期を選べます。
レポート・スクーリング・テストを繰り返して単位を取得
通信制高校での学習は、以下の三つの柱に基づいています。
①レポートを作成し提出する
②スクーリング(面接指導)に出する
③単位認定試験に合格する
①〜③を繰り返しながら単位を取得し、高校卒業に必要な74単位の達成を目指します。
通信制高校は自宅学習が基本ですが、年に数回はスクーリング(面接指導)に出席しなくてはなりません。
スクーリングの回数は学校によって異なり、1週間の合宿形式や毎週の登校日などさまざまです。
「3年で確実に卒業したい!」という人は、スクーリングのシステムをよく確認しておきましょう。
さまざまな年間イベントへの参加
通信制高校は単なる学習だけでなく、多彩なイベントや活動にも力を入れています。
年間を通してさまざまな行事に参加することも、単位修得のための重要な活動です。
文化祭やスポーツ大会、遠足など、一般的な高校と同様のイベントが数多く開催されています。
学校行事に積極的に参加することで、コミュニケーションスキルやチームワークを養うことができます。
3つの要件を満たして卒業
先述した3つの要件、「74単位の取得」「3年以上の在籍期間」「特別活動の実施」を満たして卒業に至ります。
これらの要件は、生徒が十分な学びと経験を積んでいることを保証するためのものであり、すべてをクリアすることで卒業の資格が得られるのです。
高校中退の進路にお悩みの方はこちらも「高卒資格か高卒認定どちらが有利か?」参考にしてみてください。
通信制高校のよくある質問
通信制高校に数多く寄せられる、代表的な質問を紹介します。
高卒資格は全日制高校と同じ?
通信制高校の高卒資格は、全日制高校と同じです。
卒業した際に得られる資格や卒業証明は、大学入試や就職活動においても全日制と変わらないものとして評価されます。
実際に大学の入試では、通信制高校の卒業生が全日制高校の卒業生と同じ枠で受験するケースが多く見られます。
進学や就職の際に差別されることなく、様々な道が開かれているのが通信制高校の魅力の一つです。
学費が払えるか心配なのですが……
通信制高校の学費は、一般的な全日制高校と比較してもリーズナブルな場合が多いです。
さらに多くの学校で、家庭の経済的背景を考慮した奨学金制度や学資ローンを提供しています。
具体的には、家計に負担を感じる家庭のための学費減免制度や、長期の分割払いが認められることも。
このような柔軟な対応により、経済的な問題で進学のチャンスを逃すことも少なくなっています。
就学支援制度や奨学金に関しては、学校の相談窓口に問い合わせてみましょう。
入学試験は難しいですか?
通信制高校の入学試験には、学力試験がないケースが多いです。
また試験があったとしても、それは学校が学力を把握するための手段で、点数で不合格になることはほとんどありません。
試験内容は学校によって異なりますが、学びたい気持ちや卒業する意欲を持っているかを確認するためのものが中心です。
面接や作文がある学校が多く、入学希望者の意欲を深く探ることが多いでしょう。
中学での勉強に自信がない方でも、前向きな姿勢で受験すれば合格の可能性は高まります。
通信制高校から大学進学は可能?
通信制高校から大学への進学率は高くなっており、東大や京大のような国公立大学、慶應や早稲田といった難関私立大学への進学実績も豊富です。
確かに、通信制高校での学習内容やカリキュラムが全日制とは異なる場合がありますが、それでも十分な大学進学サポートがあります。
通信制高校には、大学入試に特化したクラスや、受験対策講座が設けられていることもあり、しっかりとしたサポートを受けながら進学を目指すことができます。
学歴が就職で不利になることはある?
通信制高校の卒業資格は、全日制高校と同じく正式な高卒資格として認められています。
従って、通信制高校卒業ということが不利になることは基本的には考えられません。
しかし就職活動では、単に学歴だけではなく、それまでの経験や取り組み、スキル、コミュニケーション能力などが重視されます。
通信制高校での多様な学びや経験をアピール材料として活用し、企業に自分の魅力をしっかりと伝えることが重要です。
多くの卒業生が、通信制高校での独自の経験を活かし、さまざまな業界で活躍しています。
通信制高校にはメリットがいっぱい!自由な学びで広がる可能性
通信制高校は自分のペースで学習でき、さまざまな背景を持つ生徒を積極的に受け入れています。
独自のカリキュラムや専門カウンセラーのサポートにより、個々のニーズに合わせた教育が受けられるなど、全日制にはないメリットが豊富です。
学校に通う必要がないため、交通や通学時間の負担が軽減され、趣味の活動やアルバイトに時間を割くこともできます。
個人の能力や意欲を最大限に引き出し、自己管理能力や学習意欲を高める場として、通信制高校は多くの生徒にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。
自由度の高い学習環境は、自分の興味や目標に合わせて学べることで、よりモチベーションを高く持ち続けることができる魅力的な選択肢になります。