宅建士の資格登録とは?
宅地建物取引士試験に合格したら、合格地の都道府県知事に資格登録の申請をすることができます。
この登録は任意ですが、宅地建物取引士として業務に従事するためには登録を受けなければなりません。
都道府県知事に資格登録の申請をして、宅地建物取引士証の交付を受けると晴れて「宅建士」として活動することができるのです。なお、試験の合格は一生有効ですので合格後いつまでに登録をしなければならないという期限はありません。
資格登録の条件
資格登録するための条件は主に2つです。
- 宅地建物取引士試験に合格していること
- 実務経験が2年以上ある、または相応の経験があること
上記の条件を2つとも満たして初めて登録を申請することができます。また、登録の欠格事由に該当していないかもチェックしましょう。
登録に必要な手続き
資格登録は、合格地(試験を受けた都道府県)の都道府県知事にのみ申請できるので間違えないよう注意が必要です。登録手続きは各都道府県の登録窓口で行うので、自分が該当する都道府県のHPをチェックして申請先を確認しましょう。
合格証書以外にも資格登録に必要なものがあります。下記に記載のものを準備しておきましょう。
資格登録に必要書類、費用
印鑑(シャチハタ不可)
登録申請書(記名・押印)
誓約書(記名・押印)
身分証明書(本籍地の市区町村が発行。成年被後見人及び被保佐人に該当しないこと、破産者で復権を得ない者に該当しないことを証明する)
登記されてないことの証明書(法務局が発行、発行日から3ヵ月以内のもの。成年被後見人及び被保佐人に該当しないことを証明する)
住民票(発行日から3ヵ月以内、個人番号の記載されていないもの。申請者本人以外の者・本籍・続柄記載不要。)
合格証書(原本・コピーの両方)
顔写真(縦3cm×横2.4cmのカラー写真、6ヵ月以内に撮影したもの。)
登録資格を証する書面(実務経験証明書、従業者名簿、登録実務講習修了証など)
登録手数料、37,000円
※都道府県により若干異なる場合があります。必ず自分で都道府県ごとの提出物を確認しましょう。
実務経験について
資格登録申請の条件に「実務経験が2年以上ある、または相応の経験があること」と述べましたが、具体的にはどのような業務が実務経験として扱われるのでしょうか?
ここで言う実務経験とは、「宅地・建物の取引に関する業務に従事していること」を指します。つまり、不動産会社に2年以上勤務していたとしても、経理や総務などの宅地建物取引業と関係のない管理部門は対象外となるのです。
宅建業者は宅地建物取引業に従事する者の名簿を作成する義務があり、従業者は資格登録申請の際に実務経験を証明するために実務経験証明書と一緒に従業者名簿を提出する必要があります。
10年以内に実務経験2年以上
宅建試験の合格は一生有効ですが、実務経験に関しては「10年以内に2年以上の実務経験」であることに注意が必要です。
たとえば、15年前まで宅建業に従事していて現在は全く別の職種に就いているという場合は実務経験が2年以上あると見なされません。従事していた期間が30年あっても10年以上前のことであれば無効になります。
10年以内というのは、資格登録申請前から10年間ですので合格の前後は問いません。合格したあとに2年間実務経験を積んでから資格登録の手続きをしてもいいですし、合格する前に1年間実務経験があれば合格したあとに1年間業務に従事すれば条件を満たすことになります。
宅建業者以外でも実務経験があるとみなされる場合
「宅地・建物に関する業務に従事する」ということは、宅建業者だけに限りません。
- 国、地方公共団体またはこれらの出資により設立された法人において宅地・建物の取得または処分の業務に従事した期間が通算して2年以上
この場合も実務経験の要件として正式に認められています。つまり、国が主体となって運営する機関で2年以上土地の収用や、売買などの実務に携わっている場合も実務経験とみなされるということです。
登録実務講習について
登録実務講習とは、国土交通大臣の登録を受けた講習機関が実施する講習のことです。
実務経験が2年未満でも登録実務講習を修了すれば「2年以上の実務経験を有する場合と同等以上の能力を有する」と認められます。講習の最後には修了試験があるので、気を抜かずに挑みましょう。
国土交通大臣の登録を受けた実務講習実施機関は、全国に20以上存在します。
登録実務講習を行っているスクール
実務経験に代わる登録実務講習は多くのスクールでも実施しています。2年間の実務経験が難しい場合は、登録実務講習を実施しているスクールを活用するのも選択肢に入れておきましょう。
概ねどのスクールも20,000円前後が受講料金の相場となっていますが、TAKKYOは10,000円を切っていて群を抜いて安いですね。コスパ第一の場合は迷わずTAKKYOで受講してもいいでしょう。
LEC
講習会場は全国のLECで、通信・通学(1日または2日)、修了試験の3ステップです。
修了試験は制限時間60分で○×式が20問、記述式が20問となっており、○×式、記述式それぞれ8割以上の正解で合格です。合格した場合の修了証を即日発行してもらえるクラスもあります。
万が一不合格でも1回限り無料で再受講できる制度があるので安心でしょう。
不動産流通推進センター
講習会場は東京と大阪の各所です。通信・通学(2日コースのみ)・修了試験の3ステップで、修了試験後は全員が修了証または未修了証を即日でもらえます。不合格の場合も無料で再受講可能です。
修了試験は制限時間70分で○×式30問と空欄記述式40問の構成で、合格ラインは○×式、空欄記述式ともに8割となっています。
TAKKYO
講習会場は東京、名古屋、大阪、福岡の各所で、通信・通学(1日または2日)・修了試験の3ステップです。受講会場によって料金が異なり、喫煙者と非喫煙者でクラスが分けられている点が特徴でしょう。
修了試験は制限時間60分で、○×式30問と穴埋め記述式20問、両方とも8割以上の得点で合格です。合格者には即日で修了証が交付されますが、不合格者への再受講制度はありません。
日建学院
講習会場は全国の日建学院です。通信・通学(2日コースのみ)・修了試験の3ステップです。修了試験は制限時間90分と他校より長めで、4肢択一式20問と記述式20問、いずれも8割以上が合格ラインです。
合格・不合格通知は受講後約1週間、修了証は受講後1ヵ月前後で郵送されます。不合格の場合は同年内1回限りで空きがあれば再受講することができます。
TAC
講習会場は全国のTACで、講習日程が1月~8月までと豊富なので受講時期が遅くなってしまっても安心です。
通信・通学(2日コースのみ)・修了試験の3ステップです。修了試験は制限時間60分、一問一答式30問と記述式30問の構成でいずれも8割以上の得点で合格です。合格通知、修了証の交付は郵送のみとなっています。
日本宅建学院
講習会場は全国の日本宅建学院です。通信・通学(2日コースのみ)・修了試験の3ステップです。修了試験は制限時間60分で○×式20問と書式問題10問、それぞれ8割以上の得点が合格ラインになっています。
合格した場合は即日で修了証が発行され、不合格の場合は同一年内なら何度でも無料で再受講をすることができます。
合格証書を紛失したときの対処法と必要になるタイミング
汗水垂らして勉強した末に、合格証書が手元に届いたときは感動しますよね。合格証書は試験に合格したことを証明する大事な書類なので、失くさないように保管しておかなければなりません。
しかし、喜んだのもつかの間、万が一合格証書を紛失してしまったらどうすればいいのでしょうか?
万が一紛失してしまった場合
合格証書を失くしてしまったからといって、資格登録申請や登録実務講習が受けられないと困りますよね。紛失した場合、残念ながら再発行することはできませんが、その代わりとなる「合格証明書」を発行してもらうことができます。
合格証明書は都道府県の資格登録申請、登録実務講習の申込みにも使用できます。
合格証明書の発行方法
合格証明書は、合格年度により発行者が異なります。
①昭和62年以前の合格者
合格した各都道府県の宅地建物取引業法主管課に問い合わせる必要があります。
②昭和63年以降の合格者
試験を実施している不動産適正取引推進機構に郵送で申請します。発行手数料は無料となっており、良心的です。
不動産適正取引推進機構のHPから申請書をダウンロードするか、以下の内容をA4判の用紙に記入して申請することができます。
- 申請理由(資格登録申請のため 等)
- フリガナ
- 氏名
- 生年月日
- 合格年度(不明の場合はおおよその年度で可)
- 受験都道府県名
- 住所
- 電話番号(平日の昼間連絡可能なもの(携帯電話可))
合格証書が届く時期
合格証書は「簡易書留」で郵送され、大抵は合格発表後2~3日で手元に届くでしょう。
簡易書留郵便は手渡しで受け取らなければならないため、受け取ることができなければポストに不在連絡票が入ります。この場合は必ず郵便局に連絡して、確実に受け取ってください。
合格証書はいつ必要か?
合格証書は主に資格登録申請をするときに必要となるものです。都道府県によってはコピーだけでなく原本の提示が必要な場合もあります。
また、実務経験が2年未満の場合に受講する登録実務講習を申し込む際にも、合格証書が必要な場合がほとんどです。
まとめ
登録の手続きには準備する書類も多く、時間を要しますが、それだけ責任の重い資格ということでもあります。登録後は、登録事項に変更が生じたときの変更登録義務がありますので、忘れないようにしましょう。
また、法定講習を受ける(合格後1年以内は不要)ことで晴れて宅地建物取引証を受領できます。合格後の手続きをクリアして、宅建士としてのスタートラインに立ちましょう。