官庁などに提出する書類作成や手続きを担っている行政書士は、毎年多くの方が取得を目指している人気の資格です。
行政書士になるには行政書士試験を受ける必要があり、合格率は10%~15%程度だとされています。
今回は、行政書士試験の難易度についてほかの資格との比較をおこなっていきたいと思います。
ほかにも行政書士試験に合格するための勉強法もご紹介してますので、ぜひ最後までチェックしてみて下さい。
司法試験・予備試験の通信講座・予備校おすすめランキング9選!料金費用の安さ・人気・評判を徹底比較【最新】
行政書士試験の合格率は10%~15%程度
前述したように、行政書士試験は、その合格率が平均約10%とされており、法律系の国家資格試験の中でも難易度が高い部類に入ります。
以下は、直近で行われた行政書士試験の受験者数と合格者数、そして合格率をまとめた一覧表です。
ここ10年間の行政書士試験の合格率をまとめると以下の通りとなります。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024年度 | 47,785名 | 6,165名 | 12.90% |
2023年度 | 46,991名 | 6,571名 | 13.98% |
2022年度 | 47,850名 | 5,802名 | 12.13% |
2021年度 | 47,870名 | 5,353名 | 11.18% |
2020年度 | 41,681名 | 4,470名 | 10.72% |
2019年度 | 39,821名 | 4,571名 | 11.48% |
2018年度 | 39,105名 | 4,968名 | 12.70% |
2017年度 | 40,449名 | 6,360名 | 15.72% |
2016年度 | 41,053名 | 4,084名 | 9.95% |
2015年度 | 44,366名 | 5,820名 | 13.12% |
上記表からもわかるように例年の合格率は10%~15前後で変動していることが分かります。
行政書士試験は、法律系の入門資格として位置づけられており、基本的な法律知識から応用まで幅広くカバーすることが求められます。
【年代別】行政書士試験の合格率
一般財団法人行政書士試験研究センターによると、令和6年度の受験者を年代別で分けると以下の通りとなります。
参照:令和6年度の受験者
また合格率は公表されていませんでしたが、年代別の合格者数については以下の通りに公表されています。
年代 | 受験者数 | 合格者数 | |
---|---|---|---|
10代以下 | 令和4年度 | 570人 | 56人 |
令和5年度 | 573人 | 47人 | |
令和6年度 | 715人 | 76人 | |
20代 | 令和4年度 | 7,810人 | 1,178人 |
令和5年度 | 7,599人 | 1,286人 | |
令和6年度 | 7,731人 | 1,293人 | |
30代 | 令和4年度 | 10,117人 | 1,611人 |
令和5年度 | 9,491人 | 1,693人 | |
令和6年度 | 9,537人 | 1,595人 | |
40代 | 令和4年度 | 12,430人 | 1,513人 |
令和5年度 | 11,954人 | 1,736人 | |
令和6年度 | 11,875人 | 1,564人 | |
50代 | 令和4年度 | 11,138人 | 1,058人 |
令和5年度 | 11,311人 | 1,295人 | |
令和6年度 | 11,643人 | 1,175人 | |
60代以上 | 令和4年度 | 5,785人 | 386人 |
令和5年度 | 6,063人 | 514人 | |
令和6年度 | 6,284人 | 462人 |
参照:最近3年間における行政書士試験の受験者・合格者の属性より
行政書士試験は年齢による受験資格がないことから、受験者数の年齢の幅は広めです。
また上記の表からも分かるように、受験者数は40代が最も多く、合格者数も30代~40代がピークとなる傾向にあります。
年齢層が高い理由としては転職や独立だけではなく、行政書士は生涯有効の資格なので、退職後のセカンドキャリアなどを目的に資格取得するといったケースも挙げられます。
【2025年】行政書士おすすめの通信講座・予備校15社をランキング形式で徹底比較
行政書士と他の国家資格試験の難易度を比較
行政書士も国家資格試験の1つですが、国家資格試験は他にもいくつかあります。
ここでは、司法試験を始め国家資格試験である税理士や社労士・宅建・司法書士などと難易度を比較し、行政書士の難易度を分析していきます。
資格名 | 難易度 | 合格率 | 目安勉強時間 |
---|---|---|---|
行政書士 | 中 | 10%前後 | 600時間~1,000時間 |
司法試験 | 激高 | 30~40% | 5,000時間~8,000時間 |
司法書士 | 激高 | 3~4% | 3,000時間 |
税理士 | 高 | 15~20% | 2,000時間~3,000時間 |
社労士 | 高 | 6% | 800時間~1,000時間 |
宅建 | 中 | 15% | 200時間~300時間 |
行政書士と司法試験の難易度比較
司法試験と行政書士試験はともに法律系の国家資格試験ですが、難易度は圧倒的に司法試験の方が高いです。
司法試験の出題範囲は膨大で、受験資格として予備試験の合格もしくは法科大学院の卒業が求められることから必要となる勉強時間が5,000時間~8,000時間となっています。
司法試験の合格率は30~40%ですが、受験資格を得るために行われる予備試験の合格率は4%であるため難易度は相当高いでしょう。
その点、行政書士は初心者でも約1,000時間で合格レベルまで到達することができ、資格の汎用性も高いため、近年では司法試験受験者が試験レベルを下げて行政書士試験を受験するケースも増えています。
行政書士と司法書士の難易度比較
司法書士は一部界隈において司法試験よりも難易度が高いとされ全国家資格の中でもトップレベルで難関とされている資格のことから行政書士と比較しても難易度が高い試験となっています。
合格率は3%~4%と非常に低く、合格者の平均勉強時間も3,000時間と非常に長時間の勉強時間が必要です。
行政書士と司法書士のダブルライセンスを取得すると業務をワンストップで行えるメリットもあるため、2つの資格取得を目指す方も多いです。
その場合にはまず、広く浅い知識が求められる行政書士試験を先に合格するのがおすすめです。
行政書士と税理士の難易度比較
同じ士業であることから比較されることの多い行政書士と税理士を比べても、税理士の難易度の方が圧倒的に高いことが分かります。
暗記科目が非常に多い行政書士に比べて、税理士は簿記論・財務諸表論に加えて計算問題や数字の処理なども範囲となる税法を勉強する必要があるため、数学の知識も問われます。
その影響で税理士の目安勉強時間は2,000時間~3,000時間と長く、合格には数年レベルの長いスパンでの学習計画が鍵になるでしょう。
また、税理士資格を持っていると行政書士試験を受けることなく行政書士になれるというメリットもあるため、2つの資格取得を目指す方は税理士試験合格を目指すことをおすすめします。
行政書士と社労士の難易度比較
難易度や勉強時間を比べると差が小さめの行政書士と社労士ですが、総合的な観点から見れば社労士試験の方が難易度が高いと言えるでしょう。
社労士には受験資格が存在しており、大学などの教育機関を卒業していることや実務経験が必要となるケースが存在するのです。
受験ハードルが高い上に社労士試験の合格率は4%~6%となっているため、受験のしやすさ・難易度共に社労士に軍配が上がります。
行政書士と社労士はダブルライセンスとして相性が良い資格なので、司法書士と同様に2つの資格取得を目指す方が多いです。
行政書士と宅建の難易度比較
表を見ても分かる通り、宅建は国家資格の中でも比較的に難易度が低めの国家資格です。
合格者の平均勉強時間は200時間~300時間と短めで勉強範囲も比較的狭く、合格率も15%前後と高くなっています。
行政書士は宅建よりも難易度が高く、宅建は民法のみの出題なのに対し行政書士は民法・商法・行政法・憲法など広範囲の法令科目が範囲となっています。
行政書士と宅建は民法しか試験範囲の重複がないですが、2つの資格を取得することで不動産や土地関係に強い行政書士として活躍の幅が広がります。
行政書士試験の難易度が高い理由
行政書士試験が特に難しいとされる理由は、複数の要因に基づいています。
- 理由①広範な知識を問われる
- 理由②記述式問題の対策も必要
- 理由③合格基準が科目ごとに設定されている
これらの要因により、行政書士試験は単なる法律知識の確認以上のものとなっており、受験者には高度な法律的思考能力と時間管理能力が求められるため、難易度が高いと評されています。
成功するためには、広範囲に及ぶ知識の習得と、戦略的な試験対策が不可欠です。
理由①広範な知識を問われる
行政書士試験ではかなり広い範囲の知識を求められることで知られています。
その範囲は6つの科目から構成されており、その詳細は下記の通りです。
・憲法
・行政法
・民法
・商法
・基礎法学(法や裁判などに関する知識)
・一般知識(政経、社会などに関する内容)
もちろん科目によってウェイトの違いはありますが、試験に合格するためには深く広い試験範囲の理解が必要です。
行政書士の試験についてはこちらの記事で詳しく解説しているため、気になった方はぜひご覧ください!
行政書士になるには?資格取得の難易度・試験情報・年収・報酬相場を徹底分析
理由②記述式問題の対策も必要
行政書士試験には、民法と行政法で記述式問題が3問出題されます。
よく行政書士と比較される宅建や社労士は全問マークシート方式の試験であるため、この記述式問題の存在で「行政書士試験は難易度が高い」と感じる方もいます。
記述式問題は1問20点と非常に配点が高いため、行政書士はマークシート問題と記述式問題の両方の対策をしなければなりません。
理由③合格基準が各科目ごとに設定されている
行政書士試験には合格基準点が明確に決められており、各科目及び全体の合格基準点を超えない場合足切りとして不合格になってしまう絶対評価試験となっています。
行政書士試験の合格基準はそれぞれ以下の通りです。
法令科目 | 244点中122点(50%以上)得点 |
一般知識 | 56点中24点(40%以上)得点 |
全体 | 300点満点中180点以上(60%以上)得点 |
このように、「法令科目」は50%以上の得点、「一般知識」は40%以上の得点が必要になり、2つの試験範囲の合格基準点を超えたとしても、300点満点中180点以上を取らなければ合格することができません。
反対に、例え全体の得点が180点を超えたとしても科目毎の合格基準点を超えていなければ足切り不合格にされてしまいます。
行政書士試験は受験者の得点率によって合格点が変動する相対評価試験ではなく、規定の合格点を超えることが合格基準となる絶対評価試験のため、より試験範囲を網羅的に勉強することが求められます。
【2024年】行政書士おすすめの通信講座・予備校15社をランキング形式で徹底比較
アガルートの行政書士講座の評判・口コミは?費用や合格率・講師やテキストの評価を解説
行政書士試験合格に必要な勉強時間
行政書士試験合格までに必要な勉強時間は法律を勉強していた方と法律初心者の方で異なると言われており、経験者は500~600時間、初心者は1,000時間以上が平均勉強時間と言われています。
法律科目が浅く広いため、このように経験者と初心者で大きく勉強時間が異なりますがどちらにせよ行政書士試験は短期間で取得できるような資格ではありません。
では、1年間で合格するという目標を設定した場合、法律を勉強してきた方と法律初心者の方の勉強時間の違いはどのくらいあるのかまとめてみました。
行政書士試験の勉強方法
行政書士試験は誰でも受験できるものの、それなりに難易度の高い試験でもあります。
そこでここでは、行政書士試験の主な勉強方法について紹介します。
予備校・スクール
行政書士試験の勉強方法としてまず、予備校に通学するといったものが挙げられます。
通学スタイルは、定められた時間に通うことができる余裕のある方や、講師の生の授業を受けたい方におすすめです。
講師に直接質問できて疑問をすぐに解決できたり、他の受講生と共に学べるのでモチベーションが維持しやすいといったメリットがあります。
「一人ではモチベーションが続かない」と感じる方でも、行政書士を目指す仲間と刺激し合うことで、やる気を維持しやすくなるでしょう。
一方で、予備校は教室代などが含まれるため、他の勉強方法よりも受講料が高額になる傾向があるため注意が必要です。
さらに、決まった日時に通う必要があるため、仕事や学校などが不規則にあるといった方だと妥協しやすくなるといった面があります。
通信講座
近場に予備校がないといったかあは通信講座を利用することで自宅や好みの場所で学ぶことができます。
通信講座は自分のライフスタイルに合わせて学習したい方や、独学に不安を感じているものの、時間や費用の制約から予備校に通うことが難しい方におすすめです。
また予備校よりも比較的受講料が安い傾向にあることから、コストパフォーマンスを重視する方にも向いています。
主なメリットとしていつでもどこでも学習できるため、隙間時間を有効に活用し、効率的に学ぶことができる点が挙げられます。
一部の通信講座では質問制度などのサポートが用意されているため、ひとりでは学習を継続できるか不安な方でも安心でしょう。
しかし、いつでも学習できる分、ある程度の自主性が求められます。
独学
独学は市販の教材を購入し、自宅などで学習を行う方法のことを指します。
独学で学ぶ際には、自ら試験日までの学習計画を立て、それに従って勉強を進める必要があります。
したがって自己管理が得意な人や、他の国家資格試験を受けた経験があるなど、試験勉強に慣れている方におすすめです。
独学の利点は、他の学習方法に比べて費用が抑えられることと、自分のペースで学習を進められる点です。
しかしながら、予備校や通信講座を利用する場合と比べると効率的な学習が難しく、モチベーションを維持することが困難であるという欠点もあります。
ある程度の知識や経験がある方はぜひ独学で行政書士試験を目指してみて下さい。
行政書士試験の試験科目は?出題範囲とオススメの学習方法も紹介!
行政書士試験合格の学習のポイント
行政書士の試験の範囲は広く、専門的な知識が必要です。
そのため、効率よく勉強を進めていかなければ、合格に結びつかないでしょう。
ここでは、行政試験に合格するための勉強方法を3つ紹介します。
①過去問を繰り返し解く
試験に合格するためには、過去にどのような問題が出題されているか把握する必要があります。
同じ問題が出題されることはありませんが、過去問を繰り返し解くことで出題傾向が分かるようになります。
また、知識が定着していない部分も確認できるため、確実に実力がつくでしょう。
知識を定着させるためには、5年〜10年程度の過去問を見返すことが重要です。
②法令科目は行政法と民法を重点的に勉強する
法令科目には、行政法・民法・基礎法学・憲法・商法の5科目があります。
その中でも、行政法と民法の配点が高く、法令科目の77%を占めるのです。
行政法と民法を重点的に勉強することで、合格基準である122点以上の得点を獲得できる可能性が高まります。
基礎法学・憲法・商法の3科目は基礎的な部分だけを勉強し、行政法と民法の勉強時間を増やしましょう。
③基準点でのクリアを目指す
一般科目の基礎知識には、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解の3科目があります。
合格基準は24点以上と法令科目よりも配点が少なく、高得点を取る必要はありません。
満点を目指すのではなく、合格基準である24点以上の得点を目安として、勉強を進めていくのが合格するためのポイントです。
④記述式を克服する
記述式問題で期待通りの得点を得られず、不合格となる受験生は少なくありません。
行政書士試験の記述式は解答の自由度が高いため、苦手意識を持つ人が少なくありません。
克服するためには論理的な構成を視覚的に整理し、知識を効果的に表現する技術を習得することが必要です。
小論文のような高度な表現力は必要ないため、論理的な文章作成に慣れることで、誰でも正答率を向上させることが出来ます。
また記述式問題は自己採点が難しいため、通信講座の添削を利用して専門的なアドバイスを受けるなどがおすすめです。
⑤模試を受ける
模擬試験は自身の実力を測るだけでなく、問題解決にかける時間の配分を確認することができるので積極的に受けるようにしましょう。
自宅で予想問題を解くこともできますが、実際の試験環境に近い模擬試験を受けることをおすすめします。
行政書士の模擬試験は各種資格スクールで実施されています。
模擬試験の日程を確認し、学習計画に組み込むことが重要です。
また、行政書士試験は最新の法律に基づいて出題されるため、法改正に関する情報を常に把握しておく必要があります。
最新情報を教材に反映させているスクールや通信講座を利用してみるといいでしょう。
行政書士試験の記述式問題は捨てるべき?おすすめの勉強法や対策のコツを解説
行政書士を目指すならアガルート
参照:アガルート公式サイト
ここからは、受講生の満足度が突出していることで知られているアガルートの通信講座についてご紹介します。
今から受験勉強を始めようとしている方にとっては有益が情報が盛りだくさんですので、お見逃しなく!
驚異の合格率46.82%
2024年度の行政書士試験では合格者数300名と、アガルート受講生の合格率は全国平均の3.63倍の46.82%でした。
また過去4年間(令和2年~5年)の累計合格者数は889名となっているなど、確かな合格実績があります。
アガルートは安い費用で受講できるため内容に不安を感じる方も少なくありませんが、合格率や合格者数を公表している点から信頼できる講座といえるでしょう。
この合格率の背景には有資格者である講師が作成した出題カバー率97.8%のテキストや無制限の質問対応などがあり、独学などとは比較にならない期間で合格を目指すことが出来ます。
また合格した際には一定の条件をクリアすると最大で全額返金も受けられるため、費用面の心配もあまり必要ないのは嬉しいポイント。
講座の詳細情報はこちらで解説しているため、気になった方はぜひご覧ください!
行政書士試験の難易度は国家資格の中でも高め
今回は行政書士試験の難易度を偏差値に置き換えて、様々な視点から他資格との比較を行ってきました。
行政書士は間違いなく難関試験であり、生半可な対策などでは合格できないということが分かっていただけたかと思います。
また広大な試験範囲と学習時間を少しでも圧縮するために、最近では通信講座の活用が一般的です。
この受験で絶対に合格するという意気込みの方こそ、圧倒的合格率を誇るアガルートの講座を受験しましょう!