司法書士の資格は法律系資格の中でも、難易度の高い資格として知られています。
司法書士の資格取得を目指している方の中には、独学での合格を目指している方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、司法書士を独学で目指せるのか、独学で目指すメリット・デメリットについて紹介します。
また、司法書士に独学で合格するための勉強法についても解説していますので、これから司法書士試験取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
- この記事でわかること
- 司法書士試験は独学で合格できる難易度なのか
- 司法書士試験を独学で受験するメリット・デメリット
- 司法書士試験に独学で受験することが向いている人の特徴
- 司法書士試験を独学で受験する場合の勉強法
司法書士試験は独学で合格できるが難易度が高い
結論から言うと、司法書士試験に独学で合格することは不可能ではありません。
しかし司法書士試験の試験範囲は広く、全て網羅するには計画的に対策を進める必要があります。
1日の試験日で試験科目11科目すべてを受験する必要があるため、知識量と解答スピード、思考力が問われる試験です。
独学でも合格できる場合もありますが、通信講座やスクールの受講を検討した方が効率良く試験対策が進められるでしょう。
司法書士試験の勉強時間の目安は約3,000時間
一般的に、司法書士試験に合格するには約3,000時間の勉強時間を確保することが必要といわれており、毎日5時間の勉強でも2年近い期間がかかります。
また一人ひとりの学習ペースや知識、習熟度によっては上記以上の時間がかかることもあるでしょう。
独学で合格した受験者も実際にはいますが、より効率的に合格を目指すなら、独学はあまりおすすめできません。
とくに、まったく法律の勉強をした経験がない人や、仕事と両立しながらの受験勉強を考えている人は、独学よりもスクールや通信講座の受講をおすすめします。
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司法書士試験に独学の勉強で対策するメリット
司法書士試験独学で合格するのは難しい反面、試験対策の勉強においてはメリットがあることも事実です。
ここからは、司法書士試験に独学で挑む際のメリットや、独学だからこそできる勉強方法の強みについて詳しく解説します。
書籍や勉強道具の費用だけで合格を目指せる
司法書士試験を独学で挑戦するメリットとして、書籍や勉強道具の費用だけで合格を目指せるメリットがあります。
試験対策のために専門学校に通うとなると、受講費用だけでも数十万円の出費になることが多いです。
出費をできるだけ抑えて司法書士の資格を取得したいのであれば、独学で勉強した方がコストを抑えることが可能です。
勉強法に縛られずに自由に学習を進められる
司法書士の勉強を独学で始めることで、勉強法に縛られずに自由に学習を進められるメリットがあります。
塾やセミナーに通いながら勉強を進めていると、自分に合わない勉強法での学習を強いられることもあります。
長期間かけて学習を進めていく資格ですから、合わない勉強法で学習を進めていると、勉強効率が悪くなり目標までに合格できない可能性があります。
自分に合った勉強法で学習を進められるので、マイペースに勉強を進めたい方に向いている勉強法なのです。
働きながらでもスキマ時間で学習を進められる
司法書士の勉強を独学ですすめることで、働きながらでもスキマ時間で学習を進められるメリットがあります。
社会人になってから司法書士の資格を取得しようとすると、スクールに通って学習する時間を捻出しづらくなります。
通勤時間や休憩時間等、働きながらでも効率よく学習を進められるので、効率的に学習を進めたい方におすすめです。
司法書士試験に独学の勉強で対策するデメリット
司法書士試験に独学での合格を目指す場合、想定されるデメリットは以下の6点です。
- 法律の解釈や論点を理解することが難しい
- 学習スケジュールの管理が困難
- 法改正の情報収集を自分で行わなければならない
- 勉強のモチベーションが維持できない
- 自分に合う勉強方法・参考書がわからない
- 記述式試験の対策が難しい
それぞれ詳しく解説します。
法律の解釈や論点を理解することが難しい
司法書士試験の勉強において、法律の解釈が難解で問題の論点を理解することが難しい点が独学のデメリットです。
とくに、法律を学んだ経験がない人にとって、法令を読み解くだけでも言い回しや表現が難解なため、理解するのに時間を要します。
また、独学で勉強をしていて分からないことがあっても自力で解決しなければならないため、不明点を解決するのに時間がかかるなど、勉強がスムーズに進まないことも少なくありません。
結果的に勉強に時間がかかり、試験に合格できるまでに何年もかかる可能性があるため、独学で受験すべきかは慎重に判断する必要があります。
学習スケジュールの管理が困難
司法書士試験では、11科目に及ぶ単元を学習しなければなりません。
試験までの時間を逆算して学習スケジュールを立てても、計画通りにスケジュール管理することが難しい点が独学で受験するデメリットの1つです。
司法書士試験対策の学習スケジュールは、試験までの期間を試験科目数通り11分割すれば良いというものではありません。
単元ごとに理解にかかる時間が異なる上に、インプットだけでなくアウトプットも行う必要があるため、スケジュール通り進まなくなる可能性があります。
結果的に学習スケジュールに遅れが生じ、受験当日までに勉強が間に合わず、不合格になる場合もあるでしょう。
法改正の情報収集を自分で行わなければならない
独学で司法書士試験に挑む場合、法改正の情報収集を自分で行わなければならない点もデメリットとして挙げられます。
法改正は毎年実施されており、過去に出題された問題の解答が法改正によって異なる解釈になるケースが多々あるのも法律系資格試験の特徴です。
通信講座やスクールを受講していれば、受講先を通じて法改正の情報を得られますが、独学の場合は自分で取りに行かなければ知識がないまま受験することになります。
司法書士試験に独学での受験を検討しているのであれば、最新の法改正情報をどのように学ぶか、正しい情報源から収集できるように対策を講じることが大切です。
勉強のモチベーションが維持できない
勉強のモチベーションが維持できず、途中で挫折しやすいのも独学で司法書士試験の対策を行うデメリットです。
法律の解釈が難しい点をデメリットの1つとして挙げましたが、思うように理解が進まず勉強のペースが鈍化するのはモチベーションが下がる要因になります。
学習スケジュール通りに勉強が進まず遅れが生じると、焦りが生まれて最終的に諦めてしまう場合もあるでしょう。
通信講座やスクールを受講するメリットには、このような勉強のモチベーションを高く維持できるカリキュラムが備わっている点にあります。
例えば、学習が完了した単元が一目で確認できる、講座によってはほかの受験生や講師と交流を通じて勉強の悩み相談ができる、などのケースです。
そのため、1人で長期間試験勉強のモチベーションを維持することが難しい人は、独学での受験よりも通信講座やスクールを受講した方が良いでしょう。
自分に合う勉強方法・参考書がわからない
独学で勉強を進める場合、参考書や過去問集などの教材選びも自分で行わなければなりません。
自分に合う勉強方法や、それに見合う参考書・過去問集などの教材がどれかわからず、いくつもの教材に手を出してしまう可能性があるのも独学のデメリットです。
司法書士試験の参考書は、さまざまな著者が出しているため、どれを選べば良いか一目で判断することはできません。
また、複数の著者の参考書を活用しようとすると、著者によって解説方法や法律の解釈に異なる点が出てくるなど、混乱する要因になることもあります。
自分に合う勉強方法や参考書がわからないときは、すべてのカリキュラムが整っている通信講座やスクールを受講した方が、結果的に費用が抑えられる場合もあるでしょう。
記述式試験の対策が難しい
司法書士試験の記述式試験への対策が難しいことも、独学で試験対策を行うデメリットの1つです。
記述式試験は、択一式試験のように正解を選択する解答方法ではなく、自身で出題された問題の論点を理解して文章で解答しなければなりません。
例えば、過去問を自分で解いていても、記述式試験は正しく解答できているかを判断することが難しい傾向にあります。
記述式試験のコツや読み解き方、解答文の組み立て方などは、個人で身に付けることが難しいため、独学で学習する場合は対策が必要です。
司法書士試験に独学での受験が向いている人の特徴
司法書士試験対策を独学で行うのは、メリット・デメリットの両面があることをお伝えしました。
ここからは、司法書士試験対策を独学で行うのに向いている人の特徴を紹介します。
以下に該当する場合は、独学でも司法書士試験に合格できる可能性が高いでしょう。
スケジュール管理が得意
スケジュール管理が得意な人は、独学での司法書士試験受験に適しています。
試験当日までの時間から逆算し、今必要な勉強を計画的に進められるためです。
また、スケジュール管理が得意な人は、スケジュールに遅れが生じた場合も焦ることなく再調整し直すことができます。
計画的に勉強できる場面ばかりではないため、最終的に受験までに間に合うように調整できる能力があるため、独学でも合格を目指せるでしょう。
論点理解力が高く重要なポイントが見抜ける
独学での司法書士試験対策に向いている人は、論点理解力が高い特徴があります。
問題の趣旨や出題意図を正確に読み解き、頻出テーマや重要なポイントを見抜くことができるためです。
司法書士試験では、膨大な試験範囲の学習を進めなければなりません。
試験範囲すべてを記憶することは困難なため、試験対策では重要なポイントを押さえて学習を進める必要があります。
独学でこれを行うことは難しいですが、論点理解力が高い人は自然にポイントが理解できるため、独学のデメリットをカバーしながら学習を進められる点が特徴です。
文章を書くことが得意
文章を書くことが得意な人も、独学での司法書士試験対策に向いています。
択一式試験は、ある程度独学でも参考書をうまく活用すれば対策できますが、独学で難しいのは記述式試験の対策です。
記述式試験では、出題の意図を正確に把握し、自分の言葉で解答を論述する必要があります。
文章を書くことが得意であれば、極端に遠回りな言い回しになったり、必要な論点が不足することなく正確に解答できるでしょう。
過不足のない文章が書けることは、記述式試験で大きな強みになるため、独学での合格を目指す際のアドバンテージになります。
法律を学んだ経験がある
法律を学んだ経験があることも、独学での司法書士試験対策に向いている人に共通する特徴です。
法律は初学者には理解することが難しく、最初のスタート時点で挫折するケースも少なくありません。
しかし、法学部出身者やほかの法律系資格を取得している人であれば、基礎的な法律の学習をすでに終えているため、新たな分野の学習もスムーズに進められます。
独学での勉強において、法律を学んだ経験の有無は大きな差になるため、初学者と比べて独学での合格をつかみ取れる可能性も高くなるでしょう。
司法書士試験に合格するための独学勉強法
司法書士試験に独学で合格するためには、以下のコツを掴んでおくことをおすすめします。
- 最新の法律改正の内容に敏感になる
- スケジュールを立てる
- インプットとアウトプットの時間を設ける
- 模試を積極的に受ける
- 司法書士対策に特化した教材を選ぶ
- モチベーションの維持をする
以下で詳しく解説していきます。
独学勉強法①最新の法律改正の内容に敏感になる
司法書士試験に独学で合格したいのであれば、最新の法律改正の内容に敏感になることが大切です。
上述した通り、独学で勉強するとなればスクールに通っているひとよりも、最新の情報を手に入れる機会が少なくなります。
そのため常に新しい情報を手に入れるために、SNSやニュースなどで常に情報を検索することが大切です。
書籍では法律改正の内容を追いきれないこともありますから、インターネットからの情報収集を定期的に行いましょう。
独学勉強法②スケジュールを立てる
司法書士試験に独学で合格したいのであれば、スケジュールを立てて目標の合格日程に合わせて細かく行動を設定していく必要があります。
毎日どのくらいの勉強を進めるのか、現在の習熟度でペースは間に合うのかなど、様々な要素を考慮して勉強の計画を立てていきましょう。
細かくスケジュールを決めておくことで、日ごとに対応すべき勉強内容も明確になりますので、無駄なく勉強を進められます。
独学勉強法③インプットとアウトプットの時間を設ける
独学で学習するときには、インプットとアウトプットの時間を設けることも大切です。
基本書を参考に知識を詰め込んだ後は、学習内容が本当に定着しているのかを判断するために実際に問題を解いたり、アウトプットの時間を設けることが大切です。
アウトプットの機会がないと記憶に定着しませんから、ただ情報を詰め込んだだけにになってしまいます。
独学勉強法④模試を積極的に受ける
司法書士試験に合格したいのであれば、模試を積極的に受けることも大切です。
自宅でのインプットやアウトプットだけではなく、第三社からみた評価も取り入れていくと、現在の自分に何が不足しているのかを判断しやすくなります。
独学勉強法⑤司法書士対策に特化した教材を選ぶ
司法書士試験に独学での合格を目指すのであれば、司法書士試験対策に特化した教材を選ぶことが大切です。
比較サイトなどをチェックして、まずは自分にあった試験対策の書籍を選ぶことからスタートしましょう。
教材の選び方次第で、勉強の進捗やモチベーションが左右されることも十分にあります。
口コミだけではなく実際に自分で書店で手に取って確認してみることもおすすめします。
独学勉強法⑥モチベーションの維持をする
独学で司法書士の試験対策をするのであれば、モチベーションの維持の方法も検討しましょう。
司法書士の試験勉強は年単位ですすめますから、途中で挫折してしまう人も中にはいます。
長期間の学習でも継続して勉強できるように、自分が何をモチベーションに継続できるのかを確認しておくことをおすすめします。
司法書士の独学が難しいと感じたら司法書士対策講座がおすすめ
司法書士試験の学習を進めていたり、既に独学で何回も受験していて実らないという方も中にはいるでしょう。
これ以上司法書士の試験に独学で挑戦するのが難しいと感じたら、司法書士の対策講座を受講してみることも検討してみてください。
司法書士の対策講座を受講するメリットは以下の通りです。
- 効率的に司法書士試験に合格できる教材で勉強できる
- 専門講師からの指導を受けられる
- 最新の法改正の解説が受けられる
- 模試受験を踏まえた学習スケジュールを組んでくれる
以下で詳しく解説していきます。
効率的に司法書士試験に合格できる教材で勉強できる
司法書士試験の対策講座を受けることで、効率的に司法書士試験に合格できる教材で勉強できるメリットがあります。
市販されている司法書士試験のテキストでも、十分jン位試験範囲をカバーすることができます。
しかし最新の頻出項目に合わせた解説、より試験を意識した設問など実践的な内容になっていないことも十分にあり得ます。
専門の講座であればこれまでの傾向に合わせたテキストや問題集を用意していますから、効率よく最短合格できるよう環境が整えられているのです。
専門講師からの指導を受けられる
司法書士試験の専門講座を受講することで、より試験の傾向に詳しい専門の講師からの指導を受けられるメリットがあります。
各スクールの司法書士試験講座には、司法書士の資格を所持しているのはもちろんのこと、講師として受講生の合格実績が高い人が在籍しています。
独学で学習してわからないことは自己解決する必要がありますが、専門講師に相談することで最短で必要な回答を得られます。
専門講師からの指導を受けることで、効率的二不明点を解消できるため、わからないことに対するストレスを軽減した状態で勉強を進めることが出来るのです。
最新の法改正の解説が受けられる
司法書士の専門講座を受講することで、最新の法改正の解説が受けられるメリットもあります。
法律は年度によって差はあれど、改正が重なることもあり昨年と異なる条文に変更されていることも多いです。
最新の法改正の情報もスクール側は保有しているので、変更点や注意点等の解説を踏まえた対策をしてくれるのです。
独学で学習する場合、自分でアンテナを張って情報を収集する必要があります。
情報収集の手間も省けますので、学習に集中できる環境を提供してくれます。
模試受験を踏まえた学習スケジュールを組んでくれる
司法書士試験対策講座を受講することで、模試受験を踏まえた学習スケジュールを組んでくれるメリットもあります。
上述した通り、試験対策を進めるうえでインプットだけではなく、模試などの問題を解いてアウトプットするタイミングも定期的に設ける必要があります。
模試受験を踏まえた学習スケジュールを用意してもらえるので、スケジュールに沿って学習すれば効率的にインプットとアウトプットの習慣を身に着けることが可能です。
司法書士試験は狭き門だが独学合格も可能
この記事では司法書士になるにはどうすればいいのか?や司法書士試験の合格率や難易度等を紹介してきました。
司法書士になるには合格率3%の難関試験を突破しなければならず、独学では厳しそうでした。
しかし、独学での合格が不可能と言うわけではないので、一度司法書士試験の問題集を試してみるのが良いかも知れません。