「欠格事由って何?」「前科や執行猶予がある人は期間に関係なく行政書士になれないの?」と、欠格事由について気になっている人も多いのではないでしょうか。
欠格事由という用語は日常生活では耳にすることも少ないですが、行政書士を目指す人は絶対に知っておくべき用語です。
この記事では行政書士になるために知っておくべき、「欠格事由」について説明してきたいと思います。
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行政書士の主な業務内容とは?
そもそも行政書士とはどのような職業なのでしょうか。
行政書士の仕事内容を一言で表すと国に認められた書類作成のスペシャリストです。
行政書士は行政書士法に基づいて、官公署(市役所など公務員が所属している場所)に対しての書類作成や申請をしています。
行政書士が行う書類作成などは、顧客の代理人として書類関係の作業を円滑にしていく役割を担うことができる職業になります。
行政書士についてもっと知りたいという人は下記の記事を読んでみてはいかがでしょうか。
試験を受けずに行政書士になる方法もある?
あまり知られていませんが、公務員として20年以上もの期間、行政事務を経験している人は試験を受けなくても行政書士の資格を取得できます。
この20年以上という条件は中卒以上の人の条件であり、高卒の場合は17年以上で行政書士登録を試験を受けずに登録できます。
この制度は特認制度と呼ばれており、毎年、一定数の利用者がいるといわれています。
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アガルートアカデミーは行政書士試験や法律系の難関国家資格を得意としている通信講座です。
令和5年ではアガルートを受講していた人の合格率は、行政書士試験の合格率である全国平均の4.01倍である56.11%であり、さらに1発合格者は171名、勉強開始から1年以内の合格者実績が95.32%というデータがあります。
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行政書士は難易度の高い国家資格であることから独学は難しいため、アガルートの試験対策講座などの予備校を検討してみてはいかがでしょうか。
行政書士においての欠格事由とその期間は?
行政書士の欠格事由とは、行政書士法により定められたもので、行政書士になれない人の要件がまとめられているモノになります。
つまり、行政書士の欠格事由に当てはまっている人は資格を取得しても職業として就くことができないのです。
苦労して行政書士の資格を取得したところで欠格事由により行政書士になれない、なんてことになったら悲しいですよね。
そうならないために行政書士法に記載されている欠格事由の8種類とその有効期間を紹介していきます。
行政書士法の第2条には、下記に該当する者は行政書士になる資格がない者と記載されています。
行政書士法第2条の内容
- 未成年者
- 成年被後見人又は被保佐人
(日常生活の買い物や管理、理解能力が乏しく援助必要な人) - 破産した状態で復権を得ないもの
(破産している人) - 禁錮以上の刑に処されたもので、執行猶予がなくなってから3年の期間が経過していない人
- 公務員で懲戒免職処分を受けてから3年の期間が経過していない人
- 登録取り消し処分を受けて3年の期間がたっていない人
- 行政書士の業務を禁止されて3年の期間がたっている人
- 他士業で処分をうけた人
行政書士法に記載されている欠格事由で、業務の禁止・処分や前科・執行猶予などは例外を除き3年の期間が経過することで、再度、行政書士として働いていけることが分かります。
1.未成年者
行政書士法の欠格事由により、20歳未満の未成年の人は行政書士に登録をすることはできません。
しかし、行政書士試験自体は受験することができ、合格することができた場合はその資格は生涯有効になるので、20歳以降はいつでも自分のタイミングで開業することができるようになります。
行政書士を目指していない場合でも、就職活動や職場などでも大きな武器として利用できるのではないでしょうか。
2.成年被後見人又は被保佐人
「成年被後見人又は被保佐人」というのは、日常生活に必要な能力が足りず、生活に支障をきたしてしまう人が成年後見制度に則り保護する人に生活を保護してもらう人のことを指します。
これらに当てはまる人たちは登録した期間に関係なく欠格事由の取り決めにより、行政書士になることはできません。
成年被後見人又は被保佐人は以下のように分かれています。
自己の行動がもたらす結果の予測能力 | 資産管理能力 | 自己の大きな金額を動かす際の能力 | |
---|---|---|---|
被補助人 | 不十分 | 援助が必要な可能性有 | できるかもしれないが、不安がある。 |
被保佐人 | 著しく不十分 | 常に援助が必要 | 日常の買い物以上の買い物や契約はできない |
成年被後見人 | 全く理解できていない状態 | 自分ではできない状態 | 自分ではできない状態 |
表のように分かれている成年被後見人又は被保佐人に登録している人は行政書士として働くことができません。
この成年被後見人又は被保佐人は一度登録してしまうと解除することができない制度であるため、いくら期間が経っても行政書士は目指せないと決められています。
しかし、特例として被補助人は制限行為能力者のなかで唯一、行政書士になることができます。
3.破産した状態で復権を得ない人(破産している人)
破産者で復権を得ない人も欠格事由により、行政書士になることはできません。
これには自己破産も含まれており、破産した際に資格制限が設けられてしまいます。
この資格制限を解除するには、「復権」と呼ばれる制度を利用することが必要であり、「復権」をすることで自己破産していた人でも再び行政書士を目指すことができるようになります。
4.公務員で懲戒免職処分を受けてから3年の期間が経過していない人
公務員時代に懲戒免職処分をされている場合は欠格事由により、懲戒免職処分を受けてから3年の期間が経過するまでは、行政書士になることはできません。
これは、特定地方独立行政法人や行政執行法人などで働いていた職員も例外なく含まれます。
5.前科の執行猶予がなくなってから3年の期間が経過していない人
欠格事由により、禁錮刑以上の刑罰に処された前科がある場合は刑罰の執行猶予が終わってから3年の期間が経過するまで、行政書士として働くことができません。
欠格事由にあるこの事項を理解するには「禁錮刑以上の刑罰」に含まれている内容を知る必要があります。
欠格事由にある、「禁錮刑以上の刑罰」にはどういったものが含まれているのでしょうか。
禁錮刑以上の刑罰って何?
現在の日本にある刑罰には禁錮、拘留、死刑、懲役、罰金、科料の6種類があり、その中でも禁錮刑以上に該当する刑罰は禁錮刑、懲役刑、死刑の3つになります。
禁錮刑以上の刑罰から3年の期間が経過していない人でも、行政書士試験に合格することで資格を手に入れることは可能です。
行政書士の資格は無期で有効な資格であるため、資格を保有していれば禁錮刑以上の刑罰を受けてから3年の期間、経過してから開業できるようになります。
前科と前歴の違い
ここで分かりづらいのが、「逮捕=前歴=前科」ではないということです。
過去に捜査機関から取り調べや逮捕等の“捜査”をされただけなら「前歴」、それに対して捜査機関に起訴され、有罪判決を受けてしまった場合には「前科」となります。
つまり、逮捕された際に捜査や取り調べを受けるだけなら「前歴」であり、“前歴=前科”ではありません。
そのため先ほど挙げたように、ただ逮捕され、取り調べを受けただけという状況であれば、「前科」ではなく「前歴」になるため行政書士資格になれない、といった心配はないのです。
前歴と前科はここが違う!
- 前歴
- 逮捕や捜査の対象になった際に付くもの。
- 前科
- 前歴の段階からさらに、起訴・有罪判決を受けた際に付くもの。
6.行政書士の業務を禁止されて3年以内の人
行政書士が規則に違反した場合や業務に重大な非行があった場合には、都道府県知事から戒告・2年以内の業務の停止・業務の禁止処分を言い渡されることがあります。
行政書士法の第14条により、上記で挙げた処分の中でも業務の禁止処分になってしまった場合は、その処分の日から3年の期間が経過するまで行政書士として働くことができなくなってしまいます。
登録取り消し処分を受けて3年の期間がたっていない人
行政書士法の第6条により、行政書士の登録を不正におこなった人で登録取り消し処分を受けた人は、処分を受けた日から3年の期間が経過するまで行政書士として働くことができません。
欠格事由により、登録取り消し処分となる人は日本行政書士連合会から書面で通達されるそうです。
8.他士業で処分をうけた人
弁護士・公認会計士税理士司法書士・土地家屋調査士・社会保険労務士、のいずれかで処分を受けてしまっている場合、その処分を受けた日から3年の期間が経過するまでは欠格事由に該当するため行政書士になることはできません。
行政書士の資格は生涯有効であるため、他士業で処分を受けてしまった場合でも3年の期間が経過することでまた行政書士として働くことができるようになります。
行政書士の欠格事由の条件や期間まとめ
ここまでで上述したそれぞれの欠格事由で定められた期間や条件をまとめてみました。
それぞれの欠格事由から登録できるようになれる条件まとめ
- 未成年者
- 資格の取得は可能。行政書士資格を取得していれば20歳以上から登録可能に。
- 成年被後見人又は被保佐人
- 被補助人であれば登録可能に。
- 破産した状態で復権を得ない人
- 復権することができれば登録可能に。
- 禁錮以上の刑に処された人で、執行猶予がなくなってから3年の期間が経過していない人
- 執行猶予が3年の期間が経過すれば登録可能に。
- 公務員で懲戒免職処分を受けてから3年の期間が経過していない人
- 懲戒免職処分から3年の期間が経過すれば登録可能に。
- 登録取り消し処分を受けて3年の期間が経過していない人
- 登録取り消しから3年の期間が経過すれば登録可能。
- 行政書士の業務を禁止されて3年の期間が経過していない人
- 業務の停止・禁止処分から3年の期間が経過することで登録可能に。
- 他士業で処分をうけた人
- 他士業で処分を受けてから3年の期間が経過したら再度登録可能に。
過去に執行猶予や前科、処分を受けてしまっている場合でも基本的に全て3年の期間が経過することで登録可能になるため行政書士資格を諦める必要はありません。
むしろ、行政書士資格を目指す人で欠格事由に当てはまっている人は、欠格事由期間を資格取得するための勉強時間と考えることができるのではないでしょうか。
欠格事由以外で行政書士になれない理由とは?
行政書士を目指している人の中には、欠格事由以外で行政書士になれない可能性について気になる人もいると思います。
欠格事由以外の理由で行政書士になれないなんてことはほとんどありませんが、資格試験に合格後に行う履歴書での審査でごく稀に拒否されてしまう場合があります。
行政書士試験に合格後に行う行政書士登録の際に提出する履歴書で登録拒否される項目に該当する、第18条の4に記載されている内容は以下の通りです。
行政書士法第18条の4に記載されている内容
- 行政書士の信用又は品位を害するおそれがある者その他行政書士の職責に照らし行政書士としての適格性を欠く者
- 心身の故障により行政書士の業務ができない者
履歴書を提出した際に資格審査会に以上の項目に当てはまると判断された場合は行政書士の登録拒否をされる可能性があります。
しかし、この点において登録拒否されることはほとんどないため、基本的に心配する必要はありません。
履歴書の提出時に登録拒否される可能性は極めて低いですが、行政書士を副業として活動しようとした際には行政書士法にある適格性を欠く者として登録拒否される可能性があります。
副業行政書士は欠格事由に該当する?
行政書士の副業は官公署が平日しか営業していないことからも本職との両立が難しいとされいます。
そのため、履歴書に副業で行政書士を始めようとしている旨を記載すると行政書士法18条から業務を正常に行えない=適格性を欠く者と判断され、登録拒否されてしまう場合もあるそうです。
しかし、行政書士の仕事と本職の仕事を両立できるのであれば、副業として行政書士を始めても特に問題はないかと思われます。
行政書士を副業で始めようと考えている人は本業と行政書士の仕事を無理に両方こなそうとして本末転倒にならないように注意しましょう。
行政書士法にある適格性を欠く者って何?
- 適格性を欠くの意味の中には、職務の円滑な遂行に支障がある、又は支障を生ずる者という内容も含まれる。
行政書士の欠格事由|まとめ
行政書士においての欠格事由は行政書士法によって行政書士になれない人の要件をまとめたものでした。
行政書士は基本的に前科や執行猶予があっても、3年の期間が過ぎていれば職業として始めることが可能であり、欠格事由以外で行政書士への登録拒否される可能性は極めて低いです。
欠格事由に当てはまっている人でも行政書士の試験は誰でも取得可能であり、行政書士の資格は生涯有効になります。
欠格事由に該当している人で、これから行政書士を目指そうと考えている人はキャンペーン期間中の今!アガルートの通信講座を利用して効率的に学習を始めてみるのはいかがでしょうか。