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臨床心理士資格の難易度と合格率は?指定大学院の偏差値・倍率まで解説!

更新日:2022-09-29

臨床心理士資格の難易度と合格率は?指定大学院の偏差値・倍率まで解説!

臨床心理士は心理的な病を抱えた人を支援し、回復に導く専門職として昨今注目を浴びるようになった資格です。

この記事では、今後益々注目度が上がると想定される「臨床心理士」について、具体的な資格取得までのステップや試験の合格率、合格難易度について解説します。

また、あわせて資格取得後のメリットや実際に勤務する上での給与水準についても紹介します。

この記事を読んで臨床心理士への理解が深まり、資格取得に向けてチャレンジする方が増えれば幸いです。

臨床心理士試験の受験資格

チェックする手

臨床心理士資格を取得するには臨床心理士試験の受験資格を満たし、試験に合格する必要があります

日本臨床心理士資格認定協会では、臨床心理士試験の受験資格を以下の4つにまとめています。

  • 指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を充足している者
  • 臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した者
  • 諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後の日本国内における心理臨床経験2年以上を有する者
  • 医師免許取得者で、取得後、心理臨床経験2年以上を有する者 など
  • 日本臨床心理士資格認定協会

    これらの受験資格を満たす方法について、以下で詳しく掘り下げていきます。

    臨床心理士の受験資格を得るための大学院

    臨床心理士を目指すには、日本臨床心理士資格認定協会に認定された大学院を修了し、試験の受験資格を得るのが王道のルートになります。

    また一括りに「大学院」と言っても「第一種大学院」「第二種大学院」「専門職大学院」の3つに分類ができます。

    それぞれの大学院の特徴は以下の通りです。

    種類第一種大学院第二種大学院専門職大学院
    課程修士課程修士課程専門職学位課程
    修業年数2年2年2年
    修了要件・臨床心理士養成に特化した26単位以上

    ・修士論文作成
    ・臨床心理士養成に特化した26単位以上

    ・修士論文作成
    ・臨床心理士養成に特化した44単位以上
    学位修士(心理学)修士(心理学)臨床心理修士(専門職)
    大学院数
    ※R4年6月
    150校8校5校
    修了後大学院修了後、

    受験資格が得られる
    大学院修了後、

    1年以上の臨床経験後に受験資格が得られる
    大学院修了後、

    受験資格が得られる

    一次試験の小論文が免除

    上記3種類の大学院の過程を修了することで臨床心理士試験の受験資格が得られますが、専門職大学院が最も優位で「修了後に受験資格が得られ且つ小論文が免除」されます。

    ただし専門職大学院は、全国に5校しかなく、カリキュラム量が最も多いという特徴があります。

    一方大学院数の多さから分かる通り、最も一般的なのは第一種大学院を修了して、受験資格を得るルートです。

    ただし、カリキュラム内容・難易度・地域等を考慮した上で、自分自身にあった大学院を選ぶ事が大切です。

    日本臨床心理士資格認定協会のサイト内で、認可された大学院の一覧が確認できますので、こちらも参考にご覧ください。

    出典:「臨床心理士受験資格に関する指定大学院・専門職大学院一覧

    臨床心理士に関する指定大学院の偏差値と倍率

    受験資格を得るために大学院修了が必須となれば、気になるのが大学院進学の為の偏差値や難易度ですよね。

    各大学院進学の為の基準は明確には公開されていないものの、偏差値50~60程度が水準と言われており、受験倍率も1倍代~4倍以上と大学院によって大きな差があります。

    各大学院、1校当たりの入学定員数が少ないため、倍率差も大きくなる傾向にあります。

    入学の為の難易度は大学院により千差万別ですので、自分自身の希望と難易度をうまく天秤に掛けながら検討することが大切です。

    臨床心理士の試験内容と試験時間

    試験の答案用紙

    臨床心理士試験では、筆記での一次試験、面接での二次試験に合格する必要があります。

    臨床心理士試験は年に1度の開催で、例年一次試験が10月、二次試験が11月に行われています。

    以下は令和4年度の受験スケジュールです。来年度の試験日程の参考にご覧ください。

    • 受験申込:令和4年7月5日~令和4年8月12日
    • 一次試験:令和4年10月15日(土)
    • 二次試験:令和4年11月12日(土)、13日(日)、14日(月)
    • 合格発表:令和4年12月下旬

    なお一次試験、二次試験は例年東京都内で実施されている為、地方にお住まいの方は宿泊の準備等にご注意下さい。

    令和4年度の試験会場は一次試験が東京ビッグサイト、二次試験が東京国際フォーラムでした。

    臨床心理士試験の一次試験の内容

    臨床心理士試験の一次試験は、筆記試験で以下の試験構成になっています。

    • 100題のマークシートによる「多肢選択方式試験」(2時間30分)
    • 定められた時数の範囲無いで論述する「論文記述試験」(1時間30分)

    なお一次試験では、上記2つの試験を同日内で行います。

    「多肢選択方式試験」は、臨床心理士として最低限理解しなければならない専門基礎知識を問う問題を中心とした構成です

    傾向として、専門知識の単なる暗記ではなく、臨床実践において活かせる総合的な知識が身についているかが問われます。

    「論文記述試験」は、心理臨床に関する1題のテーマについて、1,001字以上1,200字以内の範囲で論述記載する事が求められます

    3.臨床心理士試験の二次試験

    臨床心理士試験の一次試験で成績が一定の水準に達している人のみ、二次試験に進む事ができます。

    二次試験は、2名の面接委員による「口述面接試験」となっており、個別に10分~15分程度です。

    「口述面接試験」では単に知識や技術の習得度を確認するだけなく、臨床心理士としての基本的な姿勢や態度、人間関係能力を問うような内容となっています。

    内容は個別に違いますが、以下のような内容を5問~10問程質問されます。

    • 一次試験を終えての感想
    • 大学院ではどのような事を学んだか
    • 臨床心理士を取得したら、どのような専門家になりたいか
    • 現職の内容や取り扱っているケースの内容
    • 自分自身のこれからの課題 等

    ご覧いただくと分かる通り、特別な事を質問される訳ではなく、一般的な面接に近い内容となっています。

    なお二次試験は例年候補日が2~3日ありますが、日時指定で二次試験の案内が届く為、自分で日時指定はできません。

    臨床心理士試験の受験者数と合格率

    チェックする

    臨床心理士は受験資格を得るハードルが高い資格ですが、当然ながら肝心の資格試験にも合格しなければ「臨床心理士」を名乗る事はできません。

    こちらでは直近10年の臨床心理試験の受験者数並びに合格者数の推移についてまとめました。

    年度受験者数合格者数合格率
    平成24年

    2,812人

    1,663人

    59.1%

    平成25年

    2,804人

    1,751人

    62.4%

    平成26年

    2,664人

    1,610人

    60.4%

    平成27年

    2,590人

    1,601人

    61.8%

    平成28年

    2,582人

    1,623人

    62.9%

    平成29年

    2,427人

    1,590人

    65.5%

    平成30年

    2,214人

    1,408人

    63.6%

    令和1年

    2,133人

    1,337人

    62.7%

    令和2年

    1,789人

    1,148人

    64.2%

    令和3年

    1,804人

    1,179人

    65.4%

    直近で行われた臨床心理士試験の合格率は60%~65%で安定している事がわかります。

    臨床心理士試験は合格の基準点を「非公開」としており、明確な合格基準点が定められている訳ではありません。

    ですが、例年合格率が60%以上と安定しているため、上位60%~65%以上に入ると合格を見込めると考えられます。

    臨床心理士試験の受験者数の推移

    上記受験者数の推移からは、以下の傾向を読み解く事ができます。

    • 例年受験者数2,000名前後だが、直近10年で受験者は減少傾向
    • 特に令和2年からは、受験者数の減少幅が大きい

    日本では少子化の流れから臨床心理領域に関わらず、直近10年で大学院への入学者数は減少傾向にあり、それが受験者数にも影響していると考えられます。

    また令和2年以降の落ち込みについては、新型コロナウイルスによる一次的な減少と想定されますが、これは別の資格試験等でもよく見られる傾向です。

    受験者数が減少傾向であっても、合格率は60%~65%程度と安定しているため、難易度自体に変化はないといえるでしょう。

    臨床心理士試験の合格率からみる難易度

    悩む科学者

    前述の通り臨床心理士試験の合格率は60%~65%程度です。

    この合格率の数字だけを見ても、実際どれほど難しい試験なのかイメージが湧きづらいかと思います。

    そこでこちらでは試験の合格基準点合格までに必要な勉強時間を確認し、臨床心理士試験の難易度について解説していきます。

    臨床心理士試験の合格基準

    前述の通り、臨床心理士試験では合格基準点が「非公開」となっています。

    明確な合格基準点がないのは、受験者目線では目標設定がしづらいデメリットになるかもしれませんが、毎年の試験難易度に左右されず、自分自身の試験勉強の結果が反映されやすいとも捉えられます。

    また
    、合格率が60%~65%と安定している為「受験者の上位60%以上に入れば合格できる」というある程度の基準を設けることもできます。

    「受験会場にいる人の半分以上が合格できる」と考えれば、試験にも自信を持って望む事ができるでしょう。

    ただし1点注意が必要です。

    臨床心理士試験の会場には、自分と同様に大学院過程を修了し、しっかり学んできたライバルしかいません。

    そうした観点では60%の合格率に油断するのでなく、しっかり準備して試験に挑む必要があるのは言うまでもありません。

    臨床心理士試験の合格に必要な勉強時間

    全く知識の無い人が一から勉強して、臨床心理士の試験に合格しようとすると3,000時間以上の学習時間が必要だと言われています。

    ただし、臨床心理士試験の受験資格となる大学院過程で基礎を学べることを考慮すると、計180時間~360時間程度の勉強時間が1つの合格目安となります。

    この計180時間~360時間の勉強時間は、毎日3時間の勉強で、2ヵ月~4ヵ月程度の学習期間がかかる計算になります。

    2ヵ月と聞くと短いように感じますが、臨床心理士の試験は出題範囲が広く網羅性が問われますので、大学院でしっかり土台を固めつつ、試験勉強は毎日コツコツと継続して行うことが合格への近道です。

    臨床心理士試験を独学で合格する方法については以下の記事で詳しく解説しておりますので、気になる方は是非あわせてご覧ください!
    臨床心理士の資格を独学で取得するには?

    臨床心理士の資格を取得するメリット・給料や年収

    嬉しい女性

    臨床心理士は、大学院過程を修了してから試験に合格する必要があり、資格取得のハードルがかなり高いといえますが、そこまでの時間や労力をかけて取得するメリットはあるのでしょうか?

    こちらでは臨床心理士資格を取得するメリットや、取得後の給料・年収、やりがいなどどのような未来が待っているのか解説していきます。

    臨床心理士を取得するメリット

    心理カウンセラーなどの専門職として活躍する為には、悩みを抱える相談者からの信用・信頼を得て、一緒に問題解決に向けて取り組んでいく必要があります。

    「臨床心理士」という資格を取得することで、臨床心理学に基づく知識や技術が身についている証明になりますので、相談者や雇用主からの信用が得やすいといえるでしょう。

    人の悩みやこころの病は、怪我や病気と違い医者でも薬でも治すことはできず、本人でさえ自分の悩みに気づいていないこともあり、問題を解決するのは非常に難易度の高いことです。

    臨床心理士資格を持つカウンセラーが企業や病院、学校などの施設に在籍し、このようなこころの病を抱えた方の問題を解決に導くことが求められています

    臨床心理士の給与や年収

    臨床心理士がやりがいのある、世間に求められている職種なのは言うまでもありません。

    ただそうは言っても、資格取得後の給与は気になるところです。

    一般的に臨床心理士の年収水準は350万~500万円程度といわれており、その他の職業比でも平均水準といえます。

    今後の推移については不明瞭ながらも、世間的に心理的なケアが必要な人が増える背景下では臨床心理士資格の価値は高まり、給与水準が引き上がることも期待できるかも知れません。

    また臨床心理士としての勤務場所としては、病院やクリニック、学校でのスクールカウンセラー、企業内でのカウンセラー、心理学者等多岐に渡り、勤務地によっても給与が大きく変わってきます

    国家公務員、地方公務員いずれにも心理系職種の募集があり、公務員として長く勤める事で民間機関で勤務するよりも100万円以上年収が高くなるケースもありますので、臨床心理士資格所有者の給与・年収は今後も安定すると考えられます

    前述したスクールカウンセラーや心理学者の仕事内容や学生からの相談内容について詳しく知りたい方は、以下の記事も是非あわせてご覧ください!
    スクールカウンセラーの仕事や心理相談の内容を確認する!
    心理学者の仕事内容は?年収やなる方法を確認する!

    臨床心理士としてのやりがい

    昨今は心の病気や不調について世間の理解が進み、こうした悩みを抱えている人の声を耳にする機会が多くなりました。

    ただその一方で目に見えづらい症状だけに、悩みを抱えた当事者やその周囲の人も症状に対してどのように向き合えば良いのかなかなか分からないものです。

    こうした不安と闘っている人にとって、臨床心理士をはじめとした心理学に精通した専門職の存在ほど頼もしいものはありません

    専門職としてサポートし、こうした人の悩みや不安を軽減して元気を取り戻し人生を豊かにする手助けができれば、それはきっと大きなやりがいになるでしょう。

    「人は人に感謝されることで輝く」といいますが、人の心の悩みに深く関わって課題解決に導く臨床心理士としての仕事は正にその言葉通り、相手だけでなく自分自身を輝かすことができる職種と言えるかも知れません。

    臨床心理士の将来性について詳しく知りたい方は以下の記事も是非あわせてご覧ください!
    臨床心理士の将来性について確認する!
    臨床心理士の独立開業について確認する!

    臨床心理士試験の合格率・難易度|まとめ

    臨床心理士試験の合格率・難易度|まとめ

    • 臨床心理士試験受験には指定大学院の修了が必要
    • 臨床心理士試験の合格率は60%~65%
    • 合格までの学習時間は180時間~360時間
    • 臨床心理士はやりがいのある仕事
    • 臨床心理士の年収は350万円~500万円

    臨床心理士の資格取得の為には、試験合格以前に受験資格を得るための大学院過程を修了するという大きなハードルがあります。

    このハードルをしっかり乗り越え大学院で基礎学習を深めることで、臨床心理士試験合格への道は大きく広がります。

    ストレス社会と言われ、心理的な病を抱える人の多い今の日本だからこそ、臨床心理士が活躍するフィールドはたくさんあります

    実際に心理的な病を抱える方の現状や支援体制について学びを深め、こうした人をサポートしていきたいと感じる人は、臨床心理士を取得して自分自身を輝かせる事にチャレンジしてみてはどうでしょうか。

    臨床心理士試験の難易度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も是非あわせてご覧ください!
    臨床心理士の難易度は?公認心理師との違いを確認する!