土地家屋調査士は、不動産の調査や測量を行う、不動産登記のプロフェッショナルです。
土地家屋調査士は国家資格の一つですが難易度が非常に高いことでも知られており、合格には長期間の学習を要します。
土地家屋調査士の難易度はいったいどれくらいなのか、他の資格との比較ランキングや試験内容から紐解いていきましょう!
また、土地家屋調査士試験対策におすすめの予備校・通信講座もご紹介しますのでそちらもあわせてご覧ください。
土地家屋調査士試験におすすめの通信講座
目次
土地家屋調査士とは

土地家屋調査士とは、不動産の登記に関わる業務を行う資格であり、8士業の一つに数えられます。
登記とは不動産の詳細を記したもので、住所や所有者などが記載されており、請求すればだれもが見ることができます。
不動産の登記のうち不動産の大きさや形、物理的な要素の状況をあらわすものを「表示に関する登記」といい、これは土地家屋調査士の独占業務です。
他に「権利に関する登記」も存在しますが、こちらに関する業務は司法書士が担っています。
重要な資産の一つである不動産を扱う、私たちの生活になくてはならない職業が土地家屋調査士です。
土地家屋調査士の仕事内容
日本土地家屋調査士会連合会によると、土地家屋調査士の仕事内容は以下の5つです。
- 不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査及び測量をすること。
- 不動産の表示に関する登記の申請手続について代理すること。
- 不動産の表示に関する登記に関する審査請求の手続について代理すること。
- 筆界特定の手続について代理すること。
- 土地の筆界が明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続について代理すること。
表示に関する登記の申請は土地所有者の義務であり、2と3の業務は本来所有者が行わなければなりません。
しかし手続きには専門知識が必要なため、土地家屋調査士が代理して仕事を行います。
また、土地の境界をはっきりさせるためや土地の境界に関するトラブルが起きたときに、その手続きや解決を代理するのも土地家屋調査士の仕事です。
土地家屋調査士はデスクワークとフィールドワークの両方をこなす必要があり、土地所有者の都合により土日や深夜・早朝に働くこともあります。
なかなかハード仕事ですが、「表示に関する登記の申請手続き代理」は土地家屋調査士の独占業務であり、この業務は社会に「土地」がある限りなくなることはありません。
土地家屋調査士試験の難易度

土地家屋調査士になるには、年に一度行われる土地家屋調査士試験に合格しなくてはなりません。
この試験の難易度が高く、合格率は毎年1桁台となっています。
土地家屋調査士試験の試験内容・合格率をを見ていきましょう。
土地家屋調査士試験の試験内容
土地家屋調査士試験は、年齢、学歴など不問で誰でも受験できる資格試験です。受験資格がないため資格取得に挑む難易度はそこまで高くはありません。
試験は筆記試験と口述試験のに分かれており、筆記試験は相対評価で上位400名ほどが合格、筆記試験の合格者のみが口述試験に進めます。
筆記試験は午前の部と午後の部に分かれていますが、一部資格を所有していることで午前の部の試験を免除することも可能です。
試験の免除制度については後述いたします。
受験資格 | なし(誰でも受験可) | |
---|---|---|
試験日 | 筆記試験:10月第3週の日曜日 口述試験:1月中旬(筆記合格者のみ) |
|
今年の試験日 | 筆記試験:2023年10月15日(日) 口述試験:2024年1月25日(木) |
|
試験内容 | 筆記試験 |
午前の部:平面測量10問 作図1問 |
午後の部:[択一]不動産登記法・民法他から20問 [書式]土地・建物から各1問 |
||
口述試験 | 1人15分程度の面接試験 | |
願書配布・受付 | 7月下旬〜8月中旬 | |
試験会場 | 東京・大阪・名古屋・広島・福岡・那覇・仙台・札幌・高松 |
参考:日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士を目指す方へ」
土地家屋調査士試験の合格率
土地家屋調査士試験の合格率は例年8%〜10%といったところです。
受験者数は徐々に減少しておりますが合格者数は400名程度となっているため、相対的に合格率は徐々に上がっています。
土地家屋調査士試験は難関試験であり、「合格率の上昇=試験が簡単になっている」というわけではありません。
試験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2013年 | 4,700人 | 412人 | 8.8% |
2014年 | 4,617人 | 407人 | 8.8% |
2015年 | 4,568人 | 403人 | 8.8% |
2016年 | 4,506人 | 402人 | 8.9% |
2017年 | 4,600人 | 400人 | 8.7% |
2018年 | 4,380人 | 418人 | 9.5% |
2019年 | 4,198人 | 406人 | 9.7% |
2020年 | 3,785人 | 392人 | 10.4% |
2021年 | 3,859人 | 404人 | 10.5% |
択一式試験と記述式試験の合格率
土地家屋調査士試験には択一式試験と筆記試験があり、択一式試験に合格しないと筆記試験に進むことはできません。
択一式試験と筆記試験のそれぞれの合格率を見てみると、択一式試験に合格できるのは受験者の半数程度、さらに筆記試験に合格できるのは15%強程度となります。
さらに最終合格率は8%〜10%程度となるため、どの試験も簡単に合格することはできないことがわかります。
試験年度 | 択一式試験合格率 | 記述式試験合格率 | 最終合格率 |
---|---|---|---|
2013年 | 44.1%(1,890人) | 16.7%(784人) | 8.8%(412人) |
2014年 | 44.0%(2,029人) | 14.6%(676人) | 8.8%(407人) |
2015年 | 49.3%(2,250人) | 14,8%(675人) | 8.8%(403人) |
2016年 | 49.3%(2,250人) | 16.1%(725人) | 8.9%(402人) |
2017年 | 43.7%(2012人) | 13.9%(638人) | 8.7%(400人) |
2018年 | 51.5%(2,256人) | 16.5%(722人) | 9.5%(418人) |
2019年 | 49.8%(2,090人) | 17.5%(736人) | 9.7%(406人) |
2020年 | 49.9%(1,890人) | 15.3%(580人) | 10.4%(392人) |
土地家屋調査士の難易度ランキング!他資格試験と比較

土地家屋調査士試験について知れたところで、土地家屋調査士試験はどれくらい難しいのか、ランキング形式で他の資格と比較してみましょう。
今回は、土地家屋調査士と同じ不動産・建築関係の資格と8士業を「偏差値」という基準でランキングにします。
偏差値は本来同じ試験内で算出されるものであり、試験内容や形態、受験者の属性が違う資格同士を比較することはできません。
しかし「資格の取り方」というサイトでは各資格を総合的に判断し、「偏差値」という形でランキングを作成しています。
上記サイトを参考に、土地家屋調査士の難易度をランキング形式で比較しました。
土地家屋調査士と他の不動産・建築関係資格をランキング形式で比較
不動産・建築関係の資格をランキング形式で比較すると、土地家屋調査士は3番目に難しい資格となりました。
偏差値64は高校や大学の場合でも十分難しく、難関試験であることがわかります。
土地家屋調査士より上位に位置する不動産鑑定士は数ある資格の中でもトップクラスに難しく、一級建築士は長い実務経験を経なければ取得できません。
取得条件は試験合格だけにも関わらず偏差値64の土地家屋調査士試験は、難関試験と言えます。
順位 | 資格名 | 偏差値 |
---|---|---|
1位 | 不動産鑑定士 | 74 |
2位 | 一級建築士 | 66 |
3位 | 土地家屋調査士 | 64 |
4位 | マンション管理士 | 62 |
5位 | 管理業務主任者 | 58 |
6位 | 宅地建物取引士 | 57 |
7位 | 二級建築士 | 56 |
8位 | 土地区画整理士 | 53 |
8位 | 地質調査技士 | 53 |
10位 | 競売不動産取扱主任者 | 50 |
土地家屋調査士と8士業をランキング形式で比較
8士業とは、職務上請求権が認められている士業のことを指し、土地家屋調査士もこの1つに数えられます。
業務で関わることの少ない職種もありますが、よく一緒に挙げられる士業ですのでこちらもランキング形式で見てみましょう。
土地家屋調査士は8士業の中では低いランキングとなり、7位に位置しています。
しかし8士業はいずれも難関試験であり、偏差値は60を超えています。
このランキングで「土地家屋調査士は簡単だ」と思うことはせず、万全の対策をとることが必要だといえるでしょう。
順位 | 資格名 | 偏差値 |
---|---|---|
1位 | 司法試験 | 77 |
2位 | 司法書士 | 76 |
3位 | 税理士 | 75 |
3位 | 弁理士 | 75 |
5位 | 社会保険労務士 | 65 |
5位 | 海事代理士 | 65 |
7位 | 土地家屋調査士 | 64 |
8位 | 行政書士 | 62 |
土地家屋調査士の難易度はなぜ高い?

土地家屋調査士を試験の合格率や他資格とのランキングで見てきましたが、土地家屋調査士の難易度は高いといえます。
それでは、なぜ土地家屋調査士の難易度は高いのかを細かく分析していきましょう。
作図・計算の能力が必要
土地家屋調査士試験では法律知識を問われる問題の他に、作図・計算の問題が出題されます。
作図・計算のレベル自体は高難度ではありませんが、三角関数や複素数といった能力が必要となります。
正確性が必要な上、素早く描き能力も求められます。
法律に関する知識のみを押さえれば問題ない試験と違う点が、土地家屋調査士試験の難易度が高い理由です。
試験時間が短い
土地家屋調査士試験の午後の部は2時間半となっています。
時間だけ見ると長いように思えるかもしれませんが、この時間内に20問の択一問題、申請書を2件、計算問題、3つ以上の作図を解かなくてはなりません。
これら全てに十分な時間を当てることはできないため、ペース配分や切り捨ても考えなくてはなりません。
図面をかけずに終わってしまう方もいるため、試験時間の短さも土地家屋調査士試験の難易度を上げている要因の一つです。
足切り制度が存在する
土地家屋調査士試験の筆記試験には基準点と合格点が存在します。
例えば、2021年の試験では最低でも択一式は32.5点、記述式は30.5点とる必要があり、合格するには合計で73.5点以上が必要でした。
基準点は平均点よりも高いため、平均点以上を取らないと確実に不合格となります。
合格する人数も概ね決まっており、一定ライン以上の実力でないと採点されない点も難しいといえるでしょう。
初心者は民法の対策が難しい
土地家屋調査士試験では民放が出題されます。
民法の範囲は「総則」「物権」「相続」の分野から各1題となっており、出題はわずか3問ながら学習範囲が広くなっています。
法律の初学者は民法の対策をとることが難しく、親しみのない言葉や概念に悩まされます。
法律の学習経験がある方にはそれほど難問ではない分、民法は土地家屋調査士試験の難易度を上げています。
土地家屋調査士の難易度を少しでも下げるには

土地家屋調査士試験はさまざまな要因が重なり、難易度の高い試験となっています。
ただがむしゃらに学習をしていても、試験に合格するのは難しいでしょう。
土地家屋調査士試験の合格に近づくためには、以下のようなことに着目して学習を進めていくことが大切です。
択一の民法から取り組む
特に初学者は、択一の民法から取り組むことをおすすめします。
民法の概念を理解しておくことで、不動産登記法など不動産に関わる法律も理解しやすくなります。
民法はボリュームもあるため、先に学習しておくことで他の学習に時間を割くことができます。
過去問を積極的に解いていく
学習は先にインプットを済ませるべきと思いがちかもしれませんが、おすすめは論点を一つ学ぶたびに過去問を解いてみることです。
ここで必要なのは間違えないことではなく、出題のされ方や問われ方を知ることです。
過去問を知ることで、インプットの際にもどう抑えるべきかがわかるようになります。
テキストで学んだら過去問を解く、というサイクルを習慣づけるようにしましょう。
電卓や定規に慣れておく
書式の問題では電卓や定規といったツールを使用します。
限られた時間で問題を解かなくてはならないため、ツールを適切に、かつ素早く使えるようになることが大切です。
ツールに慣れてきたら過去問に取り組み、一問一問丁寧に取り組んでいくようにしましょう。
午前の部の試験免除を受ける
土地家屋調査士試験の午前の部は2時間あり、試験内容が難しく、テキストや問題集が少ないため対策が取りづらくなっています。
しかし午前の部は、「測量士」「測量士補」「一級建築士」「二級建築士」いずれかの資格を持っていることで免除されます。
受験生のほとんどはこの制度を利用し午前の部を免除し、午後の部にのみ注力しています。
免除資格のうち測量士補は合格率40%前後と非常に高く、測量士補の勉強内容が土地家屋調査士試験にも活用できるため測量士補の資格取得がおすすめです。
測量士補の資格取得後、同年度内に土地家屋調査士試験合格も狙えるため、土地家屋調査士試験に合格したいなら測量士補の資格を取得しましょう。
土地家屋調査士になれるおすすめスクール

土地家屋調査士試験は難易度の高い試験であり、独学での合格は非常に困難です。
上記の方法を実践しようと思っても、独学だと適切な方法が分からなかったり筆記の採点を行うことができません。
また、専門的な内容が多い試験に加えて作図なども問われるため、通信講座やスクールに通学するという学習方法がおすすめです。
年1度しかチャンスのない資格なので、特に早期合格を目指すのであればなおさらスクールを利用すべきでしょう。
アガルートアカデミー

アガルートアカデミーはフルカラーのオリジナルテキストと、土地家屋調査士試験に全国1位で合格した経歴を持つ講師が講義と教材の制作を担当する通信講座です。
2021年は初受験者の合格率が28.46%、複数回受験者の合格率が36.76%であることに加え、測量士補は合格率96.9%と非常に高い合格率を誇ります。
講師からのサポートも万全で、初めて土地家屋調査士試験を受験する方でも安心して学習に取り組めます。
手厚いサポートと確かな合格率で試験に備えたい方は、アガルートアカデミーがおすすめでしょう。
東京法経学院

東京法経学院は2021年の合格者専有率78.7%を誇る、伝統ある予備校です。
初めて挑戦する方向けの講座、短期合格を目指す講座、学習経験者には民法・模試・最終追い込みなど様々な種類の講座を用意しています。
合否を分けるポイントになりやすい記述の対策もしっかりとできます!
東京法経学院オンラインショップにておすすめ参考書も販売しているのでこちらもチェックしてみると良いでしょう。
LEC東京リーガルマインド

LEC東京リーガルマインドも東京法経学院同様、伝統と歴史のある予備校の一つです。
2021年試験のLEC受講生合格率は38.8%であり、アガルート、東京法経学院とともに高い合格率を誇ります。
LECは校舎の数が多いため通学がしやすく、通学で学習したい方は東京法経学院よりもハードルが低いでしょう。
日建学院
日建学院は土地家屋調査士の独立開業に有利で、建築士や測量士などの資格では試験免除科目の存在、宅建や司法書士などの士業では民法などの勉強範囲が被っているため知識が使い回せるとして資格取得のメリットを推しています。
日建学院の講座は、40年以上も試行錯誤を重ねられてきた試験攻略のポイントがわかる映像講義と、これまでの出題傾向を徹底的に分析したオリジナルテキストを使用した学習を繰り返すタイプです。
通学のスクールとWebコースの2つが用意されています。
土地家屋調査士に将来性はある?

土地家屋調査士の合格率はだいたい8%~10%程度の資格で、合格は決して簡単ではありません。
しかし、土地家屋調査士の仕事は独占業務を始め、土地所有者の義務となっているものもあるため決してなくなることはありません。
独立開業すれば高収入を目指すこともでき、定年退職もないため将来性は非常にある職業と言えるでしょう。
まとめ|土地家屋調査士の難易度ランキング
土地家屋調査士試験は他資格とランキング形式で比較しても難易度が高く、しっかりと対策が必要となる試験です。
しかし合格のためのポイントや、おすすめの通信講座・予備校もあるため、計画的に学習すれば誰でも合格を目指せます。
土地家屋調査士は独占業務を持つ資格なので、合格さえできれば貴重な資格として役に立つことでしょう。
これから土地家屋調査士を目指そうと思っている方は、ぜひ一度通信講座・予備校の利用を検討してみてください。
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