通信制高校とはどんな感じ?わかりやすく簡単解説! 更新時間 1970.01.01
通信制高校は、全日制高校とは異なる柔軟な学び方ができる教育機関です。
以前の学習スタイルは自宅学習がメインでしたが、近年では週1〜2回や、毎日通学できる通信制高校も増えてきています。
本記事では、通信制高校の基本概要や授業スタイル、進路や卒業後の選択肢、学校選びのポイントなどをわかりやすく解説します。
「通信制高校の授業ってどんな感じ?」「友だちは作れる?」「学費ってどれくらいかかる?」などなど、通信制高校を検討している方や興味がある方はぜひご覧ください。
通信制高校の基本概要
通信制高校は、通常の高校とは異なり、主に自宅で学習を進めることができる教育機関です。
通信制高校の起源は1948年に制定された学校教育法まで遡ります。
この法のもとで、通信制高校と定時制高校が誕生しました。
70年以上の歴史を持つ通信制高校は、多くの生徒に学びの場を提供してきました。
定時制高校は「中学校卒業後、仕事などの理由で全日制高校に進学できない青少年に教育機会を提供する」ことを目的としています。
それに対し、通信制高校は「全日制や定時制高校に通えない青少年に、通信を通じて教育機会を提供する」ために設立されました。
通信制高校とは?
通信制高校は、自宅で学習し、定期的に送られてくる教材やオンライン授業を通じて学ぶ形式の高校です。
通常の高校とは異なり、通学の頻度が少なく、時間や場所にとらわれずに学習を進められます。
令和5年度に実施された文部科学省の学校基本調査によると、通信制高校に在籍する生徒数は264,974人でした。(2023年5月1日時点)
前年と比べて11.1%も増加しており、戦後に制度化されてから過去最高の記録です。
これは高校生全体のおよそ12人に1人が、通信制高校に通っていることを意味します。
参考:文部科学省 「学校基本調査-令和5年度 結果の概要-」
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/2023.htm全日制高校や定時制高校との違い
全日制高校は毎日学校に通う必要があり、定時制高校は夕方から夜間にかけて授業が行われます。
一方、通信制高校は基本的に自宅学習が中心であり、定期的なスクーリングや試験のみ学校に通う形です。
さらに、「学年制」と「単位制」にも違いがあります。
一般的に、全日制高校や定時制高校は学生制を採用しており、通信制高校は単位制が基本です。
学年制では、1年ごとに進級し、3年生を修了すると卒業となります。
一方、単位制は学習内容を理解した証として単位を取得し、その必要数を満たすと卒業できます。
学年制では、一定の成績や出席数に達しないと進級できず、留年となります。
しかし、単位制では取得できなかった単位を再度履修するだけで、留年にはなりません。
通信制高校と全日制高校・定時制高校には共通点もあります。
それは「3年以上在籍すること」が卒業の条件である点です。
卒業に必要な単位の取得とともに、3年以上在籍する必要があります。
他校から転入・編入する場合には、以前の学校での在籍期間も合算されます。
通信制高校の学費
通信制高校にも「公立」と「私立」があり、学費が大きく異なります。
当然のように私立の方が高いのですが、通学形態や選択するコースによって変動します。
以下の表は、公立と私立の学費平均をまとめたものです。
| 必要な費用 | 公立 | 私立 |
|---|---|---|
| 入学金 | 500円 | 1〜5万円 |
| 授業料 | 1~3万円程度(年間) ※1単位300円~500円 | 20万円~(年間) ※1単位6,000円~ |
| 授業料以外の費用 | 1.5万円程度(年間) | ネットコース3万円〜(年間) 登校コース10万円〜(年間) |
| 合計 | 2〜6万円程度 | 24万円〜 |
※年間25単位を履修した場合を目安に計算しています。
通信制高校では主に「単位制」を導入しており、3年以上で74単位以上の習得が卒業の条件となっています。
通信制高校の授業スタイルと学び方
通信制高校の授業スタイルは、多様な方法が取り入れられています。
オンライン授業、教材、自主学習など、生徒一人一人のニーズに合わせた学び方ができます。
オンライン授業と教材
通信制高校では、インターネットを活用したオンライン授業が一般的です。
これにより、いつでもどこでも授業を受けることができます。
また、教材は郵送やデジタル形式で提供されるため、自宅で効率よく学習を進められます。
自主学習の進め方
自主学習では、自分で計画を立て、教材やオンラインリソースを使って学習を進めます。
つまり、自己管理が重要であり、計画的に学ぶことで効率的に知識を身につけることができます。
サポートも充実しており、困ったときには相談できる体制が整っているので安心です。
スクーリングの役割と重要性
スクーリングは、通信制高校での学習の一環として、定期的に学校で行われる授業や実習のことです。
多くの公立通信制高校では、月に3〜5回ほどのスクールが必須とされています。
一方、私立の通信制高校では、月に1、2回スクーリングを行ったり、数日間まとめて行ったりと自由に選ぶことができます。
定期的なスクーリングによって、他の生徒や教師との交流を深められるのも利点です。
また、スクーリングは、通信制高校を卒業するための必須条件となっています。
通信制高校に通っているのはどんな生徒?
通信制高校には、多様な背景を持つ生徒が在籍しています。
仕事をしながら高卒資格を目指す人、高校を中退や転校した人、発達障害や不登校などの理由で全日制高校に通うのが難しい人などが含まれます。
また、スポーツや芸能活動など学業以外の活動に集中したい人も通信制高校を選ぶことがあります。
>通信制高校のメリットとデメリット
通信制高校には、柔軟な学習スタイルや個別のニーズに応じた教育が提供されるなど、多くのメリットがありますが、一方で自己管理能力の必要性などデメリットも存在します。
ここでは、双方に焦点を当て、具体的なメリットとデメリットを紹介していきます。
通信制高校のメリット
・柔軟な学習スケジュール
・通学時間の節約
・個別指導の充実
・仕事や家庭と両立しやすい
・自主的な学習能力の向上
通信制高校の最大のメリットは、柔軟な学習スケジュールです。
生徒は自分のペースで学習を進めることができるため、仕事や趣味、家庭の事情に合わせて勉強時間を調整できます。
また、オンライン授業や自宅学習が中心のため、通学時間が省け、効率的に学習を進められるのも魅力です。
さらに、個別指導が充実しているため、生徒一人一人の学習ニーズに合わせたサポートが受けられます。
通信制高校のデメリット
・自己管理能力が必要
・同級生との交流が少ない
・学校ごとのサポート体制の差
・社会的な認知度の問題
・進学や就職時の不安
通信制高校のデメリットは、自己管理能力が求められる点です。
自分で学習計画を立て、計画的に勉強を進める必要があります。
また、全日制高校と比べて同級生との交流が少ないため、孤独を感じることもあるかもしれません。
さらに、学校によってはサポート体制に差があるため、入学前にしっかり調査することが重要です。
社会的な認知度の問題や、進学や就職時に不安を感じることもあります。
通信制高校の進路と卒業後の選択肢
大学進学や専門学校、職業訓練、就職など、通信制高校を卒業したあとの選択肢は多様です。
本章では、各進路に向けたサポートなどについても具体的に紹介します。
大学進学の可能性
通信制高校の卒業生も、大学進学を目指すことが可能です。
多くの通信制高校では、進学に向けた特別講座や模擬試験、個別指導を提供しています。
また、通信制高校の柔軟な学習スケジュールを活用して、受験勉強に集中することもできます。
さらに、指定校推薦やAO入試など、多様な入試制度を利用することも可能です。
専門学校や職業訓練への道
通信制高校の卒業生は、専門学校や職業訓練校への進学も一般的です。
特に、専門的なスキルを身につけたい生徒にとって、専門学校は魅力的な選択肢となります。
通信制高校では、専門学校への進学サポートとして、各種説明会や体験入学の情報提供を行っており、生徒が自分に適した進路を選択できるよう支援しています。
就職活動のサポート体制
通信制高校では、就職活動のサポートも充実しています。
キャリアカウンセリングや就職ガイダンス、企業との連携によるインターンシップの機会提供など、生徒が社会に出るための準備をしっかりと行います。
就職活動に必要な履歴書の書き方や面接対策の指導も行われており、通信制高校の生徒が自信を持って就職活動に臨めるよう支援しています。
通信制高校を選ぶ際のポイントと注意点
通信制高校を選ぶ際には、学校の特徴や費用、卒業率や進学実績など、さまざまな要素を考慮することが重要です。
自分に最適な学校を見つけるためのポイントを押さえましょう。
学校選びの基準
通信制高校を選ぶ際には、学校のカリキュラムやサポート体制、学習環境を確認することが大切です。
自分の学習スタイルに合った学校を選ぶことで、効率的に学習を進めることができます。
また、学校の評判や卒業生の声も参考にすると良いでしょう。
特に、進路サポートや就職支援が充実しているかをチェックすることが重要です。
学費と費用の比較
通信制高校の学費やその他の費用は学校によって大きく異なります。
入学金、授業料、教材費、スクーリング費用などを含めて総合的に比較することが必要です。
奨学金や学費免除制度がある学校も多いので、これらの情報も確認しましょう。
自分の経済状況に合った学校を選ぶことで、無理なく学び続けることができます。
卒業率と進学実績の確認
通信制高校の卒業率や進学実績は、その学校の教育品質を示す重要な指標です。
高い卒業率を持つ学校は、生徒一人ひとりへのサポートが手厚いことが多いです。
また、進学実績が豊富な学校は、大学や専門学校への進学に強いサポート体制が整っていると言えます。
学校選びの際には、これらのデータを必ず確認するようにしましょう。
通信制高校の入学〜卒業までの流れ
通信制高校への入学から卒業までの流れは、一般的な高校と異なる点が多くあります。
入学試験や入学の時期、卒業の要件について詳しく見ていきましょう。
入学試験について
通信制高校の入学試験は、全日制高校と比べて比較的簡単な場合が多いです。
筆記試験や面接が行われることが一般的ですが、学校によっては書類審査のみで入学できる場合もあります。
入学について
入学時期は4月と10月が一般的ですが、それ以外にも随時入学を受け付けている学校が多いのが通信制高校の特徴です。
通信制高校では、基本的に制服はありません。
そのため、入学式の際でも、生徒は自由な服装で参加することができます。
しかし、近年ではおしゃれな制服を取り入れる通信制高校も増えてきました。
これにより、制服を着たいという希望を持つ生徒にも対応できる学校が増えてきています。
入学を検討する際には、こうした制服の有無も選択肢の一つとして考えると良いでしょう。
卒業について
通信制高校の卒業要件は、所定の単位を取得することです。
定期的なスクーリングや試験を受け、必要な単位を修得することで卒業資格が得られます。
また、卒業論文や卒業試験が課される場合もあります。
卒業後は、大学進学や専門学校、就職など、さまざまな進路が開けています。
まとめ|通信制高校では生徒の希望にあった学習スタイルで学べる
通信制高校は、多様な学び方やサポート体制を提供しており、生徒一人ひとりのニーズに応じた教育が受けられます。
柔軟な学習スタイルや手厚い進路サポートなど、多くの特徴と強みを持っているのが特徴です。
自分に最適な学校を選び、充実した高校生活を送りましょう



