通信制高校に進学するメリット・デメリット!全日制・定時制の違いや覚えておきたい基本情報 更新時間 2022.10.21
通信制高校には、最低限の登校日数で卒業資格が得られたり、自分のやりたいことを優先できたりといったメリットが豊富です。
しかし自由度が高いだけに、それに付随するデメリットも存在します。
ここでは、通信制高校のメリットとデメリットを紹介しながら、全日制・定時制との違いについても徹底比較していきます。
通信制高校のリアルな情報を把握し、学校選びや進路の参考にしてみてください。
通信制高校・全日制・定時制の違いを徹底比較!
高校への進学を考えたとき、私たちにはいくつかの選択肢があります。
この章では、「通信制」「全日制」「定時制」の基本情報を紹介し、それぞれの違いについても徹底比較していきたいと思います。
通信制高校の特徴と基本情報
通信制高校の大きな特徴の1つに、入試や入学時期があげられます。
全日制や定時制の入試においては「学力試験」が必須ですが、通信制の場合は面接や作文によって合否が決まるケースが多いです。
また入学時期も4月に限定されず、学校によっては通年を通して入学を受け付けている学校もあります。
学習制度に関しては、通信制は「単位制」となっており、74単位以上の習得と30単位時間以上の特別活動、かつ3年以上の在籍で卒業することが可能です。
通信制高校ではスクーリング(面接指導)と呼ばれる授業を受けますが、月に数回程度の通学でも問題ありません。
学校によってはオンライン授業に対応しているケースもあるので、年間4回程度のスクーリングで卒業資格が得られます。
- 入試試験:作文や面接
- 入学時期:4月と10月、もしくは随時可能
- 通学頻度:週1〜5日の選択制、もしくは年に数回程度
- 授業時間:1コマ50分程度で半日のみ(学校により異なる)
- 制度:単位制
全日制高校の特徴と基本情報
高校に進学する学生のほとんどが、全日制高校を選択しています。
学校の数も圧倒的に多いため、学力やスポーツ、進学率、地域性といった豊富な選択肢から、希望の高校が選べるでしょう。
通信制高校や定時制と比べると、大学への進学率も非常に高いのが特徴です。
全日制高校は週5日の登校が必須で、1日5〜8時間の授業を受けることになります。
また「学年制」を採用している高校がほとんどで、年間35単位時間(1単位50分程度)の授業を受け、試験によって定められた点数以上を取ることで単位習得とみなされます。
- 入試試験:公立高校5科目、私立高校3科目
- 入学時期:4月のみ
- 通学頻度:週5日
- 授業時間:9時〜16時頃まで
- 制度:学年制
定時制高校の特徴と基本情報
定時制高校は、1日あたりの授業時間が少ないのが特徴です。
多くの生徒が働きながら学校に通っているため、授業開始が夕方や夜というケースが多く、1日4時間ほどの授業時間となっています。
全日制と比べて授業時間が短いので、高校を卒業するまでに4年かかるのが一般的でした。
近年は不登校や家庭の事情が原因で、定時制を選択するケースが増えており、全日制のように日中に授業を行う学校が登場してきました。
このような経緯もあって、近年は3年で卒業できる定時制高校も増えつつあるようです。
- 入試試験:国語・英語・数学・面接
- 入学時期:4月のみ
- 通学頻度:週5日
- 授業時間:夕方〜1日4時間ほど(午前・午後の学校もある)
- 制度:学年制or単位制
通信制高校に進学するメリットとは?
通信制高校に進学すると、どのようなメリットがあるのかをご紹介します。
自分のペースで勉強を進められる
通信制高校に入学すると、自分のライフスタイルに合わせて勉強を進めることができます。
1年間の学習量を生徒自身で決められるのは、通信制高校ならではのメリットといえるでしょう。
例えば、大学進学を目指している方であれば、2年生までに集中して単位を取得しておくことだって可能です。
一方で全日制高校では、クラス全員が同じペースで学習を進めるため、授業を理解しないまま進んでいくことも少なくありません。
周囲に合わせず自分のペースで学習したい方は、焦りやストレスを感じることなく勉強に励めるでしょう。
単位制なので留年がない
通信制高校は「単位制」を採用しているので、全日制のように留年することはありません。
以下の3つの条件を満たせられれば、高校卒業の資格を取得できます。
- 必履修科目を含む74単位以上の単位取得
- 36ヶ月以上の在籍期間
- 30単位時間以上の特別活動
また転入・編入のどちらでも、以前の学校で習得した単位を引き継げるケースもあります。
自由な時間が確保できるため夢や仕事との両立が可能
通信制高校では自由にカリキュラムが組めるため、自分の夢や仕事に時間を使いながら高卒の資格が取得できます。
「バンド活動をしながら高卒資格を取りたい」
「今の仕事を続けながら大学受験を目指したい」
このように、自分の好きなことと高校生活を両立できるのが通信制高校の魅力です。
また練習に時間を割きたいプロスポーツ選手や、芸能活動で毎日学校に通えないでもアイドルでも、オンライン学習などを設けた学びやすい環境が整っています。
不登校でも卒業しやすい
小学校や中学校で不登校を経験している人は、「学年制」である全日制を選ぶのにはリスクがあります。
出席日数が不足すると留年になってしまうので、同じ学年をもう1度やり直さなくてはなりません。
通信制高校は通学の回数も少なく、自宅などのリラックスできる場所で授業が受けられるのが魅力です。
また20代や30代など、幅広い年齢層の生徒が通っているので、年齢を気にせず高卒資格の取得にチャレンジできます。
不登校について、克服するきっかけをまとめた記事については、「不登校を克服するきっかけとは?親や周囲ができることは?」もご覧ください!
厳しい校則や規則がない
髪の色や服装について、厳しい校則がないのも通信制高校のメリットです。
実際に通信制に通っている生徒の多くが、「校則が厳しくないのがメリットだと感じる」と回答しています。
厳しい校則がある学校では、「アルバイト禁止」「携帯電話の使用禁止」「染髪禁止」などの規則があり、破ると謹慎や退学を余儀なくされます。
通信制には働いている人や芸能活動をしている学生も多く、制服があっても私服が許可されているケースも多いです。
しかし自由だからといって、モラルに反するような行動が認められている訳ではありません。
最低限のマナーを守りつつ、自由な学校生活を満喫することにフォーカスしましょう。
また、通信制高校にどんな学生が通うのか、についての記事は、「通信制高校はどんな人がいく?通信制高校にいく6つの理由」をご覧ください。
通信制高校に進学するデメリットとは?
通信制高校への進学を検討している場合、メリットだけでなくデメリットもしっかりと把握しておくことが重要です。
ここでは、通信制高校の主なデメリットを3つご紹介していきます。
自主学習がメインのため自己管理が必須!
通信制高校の学習スタイルは、「自主学習」が基本です。
そのため、自分で計画を立てて勉強し、日々のレポートやスクーリングに向けた取り組みが必要になります。
勉強に対する意欲がなければ、卒業するまでに何年もかかり、途中で挫折してしまうかもしれません。
自己管理に自信がない方は、個別サポートや精神的なフォローが充実している学校を選ぶようにしましょう。
学校行事や部活動など高校生活らしさが味わえない
全日制高校と比較すると、体育祭や文化祭などの学校行事は必要最低限しかありません。
また通信制には不登校や学校に馴染めない生徒が集まりやすいため、イベントに力を入れていない学校が多くなってしまいます。
そのため、学生生活を満喫できないと感じる生徒も少なくないようです。
しかし近年では、学校行事や部活動に積極的な学校が増えており、修学旅行やクリスマス会、遠足などを実施する高校も増えつつあります。
イベントや行事に参加することで友人との絆が深まり、楽しい学校生活が味わえるようになるでしょう。
友人や先生との関わりが少ない
通信制高校は登校日が少ないという特性があるため、友だちや先生と過ごす時間は少なくなります。
全日制や定時制高校と比較すると、新しい友だちが出来づらい環境になってしまうでしょう。
しかし近年は週5日の通学コースを用意している学校も多く、全日制などと同じようにキャンパスライフが楽しめるようになっています。
他の生徒との関わりやグループディスカッションを通じて、社会で必要なコミュニケーション能力を養うことができるでしょう。
全日制高校と定時制高校のメリット・デメリット
ここでは、全日制高校と定時制高校のメリット・デメリットをご紹介します。
通信制高校と比較しながら、自分に合った学習スタイルを探してみましょう。
全日制高校のメリット・デメリット
全日制高校の3つのメリット
全日制高校の主なメリットは、以下の3つです。
- 学校の数が多く選択肢が幅広い
- 学校行事や部活動を通して高校生活を満喫できる
- 生徒が多く友だちを作りやすい
令和元年の調査によると、全日制高校の数は4,248校、定時制168校、全定併設471校、通信制高校は253校でした。
全日制は通信制高校の16倍以上の学校があり、学校の数だけ選択肢が豊富です。
自分に合った学力かつ特性があり、好きな地域で高校を選ぶことができるでしょう。
また全日制に通う生徒数は300万人以上もいることから、たくさんの友だちとの出会いが高校生活を豊かにしてくれることは間違いありません。
全日制高校の3つのデメリット
全日制高校の主なデメリットは、以下の3つです。
- 学力に見合った学校にしか入学できない
- 出席日数や成績次第では留年するケースがある
- 自由な時間の確保がむずかしい
全日制高校の入試には学力試験があるため、自分の学力レベルに見合った高校にしか入ることができません。
猛烈な受験勉強の末にワンランク上の高校に入れたとしても、入学して周囲のレベルについていけないと苦労することになります。
また怪我や病気などで出席日数が足りない、学力に問題があるといった場合、留年して同じ学年をやり直す可能性もゼロではありません。
不登校などを経験した方が全日制を選択すると、卒業へのハードルが高くなってしまうでしょう。
さらに毎日6〜8時間近く学校に時間を割かれるので、アルバイトや趣味との両立もむずかしくなってしまうのが全日制のデメリットと考えられます。
定時制高校のメリット・デメリット
定時制高校の3つのメリット
定時制高校の主なメリットは、以下の3つです。
- 仕事や子育てとの両立がしやすい
- 毎日通学するので友だちを作りやすい
- 偏差値が低く設定されている
定時制高校は、「働いている人にも教育を受ける機会を与えよう」という目的でできたため、仕事と学習の両立がしやすいのがメリットです。
人数も少ないため先生の目が配りやすく、丁寧できめ細かい学習サポートを受けることができます。
定時制高校には日中働いている人のほか、高校を中退した人、主婦、定年退職した人など、さまざまな年代の学生が通っているのが特徴です。
基本的に毎日通学するので、たくさんの友人と関わりながら、一緒に卒業できるという高校生活らしさを満喫することができるでしょう。
定時制高校の3つのデメリット
定時制高校の主なデメリットは、以下の3つです。
- 卒業まで4年かかる学校が多い
- 中退率が高い
- 不登校の生徒には不向き
定時制高校は1日の授業時間が短いので、卒業までに4年かかるのが一般的です。
また事情を抱えた生徒が多く在籍しているため、卒業を待たずに中退してしまうケースも少なくありません。
文部科学省の「学校基本調査」をもとに計算すると、2016年4月入学〜2019年3月卒業の全日制の卒業率は約95.3%と高く、定時制高校の卒業率は約60%と低めになります。
ただし途中で高卒認定資格を取得し中退していたり、違う高校へ転入する生徒もいるため、実際の卒業率はもう少し高い可能性もあるようです。
その他にも、授業時間の関係で4年以上の在籍が必要になるので、早く卒業資格を取得したい生徒にとってはデメリットになるでしょう。
しかし近年では、日中も開校している定時制学校が増えており、3年間で卒業できるカリキュラムが組まれています。
高卒の資格は通信制も全日制も変わらない
通信制高校を卒業すると「高校卒業」の資格を取得できますが、資格自体に全日制高校との違いはありません。
「通信制だと就職するときに困らないかな・・・。」と不安になる方も少なくないようですが、通信制高校出身でも「高卒以上」を提示している求人に応募できます。
社会に出るとどちらも同じ「高卒」として扱われますし、大学や専門学校の受験資格も同等です。
「通信制高校出身だと知られたくない」という方は、通信制高校と全日制高校の両方を運営する学校法人を選びましょう。
この場合、全日制と同じ卒業証書が授与されるケースが多く、通信制と全日制の区別がつかなくなります。
また、通信制高校とその他の学校との違いについてより深く理解したい方は、「通信制高校も選択肢として考えたい!全日制・定時制との違いとその魅力とは」も是非ご一読ください!
通信制高校のメリットが活かせる学校を選ぼう!
通信制高校に進学するメリットとデメリットを解説しました。
また全日制や定時制高校に進むメリットとデメリット、双方の違いもマスターできたと思います。
通信制高校は自由な時間が多く、好きなタイミングで授業が受けられるのが大きな魅力です。
また仕事や趣味などとの両立もしやすく、自分の夢や目標に向かって早い段階から技術やスキルを習得することができます。
この他にも、手厚い個別サポートやオンライン学習、年数回のスクーリング、専門分野の資格取得など、学校ごとの魅力や特性から自分に合った学校を選べるのも嬉しいポイントです。
近年は学力の高さやテストの点数よりも、個性や卓越した専門性を重視する教育が広がりつつあります。
どんな高校を選ぶかで未来が変わりますので、気になる学校は入念にリサーチし、自分らしく輝ける学校を選びましょう。