単位制と学年制の違いは?卒業率を徹底比較

単位制と学年制の違いは?卒業率を徹底比較

単位制と学年制の違いは?卒業率を徹底比較

高校には、「単位制」と「学年制」の2通りの学校があります。

通信制高校の多くは単位制を採用していますが、近年では全日制高校も単位制を導入している学校が増えています。

一方、学年制を採用しているのは全日制高校や定時制高校で、小中学校と同じように毎年進級して卒業するという仕組みです。

通信制高校を検討する上で、

「単位制と学年制ってどう違うの?」
「どちらが卒業しやすいんだろう……」

と疑問を持った方もいるでしょう。

本記事では、「単位制」と「学年制」の違いを詳しく解説するとともに、それぞれのメリットとデメリットについても紹介します。

2つの仕組みや違いを知ることで、自分が卒業しやすい制度を判断できるようになるはずです。

そもそも「単位」とは?

そもそも「単位」とは?

高校を卒業するには、「単位」を取得する必要があります。

学年制だと分かりづらいのですが、学年制高校も1学年で取得すべき単位数が決まっており、それに沿って時間割が設定されています。

「単位」とは授業を受けた時間のことで、1単位時間を50分とし、35単位時間の授業を1単位として計算します。

少しややこしいので、「国語総合」を例に考えてみましょう。

文部科学省によって決められている、国語総合の単位数は4単位です。

4単位は「35単位時間×4=140時限」という計算になり、卒業までに国語総合の授業を140時限受ける必要があります。

同じように、数学基礎は2単位、理科基礎は2単位、英語Iは3単位など、取得する単位数は学校ごとの「教育課程表」によって定められているのです。

そして私たちは必要な単位を取ることで、その高校を卒業できる仕組みになっています。

学年制とは?学年制の仕組みや特徴について

学年制とは?学年制の仕組みや特徴について

単位の概念がわかったところで、学年制について解説していきます。

学年制は各学年に定められた科目すべての単位を習得する

学年制は1学年ごとに必要な単位数が決まっていて、学年の終わりに取得していなければ進級できない決まりです。

学年制における単位は、学校によって定められた「基準以上の成績」と「出席日数」を満たすことで取得できます。

分かりやすくいうと、通知表に「1」がついてしまうと単位を落としたことになり、留年確定というわけです。

成績がどれほどよくても、毎日きちんと登校していても、どちらか一方で1単位でも落としてしまうと進級できません。

欠席ばかりしている生徒や、赤点ばかり取ってしまう生徒は要注意です。

高校を卒業するのに必要な単位は、全日制も通信制も74単位以上と決まっていますが、全日制高校では80単位以上のカリキュラムが組まれていることが多いです。

学年制には進級や留年がある

留年になった場合、それまで取得したほかの科目の単位もリセットされ、すべての科目を1から取得し直す必要があります。

これが学年制のネックで、たった1単位のために同じ学年をやり直さなくてはならないのです。

「体育や家庭科の単位は別に重要じゃないでしょ?」と思いがちですが、体育は7〜8単位、家庭科は10単位が必須項目となっています。

国語や数学のように授業頻度が多くないため、何度も休んでいたらあっという間に留年になりますよ。

高校の学費に困っている方は必見! 「高校の学費が払えない時の対処法!学費を安く高校を卒業するには?」を参考にしてみてください!

通信制高校が採用する単位制とは?単位制の仕組みや特徴について

通信制高校が採用する単位制とは?単位制の仕組みや特徴について

次は、単位制の仕組みについて解説します。

単位制の仕組みと特徴

単位制高校は、学年という区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる学校です。

学校教育法で定められた卒業資格条件は、74単位以上あります。

自分の学習ペースで単位配分をして勉強できるのが、単位制の魅力です。

仮に1年目で15単位しか取れなくても、2年目3年目で頑張れば3年で卒業できるという特性があります。

通信制高校では年間で習得する単位数を生徒自身が決められるので、「3年目は大学受験に専念したいから、1、2年目でほとんどの単位を習得する」といったことも可能です。

また1年目は不登校気味で単位がほとんど取れなかったとしても、残り2年で全部の単位を取れれば同級生と一緒に卒業できます。

単位制高校に留年がない理由

通信制高校には留年がない」という話を耳にしたことがありませんか?

単位制は年間の取得単位数が決まっていないので、単位が取得できなくても留年はありません。

しかし留年という概念がないだけで、いつまでも単位を取得できないと、卒業までに何年もかかってしまうので要注意です。

単位制を導入する全日制高校が増えている

単位制が導入されたのは、昭和63年度です。

当時は定時制高校と通信制高校だけが単位制を採用していました。

しかし、平成5年度より全日制課程での設置も可能になってから、単位制を導入する全日制高校が増えています。

普通科はもちろん、工業科や家庭科、芸術科、総合学科でも単位制が導入されており、自分の学習スタイルに合った制度の高校を選びやすくなっています。

他にはどんな通信制高校があるのか気になる方は必見! 「偏差値60以上の難関大学を目指せる通信制高校一覧!通信制高校の大学進学は不利?有利?」を参考にしてみてください!

単位制のメリットとデメリットを比較

単位制のメリットとデメリットを比較

単位制高校には、単位制ならではのメリットとデメリットがあります。

双方を比較して、自分に合った制度はどちらか見極めてみましょう。

単位制のメリット

単位制のおもなメリットは、以下の3つです。

  • 単位を落としてもリスクが少ない
  • 転校しやすい
  • 選択科目を自由に選べる
  • 単位制の大きなメリットは、万が一単位を落としても、落とした単位のみ取得すればいいという点です。

    学年制で留年すると、1年間の学費を再度支払わなくてはならず、時間もお金も無駄にしてしまいます。

    しかし単位制であれば、1単位のみの支払いで済み、ほかの単位に影響がないのもポイントです。

    1単位の授業料は8,000円〜1万円ほどなので、追加の学費もそれほどかかりません。

    転校する場合も、前の学校で取得した単位を簡単に引き継げることから、転入や編入もしやすいのが特徴です。

    また単位制では、進路に合わせて選択科目を自由に選べるようになっています。

    「自分の進路に不要な教科は履修しない」「文系大学へ進学したいから英語の授業を積極的に取り入れる」といった感じです。

    自分の進路や受験科目に合わせて効率よく学習を進められるのは、忙しい高校生にとって最大の魅力といえるでしょう。

    単位制のデメリット

    単位制のデメリットは、以下の2点です。

  • 自己管理力が必要になる
  • クラス制ではないので友だちを作りにくい
  • 学習を自分のペースで進められるのが魅力の単位制ですが、計画性がないと必要な単位を取得できない可能性もあります。

    自由だからこそ、自分を管理する力や、遊びの誘惑を断ち切る力が必要不可欠です。

    また単位制は学年制のようなクラスメイトがいないため、友だちを作りにくい環境だといえます。

    ただクラス制は学校ごとに異なり、同じ教室にいながら生徒ごとに違う科目を勉強することもあります。

    クラスメイトと積極的に交流したい場合は、どんなクラス編成になっているかを確認してから入学を決めるといいでしょう。

    通信制高校のメリット、デメリットについて詳しく知りたい方は是非 「通信制高校に通う5つのメリットデメリット!対策も合わせてご紹介!」を参考にしてみてください!

    学年制のメリットとデメリットを比較

    学年制のメリットとデメリットを比較

    次に、学年制のメリットとデメリットについて解説していきます。

    学年制のメリット

    学年制のメリットは、以下の3つです。

  • 自己管理が不要
  • 友だちを作りやすい
  • 学年制の学校が多く選択肢が広い
  • 全日制高校は3年間で卒業できる取り組みがされていて、自己管理する必要がありません。

    自由度は低めですが、学年制で留年する生徒の割合は非常に低く、赤点をとっても追試や補修授業でなんとか進級させようとする動きがあります。

    また毎日登校することで友だちを作りやすいのも、学年制の魅力でしょう。

    毎年のクラス編成でたくさんの友だちができ、体育祭や文化祭のイベントも盛り上がります。

    さらに高校の多くが学年制を採用しており、選択肢が広がるのもメリットの1つです。

    自宅から近い高校、スポーツに強い高校、大学進学率が高い高校など、自分の将来に合わせて高校を選べます。

    学年制のデメリット

    学年制のデメリットは、以下の3つです。

  • 留年するリスクがある
  • 留年しても進級できない可能性がある
  • 自由な時間が少ない
  • 学年制は留年があり、留年したからといって翌年は確実に進級できるとも限りません。

    また1学年下の生徒と同じクラスになり、孤立してしまうリスクもあります。

    「同級生は卒業していったのに自分はまだ高校生」という辛さから、退学してしまう生徒も少なくないようです。

    また単位制に比べると、毎日の拘束時間も長く、1日のほとんどを学校で過ごすことになります。

    部活動をしていれば、朝は8時から夜は19時ごろまで縛られ、家に帰っても勉強というハードスケジュールです。

    単位制と学年制の卒業率とは?

    単位制と学年制の卒業率とは?

    単位制と学年制のどちらを選ぶかは、卒業率がおおきく関わってきます。

    ここでは、気になる通信制高校の卒業率と、全日制高校の卒業率を比較していきます。

    しかし単位制という仕組みのため、通信制高校の卒業率は正確に算出できません。

    引き継げる単位数や転入のタイミングによっては、卒業までに3年以上かかることもあるからです。

    そのため通信制高校では「在籍卒業率」をもとに、卒業率を算出する方法があります。

    在籍する生徒数に対する卒業生の割合で計算しますが、仮に在籍卒業率が33%であれば、「生徒の1/3が卒業できた」というような考えです。

    通信制高校の卒業率は意外と高い

    2020年度の在籍卒業率をみると、通信制高校の1/3の生徒が卒業していることがわかります。

    通信制高校全体 公立校 私立校
    在籍者数 206,948名 55,427名 151,521名
    卒業者数 64,893名 8,709名 56,184名
    在籍卒業率 31.3% 15.7% 37.0%

    ただし公立と私立に差があり、公立校の在籍卒業率は低めです。

    これはサポートの手厚さや教師の数が影響していると考えられ、地方自治体が運営する公立はサポートが少ないことが原因と考えられます。

    全日制高校の卒業率はおよそ94%

    2021年3月の卒業実績をみると、全日制高校の卒業率は94.3%でした。

    100人のうち94人は卒業できている計算で、残り6%近くは留年や退学などが該当します。

    全日制の多くが採用する学年制は、学年ごとに決められたカリキュラムがあり卒業しやすいのがメリットです。

    留年しても3年間で高校を卒業できる理由

    留年しても3年間で高校を卒業できる理由

    留年が決まって、全日制から単位制高校へ転入・編入する生徒は少なくありません。

    その理由として、「留年しても同級生と同じタイミングで卒業できる」ことがあげられます。

    全日制高校は3年間で90単位ほどを習得できるカリキュラムのため、1年生で33単位、2年生で33単位、3年生で25単位などと設定されています。

    2年生の前半に転入した場合、すでに33単位は取得済みですので、残り41単位を2年間で習得することになります。

    1年間で計算すると20単位ほどなので、無理なく74単位をクリアできるというわけです。

    また3年生で転入した場合でも、すでに66単位を持っていることになり、8単位だけで卒業資格を満たせることになります。

    これが、全日制からの転入・編入が多い理由の1つとなっており、留年しても3年間で卒業できる仕組みです。

    単位制に向いているタイプとは?

    単位制に向いているタイプとは?

    単位制か学年制にするかで迷ったときは、自分がどちらに向いているかを考えてみましょう。

    ここまで解説した通り、単位制は自己管理力が必要でありながら、自分のペースで学習を進めることができます。

    選択科目を自分で選べる点でも、進路によって学習科目を変更しやすいのがメリットです。

    また通信制高校は自宅学習ができるため、全日制のように毎日登校する必要もありません。

    仕事や育児で時間が制限される方、芸能活動やプロスポーツ選手を目指す方だけでなく、時間を自由に使いたい方や不登校の方にも向いている制度です。

    単位制と学年制の卒業率はほぼ同じ!自分に合った制度を選んで

    単位制と学年制の卒業率はほぼ同じ!自分に合った制度を選んで

    単位制と学年制の違いについて解説してきました。

    どちらも卒業率は9割以上で、単位制であっても自己管理さえできればスムーズに卒業できます。

    ただし「ちゃんと勉強する自信がない」「ついつい怠けてしまう……」という人は、サポートが手厚く色んな学び方ができる私立の通信制高校が最適でしょう。

    私立の通信制高校は毎年増えてきていますので、自分に合った学校が選びやすくなっています。

    高校を卒業する鍵」は、学校選びが何よりも大切です。

    インターネットで調べるだけでなく、実際に体験入学や学校見学に足を運んで、学校の雰囲気や授業を体感してみましょう。

    通信制について詳しく知りたい方は 「通信制高校とは?わかりやすく徹底解説!」も必見です!

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