司法試験の評価基準の1つに「上位合格」という言葉が存在するのをご存知でしょうか?
司法試験の成績通知書には合格者の得点分布に基づくご自身の順位が記載されています。
とは言え、「全体の中で何位くらいが上位合格」と言えるのでしょうか。
本記事では「司法試験の上位合格の基準や順位の差が及ぼす就職・転職への影響」についてご紹介します。
裁判官や検察官へ就職・転職を目指す場合には、司法試験の合格順位の重要度が増してきます。
今回ご紹介する内容は司法試験を受ける方であれば知っておくべきことなので、ぜひ最後までお読み下さい。
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司法試験の上位合格はアガルートアカデミー
司法試験の上位合格を狙うことは決して簡単なことではないので、試験の傾向をしっかり分析して自分の弱みを確実に潰していくことが大切です。
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司法試験上位合格の順位は何位以上?
司法試験では得点が高かった順に順位が与えられ、合格者へ公表されます。
特に優秀な成績を収めた者として認められる上位合格の基準は「500位以上の順位」と言われています。
ただ、500位と言われてもイメージするのは難しいので、得点分布が公表されている短答式試験からどれくらいの得点を取れば良いのか見てみましょう。
順位 | 得点 | 累計割合 |
---|---|---|
1〜103位 | 167〜154点 | 2.94% |
104位〜265位 | 153点〜149点 | 7.55% |
266位〜547位 | 148点〜142点 | 16.79% |
上記の表より、満点の175点中7割強を得点し上位20%以内にランクインすれば上位500位を狙えることが分かります。
また、上位100位を目指す場合には、短答式試験で8割以上の正答率を叩き出す必要があり非常に難易度が高いと言えます。
このように上位合格を目指すのはかなりハードルが高いため、就職でも有利になる傾向があります。具体的にどのような場面で成績が影響してくるのかはこの後詳しく解説していきます。
司法試験の順位はどこで確認できる?
司法試験の順位はどのように確認できるのかご存知でない方も多いのではないでしょうか。
こちらの項目では、「順位の確認方法と順位が確認できるタイミング」についてご紹介します。
順位については自己申告する機会もあるので、どこで確認ができるのか事前にチェックしておきましょう。
成績通知で順位を確認できる
司法試験の合格通知はネット上でも確認可能ですが、順位に関しては短答式・論文式試験それぞれの成績通知書にて確認出来るようになっています。
具体的に、短答式試験の成績通知書には以下の基本情報と試験の結果がまとめられています。
- 試験地
- 受験番号
- 受験者ID
- 氏名
- 試験科目(憲法・民法・刑法)
- 各科目の得点と最低得点
- 順位
- 合格に必要な点数
また、論文式試験の成績通知書においても基本情報に加え試験科目の順位ランク(A〜F)と総合得点、順位が記載されます。
特に論文式試験では科目ごとに順位を知ることが出来るため、順位が高かった分野を強みとしてアピール出来るメリットがあります。
司法試験の成績通知はいつ届く?
順位を確認できるのはいつ頃なのでしょうか。以下の表にて、合格発表日と成績通知書が届くタイミングについてまとめました。
試験日 | 令和5年7/12(水)・13(木)・15(土)・16(日) |
---|---|
合格発表日 | 令和5年11/8(水) |
成績通知書発送 | 令和5年11月中旬を予定 |
上記の表より、試験終了日から4ヶ月程経過してから成績通知書が発送されます。また、合格発表時には順位ランクは公開されないのでご注意下さい。
司法試験で上位合格すると就職に有利?就職先別に紹介
司法試験の順位の重要性は職業によって変わります。
こちらの項目では、「裁判官・検察官・弁護士における上位表示の価値」についてご紹介します。
希望する職種へ就職するためには、どれくらいの順位が理想とされるのか詳しく見ていきましょう。
裁判官への就職は上位合格で有利になる
裁判官の就職時には、司法修習の成績だけでなく司法試験の順位も重要となってきます。
法曹スペシャリストである裁判官においては、司法試験結果が100位以内の優秀な人材を求める傾向にあります。
理由として、上位合格者の方が法律の知識量や論理的思考能力が高く、高度なスキルが求められる裁判官に相応しいと言えるからです。
従って、裁判官になりたい方は100位以内での合格を目指すようにしましょう。
検察官への就職は上位合格で有利になる
検察官においても司法試験の成績が重要視されます。
高度な識見と豊富な法的知識が必要な検察官においても、司法試験の順位が100位以内の上位合格者が優遇される傾向にあります。
そのため、検察官を目指す方は勉強熱心な姿勢を司法試験の結果を使ってアピールすると効果的と言えます。
弁護士への就職には順位が関係ない
一方で、弁護士へ就職する際には司法試験の順位が評価基準になりにくいです。
理由として弁護士の就活開始時期が関係しており、予備試験合格発表後に求人募集を開始する事務所が多く、弁護士の就活では一般的に予備試験の結果が重要視されます。
ただし、大手事務所や小規模な事務所に限り司法試験後にも採用を行う場合があります。
このように、弁護士の場合に順位が重要視されるかどうかは、就職を希望する事務所の規模によって異なります。
この後、一般的な事務所と大手事務所に就職する場合に分けて詳しく解説していきます。
司法試験で上位合格を目指すならアガルート
裁判官と検察官になることが目標で、司法試験で上位合格したいならアガルートを利用しましょう。
アガルートには「司法試験最短合格カリキュラム」という司法試験合格に特化したカリキュラムが用意されていて、受講生にとって最短での合格に向けた勉強方法を指南してくれることが特徴です。
少しでも高い順位で司法試験に受かりたいなら、アガルートの講座を利用することがおすすめです。
弁護士を目指す場合、順位は関係ない?
先ほど弁護士を目指す場合には、順位は比較的重要でないことをお伝えしました。
しかし、小規模な事務所や4大法律事務所では上位合格者を積極的に採用するケースがあります。
こちらの項目では、「弁護士の就職に司法試験の順位が基本的に重要視されない理由と順位が関係するケース」についてご紹介します。
弁護士を目指す方はご自身の進路先を具体的にイメージするためにも、しっかりと確認するようにしましょう。
一般的な事務所では合格発表前に就職活動が始まる
先ほども少し解説した通り、一般的な弁護士事務所を目指す場合には司法試験の順位はあまり関係しません。
理由として、司法試験前に本採用やインターンを行う事務所が多く、司法予備試験の成績を重視する傾向にあることが挙げられます。
なぜ司法試験の結果を優先しないのか疑問に思う方も多いでしょう。それは、予備試験の合格者は司法試験に合格する確率も高く、優秀な人材と言えるからです。
実際に、司法試験に合格した者のうち法科大学院出身者と予備試験合格者の割合を比較してみましょう。
出身名等 | 受験者数 | 司法試験合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|
慶応義塾大法科大学院 | 310人 | 186人 | 約60% |
東京大法科大学院 | 315人 | 186人 | 約59% |
早稲田大法科大学院 | 389人 | 174人 | 約44% |
予備試験合格者 | 353人 | 327人 | 約92% |
上記の表より、予備試験合格者はほぼ9割近く司法試験にも合格しており、法科大学院出身者よりも信頼性が高いと言えます。
このような傾向から、弁護士を目指す方は予備試験の成績を基準にされる傾向があるため、油断しないようにしましょう。
ただし、有名事務所の場合順位が重視される場合も
弁護士を目指す場合にも司法試験の順位が重視されるケースがあります。
例えば、以下の「四大法律事務所」と呼ばれる有名事務所においては、予備試験の結果だけでなく司法試験の順位も重視されます。
- アンダーソン・毛利・友常法律事務所
- 長島・大野・常松法律事務所
- 西村あさひ法律事務所
- 森・濱田松本法律事務所
有名事務所も一般的な事務所と同様に予備試験で優秀な成績を収めた人を中心に採用しますが、司法試験終了後にも限られた枠数で募集を行います。
そのため、弁護士として有名事務所に就職を希望する方は司法試験にて100位以内を目指すと効果的と言えます。
弁護士就職でも上位表示するに越したことは無い
弁護士の就職では司法試験の結果を使う機会は少ないものの、司法試験で上位合格する意味が全くないわけではありません。
例えば、弁護士として独立し事務所を構える際に「上位合格者」とHPに名乗り広告塔として活用することが出来ます。
弁護士を目指す場合には、上位合格者が比較的少ないためアドバンテージとして有効に活用しましょう。
司法予備試験の順位が重視される場合もある?
司法予備試験でも司法試験と同様に順位が通知されます。
例年、司法試験が終わる前に採用活動を行う弁護士事務所においては、予備試験の順位が重要となる傾向があります。
こちらの項目では「司法予備試験の順位が重要視されるのはどのようなケースがあるのか」についてご紹介します。
司法予備試験においても上位合格を狙うメリットについて理解しましょう。
四大法律事務所は予備試験の順位を重視する
四大法律事務所においては、司法試験の結果よりも司法予備試験の順位が比較的重視される傾向にあります。
弁護士事務所のトップブランドとして優秀な人材を早く取り囲む必要があるため、予備試験に優れた成績で合格した方を他事務所よりも早期に採用したいという理由があります。
従って、四大法律事務所へ就職したい方は、大前提として予備試験と司法試験に合格し、かつ上位100位以内で合格を目指さなければなりません。
裁判官、検察官の就職にも有利になる可能性がある
司法試験と司法修習の比重が高い裁判官と検察官においても司法予備試験の上位合格が有利になる可能性があります。
事実、検察官においては予備試験合格者を対象にした説明会を開催していることもあり、予備試験合格者の採用を積極的に行っているようです。
このような背景から、裁判官・検察官を目指す方にとっても予備試験の順位は重要と言えます。
下位合格者の順位は?就職も不利になる?
ここまで上位合格についてご紹介しましたが、逆に下位合格の順位は何位くらいで就職に悪い影響をもたらすのでしょうか。
こちらの項目では、「司法試験の下位合格の順位や下位合格が就職に与える影響」についてご紹介します。
下位合格の基準やデメリットについて理解しましょう。
下位合格は下から500位程度
下位合格は合格者のうち「下から500位程度の順位」のことを指します。
例年、合格最低点が800点台で推移しているため、800点台前半が下位合格と不合格のボーダーラインと言えます。
ただし、足切りの基準は毎年変わるため、意図的に下位合格を目指すと不合格になる可能性もあるのでご注意下さい。
また、下位合格の場合には、上位合格の方と比較し就職の難易度が上がってしまうというデメリットもあります。
この後、下位合格の方の就職事情について解説していきます。
順位を重視する就職先では不利になる可能性がある
裁判官・検察官では順位を重視する傾向にあるため下位合格者は比較的不利と言われており、弁護士の場合でも就職先によっては不利になる可能性もあります。
ただし、下位だった場合でも英語や得意科目、学歴など他に優れた実力をアピールすると効果的と言えます。
下位合格でも難易度の高い司法試験に合格したことには変わり無いため、進路先やアピール方法を工夫することで有利に働かせることが出来ます。
司法試験の上位合格の順位は?就職に有利になる?まとめ
今回、司法試験の上位合格の順位や、裁判官・検察官・弁護士それぞれにおいて順位がどのように影響してくるのかについて解説してきました。
上位合格は合格者全体の500位以内という極めて優秀な人しか目指せないため、就職や独立時に優遇されるケースが多くあります。
ただし、より高度な法律知識が求められる裁判官や検察官においては100位以内を目指す必要があり、一方で弁護士として目指す就職先によっては順位があまり影響しない場合もあります。
今回の内容を参考に目指すべき順位を決め、司法試験の成績を有効活用しましょう。