司法書士とはおもに登記業務や供託業務を独占業務とする法律系の国家資格です。
司法書士資格は例年4~5%と低いですが、独立することができ、安定的な収入を得ることができる魅力的な資格です。しかも実は、受験資格がありません。
もちろん転職や就職にも有利なので、学生から資格取得を目指す人も多いです。
誰でもチャレンジできるため、学歴や年齢に関係なく多くの人が受験しています。
ここでは、司法書士の実際の仕事内容や試験の内容、日程、合格率までご紹介していきます。
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司法書士とは
司法書士は、登記業務や供託業務を独占業務とする法律手続きの専門家です。
具体的には登記や供託手続きの代理、法務局や裁判所、検察庁に提出する書類の作成業務を担当しています。
上記の手続きや書類作成には法律に関する専門知識が必要であるため、司法書士は個人や法人からの依頼を受けて代行します。
また、司法書士は各種手続きに加え、法律相談を受けてクライアントの法的問題を解決するためのアドバイスや助言を行うことも業務の一環です。
最近では認知症の高齢者等の権利を守るための成年後見人として活動したり、認定を受けた司法書士は簡易裁判所で訴訟代理人として、さらに相続対策として遺言書や民事信託契約の作成などを行う場面も増えてきています。
以上のことから司法書士の仕事は多岐にわたるサポートを提供する仕事であることがわかります。
司法書士のおもな仕事内容
司法書士のお仕事とはどんな仕事でしょうか。
個人事業主や、企業や会社の重役や総務などにいないと出会う事も少ないでしょう。
ここでは主な司法書士の仕事についてご紹介します。
➀不動産登記簿登録代行業務
不動産登記簿とは、人生でもなかなかお目にかかる事は少なく、土地の売買を行った時、また性が変わるなど登録内容に変更が発生した場合に必要となります。
この登記簿には、その土地の住所、土地・建物の有無、所有者、料金、ローンの有無、金融機関の情報、など細かな情報が掲載されています。
つまり、それぞれの土地や建物の所有者をハッキリさせるためのものです。
この登録手続きは個人でもできますが、内容が煩雑なため司法書士の方に依頼されることが多いです。
➁相続手続き
司法書士は相続に関連するさまざまな手続きにおいて、書類の作成やアドバイスなどの業務を行います。
たとえば自分が亡くなった後、相続人同士が争わないようにするために遺産の分配方法を記載した遺言書を作成することがあります。
司法書士の仕事には相続が発生した後には遺産をどのように分けるかを協議し、遺産分割協議書を作成したりすることも含まれます。
遺産に多くの借金がある場合などには相続を放棄するために裁判所に相続放棄申述書を提出することもあります。
さらに、最近では家族信託という新たな分野に取り組む司法書士も増えてきており、これまでの相続では解決できなかった問題を解決する新しい制度として注目されています。
➂成年後見業務
成年後見業務とは、成年後見制度という精神障害や認知症を患い本人の財産を管理することが難しい、不可能か人が対象となる制度で必要となる成年後見人の業務です。
本人が亡くなってからの財産分与の手続きは非常に煩雑なため、この制度を利用し生前の内に遺産分割など必要な取引を進める事ができるメリットがあります。
親族が後見人となる場合も多いですが、基本的には被後見人のメリットになるための制度であり司法書士が依頼されることもあります。
成年後見人の主な職務について
・被後見人が利用する介護、福祉サービスや医療などの利用契約の代理締結
・被後見人が所有する土地、建物などの不動産や預貯金などの財産管理
④裁判業務
裁判業務と聞いて驚いた方も多いと思います。
裁判というと弁護士のイメージが強いと思いますが、2002年の司法書士法改定により、「簡易裁判所」における民事事件は司法書士が本人の代理として法廷に立つことができるようになりました。
それまでも、裁判関係の必要書類の作成などで裁判を行う人達をサポートしてきた経緯もあり、より強力なサポートが行えるようになったのです。
⑤企業法務
企業法務とは、全ての会社において必要な法律事務のことをさします。
多いものだと契約書の作成と締結、株主名簿や個人情報の管理、株主総会の実施や何かあった場合の法律に絡む問題の対応など非常に幅広く多義に渡ります。
日本では各業界保護のための様々な規制があり、それを守っていることを証明するなどの作業になります。
⑥商業登記業務
商業登記は法人の設立から清算までの一定事項を法務局で登記して、法人の内容を公示することで法人に関する取引の安全性を確立する制度です。
司法書士はこの商業登記手続きに関する書類作成や申請代理業務を行います。
商業登記を行わなければ法人として認められないため会社設立時は登記手続きが必須です。
登記事項証明書を取得すれば会社の商号、本店、発行済株式の総数、資本金の額、公開会社であるか否か、だれが役員であるかなどの情報を知ることができます。
また、会社の重要事項変更時や新役員就任時などにも司法書士が代わりに変更登記手続きを行います。
司法書士と弁護士・行政書士の違い
司法書士の仕事は弁護士・行政書士と比較されることが多くあります。
ここでは、司法書士と弁護士・行政書士の違いについてそれぞれ紹介します。
司法書士と弁護士の違い
弁護士は基本的人権を擁護し社会正義の実現を使命とする法律の専門家であり、法律に関するすべての業務を独占的に行うことが認められています。
一方、司法書士は法律相談を受け、依頼主の法的問題を解決するためのアドバイスや助言を行うことがあるものの活動には制約があるという点で違いがあります。
たとえば離婚問題を例に挙げると、司法書士は離婚に伴う養育費や財産分与、慰謝料などの支払いを求める書類の作成や相談には応じることができません。
しかし弁護士は法律全般を扱うことができるため、離婚に伴う養育費や財産分与、慰謝料に関する書類の作成や相談に対応することができます。
また、訴訟代理業務についても簡易裁判所で行われる訴額140万円以下の民事訴訟に対しては認定司法書士のみが対応を許可されていますが、弁護士はすべての裁判所で訴訟代理業務を行うことができるなど業務の幅に違いが見られます。
司法書士と行政書士の違い
行政書士は行政に対する許認可申請が必要な場合の書類作成や書類に関する相談業務を行う法律の専門家です。
司法書士と行政書士は相続関連業務や会社設立関連業務など同じ分野の業務を行うケースも多いですが、担当する業務範囲が異なります。
たとえば会社設立を例に挙げると行政書士は定款の作成を行うことができますが、法務局に会社設立の登記申請を行うことができるのは司法書士のみです。
ただし、登記の際に会社の目的にリサイクル品販売を追加したい場合、古物商許可申請は行政書士の専業となるため司法書士だけでは業務を完了することができません。
上記のようなケースでは司法書士と行政書士が業務を分担し、双方に依頼し合うこともあります。
司法書士の方の中にはダブルライセンスを取得することで幅広い業務に対応する方も少なくありません。
司法書士と行政書士の違いは?仕事内容・難易度・ダブルライセンスのメリットを紹介
司法書士の平均年収
厚生労働省のサイトによると司法書士の平均年収は1121.7万円となっています。
もちろん年齢や経歴にもよるでしょうが、司法書士は1,000万円以上といった高年収を十分狙える仕事だといえるでしょう。
ただし、司法書士の年収は所属する事務所の規模や勤務形態によって異なります。
どこかの事務所に勤務して司法書士として働く場合は、一般的な会社員と変わりません。
さらに司法書士は独立・開業ができる資格であることから、上記よりも稼げるケースもあります。
司法書士になるには
司法書士になる方法には以下の2通りのルートがあります。
司法書士試験に合格する
司法書士になるための一般的な道筋はまず司法書士試験を受けることです。
司法書士試験には特に受験資格は設けられておらず、 毎年7月におこなわれる筆記試験と口述試験を受験します。
試験に合格することで、司法書士の資格を晴れて得ることができます。
さらに合格後は各司法書士会や日本司法書士会連合会が主催する新人研修を受けなければいけません。
研修期間は基本的に12月~3月ですが、すぐに司法書士として働く予定がなく、研修を受けない方も一定数います。
法務大臣の認定を受ける
司法書士になる方法には試験に合格するだけでなく、法務大臣からの認定を受ける方法も挙げられます。
裁判官書記官、裁判官事務官、検事事務官、法務事務官として10年以上の経験を積むか、簡易裁判官判事または副検事として5年以上従事し、口述試験などを通じて法務大臣の認定を受けることで司法書士の資格を得ることができます。
実際にも裁判所で勤務したうえで定年退職した方々がこの制度を利用して再就職する人もいます。
しかし法務大臣の認定を受けるこのルートは司法書士試験に合格する方法よりも難易度が高いため、すぐに司法書士になりたい方は司法書士試験を受ける方法をおすすめします。
司法書士試験は独学だと難しい?メリット・デメリット・勉強法について解説 |
司法書士試験について
受験資格 | なし |
---|---|
出願期間 | 5月 |
筆記試験 | 7月第1日曜日 |
多肢択一式問題の正解及び基準点発表 | 8月上旬〜中旬 |
筆記試験合格発表 | 9月下旬または10月上旬〜中旬 |
口述試験 | 10月中旬〜下旬 |
最終合格発表 | 10月下旬または11月上旬〜中旬 |
受験料 | 8,000円 |
試験科目 | 筆記試験 午前:民法、商法・会社法、憲法、刑法の4科目 午後:択一式問題が、不動産登記法、商業登記法、供託法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法の7科目、記述式問題が不動産登記法、商業登記法の2科目口述試験 不動産登記法、商業登記法、司法書士法から10問程度 |
司法書士に受験資格はない?司法書士になる方法や難易度についても解説
司法書士試験の合格率は4%~5%
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和6年度 | 13,960人 | 737人 | 5.27% |
令和5年度 | 13,372人 | 695人 | 5.20% |
令和4年度 | 12,727人 | 660人 | 5.18% |
令和3年度 | 11,925人 | 613人 | 5.14% |
令和2年度 | 11,494人 | 595人 | 5.17% |
参照:法務省司法書士試験
司法書士試験の難易度は非常に高く、合格率は例年4〜5%程度です。
この難易度の高さは、試験範囲の広さと問題の難しさに起因しています。
試験科目ごとに深い理解が求められるため、しっかりとした学習計画と十分な勉強時間が必要です。
また、実務に即した問題も出題されるため、実践的な知識と応用力が試されます。
司法書士試験の合格点
年度 | 筆記試験の合格点 |
---|---|
令和6年度 | 267.0点以上(350点満点) |
令和5年度 | 211.0点以上(280点満点) |
令和4年度 | 216.5点以上(280点満点) |
令和3年度 | 208.5点以上(280点満点) |
令和2年度 | 205.5点以上(280点満点) |
司法書士試験合格に必要な勉強時間は3,000時間
司法書士試験に合格するためには、一般的に約3,000時間の勉強が必要とされています。
司法書士試験の科目は多く出題範囲も広いため、インプットだけでも相当な時間を要します。
さらに、アウトプットのトレーニングを考慮すると、最低でも3,000時間の学習が求められます。
もし初学者が1年で合格を目指す場合、毎日8時間以上の勉強が必要であすが、一般的には2~3年程度かけて合格するケースがほとんどです。
ちなみに同じ法律系の国家資格である行政書士の勉強時間が約500〜1,000時間、宅建士が200〜300時間であるため、司法書士試験対策にはかなりの勉強時間が必要であることがわかります。
司法書士を目指すメリット4つ
ここでは、司法書士を目指すメリットについて紹介します。
メリット➀学歴など関係なくチャレンジできる
先にも述べたように司法書士試験には受験資格がなく、性別、年齢、職業、国籍に関わらずだれでも受験できます。
例えば、弁護士になるための試験である司法試験を受けるには原則として法科大学院課程を修了するか、予備試験に合格する必要があります。
しかし一方で司法書士試験は高校を中退した人や義務教育以降の学歴がない人でも受験できます。
仮に中卒であっても、今後の努力次第で逆転のチャンスは十分にあります。
また、受験回数に制限がないため何度でも挑戦できる点も魅力です。
司法書士は結婚や出産といった女性のライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるでしょう。
メリット➁独立・開業しやすい
司法書士は独立・開業しやすい仕事です。
資格を取得した直後は司法書士事務所や法律事務所に就職するのが一般的ですが、その後は独立を目指す人がたくさんいます。
独立すると、自分で仕事の量を調整できるため、工夫次第で高収入を目指すことができるのも魅力の一つです。
実際、年収が1,000万円を超える人も少なくありません。
また、資格を取得した後は経験や理想のライフスタイルに応じた働き方を選ぶことができます。
実際に独立して成功している人の中には、社会人経験が少ない若者やしばらく家庭に専念していた女性などもたくさんいるので独立・開業に興味がある方はおすすめです。
メリット➂廃業リスクが低い
司法書士の廃業率は毎年約2%であり、他の自営業と比較して低いとされています。
司法書士白書2024年版の資料によると、令和4年度4月1日現在の会員数は22907人であり、年度内の業務廃止数は481件となっており、これを基に算出されています。
また、長期間にわたり司法書士を続けている人が多いことから、廃業率の低さが推測されます。
司法書士の継続率が高い理由として、あまり経費をかけずに開業できることや営業力がなくても司法書士会などを通じて仕事を得ることができる点が挙げられます。
司法書士は開業資金や運転資金をそれほどかけずに営業することができ、自宅で開業する場合、約100万円程度で開業することも可能でしょう。
メリット④地方でも就職しやすい
弁護士の職務は弁護士事務所は紛争が発生しやすい地域、すなわち都市圏に集中しやすい傾向にあります。
しかし一方で司法書士の職務は不動産や会社に関する手続きが中心となり、全国各地にあるため司法書士の需要は地方でも高めです。
会社に勤務していた際は東京に住んでいましたが、司法書士として独立開業するために家族全員で地方に移住し、成功を収めている方もいらっしゃいます。
さらに、日本司法書士会連合会は司法過疎地域で独立開業する司法書士に対して開業資金の貸付けなどの財政的支援を行っており、比較的リスクが低い形でのIターン地方開業ができるメリットもあります。
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2025年合格目標 入門総合講義/入門総合カリキュラム
2025年(令和7年度)合格目標演習総合カリキュラム
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