行政書士と司法書士はどちらも国家資格であり、非常に人気の資格です。
両者の業務内容は一部同じ部分もあり、仕事内容の違いやどっちが上なのかは気になるところでしょう。
そこでこの記事では行政書士と司法書士の試験の難易度や仕事内容の違いを比較しつつ、どっちが上なのか、ダブルライセンスは可能か、そのメリットやデメリットなどについて解説していきます。
行政書士・司法書士の資格取得を目指している方は必見です。
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行政書士と司法書士の仕事内容と違い
行政書士と司法書士は独占業務を持つ「8士業」に数えられる国家資格です。
どちらも法的な書類を扱うことが多く、一見して似たような仕事内容に思えますが、業務範囲などについては明確な違いがあります。
まずは行政書士と司法書士の仕事内容と、その違いを比較して見てみましょう。
行政書士の主な仕事内容
行政書士は行政書士法に基づく国家資格です。
行政書士は、①各官公庁に提出する書類の作成及び提出代行業務、②書類作成に関する相談業務、そして③契約書等の代理作成業務の3つが主な業務になります。
①に関しては、例えばあなたが何か新しい事業を始める際には開業や認可、許可に関する手続きを各官公庁で行う必要があります。
しかし、それらの手続きは素人の方には非常に複雑であるため、行政書士が代理として提出に必要な書類の作成及び提出手続きを行います。
②③に関して、例えば遺産相続や土地、建物などの不動産賃貸借、その他金銭の非消費貸借を行う際に必要となる契約書の内容をクライアントの意向に合わせるため入念な調査、相談を行い実際の作成業務や手続きを依頼主に代行して行います。
行政書士のその他の仕事内容
行政書士が取り扱う書類は1万種類を超えるとも言われており、建築会社が建築許可を受けるための書類や飲食店の営業許可書類、遺言書など多岐に渡ります。
この他にもビジネスコンサルタントとして各企業の会計記帳や決算や権利義務、事実証明に関する書類作成等ありとあらゆる幅広い分野で活躍しています。
業務範囲が非常に幅広いことから、何か困ったことがあった際にとりあえず行政書士に相談しようと考える人も多いということです。
あらゆる書類作成のエキスパート、それが行政書士です。
司法書士の仕事
司法書士は司法書士法に基づく国家資格です。
司法書士は、①不動産登記・供託の手続き代理、②裁判所・検察庁・法務局への提出書類の作成、そして③各種法律相談の3つが主な業務になります。
①に関して、会社を興す際や不動産を借りる際に、実際の借り主に代行して登記・供託の手続きや審査請求を行います。
②③に関しては、司法書士が対応できる分野において訴訟事案が発生した際に、依頼人からの聞き取りや相談、また実際に裁判を行うために必要となる裁判所や検察庁への提出書類の作成及び申請が司法書士のメイン業務になります。
これらの全ての業務を司法書士一人で行う場合もありますが、一人でカバーしきれない事案の際は弁護士や行政書士など他の法律の専門家と連携して業務を行うこともあります。
司法書士のそのほかの仕事内容
司法書士は、企業法務を対象として企業にアドバイスを行うほか、企業に就職して企業内の法務担当としても活躍することが可能です。
独立開業の他に就職の道もある点は司法書士の魅力でしょう。
また、法務大臣から認定を受けた認定司法書士は140万円以下の簡易裁判であれば代理人権限が与えられます。
司法書士なら、書類作成以外の仕事も行うことができます。
行政書士と司法書士の仕事内容の違い
行政書士と司法書士は、管轄がそれぞれ総務省、法務省となっており、扱える仕事内容は全く違います。
仕事内容 | 行政書士 | 司法書士 |
---|---|---|
相続手続き | 遺産分割協議書の作成 遺言書の作成 |
遺産分割協議書の作成 遺言書の作成 相続登記の手続き 相続放棄の手続き |
会社設立手続き | 定款の作成 公証人役場での認証手続き 許認可手続き 外国人の方に対する手続き 自動車に関連する手続き |
定款の作成 公証人役場での認証手続き 登記手続き |
このように、一口に相続手続きや会社設立手続きといっても窓口が細かく分かれています。
他の手続きでもこのように分かれている場合も多く、他の士業がさらに関わることもあります。
行政書士と司法書士は名前や一見した仕事内容は似ていますが、明確な線引きがあるのです。
行政書士と司法書士の試験難易度を比較!
行政書士と司法書士は、どっちも国家試験に合格することでなれる職業です。
どっちの試験も非常に難しいですが、比較した場合は司法書士の方が難易度は高いとされています。
行政書士と司法書士の何どの違いを、合格率・試験範囲・合格基準・勉強時間の4つから見ていきましょう。
合格率から難易度を比較
試験年度 | 行政書士 | 司法書士 |
---|---|---|
2023年度 | 受験者数:46,991名 合格者数:6,571名 合格率:13.98% |
受験者数:13,372名 合格者数:695名 合格率:5.19% |
2022年度 | 受験者数:47,850名 合格者数:5,802名 合格率:12.1% |
受験者数:12,727名 合格者数:660名 合格率:5.18% |
2021年度 | 受験者数:47,870名 合格者数:5,353名 合格率:11.2% |
受験者数:11,925名 合格者数:613名 合格率:5.14% |
2020年度 | 受験者数:41,681名 合格者数:4,470名 合格率:10.7% |
受験者数:11,494名 合格者数:593名 合格率:5.15% |
2019年度 | 受験者数:39,821名 合格者数:4,571名 合格率:11.5% |
受験者数:13,683名 合格者数:601名 合格率:4.39% |
行政書士試験の合格率は例年10〜15%程度、司法書士試験の合格率は例年5%程度です。
行政書士は毎年4万人近くの受験生、司法書士は1万人程度となっています。
受験生の数はどちらも多いですが合格率は非常に低く、どちらも難易度の高い試験であることがわかります。
しかし、合格率を比較して見た場合は行政書士より司法書士試験の方が難易度が高いと言えるでしょう。
試験内容から難易度を比較
行政書士 | 司法書士 | |||
---|---|---|---|---|
試験範囲 | 【法令科目】 ・基礎法学 ・憲法 ・行政法 ・民法 ・商法 |
【出題数】 46問/60問 【配点】 244点/300点 |
【午前の部】 ・民法 ・商法 ・憲法 ・刑法 |
【出題数】 択一式:35問 【配点】 105点/280点 |
【一般知識】 ・政治 ・経済 ・情報通信 ・個人情報保護 ・文章理解 |
【出題数】 14問/60問 【配点】 56点/300点 |
【午後の部】 ・不動産登記法 ・商業登記法 ・民事訴訟法 ・民事執行法 ・民事保全法 ・供託法 ・司法書士法 |
【出題数】 択一式:35問 記述式:2問 【配点】 択一式:105点/280点 記述式:70点/280点 |
|
試験時間 | 3時間 | 午前の部:2時間 午後の部:3時間 |
行政書士試験は法令科目と一般知識に分けられる計10科目を3時間かけて解きます。
法令科目は5肢択一式が全ての科目、多肢選択式が憲法・行政法、記述式が行政法・民法で行われ、一般知識は全て5肢択一式の問題となっています。
司法書士試験は午前の部・午後の部に分かれており、午前の部4科目、午後の部は7科目から出題されます。
すべての科目に択一式問題が用意され、不動産登記法と商業登記法は記述式問題も解かなくてはなりません。
また、司法書士試験は口述試験もあるため、口述試験対策の必要もあります。
行政書士と司法書士の試験範囲を比較すると、出題科目がかなり広く試験時間も長いことから、司法書士試験の方がより高難易度と言えるでしょう。
合格基準から難易度を比較
行政書士 | 司法書士 | |
---|---|---|
合格基準 | 絶対評価 | 相対評価 |
基準点 | 法令科目:122点/244点 一般知識:24点/56点 合格点:180点/300点 |
(2023年の場合) 午前の部:78点/105点 午後の部:択一式 75点/105点 記述式 30.5点/70点 筆記試験合格点:211.0点/280点 |
行政書士試験は300点満点でその内180点以上の点数を取れば誰でも合格できる絶対評価試験です。
合格基準が明確なため過去問等を解くことで自分が現在どれくらいの合格基準に達しているのか、どの科目の理解度が足りないのかなどが解り試験勉強もしやすくなります。
一方、司法書士試験は相対評価の試験で合格者数があらかじめ決められており、合格基準点を超えた人の中で上位の者が合格します。
司法書士試験は合格基準に達した上で、合格者の上位に入らなければならないのです。
このことから司法書士試験の方が行政書士試験より難易度が高いと言えます。
勉強時間から難易度を比較
行政書士 | 司法書士 | |
---|---|---|
勉強時間 | 約500〜600時間 | 約3,000時間 |
行政試験に合格するために必要な勉強時間は500〜600時間と言われています。
1日2時間の勉強でも1年あれば十分な学習を確保できるなため、社会人が資格取得を目指すことも難しくないと言えそうです。
一方、司法書士試験に必要な勉強時間は3,000時間と言われています。
1日3時間勉強をしたとしても、3年かかり、1年で学習を終えたいなら1日8時間の勉強が必要です。
その為社会人はもちろんのこと、比較的時間に余裕のある学生にとってもかなりの努力が必要になってくるでしょう。
このことからも行政書士試験より司法書士試験の方が難しいことがわかります。
行政書士と司法書士はどっちが上なの?
行政書士と司法書士は、試験の難易度としては司法書士の方が上です。
しかし資格の位や評価としてどっちが上・下ということは全くありません。
上記でも説明しましたが行政書士と司法書士は出来る内容の仕事に違いがあり、それぞれの専門分野で業務を行います。
しかしせっかくですので、人口・年収・仕事の幅という3つのデータについては、どっちが上か見ていきましょう。
人口はどっちが上?
日本弁護士連合会によると、2022年3月31日現在での行政書士の数は50,286名、内女性の割合は15.1%で7,613名です。
司法書士は22,907名、内女性の割合は18.5%で4,234名、簡易裁判所での訴訟代理を行える司法書士は17,863名います。
行政書士は絶対評価の試験であり。合格率も司法書士より高いことから、人口も行政書士の方が多くなっています。
一方、女性の割合という点で見ると、司法書士の方がやや高い人口となっています。
年収はどっちが上?
厚生労働省の職業情報提供サイト
jobtagによると、令和4年の年収は行政書士が579.8万円、司法書士は971.4万円となっています。
また、ハローワークの求人では行政書士の月給は26万円、司法書士は30.4万円となっています。
年収については、行政書士より司法書士の方が上であることがわかります。
しかし、どちらも一般的な会社員の年収よりは高くなっているため、行政書士も十分稼げる仕事であるといえそうです。
仕事の幅はどっちが上?
仕事の幅がどっちが上かについては一概には言えませんが、司法書士より行政書士の方が扱える仕事の種類は多いでしょう。
先述の通り行政書士は書類作成のエキスパートであり、1万種類以上の書類を扱えるため、幅広く書類作成を行っていきたい方には行政書士が向いています。
司法書士は不動産登記や司法に関わる書類作成に精通しており、裁判の代理人になれるケースもあります。
よりピンポイントで仕事をしていきたい方には、司法書士が向いているでしょう。
行政書士と司法書士のダブルライセンスはあり?
細かく見てみると仕事に明確な違いがある行政書士と司法書士ですが、ダブルライセンスのメリットは大いにあるといえます。
ダブルライセンスになることで業務を一貫して行えたり、他の有資格者と差別化も行えます。
行政書士と司法書士のダブルライセンスのメリットや、おすすめの資格取得の順番を見ていきましょう。
相続・遺産や会社設立の手続きをワンストップで完結できる
行政書士と司法書士はそれぞれが担う手続きの分野が異なるため、両方の士業に依頼をしなければ完結できない案件が多いです。
例えば、遺産や相続に関する手続きや会社設立に関する手続きをする場合は、行政書士と司法書士のどちらにも依頼をしなければなりません。
しかし、ダブルライセンスを取得できれば1人で両方の手続を行うことができるので、依頼者である顧客からしても1回の契約で必要な手続きを全て完了できる強みがあります。
少子高齢化の影響により、今後日本では相続や遺産の案件も増えてくると考えられるため、司法書士のダブルライセンスを取得していれば今後更に活躍できるでしょう。
ダブルライセンスの取得は収入を上げやすい
ダブルライセンスを取得すれば取り扱える業務が増え、特定の分野の専門性を高めることも可能ですので、他の同業者にはないアピールポイントが作れます。
専門分野を確立すればダブルライセンスを活かせる案件を獲得しやくなるので、そこから顧客を開拓することで収入を上げやすくなるでしょう。
ダブルライセンスを取得されている方は1つの資格保有者に比べて年収が高くなり収入が安定しやすい傾向があります。
試験科目が重複している
行政書士試験と司法書士試験の試験科目が重複しているため、どちらかの資格を取得すればもう片方の資格も取りやすくなります。
重複している科目とは「憲法」「民法」「商法・会社法」の法令科目です。
特に両試験で出題配点の高い「民法」が重複しているので、学習した内容をそのまま次の資格試験にも活かせるため資格の取りやすさでも相性が良いです。
しかし、出題のされる問題の内容は違うため、試験科目が重複しているからといって勉強は怠らないようにしましょう。
どっちを先に取得するべき?
上記のように行政書士と司法書士のダブルライセンスには多くのメリットがありますが、どちらから先に取得するかはしっかりと考えるべきです。
試験の難易度としては行政書士より司法書士の方が難しいため、行政書士を先に取得してから司法書士を受験することでステップアップ的な学習が期待できるでしょう。
しかし、その場合は行政書士として働きながら司法書士の試験勉強をすることになるため、ハードな日々になることは必至です。
主に司法書士として働きたいと思っている方は司法書士から、今まで法律に触れてこなかった方は行政書士から目指すといいでしょう。
行政書士と司法書士どっちも狙うならアガルート!
行政書士と司法書士はどっちも難関資格であるため、資格取得を目指すなら通信講座や予備校で学習するべきです。
数多くある予備校の中で最もおすすめするのは、アガルートアカデミーという通信講座。
最後に、アガルートの特長をご紹介します!
合格率の高い通信講座
アガルートは、合格率の高い通信講座として有名です。
令和4年は行政書士試験の合格者205名、合格率は全国平均の4.63倍である56.17%です。
同じく司法書士試験は全国平均の2.96倍である15.4%の合格率を記録しており、合格に直結する非常に優れた講座を提供していることがわかります。
確実に試験に合格したいのであれば、アガルートはかなり有力な選択肢となるでしょう。
働きながらでも受講できる
既に会社員の方や、特にダブルライセンスを目指している場合、2つ目の資格は働きながら取得を目指すことになります。
その場合通学型の予備校は不向きですが、アガルートは通信講座であり働きながらでも学習がしやすい設計がなされています。
1講義は30分程度と短く、通勤中や休憩中にもしっかりと学習が可能です。
質問相談やカウンセリングなどのサポートも用意されているため、不安を払拭しながら学習と向き合えることでしょう。
合格特典や割引制度でお得に受講できる
アガルートでは、試験に合格したら受講料金を全額返金という魅力的な特典が用意されています。
ダブルライセンスは費用がかかることがデメリットですが、アガルートなら1つ目の資格を取得した後に、全額返金を受けてそのお金でそのまま新たな資格にチャレンジできます。
さらに2つ目も合格したら全額返金を受けられるため、ほとんど費用をかけずにダブルライセンスを取得することも可能です。
また、試験にリベンジする際に再受講割引、行政書士資格を持っているなら司法書士試験講座の割引など、ダブルライセンスにおいて有用な割引制度もあるため、かなりお得に受講することも可能です。
アガルートの行政書士試験講座
アガルートの行政書士試験講座は「豊村クラス」「田島クラス」という2つのクラスに分かれていて、どちらかを選ぶことが可能です。
とくに、豊村クラスの豊村慶太講師は行政書士試験対策のカリスマで、毎月1回第3日曜日にYouTubeライブ上でお悩み相談を実施しています。
その他両コース共通で「豊村ゼミ」を追加で受けられるなど、フォローアップも充実しています。
アガルートの行政書士試験講座なら、初めて法律を学習する方でもしっかりと合格が狙えるでしょう。
アガルート行政書士試験講座の料金 | |
---|---|
入門総合講義 | 184,800円(税込) |
入門総合 カリキュラム ライト |
228,800円(税込) |
入門総合 カリキュラム フル |
261,800円(税込) |
アガルートの司法書士試験講座
司法書士試験は行政書士よりさらに難関試験ですが、アガルートでなら最短合格を狙えます。
膨大な量の情報を効率的に学習し、ステップアップ式の学習で着実に力を付けます。
定期カウンセリングのオプションを付ければ月に1回の電話カウンセリングを行えるため、悩みの解決やモチベーションの維持を行なえます。
もちろん無制限の質問制度や月に1回の動画配信も用意されているため、日々の学習もスムーズに行えるでしょう。
アガルート司法書士試験講座の料金 | |
---|---|
入門総合講義 | 140,800円(税込) |
入門総合カリキュラム <ライト> |
217,800円(税込) |
入門総合カリキュラム <フル> |
272,800円(税込) |
定期カウンセリングオプション | +110,000円(税込) |
行政書士と司法書士どっち?まとめ
今回この記事では行政書士と司法書士の仕事内容や試験の違いの比較、どっちが上なのか、ダブルライセンスは可能か、メリットやデメリットについて解説してきました。
行政書士と司法書士の資格試験の難易度を比べると、司法書士の資格試験の方が範囲の幅や必要な勉強時間などから見て難しいと言えます。
しかし行政書士と司法書士はそれぞれ担当できる仕事の分野が異なるためどちらの方が上の立場かなどと比べるのは間違いだと言えるでしょう。
行政書士と司法書士はダブルライセンスで活躍の幅を広げることもできるため、積極的にダブルライセンスを目指してもいいでしょう。