特定社労士とは、労働問題などの法的なトラブルが起きたときに個別労働紛争における代理人としての業務をこなせる資格です。
裁判沙汰にすることなく当事者に代わって紛争解決に導くことができる存在のため、労使問題が頻繁に起こっている昨今においては貴重な存在と言えます。
こちらの記事では、特定社労士の具体的な仕事内容や特定社労士になるための方法、試験内容などを詳しく解説していきます。
特定社労士の仕事に興味がある人や特定社労士を目指している人に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。
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特定社労士とは

特定社労士とは「特定社会保険労務士」の略で、個別労働紛争における代理人としての業務が可能な社労士を指します。
まずは、特定社労士とは何なのか、また一般社労士との違いは何があるのか見ていきましょう。
一般の社労士との違い
一般の社労士と特定社労士との大きな違いは「紛争解決手続きの代理業務が可能かどうか」という点です。
労使間のトラブルが起きたとき、一般の社労士は紛争解決の代理業務を行うことはできませんが特定社労士であれば行うことができます。
なお特定社労士は一般の社労士の上位資格というわけではなく、あくまで両者の違いが「紛争解決手続きの代理業務が可能かどうか」なだけです。
特定社労士には近年増加傾向にある個別労働関係紛争の迅速な対応や解決に向けた積極的な取り組みが期待されており、「従業員が働きやすい環境を作る」ために重要な役割を果たしています。
紛争解決手続き代理業務とは
紛争解決手続き(ADRとも呼ばれます)とは、訴訟をすることなく裁判外で民事上の紛争の解決を目指すことを指します。
例えば労使のトラブルを抱えている当事者がいるときに、特定社労士が間に入って問題解決を図る手続きが「紛争解決手続き業務」となります。
労働に関するトラブルが裁判沙汰になるとお金も時間もかかる上に事業主と労働者が名誉や心を傷つけ合う結果にもなりかねず、精神的な負担も重いです。
特定社労士は当事者双方の話し合いに基づきながら調停や仲裁などの手続きによって紛争の解決を図るため、当事者間の負担を大きく軽減してくれる存在と言えます。
具体的な紛争解決手続きとしては以下のような業務内容が挙げられます。
- 都道府県労働局及び都道府県労働委員会における個別労働関係紛争のあっせん手続等の代理
- 都道府県労働局における障害者雇用促進法、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、育児・介護休業法及びパートタイム・有期雇用労働法の調停の手続等の代理
- 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続における当事者の代理(単独で代理することができる紛争目的価額の上限は120万円)
- 代理業務には、依頼者の紛争の相手方との和解のための交渉及び和解契約の締結の代理を含む
紛争解決手続業務試験合格者のみが名乗れる
特定社労士を名乗るためには紛争解決手続代理業務試験(特定社労士試験)に合格する必要があります。
また、一般の社労士資格に付記申請をすることで晴れて「特定社労士」になり紛争解決手続きの代理業務が可能となります。
通常の社労士試験に加えて紛争解決手続代理業務試験を受けなければならないため、特定社労士になるためにはそれなりの時間と手間がかかります。
紛争解決手続代理業務試験の試験内容に関しては以下で詳しく解説していきます。
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特定社労士になるためには

続いて、特定社労士になるためにはどのような手順を踏む必要があるのか詳しく見ていきましょう。
社労士としての活躍の幅を広げるために特定社労士になるのは非常に有意義なことです。
特定社労士に興味がある方はぜひ参考にしてください。
社労士資格を有している
特定社労士になるための前提として、社労士試験に合格して社労士として登録をしている必要があります。
単に社労士試験に合格しているだけでは特定社労士になることはできないため、注意しましょう。
社労士の登録が済んでいれば、他に実務要件などの要件は求められません。
特別講習を受ける
社労士としての登録が済んでいれば、次のステップとして「厚生労働大臣が定める特別講習」を受ける必要があります。
特別講習は毎年行われており、受講費用として85,000円を支払って下記の内容を学ぶことになります。
- 中央発信講義(30.5時間):個別労働関係紛争に関する法令及び実務に関する教材DVD教材を視聴
- グループ研修(18時間):グループワークを通じて、個別労働関係紛争における申請書や答弁書作成の練習を行う
- ゼミナール(15時間):ケーススタディを通じて、紛争解決代理業務を行う上での実践的な知識とスキル習得に加えて、申請書及び答弁書の検討、争点整理、和解交渉の技術及び代理人の権限と倫理などを学ぶ
特別講習は上記の3分野に分かれていますが、講義を1度でも欠席すると修了できないため注意しましょう。
なお講習の内容は「紛争解決」となっているため、労働問題に加えて刑法や民法も含まれます。
紛争解決手続代理業務試験に合格する
特別講習を修了したら、紛争解決手続代理業務試験に合格して社会保険労務士名簿への付記を経ることで特定社労士になることができます。
紛争解決手続代理業務試験は全て記述式である点が特徴で、法律の知識を踏まえてトラブルを解決に導くための内容を文章化しなければなりません。
なお紛争解決手続代理業務試験は年に1回、例年11~12月に実施されています。
試験地は北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・広島県・福岡県の1都1道1府4県となっているため、全国各県で行われるわけではないという点に注意しましょう。
紛争解決手続代理業務試験について

ここからは、紛争解決手続代理業務試験に関する情報を合格率などを中心にご紹介します。
試験の難易度やどのような内容が出題されるのかを把握し、イメージを持っておくと良いでしょう。
合格率・合格基準
まず、ここ5年間の紛争解決手続代理業務試験の合格率について見ていきましょう。
試験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2021年 | 950人 | 473人 | 49.8% |
2020年 | 850人 | 490人 | 61.9% |
2019年 | 905人 | 490人 | 54.1% |
2018年 | 911人 | 567人 | 62.2% |
2017年 | 890人 | 510人 | 57.3% |
上記のように合格率は50~60%程度で推移していることが分かります。
一方社労士試験の合格率は5~8%のため、そのような難関試験を突破した人からすると簡単そうに見えるかもしれませんが油断すると不合格になってしまいます。
紛争解決手続代理業務試験では社労士試験では出題されない刑法や民法などの内容も出題されるため、「社労士試験の延長」と考えるのは危険です。
紛争解決手続代理業務試験は100点満点の試験で大問2題で構成されています。
第1問は70点満点となっており、あっせんに関する事例が小問として4~5題出てきます。
第2問は30点満点となっており、倫理に関する小問が2~3題出てきます。
そして、紛争解決手続代理業務試験の合格基準は「100点満点中55点以上かつ第2問10点以上」です。
出題される内容
紛争解決手続代理業務試験では労使に関するトラブル事例が出題され、「民法上どうなるか」という問いに対して解答します。
またトラブル事例に関して「具体的にどのような点に問題があるのか」「社労士倫理からしてどのように考えるか」といった出題に対して記述式で回答することになります。
通常の社労士試験とは出題形式が異なるため、法律知識に加えて分かりやすく「なぜそうなるのか」「何が問題なのか」を文章化する必要があります。
出題内容は専門的で難解ですが、特別講習で学ぶ内容をしっかりと理解し過去問を解けば対策は可能です。
特定社労士試験の対策講座はある?

「独学で紛争解決手続代理業務試験に臨むのは不安」という人は、特定社労士試験の対策講座を受講すると良いでしょう。
ここでは特定社労士試験の対策講座をご紹介しますので、必要に応じて受講を検討してみてください。
TAC 特定社労士試験対策講座
TACでは「特定社労士試験対策講座」を行っており、全2回の講義を通じて紛争解決手続代理業務試験の合格を目指します。
第1回の講義は講師の講義を受講するスタイルとなっており、法律的な知識についてオリジナルテキストを用いながら効率的・効果的に学びます。
第2回の講義は演習形式となっており、講師が厳選した演習問題を用いながら実際に答案を書く練習を行います。
解答作成時のポイントや丁寧な解説を受けることもできるため、習得した法律知識を文章化する方法を着実に学ぶことができるでしょう。
通信講座と通学講座から選ぶことができ、いずれも受講料は18,700円となっています。
効率よく紛争解決手続代理業務試験対策を行いたい場合は、ぜひTACの受講を検討してみてください。
LEC 特定社労士合格講座
大手予備校のLECでは、社労士試験に合格した人が特定社労士試験に合格するための「特定社労士対策講座」を取り扱っています。
LECの紛争解決手続代理業務試験講座は下記の2つに分かれています。
- 2022年特定社労士対策講座 フルパック全19回【通信:スクーリング・添削有】 (法学概論2回・民法基礎講座2回・対策講座 本論編6回・過去問分析講座6回・答練3回)
- 2022年特定社労士対策講座 答練【通信:添削有】全3回(答練3回)
「フルパック」の受講料は61,000円から、「答練」の受講料は21,000円からとなっています。
LECは長年にわたって資格取得をサポートしてきた実績ある予備校のため、安心感は申し分ありません。
特定社労士試験まとめ
ここまで、特定社労士試験の出題内容・合格率・特定社労士になるための方法などを解説してきました。
特定社労士になるのは簡単ではありませんが、しっかりと勉強して対策すれば着実に合格を狙えるでしょう。
特定社労士を目指す場合は必要に応じて対策講座を受講することを検討し、効率よく試験対策を進めることをおすすめします。
特定社労士は常に需要があり事業主からも労働者からも頼られる存在のため、興味がある人は資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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