心理カウンセラーになるには学歴は関係なく、高卒の方でも目指すことができますが、「なるための方法がわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、高卒で心理カウンセラーになる方法や、取得をおすすめする資格についてご紹介します。
また、高卒の心理カウンセラーが活躍できる就職先も解説していますので、是非参考にしてみてください。
高卒でも心理カウンセラーになれる!
大前提ではありますが、そもそも心理カウンセラーという職業は存在しません。
クライエント(相談者)の悩みをヒアリングしたり、解決に導くアドバイスをしたりする人のことを総称して心理カウンセラーと表現されるので、明確な定義や基準はありません。
ですので、学歴や資格の有無は関係なく高卒でも心理カウンセラーになることは可能です。
しかしクライエントから見れば、無資格で本当に心理に関するノウハウがあるのか分からない人よりも、ちゃんと知見があることを証明できる有資格者の方が安心して相談しやすいでしょう。
クライエントから厚い信頼を得るために、何らかの心理系の資格は取っておくことをおすすめします。
高卒から心理カウンセラーになる方法
クライエントから信頼される心理カウンセラーになるには、今後どうすれば良いのでしょうか?
ここからは高卒から心理カウンセラーを目指す方法を2つご紹介します。
- 指定の大学に進学・卒業する
- 資格の専門講座を受講する
①指定の大学に進学・卒業する
心理カウンセラーとして活躍するには、大学や大学院に進学・卒業しないと取得できないような専門性の高い資格を取得することが最もおすすめです。
無資格者や独学でも取れるような簡易な資格よりも、高度な教育機関で専門知識や研修を受けたうえで取得した資格の方が権威性があり、クライエントから大きな信頼を得やすいからです。
心理カウンセラーの代表的な資格である「臨床心理士」は、指定の大学院を卒業して試験に合格しないと資格を取得できないので、高卒の方が今から目指すにはハードルが高いです。
しかし、大学在学中や卒業後に実務に取り組むことで取得できるものもあり、例えば「認定心理士」であれば資格試験がなく4年制大学で一定数の心理学の単位を得ることで取得できます。
また、「公認心理師」であれば専用カリキュラムがある大学を卒業後して、特定の施設で2年以上の実務経験を積むことで資格可能です。
ただし、これらの資格を得るためには数年の月日を要し、通学するために年間で約100万円の学費がかかることがデメリットです。
②資格の専門講座を受講する
心理系の資格が得られる専門講座を受講することも、高卒からでも心理カウンセラーとしての資格取得ができる方法の1つです。
大学や大学院に進まずとも、ある程度専門性の高いカリキュラムを学習できるので、どうしても時間や費用面で進学が難しい方におすすめの方法です。
具体的に高卒でも取得できる資格の講座は後述しますが、通信講座のみで勉強して在宅受験に合格するだけと、取得までのハードルが低い資格もあります。
進学するよりもコストがかからないものの、資格に対する信頼性が低かったり、学習へのモチベーションが下がりやすかったりする点がデメリットとして挙げられます。
高卒で心理カウンセラーになるためにおすすめの資格
高卒の人が心理カウンセラーとして活動したいなら、何かしらの資格を持つことをおすすめします。
しかし資格を取ろうと思っても、どんな資格があるのか、どの資格から取ったらいいかと悩んでしまいますよね。
そこで、高卒で心理カウンセラーになるためにおすすめの資格をまとめてみました。
- メンタルケアカウンセラー
- メンタルケア心理カウンセラー
- 産業カウンセラー
- こころ認定
1.メンタルケアカウンセラー
実施団体 | ・メンタルケア学術学会 ・一般財団法人 生涯学習開発財団 ・一般財団法人 ヘルスケア産業雑進財団 |
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受験資格 | 通信講座「たのまな」のメンタルケアカウンセラー講座修了 |
合格率 | 修了者100%授与 |
メンタルケアカウンセラーは、カウンセリングの基礎知識やこころの病気について学び、心理学の基礎知識と円滑なコミュニケーションに求められる基礎能力を有することを証明できる資格です。
指定の講座に付属する通信添削の課題(全4回)を一定の成績で修了することで得られます。
通信講座で課題を提出して成績を修めるだけで取得できる資格ですので、高卒でも得られる心理カウンセラーの資格の中では最も難易度が低く、カウンセリング系の資格を初めて取る方におすすめです。
2.メンタル心理カウンセラー
実施団体 | 一般財団法人 日本能力開発推進協会 |
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受験資格 | 通信講座「キャリカレ」のメンタル心理カウンセラー講座修了 |
合格率 | 不明 |
メンタル心理カウンセラーは、医療や教育などの現場で求められる実践的なカウンセリングスキルが身につけられる資格です。
通信講座「キャリカレ」の講座を修了し、在宅で受けられる試験に合格することで得られます。
在宅受験が必要になりますが、通信講座のみで学習ができてハードルが低いので、こちらも初めてカウンセリング系の資格取得に挑戦したい方におすすめです。
メンタル心理カウンセラーについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
3.産業カウンセラー
実施団体 | 一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 |
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受験資格 | ・成人に達しており、日本産業カウンセラー協会が行う講座を修了した全ての人 ・4年制大学の所定の学部や専攻の卒業者で、指定する科目の単位を一定以上取得している人 ・社会人として3年以上の職業経験を持っていて、大学院で指定する専攻の修了者であり所定の単位を取得している人 |
合格率 | 61.2%(2021年度) |
産業カウンセラーは企業や団体など職場でサポートを行うカウンセラーで、職場での人間関係やパワハラ・セクハラに関する悩みや不安を聞いたり、就労者のキャリア開発の支援を行ったりすることができます。
産業カウンセラー養成講座を修了する、または大学院で心理学関連の所定の専攻を修了して所定科目の単位を取得すれば資格を得られ、資格試験を受ける必要はありません。
養成講座は通学・通学とオンライン・フルオンラインの3種類から学習スタイルを選べるので、通信講座のみでは学習についていけるか不安な方、通学して資格取得したい方におすすめです。
4.こころ認定
実施団体 | メンタルケア学術学会 |
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受験資格 | 4~2級:なし 1級:こころ検定2級合格者 |
合格率 | 70%以上 |
こころ検定は、心理学を用いて人からの相談に段階的にアプローチし、こころの問題を理解して適切な対処を行うための知識・技能が身についていることを証明できる資格です。
文部科学省が後援している資格で、4級~2級は20題の学科試験、1級は学科試験に加えて口述試験に合格することで得られます。
すべての級において合格率は非公開ですが、正答率70%以上で合格のため難易度はやや高いと予想され、前述した3つの資格よりは取得しづらいかもしれません。
しかし「メンタルケアカウンセラー」や「メンタル心理カウンセラー」よりもクライエントから信頼を寄せやすいので、他の資格を先に取得してからこころ検定の受験を検討すると良いでしょう。
高卒で心理カウンセラー資格を取得するメリット・デメリット
高卒で心理カウンセラーの資格を取得するメリットはいくつかありますが、デメリットも少なからず存在します。
メリットとデメリットを比較して、高卒のまま心理カウンセラーを目指すべきか、大学などに進学してからにするべきかをよく検討してみてください。
ここからは高卒で心理カウンセラーの資格を取得するメリット・デメリットを解説します。
高卒で心理カウンセラーの資格を取得するメリット
高卒で心理カウンセラーを目指すことのメリットは多くあります。
その中でも2つをピックアップして解説します。
- 最短で安く心理カウンセラーになれる
- 多くの実務経験が積める
①最短で安く心理カウンセラーになれる
大学や大学院に進まないので、その分早く活動できる点は高卒で心理カウンセラーを目指す最大のメリットと言えます。
また進学に必要な費用もかからず、数百万円単位の学費を節約できることも魅力です。
すぐに心理カウンセラーとして働きたい方、大学や大学院に通う時間や費用がない方は、高卒で心理カウンセラーを目指してみてはいかがでしょうか。
②多くの実務経験が積める
医療・学校・福祉の現場に少しでも早く足を踏み入れて実務経験が積める点は、高卒で心理カウンセラーになるからこそ得られるメリットです。
例えば高卒ですぐに心理カウンセラーとして働けば、同い年の大卒者・院卒者より4~6年分も多く実務経験が得られるので、場合によっては早く昇進して高収入になれるかもしれません。
少しでも早く現場で活動してキャリアアップにつなげたい方は、高卒のまま今から心理カウンセラーになることを目指すことをおすすめします。
高卒で心理カウンセラーの資格を取得するデメリット
高卒から心理カウンセラーを目指すことは可能ですが、デメリットもいくつか存在するので、よく調べてから資格取得を目指すことが大切です。
高卒で心理カウンセラーの資格を取得するデメリットについて、以下の2点を解説します。
- 得られる資格の信用度が低い
- 大卒・院卒者よりも給料が低い
①得られる資格の信用度が低い
軽く前述しましたが、大学・大学院を修了してからでないと取得できない資格に比べると、高卒の方でも取得できる簡単なレベルの資格は専門性が低いです。
専門性の低い資格しか持っていないカウンセラーだと分かったら、クライエントからの信頼はなかなか得づらく、円滑なカウンセリングや心理テストが行えないことが懸念されます。
クライエントから強い信頼を得たい方は、大学や大学院を卒業してから資格試験を受験・合格しないと得られないような難関資格を得ることをおすすめします。
②大卒・院卒者よりも給料が低い
心理カウンセラーも例外ではなく、大卒者や院卒者よりも高卒の方が給料は低くなります。
高卒の方が実務経験が多く積めるとはいえ、まだまだ学歴社会の風潮が残る日本では、大卒・院卒者の方が役職に就く傾向にあり昇給もしやすいです。
できるだけ高い収入を望むのであれば、大卒・院卒になってから心理カウンセラーを目指すと良いでしょう。
高卒の心理カウンセラーでも就職できる?
高卒で心理カウンセラーになった場合、残念ながら大卒・院卒者よりも就職先の選択肢は狭まります。
心理カウンセラーの就職先は学校・一般企業・病院・福祉施設などが挙げられますが、どの職場でも高い信頼性を誇る公認心理師や臨床心理士の方が多く求められる傾向にあります。
高卒では公認心理師や臨床心理士にはなれないので、高卒者の心理カウンセラーの就職はかなり難しいです。
ただ、最近はオンラインカウンセリングサービスが普及しており、何らかの資格を持って入れば高卒でも心理カウンセラーとして採用される可能性はあります。
高卒の心理カウンセラーは学校や病院で働くことは厳しいかもしれませんが、オンラインカウンセラーになることを目指してみてはいかがでしょうか。
高卒から心理カウンセラーになるには?|まとめ
高卒でも心理カウンセラーとして活躍することは可能ですが、クライエントから信頼を得るために、指定の大学への進学・卒業や専門講座を受講して何かしらの資格を取ることをおすすめします。
高卒でも取得できる資格には「メンタルケア心理カウンセラー」や「産業カウンセラー」などが挙げられ、早く安く心理カウンセラーとして活躍したい方はぜひ取得を検討してみましょう。
ですが、高卒で得られる資格の信用度は低く、就職先の選択肢は限られてしまうといったマイナスポイントがあります。
高卒で心理カウンセラーを目指すべきかどうか、メリットとデメリットをよく検討して自分に合った働き方ができるような方法を考えてみてください。