看護師は10代~20代前半の男女が目指せる、根強い人気のある資格です。
看護師国家試験の難易度は高いのでしょうか。
試験の合格率・偏差値・勉強時間の目安について解説します。
※看護師の資格は「国家資格」で「厚生労働省医政局」が運営管理を行っています。
厚生労働省医政局とは:
厚生労働省医政局は、看護師や医師の国家試験を所管する団体です。薬剤師を除く多くの医療系試験を所管しています。
看護師資格の難易度
合格率は毎年おおむね9割の看護師の資格試験ですが、試験そのものの難易度はかなり高いものになっています。
ほとんどの受験生は看護師を養成する専門学校などに通っているので、しっかり勉強が出来るでしょう。
看護師試験の合格率は平均89.8%
厚生労働省のデータから、看護師国家試験の過去10年間の平均合格率は89.8%と読み取れます。
令和5年の合格率は90.8%でした。
受験者は例年5万人から6万4千人ほどで、約9割が合格している統計です。
看護師試験は現場での遂行力が求められます。
十分な知識を持っているのか、仕事で発揮できる能力があるのかチェックされるでしょう。
参考:厚生労働省公式サイト
看護師試験の合格に必要な勉強時間は1,900時間程度
正看護師になるための勉強時間は、平均1,900時間と考えましょう。
自分の判断で看護ができるようになるためには、膨大な医療の知識が必要です。
看護師になるためには、専門的な学校に通う必要があります。
基本的には高卒以上であれば最低3年の通学が必要と考えてください。
通学の他にも、試験対策のための勉強が必要です。
看護師試験の試験内容
看護師試験の試験内容は以下の通りです。
項目 | 問題数 | 合計 |
---|---|---|
必修問題 | 50問 | 240問 |
一般問題 | 130問 | |
状況設定問題 | 60問 |
出題形式は4択、5択のほか、5択のうち2つを選ぶ問題があります。
直接数字を解答する問題も出題されるでしょう。
看護師試験は午前と午後の試験で時間内に解いていきます。
看護師の試験の試験料は5,400円です。
受験願書を取り寄せたり送ったりする時にかかる費用は自己負担です。
2025年(令和7年度)の試験日程予想
2025年の看護師試験は、2月実施予定です。
看護師国家試験の施行は、毎年8月1日に厚生労働大臣が発表します。
国家試験などの日程に変更がある場合は厚生労働省ホームページに掲載されます。
期日までに受験票が届かない場合は、看護師国家試験運営本部事務所へ問い合わせましょう。
看護師の資格試験は年に1回です。
例年2月に行われています。
1年に1回しかないので、新卒で内定先の病院がある学生は気が抜けないスケジュールになります。
資格広場では看護師になりたい人を応援しております。
看護師試験が難しいと言われる理由
看護師の国家試験が難しいと言われる理由には以下があります。
- 幅広い知識が求められる
- 論理的な思考力が求められる
- 必修問題のボーダーラインが80%だから
- 暗記のみでは乗り切れないから
加えて、暗記のみで乗り切ろうとしても合格できる試験ではありません。
看護師国家資格はなぜ難しいのか確認しましょう。
理由①幅広い知識が求められるから
看護師になるには、幅広い知識が求められます。
病気や怪我など医学の分野に加えて、健康の増進や社会福祉などの問題も出題されます。
人体の構造や看護技術などといった基本的な知識だけでは合格できません。
基礎的な勉強だけでは、看護師になるのは難しいでしょう。
理由②論理的な思考力が求められるから
看護師試験に合格するには、論理的に考えて適切に対応する能力が求められます。
現場の状況に応じてベストに対応できるようになりましょう。
情報を正しく理解し整理しながら考える訓練をしてください。
試験では患者さんが抱える問題を順序立てて考える能力が試されます。
どう対処するのか論理的に考えることが重要です。
理由③必修問題のボーダーラインが80%だから
看護師の国家試験のうち、必修問題のボーダーラインは80%です。
必修問題で80%を超える正答率がなければ、試験に合格できません。
試験の時間や優先度を考えて、必修問題一般問題と状況設定問題に取り組みましょう。
必修問題対策が不十分にならないように、勉強には気をつけてください。
理由④暗記のみでは乗り切れないから
看護師国家資格は暗記のみでは乗り切れない内容です。
実際に働く場合の、実践スキルが試される問題も多く出題されます。
体系的に知識を理解するだけでなく、勉強した内容をさらに応用させましょう。
試験では、医療現場で働く戦力となれるのか、より深い能力が試されます。
看護師試験の難易度を他試験とランキングで比較
医療系の資格 | 平均合格率 |
---|---|
看護師 | 90% |
薬剤師 | 70% |
理学療法士 | 80% |
作業療法士 | 80% |
看護師は、ほかの医療系の資格と比べると高い合格率です。
しかし、看護師国家試験そのものが簡単というわけではありません。
また、資格を取るための方法や道のりも異なるので注意しましょう。
看護師試験の試験科目
看護師試験の試験科目をまとめました。
- 人体の構造と機能
- 疾病の成り立ちと回復の促進
- 健康支援と社会保障制度
- 基礎看護学
- 成人看護学
- 老年看護学
- 小児看護学
- 母性看護学
- 精神看護学
- 在宅看護論
- 看護の統合と実践
出題範囲は以上の11科目です。
試験は午前と午後に分かれておりそれぞれ2時間40分ずつの試験になります。
マークシートによる選択式の試験形式です。
必修問題
必修問題で問われるのは基本的な事項が多いです。
ただし、合格には80%以上の正答率が必須なので注意してください。
「基礎看護」や「健康支援と社会保障制度」の2科目が多く出題される傾向があります。
出題範囲をまんべんなく押さえておきましょう。
必修問題は50問の出題数です。
一般問題
一般問題は、出題基準に定められた11科目に関わる問題です。
形式は、一問一答式で出されます。
知識を問う問題に加え、短文の事例問題も出題の範囲です。
一般問題の出題数は130問です。
状況設定問題
出題基準に定められた7科目に関する問題です。
実際の看護の現場で直面するであろう状況設定で、理解力・判断力を問われます。
1問2点、60問の出題数です。
1つの状況につき2~3問が出題される傾向があります。
看護師資格の勉強法
看護師の資格を取得するための勉強法で、特に変わっている勉強法などはありません。
医療に関する専門的な知識は必要ですが、教科書や過去問をしっかり勉強することが看護師の資格試験合格への一番の近道と言えるでしょう。
多くの人は看護師を養成するための専門学校などに通っているので、分からないことは遠慮せずに周囲に質問するといいでしょう。
難易度の高い看護師試験に合格するポイント
看護師試験に合格するポイントは以下があります。
- 基礎固めと必修問題対策をする
- 過去問題演習を積み重ねる
- 模擬試験を有効活用する
- 間違えた問題を見直す
まずは基礎固めをして、土台となる知識を身につけましょう。
模擬試験を有効活用すれば、本番の試験で過度な緊張が防げます。
ポイント①基礎固めと必修問題対策をする
まずは基礎固めで土台を作りましょう。
他の科目の理解を進めるためにも、基礎をきちんと勉強することが重要です。
必修問題の中には、基礎の勉強となる「人体の構造と機能」が組み込まれています。
基礎となる知識を効率的に勉強することで、必修問題も理解しやすくなります。
ポイント②過去問題演習を積み重ねる
過去5年分の問題集に取り組み、間違ってしまう問題をなくしましょう。
問題ごとに正答率をチェックして「解ける問題は確実に解く」体制を作る方法がおすすめです。
ただし、問題集を購入する時期は学校ごとにも異なるので気をつけてください。
早めに勉強をしたい人は、自分で入手することも重要です。
ポイント③模擬試験を有効活用する
看護師国家試験の模擬試験も、積極的に受けましょう。
模擬試験では本番同様の空気に慣れることが重要です。
他にも、時間配分を練習するためには、模擬試験がベストと言えます。
本番と似ている環境で、どれぐらいの力が発揮できるのか試してください。
ポイント④間違えた問題を見直す
間違えた問題を見直し、解き直しをしましょう。
間違いが多い科目や問題は、ノートにまとめることもおすすめです。
正答率を上げるためにも、苦手分野の洗い出しに取り組んでください。
自信のある問題を見極めるためにも、間違えた問題を見直すことは重要です。
看護師とは
看護師なるために必要とされている知識は、幅広くとても量が多いものです。
もちろん、実践的な医療行為に関する知識は大前提ですが、生物学的な知識はもちろん、物理学や心理学も必要になってきます。
社会福祉に関する法律を知っておかなくては、患者や患者の家族、病院に迷惑をかけてしまうこともあります。
また、医療技術は日夜進歩しているので資格を取った後も引き続き勉強しなくてはいけません。
看護師の仕事内容
看護師は医師の診療を補助したり、患者の体調などを管理するのが主な仕事です。
手術を補佐する看護師もおり、看護師の仕事は多岐にわたります。
診察や入院の際に我々がよくお世話になる外来看護師、病棟看護師や、我々が大きなけがや病気になったときに医療行為を行うオペ室看護師やICU看護師、と様々な看護師がいます。
また、看護師は正看護師と准看護師と二つ資格があり、正看護師は国家免許ですが、准看護師はそうではありません。
実務面において正看護師と准看護師に差はありませんが、待遇においては顕著に差が表れます。
看護の仕事につきたい人は、正看護師を目指した方がいいでしょう。
看護師の年収・給料相場
よく知られているように、看護師は同年代の平均給与よりも高い傾向があります。
平均月収が30万円前後だったり、年収が低くても400万円、高くて600万円ほどと、給与面ではとても恵まれています。
基本給よりも、夜勤などの手当てが看護師の給与を高くしています。
看護師の現状
看護師は求人は沢山ありますが、看護師の数が追い付いていないのが現状です。
就職や転職はしやすいものの、人手不足のために休みが取れない、残業や夜勤が多いといったオーバーワークになりがちな職業です。
看護師不足の根本的な問題は複雑な医療制度と言われていますが、抜本的な改革が難しい分野なので、看護師不足が解消されるのは遠い未来かもしれません。
看護師の将来性
医療業界は今までも、そしてこれからも安定して需要がある業界です。
需要はあるものの、医師や看護師の供給が間に合っておらず、10数年などの長年のブランクがあるなど問題はなく、ある程度のスキルをもつ看護師であれば、就職先には困らないでしょう。
ただ、患者の命を預かっているのでそれに伴い責任感と、日々発展にしていく医療技術を積極的に学び、自らスキルアップしていく気概が必要ではあります。
看護師試験の独学合格は難しい
看護師国家試験は独学では受験できません。
高校卒業後に、看護師養成学校や大学などで必要な課程を経た人が対象です。
看護師になるための過程を経た人が、受験資格を得られます。
高卒の社会人が看護師になりたい場合、養成学校や大学に通う必要があります。
看護師試験対策におすすめの予備校・通信講座
看護師資格の取得には、看護師養成学校や大学の卒業が必須です。
受験前に通信講座等を利用することで、合格の可能性がぐっと高まるでしょう。
自分に合った、効率の良い勉強方法を見つけてください。
看護師試験の対策は基礎固めが重要
看護師試験の対策は基礎固めが重要です。
試験でも重要な必修問題は、基礎知識が無くては理解が難しいでしょう。
独学で看護師を目指すことはできません。
看護師試験受験のためには、求められる学歴が必須なので注意してください。