賃貸不動産経営管理士は令和3年度から国家資格になり、不動産業界では人気と評価が高まっている資格です。
賃貸不動産経営管理士は現在独占業務はありませんが、これから業務範囲が拡大する可能性もあり、需要も増加傾向にあります。
そこでこの記事では賃貸不動産経営管理士について、試験に合格したら登録は必須なのかや、登録する方法、登録しない選択はありなのかなどについて解説していきます。
興味のある方は是非最後までご覧ください。
賃貸不動産経営管理士に合格したらどうすればいい?
賃貸不動産経営管理士の試験に合格し、その後賃貸不動産経営管理士として働くつもりである場合は、賃貸不動産経営管理士協議会にて登録をする必要があります。
登録を行っていない者が賃貸不動産経営管理士として業務を行った場合、賃貸不動産経営管理士として働けなくなる可能性がある他、違法行為に該当することもあります。
また、賃貸不動産経営管理士として働くつもりが無くても、賃貸管理系の企業に勤めていたり、不動産業界に身を置いている方は、登録をすることをお勧めします
賃貸不動産経営管理士は国家資格化して設置が義務に!
賃貸不動産経営管理士は今まではそこまで重要視されている資格ではなく、宅建士や管理業務主任者資格の取得を優先している方がほとんどでした。
しかし、国家資格化して独占業務は与えられなかったものの、設置義務が追加されたことにより、その重要度や不動産業界での見方も変わってきました。
そんな賃貸不動産経営管理士ですが、登録することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
また、その業務内容はどのようになっているのでしょうか?
賃貸不動産経営管理士登録のメリットは?
賃貸不動産経営管理士に登録することのメリットはいくつかあります。
- 賃貸不動産経営管理士として働くことができる
- 依頼人からの信頼度が上がる
- 社内での評価が上がる
最も大きなメリットは、賃貸不動産経営管理士として働くことができることです。
独占業務が無いとはいえ、賃貸不動産経営管理士と事務員では知識や技術に差が出るため、できる仕事には差ができます。
そして依頼人からの信頼を得やすいのも大きなメリットです。
依頼人が必ず資格に詳しいわけではありませんので、契約時の説明一つ取っても違いが見られるでしょう。
社内での評価については、その会社の規模も関係するため一概には言えませんが、小規模な会社では武器になると考えられます。
賃貸不動産経営管理士の需要の変化は?
賃貸物件は元々宅建業にはあてはまらない分類とされていたため、資格が無くても運用することができていました。
そのため、多くの管理会社が管理運営をすることができ、宅建士の資格などを持っていると良いという扱いでした。
しかし、賃貸不動産経営管理士が国家資格になり、賃貸物件200戸に付き各営業所に1人以上の設置義務が発生するようになりました。
これを受けて、賃貸不動産経営管理士の需要は非常に高まっており、今後も賃貸物件の需要自体が高まると予想されるため、さらに需要が伸びていく可能性もあります。
さらに、現在は宅建士の資格を持ち条件を満たしていれば、賃貸不動産経営管理士の代わりを務めることができていますが、今後それができなくなるかもしれないと言われています。
もしそうなった場合、賃貸不動産経営管理士の需要はさらに高まっていくでしょう。
賃貸不動産経営管理士に登録することできる仕事とは?
国家資格になったことで需要が増し、また登録せずに業務を行った場合違法行為に該当する可能性がある賃貸不動産経営管理士ですが、実際に賃貸不動産経営管理士に登録が完了するとどのようなことができるようになるのでしょうか?
仕事内容に触れながら、賃貸不動産経営管理士としてできる仕事についてご紹介していきます。
登録によって出来る仕事①:管理業務受託契約
賃貸不動産経営管理士は自分で賃貸を所有することもありますが、ほとんどの場合賃貸を所有している方と契約し、大家さんの代わりにその賃貸を管理運営することになります。
その際に、まず管理業務受託契約を行い、賃貸を代わりに管理運営することで手数料を頂くことができるようになります。
この管理業務受託契約をする時には、立地やその賃貸の状態などをふまえた市場調査を行います。
そこで、そのまま市場に受けそうだと判断した場合は家賃の相談などを行い、リフォーム等が必要であれば大家さんに具体的な案を提示します。
登録によって出来る仕事②:入居者を探す
賃貸不動産経営管理士の次の仕事は、入居者を探すことです。
入居者を探すだけならわざわざ賃貸不動産経営管理士に相談する必要は無いのでは?と考える方もいますが、ただ探すだけではありません。
入居者に対しては、家賃を滞納せずに払い続けられるかどうか、賃貸への破損などをしないかどうか、他の入居者と問題を起こさないかどうかなどを判断して許可する必要があります。
これには、豊富な経験を持っている賃貸不動産経営管理士に相談するのが最も確実で、効率の良い手段となっているのです。
登録によって出来る仕事③:賃貸の維持管理
最後に、賃貸不動産経営管理士が行う主な業務は、賃貸住宅の管理です。
賃貸住宅は当然常に埋まっているわけではなく、空室の管理が必要になります。
さらに、月日が経てば様々な部分が劣化してくるため回復工事を指示したり、入居者の入居・退居時に立ち会うことも賃貸不動産経営管理士の仕事になっています。
このように賃貸不動産経営管理士は、賃貸の状態管理したり市場から見える価値を判断したりと、賃貸のほとんどを管理していく仕事を行っています。
賃貸不動産経営管理士の登録方法
ここからは、賃貸不動産経営管理士の登録方法についてご紹介していきます。
令和3年から国家資格になったため、登録方法がいつ合格したかによって違っているようです。
新たに国家資格として登録をしないと、失効の可能性もあるためよく確認してみて下さい。
国家資格化以前に試験に合格している方
令和2年度以前の民間資格時に合格した方で、既に賃貸不動産経営管理士に登録している方は、移行講習を受講する必要があります。
また、民間資格には合格しているが登録はしていないという方は、まず民間資格に登録するために登録要件を満たす必要があります。
この登録要件には2年以上の実務経験が設定されていますが、その経験が無い方は実務講習を受講することでその代わりとすることができます。
その後民間資格登録を済ませ、移行講習を受講し国家資格として登録をすることができます。
これから試験を受け、資格取得をする方
これから国家資格としての賃貸不動産経営管理士試験を受け、取得を目指す方は、最初から国家資格として賃貸不動産経営管理士に登録をすることになります。
登録自体はWEBで行うことができ、以下の物を準備しておけば簡単に済ませることができます。
- 登録料6,600円
- 顔写真
- 登録要件(実務経験2年以上または実務講習修了)を満たしていることを照明できる書類
この登録の有効期限は5年間となっており、更新を忘れてしまうと資格を失効するため、案内が来たら早めに済ませるようにしましょう。
宅建士の資格をもって業務管理者になる方
宅建士の資格を持っている方も賃貸不動産経営管理士と同じ仕事をすることができるようになります。
その場合、登録要件である2年以上の実務経験を持っている方は、賃貸住宅業業務管理者講習を受講することで業務管理者になることが可能です。
実務経験が無い方は、賃貸不動産経営管理士と同様に実務講習を受講することでその代わりとすることができ、その後賃貸住宅業業務管理者講習を受講することになります。
しかし、あくまで業務管理者になれるだけで、賃貸不動産経営管理士の資格が与えられるわけではないということを忘れないようにしましょう。
賃貸不動産経営管理士は登録しないとどうなる?
賃貸不動産経営管理士の資格試験に合格していても、登録はしていないという方もいらっしゃいます。
しかし、これから賃貸不動産経営管理士の資格を取得しようと考えている方からすれば登録をすれば良いのかしなくても良いのかよく分かりませんよね。
そこで、ここでは登録をしないとどうなるのかについて解説していきます。
賃貸不動産経営管理士を名乗ってはいけない
賃貸不動産経営管理士の登録をしていない方は、賃貸不動産経営管理士として働けないだけではなく、名乗ることも許されていません。
これは、明確に名乗ってはいけないというだけでなく、「賃貸不動産経営管理士の試験には合格したんですよ」といった発言も、資格に詳しくない方は勘違いをする可能性が大きいため慎む必要があります。
もし、そういった曖昧な説明をしており問題が発生した場合、指導のみで済む場合もありますが、業務停止命令が出ることもあります。
登録はいつでもできる
賃貸不動産管理士の登録は試験合格後いつでも行うことができます。
しかし、令和2年度以前の民間資格に合格した方は移行講習を受講していないと失効扱いになってしまうため注意が必要になります。
この移行講習には期限があり、2022年6月までとなっているため忘れないように受講しましょう。
※以降講習の申し込み締め切りは2022年5月31日までとなっています。
失効した場合はどうなる?
上記に記載した移行講習を忘れていたり、登録から5年後の更新を怠ったりした場合、賃貸不動産管理士の資格を失効することになります。
失効は文字通り効果を失っているため、未登録扱いになり賃貸不動産管理士として働くことが出来なくなるため注意が必要です。
そして失効してしまった場合は、再度受験からやり直す必要があります。
登録しないという選択肢はあり?
これまで、賃貸不動産経営管理士に登録をした方が良いという記述をしてきましたが、登録しないという選択肢もあります。
これは、主に管理業務主任者や宅建士、マンション管理士といった不動産関係の他の資格とのダブルライセンスをしている方に多く、知識だけが必要だった方などが当てはまります。
しかし、賃貸不動産経営管理士としても働けるのは非常に魅力的であるため、登録料などの支払いに余裕がある方でしたら、登録をすることをお勧めします。
賃貸不動産経営管理士は合格したら登録しないとだめ?まとめ
今回この記事では、賃貸不動産経営管理士について合格したら登録は必須なのか、登録方法、登録した際の仕事内容などをご紹介してきました。
賃貸不動産経営管理士は国家資格になり、独占業務はありませんが、設置義務が追加されました。
賃貸住宅が重視される傾向が強まっていることもあり、賃貸不動産経営管理士の需要は今後も高まっていくことが予想されます。
そして試験に合格し、賃貸不動産経営管理士として働くつもりがある方は登録が必須になります。
この登録を済ませず賃貸不動産経営管理士として働くと罰則を受けます。
登録方法はいつ試験に合格したか、登録要件の実務経験2年以上を満たしているかなどの違いにより異なりますが、基本的には講習を受ける必要があります。
また、更新を忘れると資格失効となり再受験が必要になってしまうため、更新案内が来たら早めに更新を済ませるようにしましょう。