環境計量士環境計量士は環境保全に寄与できる国家資格です。
本記事では環境計量士の資格試験の難易度や合格率などと、勉強方法・過去問についてをまとめています。
また、環境計量士は国家試験を合格するだけでは登録まで進むことができない資格でもあり、講習や教習についてもあわせてまとめたのでご紹介していきます。
環境計量士とはどんな資格?
環境計量士環境計量士は環境に関する計量の専門知識や技術を有し計量管理を行う資格です。
「騒音・振動」「濃度」の2つに分かれ、「騒音・振動」では騒音を出す工場や建設現場、道路、鉄道などの一般環境の騒音や振動を測定します。
「濃度」では工場から排出される有害物質や悪臭、ばい煙を測定します。都道府県知事や特定市町村が行う定期検査などを代わりに実施することが可能で、依頼主は業者や住民などさまざまで公害問題に対して中立的な立場として判定基準となる測定を行います。また、測定する計量機器の整備なども行うことになります。
専門的な知識が求められる資格ですので、確実に合格する為には専門学校や大学での学習が効率的であり、適切な物となるでしょう。1度に複数の学校の資料を請求し、選択肢を増やす事が自分に合った勉強方法を取捨選択出来るのでおすすめです。
環境計量士になるために必要な知識
高校の物理や化学の知識は最低限必要になります。合わせて数学的計算も必要となってきます。
そのため、大学まで理系を専攻していた方には優位にはたらく試験となります。
環境計量士国家試験には、受験資格に特に制限はありません。
国家資格ですが、誰でも受験することが可能になっています。
受験に合格したのち、計量士登録として、経済産業大臣の登録を受けることによって計量士になることが出来ます。
- 【国家試験コース】
- 環境計量士の国家試験に合格したのち、1年以上の実務経験や環境計量講習を受講するなどを経て条件を満たすことで登録できます。
- 【資格認定コース】
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所にて教習を修了させます(国家試験の受験は不要)。その後、2年の実務経験などを経て条件を満たせば、計量行政院議会の認定を受けることが可能です。
環境計量士の資格は「経済産業省」が運営管理を行っている「国家資格」です。
日本の行政機関の一つ。
民間の経済活力の向上・対外経済関係の円滑な発展・鉱物資源およびエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保などなどが任務とされている。
環境計量士に向いている人
細かい数値を取り扱うことになりますので、理系的思考を持つ方が向いています。
計測した事は数値化されますので計画的に業務を遂行することも重要です。また、外業として作業することも多いので体力に自信のある方のほうが仕事に振り回されずに行動することができるでしょう。
また計量器などの整備もすることになりますので機械類に強いことも必要です。
環境計量士資格の試験内容と勉強方法
環境計量士を独学で勉強することは一応可能です。特に理系の大学出身の方などは独学で行うことになってくるでしょう。
勉強時間は3か月~6ヵ月をみておきましょう。
文系の方は言葉の意味が分からないことが多いと思いますので高校で学習する化学や物理などを合わせて確認しておくことが要求されます。
日本振興協会や日本環境測定分析協会などでは講習会も開催していますが環境計量士独学以外での勉強方法が効率の良い勉強方法になるため、自分に合う専門学校や大学を見つける事こそが合格への近道だと言えます。
環境計量士試験科目等の内容
試験科目は、濃度関係と騒音・振動関係の2種類があります。
物理の分野と化学の分野に分かれて勉強するというイメージで、それぞれ以下の通りの共通科目2つと専門科目2つとなっています。
環境計量士試験内容 | |
---|---|
濃度関係 | 環境関係法規及び化学に関する基礎知識 |
化学分析概論及び濃度の計量 | |
計量関係法規 | |
計量管理概論 | |
騒音・振動関係 | 環境関係法規及び物理に関する基礎知識 |
音響・振動概論並びに音圧レベル及び振動加速度レベルの計量 | |
計量関係法規 | |
計量管理概論 |
濃度関係、騒音・振動関係どちらの試験科目も「計量関係法規」「計量管理概論」が共通2科目としてあり、濃度関係では「環境関係法規及び化学に関する基礎知識」「化学分析論及び濃度の計量」、騒音・振動関係では「環境関係法規及び物理に関する基礎知識」「音響・振動概論並びに音圧レベル及び振動加速度レベルの計量」の専門2科目となっております。
試験問題は各科目25問の5肢択一式となっております。
環境計量士の過去問
試験範囲は広くはないので、専門知識を深く理解することになります。
過去問を中心に解いていくことが一番の勉強方法となるでしょう。
試験不要で環境計量士になれる教習がある?
環境計量士の試験は受験資格がないので誰でも受けることができますが、試験の代わりとして『国立研究開発法人産業技術総合研究所』で教習を受けることでも資格を取得できます。
ただし、学費は濃度関係では40万円以上、騒音・振動関係でも30万円近くとなっており、試験料が8500円であることや、試験勉強のための教材費のを考えても非常に高額です。
環境計量士の合格率・合格発表や試験日等の概要
環境計量士環境計量士の試験は、問われる試験内容が化学系、物理系、そして数学的な知識を要し、理系系の方が受験する分にも普通~やや難しい資格となっています。
文系の方には用語や理論の意味がわからないことが多いですのでさらに難しい試験となるので、知識と技術を確実に習得する為にも専門学校等で堅実に学習する事が一番効率が良く、確実な資格取得の方法です。
理系出身者でも不安な事があるのなら、もう一度学び直す為にも無料資料請求してみてはいかがですか?
環境計量士資格の合格率
第66回試験の結果での合格率は、
試験 | 受験者数 | 合格率 |
---|---|---|
濃度関係 | 3,239名 | 15.3% |
騒音・振動関係 | 883名 | 16.1% |
受験者数、合格率は、毎年ほぼ同じとなっています。
合格基準は共通科目で30問/50問以上、専門科目では濃度関係は25問/50問、騒音・振動関係は28問/50問となっております。
なお、嗅覚検査はほとんどの人が合格しているもようです。
環境計量士試験・検定の年間試験回数
環境計量士の試験は年1回だけです。
毎年10月に願書受付期間を設けており、翌年の3月が試験日となります。
受験料として、出願の際には受験願書に8,500円分の収入印紙を貼付する必要があります。
環境計量士試験の合格発表
合格発表は4月中旬頃~5月中に官報と経済産業省ホームページにて掲載となっております。
なお、受験する計量士以外の計量士資格(例えば一般計量士等)を持つ場合は共通科目が免除となります。
環境計量士資格取得後の就職先・年収・報酬相場
環境計量士の平均年収は勤め先や仕事の量によっても変動はありますが、400万円~500万円とサラリーマン平均とほぼ同じぐらいと言われています。
水質検査のみを委託されている場合もあれば、水質、大気、騒音、揺れと何でも測定を請け負う調査会社もあります。
環境計量士所持者の職業例
- 環境調査会社
- 環境コンサルティング会社
- 化学分析センター
- 環境証明事業所
計量士が働くための機関ともいえるような会社に勤め、企業や都道府県などからの依頼に基づき、様々な環境問題に関わるデータの計測を行うのが主です。
環境計量士と同じ分野の他の資格
- 一般計量士
- 技術士
- 公害防止管理者
- 作業環境測定士
- 臭気判定士
環境計量士の現状と将来性
環境計量士の現状としては、地球温暖化など地球環境に対する取り組みが一段と注目を浴びている業界であり、業界全体の売上高が上がっております。
一般企業も業務を拡大する上で環境の意識は高く、業界へ依頼することが増えているためでもあります。しかし、価格競争が過激化し受注単価が急激に下がっているのが現状です。
受注単価が下がることは企業の経済的体力が潤っていないと今後の経営に影響を与えることになるため、業界自体で見直すことが必要となります。
環境計量士の将来性
環境計量士の資格を一度取得すると更新はなく、一生得ることになります。
しかし、環境測定技術は日々進歩しているため、個人での努力を行わないと業界全体の技術進歩に繋がらない懸念もあります。
世界的に環境に対する意識は高くなってきておりますが、日本の環境法が世界に追い付いていないことで日本独自の制度となりつつあります。
事業を大きくするためには海外進出も視野に入れることとなりますが、海外では受けいれられない可能性が高いといえます。
環境計量士の独立について
独立することは可能ですが非常に困難でしょう。資格を取得するには1年間の実務と経済産業省の登録が必要となりますので試験合格だけでは計量士を名乗ることはできません。
実務経験を経て独立するのにも計量を行う機器をそろえるためにはより多くの経費が必要となるでしょう。そのうえ、営業の競争や受注価格の下落が起きているため非常に大変になってきます。
今後世界基準の測定になった場合、より新しい機器の購入が必要となってくので経済面ではさらに大変となる見通しです。
環境計量士資格の難易度や合格率・勉強方法まとめ
環境計量士環境計量士になるには、国家資格を受けて合格するか教習を修了したあとで実務経験を積むことで晴れて計量士として認められるようになります。
独学でも合格は可能ですが、合格率は2割を切るほどの難易度なので、一筋縄ではいかないのが現状です。特に、文系の方は0から独学で学ぶのは難しいでしょう。
確実に合格する手段は、無料資料請求で各専門学校の資料を比較検討する事であり、在学中に試験に合格できる学校を選んで進学することです。
計量士を目指すなら、大学や専門学校でしっかりと専門の知識を付けることをおすすめします!