司法試験の受験資格を取得するには、法科大学院ルートと予備試験ルートの2つがあり、法科大学院ルートを検討している方も少なくありません。
しかし、法科大学院入試には大学卒業資格が必要です。
また令和5年の司法試験からは法科大学院在学中の受験資格も認められています。
今回は法科大学院の受験資格や法科大学院の修了までにかかる期間、最短での司法試験合格を目指す方法などについて紹介します。
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法科大学院の受験には大学卒業資格が必須
法科大学院を受験するためには基本的に大学卒業資格が求められます。
法科大学院の入試は、毎年8月から12月にかけて行われることが一般的であり、年明けに後期日程の入学試験を実施する法科大学院もなかにはあります。
既修者コースを受験する際も法学部の卒業資格は必須ではありません。
なお法学部以外の卒業生でも法科大学院の入試で法学部卒に相当する学力を証明できれば、既修者コースへの入学ができます。
また、法科大学院によっては、大学卒業資格がなくても独自の資格審査を通じて受験資格を認めている場合もあるので志望校の受験資格をしっかり確認しておくことが重要です。
年齢制限については具体的に設けられているわけではありませんが、大学卒業または卒業見込みの要件を満たすためには「飛び級」の制度を利用した場合でも一定の年齢制限があるといえます。
法曹コースなら「飛び級」でも可能なケースがある
法科大学院の中には法曹コースの特別選抜枠が設けられているところもあります。
法曹コースとは大学の学部を3年で早期卒業し、法科大学院への飛び級入学を可能にする制度です。
法曹コースが導入される前は法科大学院ルートで司法試験の受験資格を得るためには、学部を4年、法科大学院の既修者コースを2年かけて卒業する必要がありました。
そのため、実際に司法試験を受験できるのは最短でも大学入学から7年目でした。
しかし現在では法曹コースの導入と法科大学院在学中の受験資格が認められたことにより、最短で司法試験を受験するまでの期間が2年短縮され、大学入学から5年目で司法試験を受験できるようになりました。
自分の志望校に法曹コースがあるかを一度チェックしてみてください。
予備試験ルートだと受験資格なしで受験できる
法科大学院ルートではなく、予備試験ルートを選ぶ場合、予備試験には受験資格がないため誰でも受験することができます。
たとえば中卒や高卒の方でも受験可能であり、現行の司法試験における最年少合格者は17歳となっています。
予備試験ルートを選択すれば、中卒や高卒の方、法科大学院への進学が難しい方でも、司法試験合格を目指すことができるのですぐに受験したい方は予備試験ルートをおすすめします。
法科大学院の修了までにかかる期間は最短でも数年
>司法試験合格を目指すには、数年単位で合格までの計画を考える必要があります。
ここでは、コースごとでの大学入学から法科大学院の修了までにかかる期間について解説します。
大学入学~法科大学院の入学までの場合
大学入学から法科大学院への進学にかかる期間は法曹コースかそれ以外のコースかによって異なります。
法曹コースを経て法科大学院に進む場合、学部を3年で早期卒業することができます。
法曹コースを修了する予定の学生は法科大学院入試で「5年一貫型教育選抜」または「開放型選抜」を受験することになりますが、他の受験生と同じ条件で一般選抜を受けることもできます。
一方法曹コース以外の場合、学部の卒業で4年かかります。
また、法科大学院ルートで法曹コースから既修者コースに進学した場合、大学入学から5年目に司法試験の受験資格が与えられます。
最長の場合、大学の学部を4年で卒業し未修コースに進んだ場合、司法試験の受験資格が得られるのは大学入学から7年目となりかなり機関に差が生じることが分かります。
なお、予備試験ルートであれば予備試験は誰でも受験可能で、合格した翌年から司法試験の受験資格が認められます。
たとえば、学部2年生のときに予備試験に合格した場合、学部3年生、つまり大学入学3年目から司法試験を受験することができるということですね。
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最短で司法試験合格を目指すには
ここでは、最短で司法試験合格を目指す方法についていくつかご紹介します。
ただし最短で司法試験合格を目指せるルートをとったとしても必ず霜司法試験合格につながるとは限らないので、あくまで参考程度にしてみてください。
方法➀法曹コースで法科大学院進学を目指す
最短で司法試験合格を目指すには法曹コースで法科大学院進学を目指すといったものが挙げられます。
法科大学院ルートのメリットは予備試験を受けることなく司法試験の受験資格を得られる点であり、司法試験を受けるまでの期間が1年短縮されます。
司法試験の早期合格を目指すのであれば、法曹コースに進むことがおすすめされます。
また法曹コースを考えている方の中には司法試験に挑戦するまでの準備期間が短くなることに不安を感じる方もいるでしょう。
しかし、法曹コースから上位校に進学できる学力があれば、司法試験に一発で合格する可能性は十分にあります。
実際、令和6年の司法試験在学中の出願者数は1,283人で、合格者は680人でした(合格率55.2%)。
一方、修了者の出願者数は2,267人で、合格者は471人となっており(合格率22.7%)、司法試験までの準備期間の短さが不利にならず、早めに司法試験を受験する方が合格率が高いことがわかります。
このように司法試験の早期合格を目指す方は早い段階から予備試験レベルの学習を行い、学部試験の成績を向上させた上で法曹コースに進むべきです。
方法➁司法試験合格率・合格者数が多い法科大学院に入学する
司法試験合格を目指すのであれば、司法試験合格率・合格者数が多い法科大学院に入学する方法をおすすめします。
なぜなら、合格者数が多い環境で学ぶことでモチベーション維持やレベルの高い授業やサポートを受けられる可能性が高いからです。
ちなみに令和6年の司法試験における合格者数、合格率のトップ10をまとめると以下の通りとなります。
費用や通いやすさなども踏まえて志望校を目指すようにしてみてください。
順位 | 法科大学院等 | 受験者数 | 最終合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
1位 | 慶應義塾大法科大学院 | 246名 | 146名 | 59.4% |
2位 | 愛知大法科大学院 | 9名 | 5名 | 55.6% |
3位 | 京都大法科大学院 | 217名 | 107名 | 49.3% |
4位 | 一橋大法科大学院 | 123名 | 60名 | 48.8% |
5位 | 東京大法科大学院 | 255名 | 121名 | 47.5% |
6位 | 中央大法科大学院 | 181名 | 83名 | 45.9% |
7位 | 早稲田大法科大学院 | 330名 | 139名 | 42.1% |
8位 | 大阪大法科大学院 | 177名 | 72名 | 40.7% |
9位 | 神戸大法科大学院 | 136名 | 51名 | 37.5% |
10位 | 同志社大法科大学院 | 111名 | 41名 | 36.9% |
引用元:法務省『令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等』
方法➂予備試験ルートでの合格を目指す
令和6年受験者数 | 令和6年合格者数 | 令和6年合格率 | |
---|---|---|---|
司法試験全体 | 3,779人 | 1,592人 | 42.13% |
予備試験合格者 | 475人 | 441人 | 92.84% |
法科大学院合計 | 3,304人 | 1,151人 | 34.84% |
法科大学院修了者 | 2,072人 | 471人 | 22.73% |
法科大学院在学中 | 1,232人 | 680人 | 55.19% |
司法試験への最も迅速なルートは予備試験ルートです。
予備試験ルートは先にも述べたように受験資格が不要でいつでも始められるため、法科大学院ルートと比較して時間と費用が少なくて済む点、さらに司法試験の合格率が高いことがメリットとして挙げられます。
一方法科大学院ルートの場合、既修コースでは2年間の入学金・授業料、未修コースでは3年間の入学金・授業料など、かなりの費用がかかります。
しかし予備試験は例年合格率3~4%と難易度が高い試験であり、並大抵の努力ではなかなかパスできない試験なので注意が必要です。
予備試験から法曹コースや法科大学院入試に切り替えたとしてもそこで学習した範囲は無駄にならないので検討をおすすめします。
入試で良い成績を収めれば、特待生として学費免除を狙うこともできるでしょう。
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法科大学院入試の難易度
令和6年度の入試状況において、半数の法科大学院が入学者定員を下回りましたが、入試倍率はほとんどの大学で2倍を超えています。
今後もさらに受験者が増える可能性が高く、どの法科大学院を受験する場合でも入試の難易度が易しいとは言えません。
また法科大学院によって受験生のレベルは異なるため、倍率の高さが必ずしも難易度と比例するわけではないので注意が必要です。
法科大学院入試の難易度を判断するには、倍率だけでなく、受験する法科大学院の特性も考慮する必要があります。
入試の競争倍率が他の法科大学院と比較して高くなくても、司法試験で高い合格実績を持つ法科大学院は一般的に入試難易度が高いと評価されます。
たとえば慶應義塾大学や京都大学は、いずれも入試倍率が2倍台であり、倍率だけを見ると法科大学院の中では中位に位置しています。
しかし、これらの法科大学院は司法試験の合格実績が豊富であるため、受験生のレベルは高いです。
法科大学院を選ぶポイント4つ
ここでは、法科大学院を選ぶポイントについて紹介します。
ポイント➀カリキュラム・教員の特徴
カリキュラムの内容や教員の指導方法は、法科大学院での学習体験やモチベーションに大きな影響を与えるため重要名ポイントとなります。
著名な大学院や教授の授業が必ずしも自分に適しているとは限りらず、興味のある分野や学びたい内容が明確な方はカリキュラムの内容や講師陣について調べておくことをおすすめします。
さらに教員の構成を基に法科大学院を選ぶ際には、「法律科目全体の教科書(基本書)を執筆している研究者がいるか」に注目する方法があります。
例えば、東京大学で教鞭を執っている研究者の中には、法律科目全体の教科書を執筆している方が多い傾向にあり、司法試験の受験範囲全体に関しても詳しい可能性が高いです。
また、法科大学院の講義を担当する教員には研究者だけでなく、弁護士や裁判官などの実務経験を持つ専門家も含まれているので、オープンキャンパスなどできる限り多くの情報を収集するようにしましょう。
ポイント②学習環境・サポート
多くの法科大学院は独立した施設ではなく、一般的な大学の敷地内に位置しています。
法科大学院を修了し、司法試験に合格するためには膨大な勉強が必要ですので、学習環境や学習サポート体制も見ておくようにしましょう。
法科大学院生向けに24時間利用可能な自習室や個別デスクが設置されていたり、資料閲覧室が用意されていたりと、各校は学習環境の整備に力を入れているところもあります。
興味のある法科大学院がある方は積極的に見学会やオープンキャンパスに参加して、実際の設備を確認してみて通いやすさなども確認しておくようにしましょう。
ポイント➂入試難易度
司法試験の合格率が高い法科大学院を選べば司法試験合格につながる可能性が高いです。
ただし司法試験の合格率が高い法科大学院は、そもそも入試の難易度も高いため倍率や難易度が高い傾向にあるため注意が必要です。
また法科大学院には一学年20人程度の小規模校から、200人を超える大規模校まであり、小規模校の場合は数人の合否で合格率が大きく変動するため注意が必要です。
各法科大学院の司法試験合格率はネットで見れるので、最低でも過去数年間の推移や累計平均を参考にしてみると良いでしょう。
ポイント④学費・奨学金制度の有無
法科大学院の学費は各校によってさまざまです。
たとえば国立の場合は比較的安く(入学金は約30万円、年間授業料は約80万円)、私立の場合は既修者コースが2年間で約300万円、未修者コースが3年間で約400万円と、かなり高額になることが多いです。
したがって、合格率の高さや通いやすさだけでなく、予算も非常に重要な要素となります。
また、法科大学院各校にはこうした学費負担を支援する独自の奨学金制度が設けられていることもあります。
できるだけ学費を抑えたい方は、奨学金を受けられそうな大学院を目指すのも一つの方法です。
法科大学院入試対策ならアガルート!
今回は法科大学院の受験資格や法科大学院の修了までにかかる期間、最短での司法試験合格を目指す方法などについて紹介してきました。
法科大学院に入学するには大学卒業資格が必須となり、法曹コース以外の学部だとまず卒業で4年かかります。
司法試験合格率が高い法科大学院への入学は魅力的ですが、入試の難易度も高くなるので注意が必要です。
アガルートでは法科大学院入試専用のカリキュラムを提供しているのでおすすめです。
プログラムは約1年間の学習期間を設け、難関法科大学院の入試に特化した内容で構成されており、効率的に試験対策を進めることができるメリットがあります。
一般的に難関大学と言われる東京大学・京都大学・一橋大学・早稲田大学・慶應義塾大学などの合格者も多数輩出しています。
今回の記事をみて興味を持った方はぜひチャレンジしてみて下さい。