皆さんは納棺師という職業を知っていますか?
日常生活ではほとんど馴染みのない職業ですが、遺族のために亡くなった方を天国まで送り届けるという大変意義のある職業です。
そこで、将来納棺師になることを志している方のために納棺師になるには資格が必要なのか、また気になる年収や就職の難易度について紹介します。
ぜひ参考にしてください。
納棺師とは?
納棺師とは、亡くなった方の遺体を棺に納め遺族の方と故人のお別れをお手伝いする職業です。
「湯灌師」や「復元納棺師」という別の名称もあり、映画「おくりびと」で納棺師について広く世間に知られるようになりました。
しかし、日常生活において納棺師と接する機会は非常に限られており、ましてや仕事内容について詳しく知っている方はほとんどいないと思います。
職業柄死人を扱った商売をしているため偏見を持たれることもあり、また業務において常に死人と接することになることから、納棺師になるにはそれらの精神的に負担に耐えるためのタフさが必要となります。
納棺師の主な仕事内容は?
納棺師の仕事は故人を棺に納めることですが、だからといってただ単に棺に入れれば良いというわけではありません。
旅立ちにふさわしい衣装や化粧を施し、遺族の方が快くお見送りできるように身支度を整えます。
その他にも納棺師には重要な役割があるため、納棺師の主な仕事内容について一緒に見ていきましょう。
その1:納棺準備・作業
納棺師にとってのメインの業務は遺体が保管されている場所に自ら出向き納棺作業を行うことです。
納棺する場所は各葬儀所や病院、自宅など遺体の保管場所によって異なるため働く場所もその都度異なります。
納棺師は大抵の場合3〜4名で業務を行うことになり、一日に4件〜5件、多いときには7件以上の納棺作業を行うこともあります。
納官場所に到着したらまず、遺体の状況を判断しご遺族の要望等を聞き入れた後に納棺作業の準備を行っていきます。
遺体によっては状態が悪い場合もあるため、その際は遺族の意向を配慮した上で遺体を復元もしくは状態を整えながら実際に納棺作業に移っていきます。
その2:湯灌や遺体の化粧
先程も述べましたが、納棺師は遺体をただ棺に納めれば良いというわけではなく、お見送りにふさわしい化粧や衣装など身支度を整える必要があります。
まず、もともと着ていた衣服を脱がし身体をキレイにする湯灌作業を行います。
そして、遺族の悲しみに寄り添いながら生前の故人にふさわしい化粧を施し、ひげ剃りや衣装もしっかりと整えお見送りにふさわしい身支度をしていきます。
その後実際に遺体を棺に納めていき、葬儀や出棺のための準備が整ったら納棺師の仕事は終了となります。
納棺師は常に遺体と向き合いながら化粧や納棺のために直接遺体に触れることになるため、納棺師になるには精神的な負担に耐えるためのタフさが必要となります。
その3:遺体の長期保存処理に携わることも
誰かが亡くなられた場合、基本的には適切な処理がされた後火葬となりますが、場合によっては遺体を長期保存する必要があります。
例えば身元不明の死体の場合、もしくは遺族が遺体と対面するまでに時間がある場合などはすぐに火葬せずに一定期間保存することになります。
その期間中に遺体が腐らないようにドライアイスや特殊な薬品を使って納棺師が保存処理に携わることもあります。
遺体の状態は温度や保管状態によってばい菌の繁殖や腐敗が進行しやすくなるため、鼻や口に詰め物をしたり、消毒や防腐処理等を行う必要があるのです。
これらの作業は別の専門家が行う場合もありますが、納棺師もその場に立ち会うことがほとんどでその後の処理や納棺準備のためにも遺体の保存処理に携わることも重要な仕事の一つなのです。
納棺師になるには?就職の難易度は?
以上の3点が納棺師の主な仕事内容となります。
それでは実際に納棺師になるには資格が必要なのかということも含め、スキルや年収、やりがいについて一緒に見ていきましょう。
納棺師になるには資格は必要ない
納棺師になるには特別必要な資格はなく、各葬儀会社に採用されれば納棺師になることができます。
そのため、就職の難易度はそれほど高くありません。
納棺作業はあくまでも葬儀の一環であることから、納棺師としての仕事以外にも葬儀全般の仕事にも携わることもあります。
化粧や身支度などの納棺作業は基本的に90分程度ですべての行程を行うことになるため、手際の良さや納棺のための専門スキルが必要とされます。
そのため、納棺師になるほとんどの方は専門学校等で納棺作業も含め、葬儀全般に関する知識とスキルを身に着けます。
未経験でも採用されることもありますが、専門学校を卒業したほうが葬儀屋とのバイプがあるため就職も有利になります。
納棺師の気になる年収
納棺師の気になる年収ですが、給与は雇用形態によって大きく変動します。
一般的な葬儀屋に就職し一職員として働く場合の年収は200万円〜300万円と言われており、一般的なサラリーマンとほぼ同じの年収となります。
しかし、大手葬儀屋で採用されたり管理職になれば500万〜600万円、1000万円を超える場合もあります。
納棺師の作業はあくまでも葬儀業務の一環であるため、納棺師としての業務だけでなく葬儀や告別式等の司会や進行、運営業務に携わることもあります。
つまり、業務内容によっても給与が変動することから納棺師としての年収は一概には言えないのです。
納棺師の苦労ややりがい
納棺師は業務内において常に遺体と接することになり、遺体によっては状態が悪い場合もあるため苦労することがたくさんあります。
また、遺族の悲しんでいる様子を見ながら葬儀の重苦しい雰囲気の中仕事をこなさなければならないため、体力面ではもちろんのこと精神的にも負担がかかり、嫌になってしまうことも多々あります。
しかし、故人の身支度や納棺をし無事お見送りをすることができた際に遺族の方から感謝の意を伝えられたときには達成感とやりがいを感じることのできる職業でもあります。
納棺師になるには?まとめ
今回は納棺師の主な仕事内容な納棺師になるにはどのような方法があるのか詳しく紹介しました。
納棺師になるには特別必要な資格はありませんが、納棺作業など特殊なスキルと知識を必要とする職業であるため、専門学校で必要な知識を身に着けた後に葬儀屋に就職することが一般的となっています。