理容師は厚生労働省が所管の国家資格です。
美容師と混合されがちですが、法律では理容師は頭髪を切る・顔そりすることで容姿を整える仕事を指し、美容はパーマや化粧などを行うことで容姿を美しくする仕事を指しています。
最近はおしゃれな理容店が出店されたり、若い男性があえて美容室ではなく理容店に通ったりと再び理容師という職業に注目が集まっている時代です。
この記事では理容師と美容師の違い、理容師免許の取り方、難易度、年収を解説していきます。
理容師になるにはどうしたらいい?
理容師として働くにはまず、国家資格である「理容師免許」を取得する事が必須です。
理容師免許を取得する為には、理容専門学校または理容美容専門学校に通い学科試験と実技試験に対応出来る知識と技術を2年以上学び、国家試験に合格しなくてはなりません。
理容師免許には受験資格が設けられているので「理容師になりたい!」と思ってもすぐに理容師免許を取得する事は不可能になっています。
ですから理容師を目指すなら自分に合う専門学校を探す必要があるので、無料で学校の情報等の資料を複数請求して、どの学校の学び方が自分に適しているのかを見比べてみましょう。
また理容師免許の合格率は美容師免許より低い傾向にあります。ここでは、まず理容師免許の取り方から解説していきます。
理容師免許の取り方は?
理容師免許の取り方としては、まず厚生労働大臣または各都道府県知事が指定した理容師養成施設(専門学校など)に入学し所定課程を修了しなくてはいけません。
理容師を目指している多くの人が高校を卒業してから理容専門学校に入学しますが、専門学校の中には中学卒業者でも入学出来る学校もあるので、いち早く理容師になりたい方は検索してみましょう。
また、通信課程を設けている学校もありますので、働きながら理容師を目指す人はこちらの課程を選択する事が出来ます。
全国にたくさんある理容専門学校ではほとんどが2年制または3年制となっており、在学期間中に理容師として必要な知識や技術を身に付けるカリキュラム構成になっています。
そして理容専門学校に在学中に所定課程を修了することで、理容師免許の受験資格を得られるのです。
理容師免許の受験資格とは?
理容師免許は正式には「理容師国家試験」と言います。
理容師国家試験の受験資格は、理容師養成施設で以下の課程を修了した人になります。
・昼間課程2年以上
・夜間課程2年以上
・通信課程3年以上
理容師に向いている人
パーマやヘアメイク、化粧により容姿を美しくする美容師に対し、頭髪の刈り込みや顔剃りによって容姿を整えていく理容師はより一層の器用さが必要となります。
また、出来るだけスピーディかつ精密に数ミリ単位でカットを行なったり、シェービングを施す高い技術が要求される為、職人気質の方に向いているといえます。
初めて来店されるお客様に「また来店したい」と思ってもらえるようなトーク術も必要となってきますので、人と話すのが好きな人にも向いている職業かもしれません。
日頃より新聞やテレビからの情報収集や小さな気づき(メガネが変わった、体型の変化など)ができ、そこから話をうまく広げることのできる人は理・美容業界でトップの座で活躍しています。
理容師になるために必要な知識
理容師になるために必要となってくる知識は、理容師法や制度、ヘアスタイルなどの歴史や、実際に店舗を運営する際の知識、生物化学に通じる皮膚や薬剤といった幅広い知識が必要です。
理容専門学校では理容師国家試験に合格することを前提にした授業内容が組まれているので、上記で紹介した理容師として必要な知識に特化した授業および実技試験に特化した授業を行います。
実技の授業では、カットや髭剃り、整髪などの基礎技術について学んでいきますが、理容師は技術職でもあり接客業でもあるので接客スキルも同時に学んでいきます。
さらに来店したお客様が外国人だった場合を想定した、外国語の授業をカリキュラムに組んでいる理容専門学校も多くあります。
理容師資格取得の為の勉強法
理容師国家試験の学科試験はマークシートなので過去問を解き、間違えた問題をそのままにせずに克服していくことが重要になります。
また、自分が苦手な分野を把握し、苦手分野を対策していくことも非常に重要となってきます。
理容国家試験を運営管理している公益財団法人理容師美容師試験研修センターのホームページでは過去の筆記試験問題を掲載してます。
そして実技試験に関しては理容学校で習得した内容が問われます。実技試験は試験ごとに内容が変わるので、理容専門学校に在学している間に努力しスキルを上げていくことが大事です。
理容師の専門学校や通信講座について
理容師になるには理容専門学校に入学して課程を修了させないといけないので、自分にあった学校を選ぶ事をおすすめします。
自宅から無理なく通学できる範囲か、金銭面で無理のない学費か、理容師免許の取得を目指すにあたって自分にあっているカリキュラム内容かなどを考慮しましょう。
また、働きながら理容師免許の取得を目指している人は夜間か通信制の課程を選ぶことになるかもしれません。
通信制は3年間で課程を修了しなくてはいけないので、働きながら理容師としての勉強も出来る環境かどうかも考慮することが重要になってきます。
学校によってはオープンスクールを行っている所もありますが、一度に数校見られる訳では無いので、複数の学校の資料を無料で請求して見比べる事が一番有効な学校選びの方法です。
理容師免許の試験詳細・難易度・合格発表について
理容師免許の受験資格を得て受験する事が出来ても、合格しなければ理容師になることは出来ません。
学科試験では理容に関する専門的な知識(衛生法規や消毒法、理容理論、感染症等)が問われる為、厚生労働大臣指定の理容専門学校や理容美容専門学校で学ぶことが必要です。
理容師免許の試験では筆記以外にも実技試験があります。いくら勉強が出来ても実技による理容師としてのスキルが無くては合格することは難しくなります。
実技も専門学校で国家試験に対応出来るように授業が行われるだけでなく、入店後に即戦力となれるよう技術を身に付けさせてもらえる学校が多くなっているので、無料の資料請求で学びたいと思える学校を探す事が、理容師として働く為には大切な事になるのです。
続いては、理容国家試験の詳細について解説していきます。
理容師の資格試験料
理容師免許の試験料は受験する試験内容によって金額が異なってきます。
初めて受けた試験で筆記試験だけ合格し、実技試験で不合格となってしまった人は、次に受験する試験に限り筆記試験が免除されます。
また反対に実技試験は合格し、筆記試験で不合格となってしまった人は、次に受ける試験に限り実技試験が免除される試験の一部免除制度があります。
※試験の一部免除は申請が必要です。
学科試験のみ受験する場合は12,500円、実技試験のみ受験する場合は12,500円、学科・実技を両方受験する場合は25,000円の受験料になります。
理容師試験・検定の年間試験回数
理容師免許の試験は年に2回行われています。筆記試験と実技試験で行われる月が違うので注意が必要です。
例年では筆記試験が3月、9月に行われ実技試験が2月、8月に実施されています。
2019年の試験詳細を下記でまとめましたのでご覧ください。
第39回理容師国家試験
第39回理容師国家試験 | |
---|---|
実技試験 | 2019年2月1日(金) |
筆記試験 | 2019年3月3日(日) |
合格発表 | 2019年3月29日(金) |
第40回理容師国家試験
第40回理容師国家試験 | |
---|---|
実技試験 | 2019年8月1日(木) |
筆記試験 | 2019年9月1日(日) |
合格発表 | 2019年9月30日(月) |
第39回理容師国家試験で筆記試験または実技試験のどちらかを合格した人は、第40回理容師国家試験で合格した試験科目が免除されます。
理容師試験科目等の内容
実技試験は試験ごとに出題内容が変わります。第39回理容師国家試験は終了しているため、第40回理容師国家試験に行われる実技試験の内容をこちらでは紹介していきます。
第40回理容師国家試験の実技の内容は、カッティング・シェーピング・顔面処置および整髪の衛生上の取り扱いとなっています。
第40回理容師国家試験の筆記試験
筆記試験は四肢択一式で100分間の時間内に行います。
関係法規・制度、衛生管理、理容理論、理容保健、理容の物理・化学、利用技術理論が出題科目となっています。
理容師資格の合格基準・難易度
実技試験では、衛生上の取り扱い試験が減点30点以下、基礎的実技試験が減点40点以下で合格となります。
学科試験では50問中の60%の正答率(ただしすべての科目において無得点がないこと)を満たすことが合格の条件となります。
学科は実技に比べて合格ラインが高くなりますのでしっかり勉強しておく必要があります。実技は、事前に試験の課題が発表されるので要点さえしっかり押さえておけば問題ありません。
難易度に関しても国家資格の中では低い資格になりますが、理容専門学校でしっかりと勉強や実技のスキルを上げないと取得は難しいと言えるでしょう。
理容師資格の合格率
2019年2月と3月に行われた第39回理容国家試験での合格率は79.8%となっており、受験者数1,156人中923人が合格しています。
ちなみに同じ時期に行われた美容師免許の合格率は86.2%で、理容師免許の合格率と比較すると10%も差があり、理容師免許の方が合格率が低いことがわかります。
過去の理容師国家試験の合格率をまとめましたのでご覧ください。
第39回理容師国家試験 | 第38回理容師国家試験 | ||
---|---|---|---|
受験者数 | 1,156人 | 受験者数 | 830人 |
合格者数 | 923人 | 合格者数 | 477人 |
合格率 | 79.8% | 合格率 | 57.5% |
第37回理容師国家試験 | 第36回理容師国家試験 | ||
---|---|---|---|
受験者数 | 1,116人 | 受験者数 | 836人 |
合格者数 | 812人 | 合格者数 | 526人 |
合格率 | 72.8% | 合格率 | 62.9% |
第35回理容師国家試験 | 第34回理容師国家試験 | ||
---|---|---|---|
受験者数 | 1,261人 | 受験者数 | 880人 |
合格者数 | 947人 | 合格者数 | 532人 |
合格率 | 75.1% | 合格率 | 60.5% |
第33回理容師国家試験 | 第32回理容師国家試験 | ||
---|---|---|---|
受験者数 | 1,253人 | 受験者数 | 862人 |
合格者数 | 941人 | 合格者数 | 526人 |
合格率 | 75.1% | 合格率 | 61.0% |
理容師試験の合格発表
理容師試験の合格発表方法は3通りあります。
1つ目は厚生労働省と試験センターに合格者の受験番号が掲示されるのを見に行く方法です。合格発表日の朝9時に掲示されます。
2つ目は発表日に郵送される合格通知で、合否を確認する方法です。
3つ目が、公益財団法人理容師美容師試験研修センターのホームページで照会する方法です。ホームページで確認する場合も、当日朝9時から確認できます。
理容師資格取得後の年収・就職先・仕事内容について
一般的な流れとしては理容専門学校の卒業前に実施される1月と3月の理容師国家試験に受験する人が多いので、合格率の表を見ても分かるように年度初めに行われる試験は受験者数が多い傾向にあります。
年度初めに行われる試験で筆記および実技どちらも合格したら晴れて理容師として働く事が出来ます。
その為には国家試験対策だけではない、実務で使える技術も身に付けさせてもらえる専門学校を選ぶことが重要になるので、複数の学校の資料を一度に請求し比較検討する事が必要になるのです。
通学圏内なのか、家から離れ一人暮らしをするのか、寮があるのか、学費はどうなのか等自分の条件と照らし合わせる為にも、一度資料請求してみましょう。
では続いては、理容師として働いていく上で大事となってくる年収や就職先について紹介していきます。
理容師の年収・給料相場
理容師の平均年収は男性が約300万円、女性が約260万円です。アシスタントの場合ですと給料は手取りで10万前後、高くなると17~18万円ほどです。
大手チェーン店のではボーナスが支払われることもありますが、ほとんどの理容室ではボーナスの支払いがない所が多いのが現状です。
しかし美容師同様スタイリストとなると基本給の他に指名制度等によるインセンティブが発生してくる場合があります。
努力次第で800万円~1000万円ほどの年収になることも可能なので、日々理容師としてのスキルを上げていかなくてはなりません。
理容師所持者の就職先
理容師免許を取得したての新人理容師は、まず理容室、理容院などに就職するのが一般的です。
他にもヘアアーティスト、エステティシャン(顔剃り)、訪問理容(介護施設など)、テレビ局などのスタイリストとして働くことが出来ます。
また最近では美容室に就職する理容師も増えている傾向にあり、理容師でしか行えないシェービングでたくさんの指名をもらう理容師もいます。
そして理容師や美容師は自分の店を出すことを最終目標にしている人も多いので、将来はオーナーになるという選択肢もあります。
理容師と同じ分野の他の資格
美容師、ネイリスト、アイリスト、メイクアップアーティスト、スタイリスト、エステティシャン
理容師の仕事内容
理容院・理髪店等でお客様の髪をカットしたり整えたりするのがメインの仕事内容になります。
得意先・常連のお客様の頭皮の状態や好み、髪の特質を把握し来店時には、お客様から何も言われなくてもいつも通り気に入ったヘアスタイルに仕上げる技量が必要となります。
個人差はありますが、就職して3ヶ月目でシャンプーを任され、その後は店長やオーナーからの評価でできる仕事量は増えていきます。
またアシスタントへの教育・指導も行います。
理容師の技術を後世に残していくためにも理容師を目指しているアシスタントへの教育・指導は理容師として大切な仕事の一つでもあります。
理容師の現状・将来性
床屋や理容院といった個人のお店は減ってきていますが、大型チェーン店や美容院も併設しているお店が日本全国各地にある為、就職には困らないといったのが現状です。
ですが、就職する前の理想と就職後の現実があまりにも違い、離職する人が増えているのもまた現状です。
日本人の器用さ、正確さ、丁寧さが十分に発揮される職業でもあるので、海外からの日本の理髪店の評価は高く、顧客満足度も高いです。
また、近年ではSNSの普及により「こうしてほしい!」と海外より散髪の為に訪問する人も増えてきています。
そういった観光客の為に外国語が話せるスタッフを配置するなどして柔軟に対応できる環境を整えていくことによって理容業界の将来性は安定、発展していきます。
理容師の独立について
理容師として独立するには、資金と人材とマネジメント力が必要となります。独立して開業するには最低でも300万は必要といわれます。
また、理容・美容業界では多くの低料金チェーン店等のライバル店がある為、どのように分散している顧客を自分のお店へ足を運んでもらうかも重要になります。
お客様に「このお店でないとダメ」と思わせるための立派な人材、同じ志を持った人材を見極める目も必要となります。
理容師免許と美容師免許の違いについて
今までは理容師免許の取り方や試験詳細、理容師の現状などについてお話してきましたが、続いては今回の記事で度々出てきた美容師と理容師の違いについてお話していきます。
理容師と美容師は「人の髪の毛の手入れをする」といった内容で同じ職業に思いますが、理容師免許を持っているか美容師免許を持っているかで行える業務内容が違ってきます。
法律にも「理容師法」と「美容師法」があるように全く別の職業に分類されています。
理容師の行える仕事は?
理容師法によると理容師は下記の内容で定められています。
理容とは「頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えること」
厚生労働省 理容師法概要
人の容姿を整える施術内容にシェービングがありますが、シェービングは理容師免許を持っていないとできない施術になります。
美容師国家試験にはシェービングの技術科目は入っていないので、美容師はシェービングを行う事が出来ません。
美容師のの行える仕事は?
美容師法によると美容師は下記の内容で定められています。
美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」
厚生労働省 理容師法概要
美容師は名前の通り人の容姿を美しくすることが仕事になります。
美容師免許保持者、はシェービングを行えませんがパーマをかける事が出来ます。
他にも着物の着付けやヘアエクステ、まつ毛エクステも美容師の仕事の範囲内になります。
両方の国家試験の違いは?
理容師免許と美容師免許の国家試験の出題科目で大きく違うのは、実技による科目が違ってきます。
理容師の実技試験 | 美容師の実技試験 |
---|---|
カッティング | カッティング |
シェービング | ワインディング |
整髪 | オールウェーブセッティング |
衛生上の取り扱い | 衛生上の取り扱い |
理容師免許の実技試験では上記でも説明した通り容姿を整える技術である、シェービングや整髪技術が求まられます。
反対に美容師免許の実技試験では人の容姿を美しくする技術である、ワインディングやオールウェーブセッティングといったパーマの技術が求められます。
理容師と美容師の両方の資格を取るには?
平成30年に制度が改正されたことにより、理容師が美容師免許を美容師が理容師免許を取得しやすくなりました。
今まで理容専門学校は理容取得課程、美容専門学校では美容取得者課程しか設置されていませんでしたが、制度が改正されたことにより理容専門学校に美容課程、美容専門学校に理容課程が設置出来るようになったのです。
理容師免許と美容師免許の両方の資格を取得することを「ダブルライセンス」と呼び、ダブルライセンス取得を目指せるカリキュラムを用意している専門学校もあります。
どちらかの資格取得後に1年間の課程を修了させるか昼間課程に在籍しながら理容師、美容師どちらかを通信課程で取得する流れとなっています。ダブルライセンスを取得する事で就職先の幅も広がり、知識や技術スキルも上げる事が出来ます。
理容師免許の試験詳細と理容師と美容師の違いのまとめ
今回は理容師免許の取り方から理容師国家試験の詳細をお届けしました。さらにたくさんの人が疑問に思っている理容師と美容師の違いについても併せて紹介しましたがいかがでしたか?
理容師免許と美容師免許は、技術試験の出題科目と、行える技術内容に大きな違いがあることがわかりました。
しかし平成30年に制度が改正され理容師免許と美容師免許のダブルライセンス取得を目指せるカリキュラムを準備している専門学校も増えてきています。
ダブルライセンスを取得することで更なるスキルアップも目指すことが出来るようになるので、現在理容師・美容師の方やこれから理容師・美容師を目指す方は両資格の取得を目指す事もおすすめです。
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