通信制高校の就学支援金とは?授業料が支給される対象生徒や申請手順などを解説 更新時間 2024.11.21
通信制高校の学費を調べる際、経済的な面が気になることでしょう。
しかし、そんな心配を解消する手段が存在します。
本記事では、「学費」と「就学支援金」にフォーカスし、通信制高校の学費を抑える方法について紹介します。
「通信制高校の学費を知りたい」「就学支援金を利用して学費を安く抑えたい」と考えている方は、ぜひご一読ください。
未来への第一歩を踏み出すためのヒントがここにあります。
なお、通信制高校の学費の平均費用などについて知りたい方は以下の記事をご覧ください。
就学支援金制度とは
高校就学支援金制度は、高校や高等専門学校、専修学校などの授業料が実質無料になる制度です。
まず2010年の4月から、公立高校に対する高校無償化が開始されました。
私立高校の高額な授業料は支援金でまかなえませんでしたが、2020年から支援上限が引き上げられ、現在は私立・公立高校ともに実質無料の「高校就学支援金」が支給されています。
就学支援金制度の目的
家庭における学費負担を軽減し、誰もが教育の機会を平等に受けられる環境を整えることが目的です。
経済的な理由で学ぶことが難しい人々を支援するためで、約8割近い生徒が活用しています。
支援金は、家庭の収入や人数などの条件を基に、授業料の全額もしくは一部をカバーすることを目指しています。
就学支援金制度で授業料が実質無償
通信制高校では、学習の進捗に応じて「就学支援金」が支給されます。
通信制高校の場合、1つの単位ごとに支援金が支給されます。
この単位ごとの学費は学校や地域によって異なります。
通信制高校の種類と授業料、支給金額、実質負担額などをまとめた表は以下のとおりです。
高校の種類 | 授業料(1単位あたり) | 支援金額(1単位あたり) | 実質負担額 | 備考 |
---|---|---|---|---|
公立通信制高校 | 約300円〜800円 | 最大336円 | 無料またはごくわずかな負担 | 学費が336円以下の場合無料になる |
私立通信制高校 | 学校・地域によって異なる | 世帯年収590万円未満:最大12,030円 | 授業料が12,030円以下なら無料 | 1単位の授業料が支援金額を超えない場合 |
世帯年収590万円〜910万円未満:最大4,812円 | 授業料の一部が負担になる場合あり | 支援金額は世帯年収により変動 |
公立であれば約300円〜800円ほどです。
公立の通信制高校では、1つの単位につき最大336円の支援金が提供されるため、多くの場合、学費は無料もしくはわずかな負担で済むことでしょう。
一方、私立の通信制高校では、保護者の世帯年収によって支援金の額が変動します。
世帯年収が590万円未満の場合、1つの単位に最大12,030円の支援金が支給されます。
590万円から910万円未満の場合は、1単位あたり最大4,812円までです。
ただし、1つの単位あたりの費用が12,030円以下の場合は、費用相当額を上限にして支援金が支給されます。
この仕組みを活用することで、通信制高校での学費を軽減することが可能です。
就学支援金制度の利用条件
就学支援金制度を利用するためには、所定の条件を満たす必要があります。
- 日本国内に在住していること
- 高等学校や高等専門学校(1~3年)、専修学校(高等課程)等に在学していること
さらに、家庭の所得状況や子どもの人数なども審査の基準になります。
高等学校等就学支援金は、誰しもが受給することができるというわけではありません。
自分が高等学校等就学支援金を受給することができるのか、受給対象の条件について確認しておきましょう。
「受給資格がある方」と「受給資格がない方」に分けてご紹介します。
受給資格がある方
下記条件を満たせていれば、高等学校等就学支援金の受給対象者となります。
- 日本国内に住所があること
- 国立・公立・私立は問わず、高等学校、高等専門学校(1〜3年)、専修学校(高等課程)等の学校に通う生徒
- 高等学校等を卒業しており、修了せず在学中
- 在学の期間が36ヶ月(通信制の場合は48ヶ月)未満
- 世帯年収(目安)が910万円以下の人
1つでも受給条件が満たせていないと利用できないため、高等学校等就学支援金の利用を考えている方は事前に確認しておきましょう。
受給資格がない方
前述で説明した「受給資格の条件」を満たしていても、実は受給できない可能性もあります。
下記のいずれかに該当する場合は高等学校等就学支援金を受給することができません。
- 世帯年収が910万円以上の世帯(片働き・子一人の場合)
- 高校学校等を既に卒業または修了した方
- 高等学校等に在学した期間が通算して36ヶ月を超えた方(通信制・定時制は48ヶ月まで可)
高等学校等就学支援金の受給条件のみを確認して、利用できると思ってしまう方もいます。
受給資格がない人の内容をチェックしておくことで、実は利用できなかったという恐れがなくなるため確認を怠らないようにしましょう。
就学支援金で学費補助を受けるときの注意点
高等学校等就学支援金は、家庭の負担を軽減するための制度です。
申請や利用に際にいくつか注意したいポイントがあります。
注意点を事前に確認しておくことで、未然に予期せぬ事態を防ぐことにつながります。
以下に、特に注意すべき点を解説します。
- 一時的に入学金や授業料を支払う必要がある
- 就学支援金には支給期間がある
- 世帯収入状況の確認は毎年度ある
- 休学中でも支給期間は経過する
一時的に入学金や授業料を支払う必要がある
高等学校等就学支援金は、学費の支援を後からもらうのが一般的です。
入学金や授業料等の入学時に必要な費用は、一旦自己負担で準備する必要があります。
就学支援金の支給が始まる時期や学校ごとに異なる場合があります。
自分が進学予定の学校の支援金の詳細をあらかじめ確認するようにしましょう。
必要に応じて入学時に必要な資金を用意しておくことが重要です。
就学支援金には支給期間がある
就学支援金は、生徒の在学期間中のみ受け取れます。
就学支援金を利用できる期間には制限があります。
全日制高校の場合、一般的には3年間が標準の支給期間です。
通信制や定時制の場合は、在学期間が個別の学習ペースによって異なります。
通信制や定時制の就学支援金は、最長4年間まで支給されることが一般的です。
高校の種類 | 標準在学期間 | 支給期間 | 備考 |
---|---|---|---|
通常の高等学校 | 3年間 | 3年間 | 通常の学習ペースで3年間在学 |
通信制高校 | 個別の学習ペースによる | 最長4年間まで支給可能 | 学習ペースにより在学期間が変動する |
定時制高校 | 個別の学習ペースによる | 最長4年間まで支給可能 | 学習ペースにより在学期間が変動する |
休学や進級が遅れると支給期限が超過する可能性があります。
支給期間の把握した上で、計画を立てることを推奨します。
世帯収入状況の確認は毎年度ある
就学支援金制度は家庭の経済状況に応じて支援額が決定されます。
したがって、毎年度、収入状況の審査が行われます。
新入生の場合は4月の入学時に加え7月にも確認があるのが一般的です。
在校生は毎年7月に審査が行われます。
家庭の収入に変動がある場合は支給額が変わる可能性がある点を理解しておきましょう。
休学中でも支給期間は経過する
生徒が学校を休学する際には、就学支援金の支給期間が休学期間中も進行してしまう点に注意が必要です。
休学中に授業料が発生しない学校の場合、支援金の支給がゼロとなります。
結果的に支給期間が消費されてしまうこともあります。
休学を予定している場合、支援金の支給停止手続きを事前に行うことが推奨されます。
復学後は支給再開の手続きを行うことで、支援金の利用期間を無駄に消費しません。
注意点を理解した上で利用することで、就学支援金をより有効に活用できるようになります。
就学支援金の支援を受ける際は、事前準備や手続きのタイミングをしっかり確認しておきましょう。
就学支援金の申請手順
ここでは、就学支援金の申請手順について詳しく解説します。
就学支援金の受け取り方法
原則、入学時の4月に必要な書類を学校等に提出していただく必要があります。
ただし所得基準の判断方法や提出期限については、各学校もしくは都道府県によって異なるので注意が必要です。
就学支援金は国から学校に直接支払われるため、保護者や生徒が受け取ることはありません。
学校によっては、いったん学費を支払って後から返金されることもあります。
一時払いが厳しい方はどんな対処法があるかを、事前に学校へ確認しておきましょう。
就学支援金の申請手続きや必要書類
就学支援金を受けるためには、申請手続きと必要な書類を提出する必要があります。
申請書や所得証明書などが必要となる場合がありますので、正確に提出することが大切です。
手続きはオンラインでも可能ですが、紙による申請の場合は以下の書類を用意しましょう。
- 受給資格認定申請書(学校から配布)
- マイナンバーカードの写しやマイナンバーが記載された住民票の写し等
通信制高校の学費について
通信制高校選びで気になるのは、「学費は高いのか?」「学費平均はどれくらいか?」といったことではないでしょうか。
本章では、通信制高校の学費をわかりやすく解説し、全日制高校との違いや学費以外に必要な費用について以下の3つに分けてご紹介します。
- 学費の平均は公立約3〜5万円・私立25万円以上
- 全日制高校と比較して平均的には安い傾向にある
- 専門課程がある通信制高校の学費は年間で50万円〜100万円程度
学費の平均は公立約3〜5万円・私立25万円以上
通信制高校にの年間学費の平均は、公立で約3〜5万円、私立で25万円以上です。
ただし私立にはさまざまなコースや専門授業が用意されており、選択するコースやオプションによって年間100万円近くかかるケースもあります。
公立通信制高校では無償化措置により、学費が無料または安いのがメリットです。
一方、私立通信制高校は学費が高い場合もありますが、その分柔軟な学習環境や手厚サポートが用意されています。
近年は私立を選択する生徒が増えており、学校の数も毎年増加傾向です。
生徒は通信制高校の選択肢が増えたことにより、自分に合った学校へ進学できるケースが増えいています。
全日制高校と比較して平均的には安い傾向にある
通信制高校の学費は、全日制高校と比較して平均的には安い傾向にあります。
通信制高校は規模も小さいことが多く、施設や設備の維持費があまりかかりません。
ただし、通信制高校で必要な学習教材やスクーリング代などの費用も考慮する必要があります。
また私立高校はオンライン化が進んでおり、学校によってはパソコンを用意したり通信費が請求されたりするケースもめずらしくありません。
専門課程がある通信制高校の学費は年間で50万円〜100万円程度
私立の通信制高校には、美容師やメイク、声優、ダンスなど、さまざまな専門コースが用意されています。
専門課程がある通信制高校の学費は、年間で50万円〜100万円かかる学校もあります。
これは非常に高いと思う方も多いようですが、高校を卒業して専門学校へ行くことを考えると、決して高くはありません。
時間も節約できるため、周りよりも早い段階で現場で活躍することができるでしょう。
これらの費用は学校によって異なるため、入学前にしっかりと確認しておくことが大切です。
また、就学支援金制度などを活用することで、これらの費用を軽減する方法もあります。
高校の学費に困っている方は必見! 「高校の学費が払えない時の対処法!学費を安く高校を卒業するには?」を参考にしてみてください!
通信制高校の学費を抑える方法
ここからは、通信制高校の学費を抑える方法について解説します。
全日制高校のように一律でないため、通信制高校の学費は工夫すると安くすることが可能です。
今回ご紹介する通信制高校の学費を抑える方法は以下の4つです。
- 通学コースより通信コースを選択する
- 就学支援金制度を利用する
- 奨学金や学資ローンを活用する
- 特待生制度を利用する
通学コースより通信コースを選択する
通信制高校には「通学コース」と「通信コース」の2種類があります。
通学コースは通学が必要であり、設備費や補習費などがかかり学費が高くなることがあります。
一方、通信コースは自宅で学習するため、学費が安く抑えられるのがメリットです。
通学コースは、「全日制のように高校生活を満喫したい」「友だちを作りたい」という生徒に人気です。
また通信コースは、学業以外の活動が忙しい生徒、不登校や病気を抱えた生徒が多く選択します。
あなたの学習スタイルや経済的な事情に合わせて、自分に合った方コースを選択しましょう。
就学支援金制度を利用する
通信制高校生も、国からの就学支援金制度の恩恵を受けることができます。
就学支援金は、家庭の経済状況に応じて支給され、学費の一部を補助してくれる制度です。
申請の手続きや条件を確認し、受給できる場合には積極的に利用しましょう。
奨学金や学資ローンを活用する
学費を抑えるためには、奨学金や学資ローンを活用する方法も考えられます。
これらの支援を受けることで学費の負担を軽減でき、学費が高い学校へ進学できたり学びたいコースを選択したりすることが可能です。
利用する際には返済計画をしっかりと考え、将来の負担も考慮しておきましょう。
特待生制度を利用する
スポーツで全国大会に出場した経験がある方や学業で優秀な成績をおさめた方であれば、特待生という名目で学費を抑えることができます。
通信制高校の中には、特待生を歓迎している高校があります。
条件を満たすことで、施設利用費が半額免除になったり、授業料以外の学費を一部免除してくれたりする高校も存在するため、特待生が優遇される高校を調べてみるのもおすすめです。
スポーツや学業で高い成績を残していて、通信制高校に通いたいと考えている方は特待生制度の利用を考えてみるのも良いでしょう。
通信制高校を選ぶ際に失敗しない3つのポイント
以下の3つのポイントを押さえることで、通信制高校選びの失敗を防ぐことができます。
- 学費よりも卒業することを重視する
- 将来の目標や進路に合った学校を選ぶ
- スクーリングの日数を確認する
学習ややりたいことに集中できる環境を整え、自分の可能性を最大限に引き出すために、慎重な選択を心がけましょう。
学費よりも卒業することを重視する
通信制高校を選ぶ際に大切なのは、学費よりも卒業できるかどうかです。
学費は短期的な出費ですが、その先の未来への投資でもあります。
学びたいことや将来の夢を実現するために、卒業を目指す強い意志が重要です。
自身の目標を見失わず、学びの継続を大切にしましょう。
将来の目標や進路に合った学校を選ぶ
通信制高校を選ぶ際には、将来の目標や進路を意識して選ぶことが大切です。
自分の夢や興味がある分野に合ったカリキュラムを提供している学校を選ぶことで、学びがより充実したものになるでしょう。
進学や就職を見据えて、自身のスキルや知識を広げる学校を選んでくださいね。
スクーリングの日数を確認する
通信制高校でもスクーリングがありますが、その日数や頻度は学校によって異なります。
スクーリングの日程が自分の生活に合うかどうかを確認して、学校を選ぶようにしましょう。
仕事や芸能活動などがある方は、月に数回のスクーリングも難しい場合があります。
しかし欠席ばかりしていると、テストに合格していても卒業できないかもしれません。
通学が必要な場合、交通手段や時間の確保も考慮して計画を立てることが重要です。
学びと生活のバランスを保ちながら、充実した高校生活を送るためにも、スクーリングのスケジュールをしっかり把握しましょう。
通信制高校の学費は高くない!就学支援金を利用しよう
通信制高校の学費や就学支援金制度について解説しました。
通信制高校の学費は、全日制高校に比べて負担が軽い傾向にあります。
そのため、経済的な理由で学びたいけれど諦めている人にとって、魅力的な選択肢になるでしょう。
公立通信制高校が完全に無償化されている場合もあり、学費の心配を最小限に抑えることができます。
就学支援金の受給額は家庭によって異なるので、学校を決める前に確認しておくといいでしょう。
学費や費用の心配をせずに、自分の学びたいことに集中できる環境を整えるためにも、事前準備は非常に大切です。
まずは通信制高校の学費や支援金の仕組みをしっかりと理解し、本当に行きたい学校をじっくりと検討しましょう。
通信制について詳しく知りたい方は 「通信制高校とは?わかりやすく徹底解説!」も必見です!