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運航管理者(ディスパッチャー)になるには?難易度や合格率・年収

更新日:2021-05-08

運航管理者(ディスパッチャー)になるには?難易度や合格率・年収

航空機の事故は、滅多に起きないイメージもあるでしょうが、たった一度でも起きてしまえば、その機体の大きさや速度、そして脱出不可能な空の上であることなども関与して、乗客や墜落現場の周囲に大きな被害を出すことになります。そのため、こういった事故が起こらないように飛行機を飛ばす際にはしっかりとした計画を立てる必要があり、その計画を立てるのが運航管理者なんです。

今回はそんな航運管理者(=ディスパッチャー)になるには?運航管理者技能検定の難易度や、合格率、実地試験までの流れや航空会社での年収などについて総合的にまとめます。

運航管理者(=ディスパッチャー)ってどんな仕事?

運航管理者

航空機がいかなる場合も安全に、スムーズに目的地まで飛べるように飛行プランを立てていきます

気象情報や機体の整備情報、乗客や荷物の量などあらゆる情報を集めてまとめ、プランの作成にあたります。

航空機に直接は乗り込みませんが地上から安全なフライトを支えている大切な資格です。

運航管理者資格は他に、ディスパッチャーと呼ばれたりします。運航管理者の資格は「国家資格」で、運航管理者の資格は「国土交通省」が運営管理を行っております。

★国土交通省とは?

日本の行政機関の一つです。

その任務は国土交通省設置法第3条で定められており、国土の利用・開発・保全、社会資本の整備、交通政策の推進、気象業務、海上の安全・治安を確保をすること等が定められています。

国土交通省/航空

運航管理者になるには?

運航管理者

運航管理者になるには、運航管理者技能検定に合格しなければなりません。

受験資格も定められているので簡単になることはできません

運航管理者になるために必要な知識

  • 航空機に関する知識
  • 無線通信に関する知識
  • 気象に関する知識

の3つの分野の知識が必要となります。

サラッと書いてしまうと3行だけに収まってしまいますが、どの分野もそれなりに簡単ではない内容が試験で問われることになります。

運航管理者技能検定の受験資格

第一の条件として、21歳以上であることが定められており、さらに

  • 操縦を行った経験
  • 空中航法を行った経験
  • 気象業務を行った経験
  • 機上での無線設備の操作を行った経験
  • 航空交通管制の業務を行った経験
  • 運航管理者の補助業務を行った経験

これらの条件の中から1種類を2年以上か、2種類以上の経験をそれぞれ1年以上積んでいる人、もしくは航運管理者の補助業務を1年積んだ人に受験資格が与えられます。

運航管理者技能試験の試験内容や難易度

運航管理者 難易度

試験は学科試験と実地試験に分かれています。

航運管理者技能試験内容
学科試験 科目 問題数 時間
空中航法 20問 2時間
航空法規 20問 40分
航空気象 20問 1時間
航空工学 20問 1時間
航空通信 20問 40分
施設 10問 40分
実地試験 天気図の解説
航空機の航行の援助

学科試験は、科目ごとに100点満点中70点が合格ラインとなっており、学科試験を合格しなければ実地試験を受けることはできません

学科試験合格者は合格より2年以内に受験者の希望日を考慮したうえで実地試験を受けることができます。

運航管理者試験・検定の年間試験回数

学科試験は毎年3月と7月もしくは8月に、年2回あります。

また、学科試験での合格した科目に関しては、1年以内に行われる試験を通じて免除されますので、惜しくも合格に届かなかった場合は次に受ける試験はある程度通りやすくなっています。

運航管理者資格の合格率や難易度は?

合格率は非公開とされていますが、科目の多さや実務経験が必要な点なども考慮すると、資格取得自体の難易度は高め、試験内容の難易度も高めとなっています。

上記で紹介した通り、学科試験は年に2回ある事と、1年以内であれば合格科目が免除になるというシステムがあるため、4回の試験以内に全ての科目を合格することができれば実地試験まで進むことは出来るようになっています。

運航管理者の試験料・合格発表について

受験料は、

  • 学科試験が5,600円
  • 実地試験が49,300円

となっています。

合格発表は、実地試験合格者に文書で通知されます。

運航管理者資格取得後の就職先・年収などについて

運航管理者 年収

運航管理者資格所持者の職業は、必然と航空会社などになるはずですが、資格を取得してからの就職先というよりは、順番が逆の資格なんです。

航空会社や航運管理を専門に行う航空会社に就職し、2年間の実務経験を積んでから取得できる資格なので、この資格を持っている人はすでに航空会社に入っていることになるでしょう。

運航管理者と同じ分野の他の資格

  • 航空無線通信士
  • 海技士
  • 航空管制官
  • 航空従事者試験
  • 潜水士

航海や航空に関する仲間と言えそうな資格はたくさんありますが、空にしても海にしても、その専門性は高いです。

ただ、航空無線通信士に関しては、フライトディスパッチャーとして働く際に、航空中のパイロットとの交信に航空無線を使うため、合わせて合格しておくことが必須の資格となっています。

運航管理者、航空会社での年収

正社員の場合は月給をもらうことになりますが、大手航空会社では「総合職」といった括りでディスパッチャー候補生を採用しており、一人前になるまでは、特別に高い給料がもらえるわけではありません。

例を挙げると、JALの業務企画職(地上職 事務職)では、初任給が222,000円(2016年度新卒採用の場合)となっています。なお、JAL全体での平均年収は689万円(38.9歳)です。

22万円x12か月をベースに年収を計算すれば見えてきますが、実務を積んでから航運管理者技能試験に合格し、ディスパッチャーとして活躍してからの年収が跳ね上がっていると考えることは容易です。

契約社員は時給制

契約社員の時給は1,000円~1,100円程度からスタートすることが多いようですが、経験や勤続年数によって給料がアップすることが一般的です。

最初はだれもが資格なしで入社しますが、「運航管理者技能検定」などの国家資格を得ることで昇給したり、資格手当が支給され、年収がアップしていきます。

大手航空会社では、賞与の支給もあります。

運航管理者の現状や将来性

運航管理者 将来性

「地上のキャプテン」といわれるディスパッチャーは、安全なフライトを実現するために不可欠な存在です。

気象や航空法、航空機の仕組みなど、航空に関するあらゆる情報に精通しているディスパッチャーは、専門知識を駆使してさまざまなデータを集め、フライトごとに安全運航のための計画を作っていきます。

そして、フライト中にも最新の気象状況などをパイロットに伝え、フライトを地上からサポートします。つまり、ディスパッチャーは、そこに航空機がある限り必要とされる存在なのです。

運航管理者の将来性

近年は、格安航空会社(LCC)の参入や、国際線のフライトが増加傾向にあるため、全体としてはディスパッチャーが活躍できる場面も増えているといえるでしょう。

日系の大手航空会社以外に、外資系航空会社やローカルエアラインなどでもディスパッチャーは必要とされています。

ただし、一人前のディスパッチャーとして認められるには、現場経験と国家資格が必要となります。未経験者がこの職業を目指す場合には、まず「航空会社に就職」したうえで、適性が認められて「運航管理部門に配属」される必要があり、そこから実務経験2年という壁があるため、狭き門といえるかもしれません。

また、運航管理者の独立については、航空会社に勤務することで活かされる資格でありそれ以外には役立てにくいので、独立するための資格という訳ではありません。

運航管理者(ディスパッチャー)資格取得の難易度や合格率・年収まとめ

運航管理者(ディスパッチャー)資格取得の難易度や合格率・試験内容、年収や将来性など総合的にまとめてみましたがいかがでしたか?

一緒に航空機に乗り込むわけではありませんが、地上から安全なフライトを支えている飛行機が飛ぶためには居なくてはならない職業であるという事がお判りいただけたと思います。

ただ、全体を通してこの資格を見てみると、経験なしからスタートしてディスパッチャーになるには、必要となる知識・勉強すべき内容や試験科目自体の多さ、そして実務経験を得るチャンスが少ない点で狭き門となっている部分があると言えるでしょう。