子供が学校に行きたくない理由は?サポートできるの? 更新時間 2023.11.02
子どもが学校に行きたくないと言い出すと、親としては突然のことで対応に困ってしまいますよね。
「学校でいじめにあっているの?」「行きたくない理由を教えて」と、さまざまな疑問が浮かんでくると思います。
そこで文部科学省の最新のデータをもとに、小学校・中学校・高校ごとの不登校の要因をまとめました。
子どもが学校に行きたくない理由や、お子さんのサポート方法について詳しくお伝えしていきます。
不登校になる兆候の言動についても解説していますので、早い段階で不登校のきっかけを発見できるようになるでしょう。
【最新】小中高校の不登校事情について
子どもが学校に行きたくない理由を知るためにも、まずは最新の不登校事情について知っておきましょう。
文部科学省による令和3年度のデータをもとに、不登校生徒の人数や不登校の要因について詳しく解説します。
小・中・高等学校における長期欠席者と不登校児童
文部科学省のデータをもとに、各学校における不登校の人数をまとめました。
学校 | 長期欠席者数 | (前年度) | 不登校児童生徒数 | (前年度) |
---|---|---|---|---|
小学校 | 180,875人 | (113,746人) | 81,498人 | (63,350人) |
中学校 | 232,875人 | (174,001人) | 163,442人 | (132,777人) |
高等学校 | 118,232人 | (80,527人) | 50,985人 | (43,051人) |
合計 | 532,982人 | (368,274人) | 295,925人 | (239,178人) |
※年間30日以上欠席する者は「長期欠席」であり、そのうち直接的な原因がない者に対して「不登校」として統計しており、年間30日以下の欠席は統計には含まれていません。
すべての学校において、長期欠席者も不登校児も前年度よりも増加しているのが分かります。
少子化によって児童数は減少しているにも関わらず、学校に行きたくない子どもが増えているというのが現状です。
小・中・高等学校における不登校の要因
こちらも文部科学省のデータをもとにまとめています。
小中学生と高校生に分けていますので、お子さんが該当する箇所をご覧ください。
高校生の不登校の要因 | 人数 | 不登校児童生徒に占める割合 |
---|---|---|
無気力・不安 | 19,977 人 | 39.2% |
生活リズムの乱れ・あそび・非行 | 7,610人 | 14.9% |
入学・転編入学・進級時の不適応 | 4,777人 | 9.4% |
いじめを除く友人関係をめぐる問題 | 4,623人 | 9.1% |
生活リズムの乱れ・あそび・非行 | 7,610人 | 14.9% |
選択肢に該当なし | 3,890人 | 7.6% |
高校生も同様に「無気力・不安」が1位で、該当者は2万人ほどでした。
高校生と小中学生の違いは、親との関わり方が上位ではなくなり、入学や進級の際にクラスに馴染めなかった児童の不登校が増えているようです。
小学生|学校に行きたくない理由
小学生が学校に行きたくない理由について、文科省データの要因をもとに解説したいと思います。
無気力や不安
小学生の不登校の要因として一番多いのが「無気力・不安」、で、49.7%という高い割合でした。
「学校に行く気力が出ない」「不安が強くて学校に行けない」というような状態になっていることが考えられます。
不登校になった要因が無気力や不安でも、学校を休み始めた時期には何らかのきっかけがあったかもしれません。
お子さんの様子が変わったタイミングがなかったか、いつもと違う言動がなかったか、親御さんは思い出してみてください。
お子さんの心の状態に気を配りながら、日々のサポートしてあげることが大切です。
生活リズムの乱れや不規則な食生活
小学生の生活リズムが乱れてしまう主な原因は、スマートフォンやタブレットの長時間の使用の可能性が指摘されています。
ゲームやネットに夢中になり、睡眠時間を削ったり、夜更かしを引き起こしたりすることが原因です。
またブルーライトの影響で眠りにくくなってしまい、翌朝起きれなくなり、次第に学校に行くのが面倒になってしまうことも少なくありません。
次に考えられるのは、不規則な食事や食生活です。
偏った食事や既製品、レトルト食品ばかりでは、食欲や睡眠に影響を与えることがあります。
食事のタイミングや内容を見直し、栄養バランスの取れた食事を意識しましょう。
お菓子類の与え過ぎも要注意です。
友だちや先生との関係悪化
友だちや先生との関係悪化は、学校へ行きたくないという気持ちに直結してきます。
まず考えられる原因は、子どもの「感情表現の不足」です。
小学生でもとくに低学年のうちは、自分の気持ちをうまく表現できないことがあります。
感情を伝える方法を学びながら成長しているため、トラブルが生じることが少なくありません。
これは高学年まで当てはまることですが、小学生は個性が豊かで、友だちと違う自分の考えを強く訴えてしまい、トラブルにつながることも多いようです。
また先生に対して、人間不信になってしまう生徒もいます。
「先生の説明が難しい」「授業が速すぎる」などの理由で、勉強への自信を失い学業不振へとつながっていくケースです。
先生との人間関係がうまく築けない場合、子供たちの心理的なストレスが増えることがあります。
先生への不信感が募ってしまうと、お子さんは学校と距離を置こうとするでしょう。
親子の信頼関係
過度な期待やプレッシャー、コミュニケーション不足、親子間の対立や摩擦なども不登校の原因になります。
子どもが親に悩みや不安を打ち明けることができず、心の距離が広がってしまうことも少なくないようです。
また学業成績や行動面での完璧さを求められることで、子供たちが自信を失い、不登校につながるケースも。
親がお子さんの気持ちを理解し、温かいコミュニケーションを心掛けることが何よりも大切です。
中学生|学校に行きたくない理由
中学生が学校に行きたくない理由について、文科省データの要因をもとに解説したいと思います。
原因不明の無気力
中学生の無気力型に多いのは、問題なく学校に通っていた子どもが、徐々に元気をなくして学校を休みがちになることです。
勉強にも影響し、成績が下がることもよくあります。
このタイプのお子さんは、比較的まじめで落ち着いている傾向があるのが特徴です。
原因がわからず、「学校への不安もないけれど、なんとなく行きたくない」という気持ちが続きます。
「自分への自信がないこと」「努力しても意味がないと思っていること」が、不登校の背景にあるケースも少なくありません。
生活リズムの乱れ・あそび・非行
中学生の生活リズムの乱れは、スマートフォンの使用や夜更かし、不規則な食生活などが原因です。
睡眠不足や体調不良が続くことで、学校へ行く気力が低下し、不登校につながることがあります。
また一方で、中学生は遊びや趣味に没頭し、学業や学校への関心が薄れることもあるでしょう。
学校に行くことが面倒に感じられ、学校を休んで遊びを優先してしまい、次第に不登校になっていくパターンも多いです。
友人や先輩との関係をめぐる問題
中学生が友達関係の悩みなどにより不登校になる原因は、「孤立感や孤独感」「コミュニケーションの難しさ」「SNSトラブル」などが考えられます。
友人グループに入れず孤立したり、コミュニケーションが上手く取れなかったりすることで不安やストレスを抱え、学校へのモチベーションが低下してしまうのです。
また、友人関係でのトラブルには、自己肯定感の不足も影響を与えます。
相手に自分の意見を否定されたり、相手に合わせてもらっていたりすると、自分の存在意義を感じづらくなってしまいます。
近年増えているSNS問題では、
「既読したらすぐに返信しなくてはならない」
「グループから外されないために家の中でもスマホを手放せない」
「自分の投稿にいいねやコメントが少ない」
といった状況に、子供たちも疲れてしまっているのかもしれません。
学業の不振
公立私立問わず、学業不振が原因で不登校になるお子さんも多いです。
学業不振が原因の不登校児童は、小学生では3.2%だった結果に対し、中学生では6.2%と2倍近く増えていました。
中学生は教科担任制になり、学習内容の幅が広がり難易度も上がります。
さらに高校受験という試練も待っており、これに対応するのが難しい子供たちは、学習面での自信を失い学校に行けなくなってしまうのです。
一度の授業で理解できないことは少なくても、遅れが蓄積すると定期試験の成績が下がり、学習面で大幅に遅れを取り戻せず不登校に至ることがあります。
高校生|学校に行きたくない理由
高校生が学校に行きたくない理由について、文科省データの3つの要因をもとに解説したいと思います。
過密スケジュールによる疲れや無気力
高校生は学業や部活動、学習塾、アルバイトなどで多忙な日々を送ることがあります。
過密なスケジュールやプレッシャーにより、心身の疲労とストレスが蓄積され、無気力に陥ることは特別なことではないでしょう。
「自由な時間が持てない」
「自分が何のために頑張っているのか分からない」
このような不満が蓄積して、全てのことがどうでもよくなってしまうことも少なくありません。
学校に行くことが精神的に耐え難いと感じ、不登校に陥ってしまうパターンです。
生活リズムの乱れ・あそび・非行
学業へのプレッシャーやストレス、家庭環境の問題、友だち関係などから、非行に走ってしまうケースもあります。
またインターネットやゲームなどへの依存が、生活リズムを乱す原因となることもあるでしょう。
近年では自己肯定感の低さが、非行に走ってしまうきっかけになるとも言われており、「日本の子どもは自己肯定感が低い」と問題視されています。
自分を受け入れられず友だちや恋人に依存し、自分を見失ってしまう高校生も少なくありません。
親や教育者は、これらの原因を理解し、適切なサポートやケアを提供することが大切です。
入学・転編入学・進級時の不適応
高校生が不登校になる原因の1つは、入学時や進級時の不適応です。
割合は9.4%で、中学生の2倍近くとなっており、入学や進級による環境の変化がきっかけで不登校になっていることが分かります。
新しい環境への適応には、コミュニケーション力や適応力が必要です。
しかし、クラスの雰囲気や学習についていけないことにより、不適応を感じ学校に行けなくなることがあります。
学校に行きたくない子どもの7つの行動とは?
子どもが学校に行きたくないと感じることは、親や教育者にとって心配な問題です。
ここでは、子どもが学校に行きたくないときによく見られる「7つの行動」について解説しましょう。
学校の話をしなくなる
学校に行くことに対して抵抗を感じる子どもは、学校に関する話題を避けるようになることがあります。
新しい環境での不安や友人関係の変化による心理的な負担が、学校に対する無関心につながることも少なくないようです。
寝つきが悪くなる
学校に行きたくない気持ちが強くなると、子どもは寝つきが悪くなることがあります。
学業や人間関係に対する不安が頭をよぎり、心身のリラックスが難しくなるため、良質な睡眠が得られなくのです。
食欲低下や過食
心の不安はときに、食欲にも影響を与えてしまいます。
登校することに不安を感じている子どもは、食欲が低下する場合もあれば、ストレス発散として過食してしまう場合もあります。
心の均衡が崩れることで、食事に対する偏りが生じてしまうのでしょう。
「食事をよく残すようになった」「お菓子を食べる量が増えた」というのは、精神的な変化の予兆かもしれません。
部屋から出ない
学校に行きたくない子どもは、家の中で過ごすことを好むようになることがあります。
学校へ行くことが辛いと感じるため、家の安心な空間にとどまりたいと思うのです。
外出を避けることで、学校や人間関係まで避けるようになるかもしれません。
頭痛や腹痛を訴える
心のストレスが身体に現れることもあります。
学校に行くことで頭痛や腹痛を訴える場合は、不安や心の負担が原因かもしれません。
学校に対する精神的な不安が身体的な症状として現れることがあるため、真摯に向き合う必要があります。
朝起きられない
「いつもの時間に起きてこない」「最近、朝がつらそう……」という状況になったら要注意です。
学校に行きたくない子どもは、朝起きるのが難しくなるケースがあります。
学校を避けるために、寝坊したふりをすることもあるでしょう。
数分の寝坊が徐々に増えていき、朝起きてこないという状況になってしまうことも考えられます。
部活動や習い事を辞めたがる
学校と距離を置きたいという気持ちから、学校関連の活動にも参加したがらなくなることがあります。
部活動や習い事を辞めたいと口にする場合、その背後には学校に対する苦手意識が潜んでいるかもしれません。
「部活動で耐えられない指導を受けている」「学習塾のペースについていけない」など、何かしらの問題を抱えているケースが考えられるでしょう。
学校に行きたくない子どもを持つ親ができること
お子さんが突然「学校に行きたくない」といったら、どんな親御さんでも驚くでしょう。
動揺してしまうのは当然のことですが、まずはお子さんの気持ちに寄り添ってあげることが大切です。
学校に行きたくない子どものサインを見逃さない!
学校に行きたくない子どもの気持ちを理解するためには、子どもが示すさまざまなサインに目を向けることが重要です。
朝起きると頭痛や腹痛を訴えたり、学校に行く前に具合が悪くなったりする場合は、心理的な負担からくる身体の反応かもしれません。
また学校に行く朝になると起きられない、寝たふりをするなどの行動が見られる場合、学校への不安を感じている可能性が考えられます。
さらに、遅刻や欠席の回数が増えることも、学校への抵抗感のサインとなるでしょう。
これらのサインに気付いたら、親は子どもの気持ちに真摯に向き合い、子どもの心の負担を軽減していく努力が必要です。
原因不明のケースが多いことを認識しておく
子どもが学校に行きたくない理由は、必ずしも明確な原因があるわけではありません。
友達関係のトラブルや学業のストレスなど、子ども自身でも気づきにくい心の問題が原因となっていることもあります。
また複数の問題が重なり、結果として無気力になってしまっているパターンも少なくありません。
「原因がわからないから問題が解決しない」と悲観的にならず、まずはお子さんの不安やストレスを取り除いてあげることから始めてみましょう。
学校は不登校児の専門家ではないことを知っておこう
子どもが学校に行きたくないといったら、担任や学校に相談して解決しようと考える親御さんは多いと思います。
もちろん状況を共有することは大切ですが、担任は他の生徒の対応や授業の準備などで忙しく、短期間で事態が好転することは期待できないでしょう。
学校は「登校する生徒」に勉強を教える場所であり、教師は不登校児の問題を解決する専門家ではありません。
このことを念頭に入れ、相談する窓口をいくつか持っておくことをおすすめします。
例えば、お子さんが小学生なら、進級先の中学に相談に行くのも1つの方法です。
中学校にはカウンセラーや相談室がある学校もあり、親に対応してくれるケースもあります。
自分の子どもが通っている学校だけにとらわれず、他の学校にも相談してみることで、現実的なアドバイスを得ることができるかもしれません。
学校に行きたくない子どもには違う居場所をつくってあげよう
子どもが学校に行きたくない理由や、不登校になる兆候について解説しました。
お子さんが「学校に行きたくない」といったら、まず休ませてあげることが先決です。
数週間休ませても学校に行きたがらないときは、学校以外の居場所を作ってあげましょう。
近くにフリースクールがあれば相談に伺うのもいいですし、行政が運営する地域の教育支援センターも相談を受け付けています。
「できれば学校に行ってほしい」というのが本音だったとしても、親であれば誰でも思うことで、特別なことではありません。
しかし焦りや無理は禁物です。
心のケアを含め、お子さんが生きやすい環境を整備し、少しでも笑顔が見られるよう適切にサポートしてあげましょう。