単位制と学年制の違いは?卒業しやすさを徹底比較 更新時間 2023.09.12
高校を卒業するには必要な単位を修得する必要があり、その方法は「単位制」と「学年制」の2つに分かれます。
多くの通信制高校では「単位制」を採用している一方で、全日制や定時制高校では「学年制」を用いているのがほとんどです。
今回は、単位制と学年制の違いや仕組みについて、分かりやすく解説していきます。
さらに、どちらの仕組みが卒業しやすいかについても、徹底的に深掘りしてみました。
2つの違いを理解することで、自分がどの学校に向いているかが判断でき、効率よく卒業できるようになるでしょう。
また、コロナ禍で高まった通信制高校の需要についても、「コロナになって通信制高校の生徒が増えている?高校生活を紹介!」にてご紹介しているので、是非ご覧ください!
高等学校における「学年制」と「単位制」の違いとは
高校は授業さえ受けていれば、誰でも簡単に卒業できると思っている方が多いと思います。
しかし卒業には明確な基準があり、決められた条件をクリアしなくてはなりません。
学年制と単位制では、定められた条件が若干異なるため、進学先を決める際には2つの違いや仕組みを理解しておくことが重要です。
学年制の仕組み
まず、全日制や定時制高校に多く用いられている「学年制」について解説します。
学年制は、学校によって決められた「基準以上の成績」と「出席日数」を満たすことで進級し、3年間の学習修了と同時に卒業を迎えるという仕組みです。
高校卒業に必要な単位数は74単位以上で、ここは学年制も単位制も変わりません。
しかし学年制では、1学年ごとに必要な単位が決まっているため、学年の終わりにすべて取得していなければ進級できないのが特徴です。
また1科目足りないだけで留年になり、それまで取得した単位をまた1から取得し直さなくてはならないのが、学年制の大きなデメリットといえるでしょう。
単位制の仕組み
単位制とは、一定の成績を修めると単位が習得でき、74単位以上を習得することで卒業できる仕組みです。
「学年制と同じでは?」と思われるかもしれませんが、単位制の場合は「1学年ごとに必要な単位数」の規定がありません。
そのため「学年」という考え方がなく、自分のペースに沿った学習が可能です。
学年制と単位制はそれぞれにメリットとデメリットがあり、「どんな学校生活を送りたいか」「どのように学習を進めるか」によっても選択肢が異なります。
各メリット・デメリットについては、本記事の後半で詳しく解説していますので、最後までお付き合いください。
単位制の通信制高校には留年の概念がない!
高等学校の卒業に関する法令では、以下のように定められています。
『高等学校の修業年限は、全日制の課程については、3年とし、定時制の課程及び通信制の課程については、3年以上とする。』
つまり通信制高校では、「3年間で卒業しなければならない」という規定がなく、「少なくとも3年間は在籍しておきましょう」という概念です。
学年制のように、一度取得した単位を留年によってやり直すこともありません。
つまり単位制と学年制は似ているようで、まったく違う概念のもとで成り立っていると考えられます。
学年制のメリットとデメリット
多くの全日制・定時制高校で用いられている「学年制」には、どのようなメリットとデメリットが存在するのでしょうか?
学年制のメリット
学年制のメリットは、以下の3つです。
- 学校数がもっとも多く選択肢が広い
- 毎日学校に行くため友だちが作りやすい
- 3年間で卒業できる可能性が高い
学年制はほとんどの全日制・定時制高校で採用されているため、たくさんの学校から志望校を選べるのがメリットです。
自宅近くの高校や進学校など、将来を踏まえた上で入念に高校を選ぶことができます。
また毎日登校することで友だちを作りやすく、部活動や学校行事を通して楽しい高校生活が送れるでしょう。
高校を卒業するには3年以上の在籍が前提ですが、全日制高校では3年間で卒業できるような取り組みがされているのもポイントです。
全日制高校で留年する生徒の割合は約0.3%と非常に低く、成績が基準に満たないときは、追試や補修授業でなんとか進級させようとする動きがあります。
学年制のデメリット
学年制のデメリットは、以下の4つです。
- 留年すると学費が多くかかってしまう
- 留年すれば確実に進級できる訳ではない
- 自由な時間が少ない
- 規則が厳しい学校が多い
学年制は留年があるため、同じ授業を繰り返し受けたり、余計な学費がかかったりというデメリットが生じます。
また留年したからといって確実に進級できる訳ではないので、さらに余計な費用と時間を費やす可能性も少なくありません。
好きなことに時間を使いたくても、平日は毎日登校する必要があり、やりたいことに時間が割けないのも学年制の弱みです。
さらに全日制は「アルバイト禁止」や「染髪・ピアス禁止」などの規則があり、違反すると謹慎処分などを受けることもあります。
単位制のメリットとデメリット
次に、通信制高校の多くが採用している単位制のメリット・デメリットについて解説していきます。
単位制のメリット
単位制のメリットは、以下の4つです。
- 年間の取得単位を生徒自身が決められる
- 自由な時間が多い
- 留年がない
- 自分の好きなペースで勉強できる
通信制高校では1年間に取得する単位を、生徒自身で決めることが可能です。
大学進学を目指す場合には、志望校に合わせて履修科目を選択できるので有利に働きます。
また自分の得意な科目や好きな科目を選ぶことで、単位修得の試験に合格する確率も高まるでしょう。
さらに全日制高校のように毎日登校する必要もなく、自由な時間が多いことも単位制を選ぶメリットです。
自分の都合に合わせた学習スケジュールが立てられ、ライフスタイルに沿った高校生活が送れます。
単位制のデメリット
単位制においても、以下のようなデメリットがあります。
- 学校が少なく選択肢の幅が狭い
- 友だちが作りにくい
- 自己管理ができないと卒業までに時間がかかる
国内にあるほとんどの高校は、学年制を採用している全日制高校です。
そのため、「地元の高校に通いたい」「自分の学習レベルに合った高校を選びたい」という場合は、単位制だとどうしても選択肢が狭くなってしまいます。
また単位制は学年制のようなクラスメイトがいないため、友だちを作りにくい環境だといえます。
高校生らしいキャンパスライフを過ごすためには、授業料が高くなる「週5日通学コース」を選ばなくてはなりません。
また自由な時間が多い反面、遊びなどの誘惑が多いのも単位制のデメリットです。
しっかりと自己管理をして学習に励まなければ、何年経っても卒業できないという結果になってしまいます。
また、通信制高校全体のメリット/デメリットについても、「通信制高校のメリットとデメリットを徹底比較!新型コロナでも通信制高校なら大丈夫!」にて解説しているので、是非ご覧ください!
単位制に向いている人の特徴
「単位制か学年制か」で迷ってしまったときは、自分がどちらの制度に向いているかを考えてみましょう。
自己管理ができる人
単位制は自由な時間が多い反面、やる気がないと学習を進めることがむずかしくなります。
そのため、マイペースながらも決められた課題をきちんとこなせる「自己管理能力」が必要です。
「レポートの期限を守る」「スクーリングの日はきちんと登校する」など、学校との約束を守り自分のペースで学べる人は単位制向きといえるでしょう。
やりたいことや目標が明確な人
通信制高校へ進学する人の中には、「芸能活動が忙しく毎日学校に通えない」「プロスポーツ選手を目指していて日中はトレーニングをこなしたい」という目標を持った人がたくさんいます。
また特定の分野に特化した専門コースを設けていることも多いので、資格を取得するために通信制高校を選ぶ人も増えているようです。
このように、やりたいことや目的が明確にある人は、学業以外に専念する時間が豊富な単位制に向いているでしょう。
病気や不登校などで登校できない日が多い人
何らかの事情で毎日学校に通えない人は、単位制を選んだほうが留年のリスクをカバーできます。
病気や不登校で出席日数が足りず、テストや学習の理解度に問題がなくても留年してしまうケースは少なくありません。
単位制ならば留年もなく、基本的に自宅学習なので、学校に通わなくとも高校卒業の資格を取得できます。
単位制と学年制の違いを理解して進学先を選ぼう!
単位制と学年制の違いについて解説してきました。
どちらも「74単位以上の修得」が卒業の条件であることに変わりませんが、そのための学習方法や学校生活は大きく異なります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の性格や現状がどちらの制度に向いているかを考えて選ぶのがおすすめです。
近年は私立の通信制高校が増えてきていますので、自分に合った通信制高校が選びやすくなっています。
まずは複数の学校の資料を集めて情報収集し、比較・検討することからはじめてみましょう。
また、通信制高校の実態についての卒業生へのインタビュー内容も、「通信制高校に進学してよかった!通信制高校の卒業者にリアルインタービュー」にて解説しているので、是非ご覧ください!