通信制高校に入学してみた!卒業までにかかる学費はいくら? 更新時間 2023.04.04
とくに専門コースが充実している私立の通信制高校は、カリキュラムが魅力的な反面、どのくらい学費がかかるのか想像できない人も多いでしょう。
しかし実際は、さまざまな支援金を受給することで、全日制高校よりもリーズナブルに卒業することが可能です。
この記事では、通信制高校に入学してから卒業までにかかる学費について紹介していきます。
通信制高校への進学を考えていて、学費を抑えたいと思っている方は最後まで読んでみてください。
通信制高校の学費を公立と私立で比較
まず、通信制高校に入学して卒業するまでの学費を簡単に紹介します。
通信制高校は何年もかけて卒業する人もいますが、今回は「3年間で卒業できたケース」を想定して計算しました。
【公立・私立】通信制高校の学費平均は?
通信制高校の初年度の学費平均を、公立と私立で比較しています。 (金額は当社で調べた目安になり、学校やコース、都道府県によって異なります)
必要な費用 公立
入学金 | 500円 |
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授業料 | 1~2万円程度(年間)※1単位300円~500円 |
授業料以外の費用 | 1.5万円程度(年間) |
年間合計 | 2〜4万円程度 |
必要な費用 私立
入学金 | 1〜5万円 |
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授業料 | 15万円~(年間)※1単位6,000円~ |
授業料以外の費用 | ネットコース3万円〜(年間)・ 登校コース10万円〜(年間) |
年間合計 | 20万〜30万円程度 |
ご覧の通り、公立と私立では1単位あたりの授業料がまったく違います。
公立通信制高校が数百円なのに対し、私立は6,000円〜1万円が相場です。
卒業するには74単位の習得が条件ですので、単純計算でも以下のように学費に差が生じます。
- 公立 400円 × 74単位 = 29,600円
- 私立 8,000円 × 74単位 = 592,000円
学費を抑えたいなら公立通信制高校1択!
3年間の授業料の平均は、公立で約3万円、私立は60万円ほどでした。
そこに教材費や施設設備費などが加わると、卒業までに必要な学費は公立で10万円程度、私立で75万円以上と予想できます。
学費を抑えて高校卒業の資格を取得したい場合は、公立を選ぶのがベストでしょう。
ただし私立は卒業のためのサポートが手厚く、登校スタイルや設備なども充実しています。
「卒業」を優先するか、「学費」を優先するかは、後半の記事を読んでから検討しましょう。通信制高校の入学から卒業までにかかる学費
通信制高校の学費平均をみると、公立の方が安く卒業できることがわかりました。
しかし数字だけではわからない費用が発生することがあり、学費平均で学校を決めるのは注意が必要です。
公立通信制高校の卒業までに必要な学費
公立の通信制高校の学費は、管轄している地方自治体によって定められています。
東京都なら入学金は500円で授業料は1単位336円宮城県なら入学金500円で授業料は1単位となります。
スクーリング回数も地域ごとに異なりますが、通学費を含めても年間3万円くらいと考えておけば問題ないでしょう。
しかし公立は卒業のためのサポートが手厚くありません。
そのためレポート提出が遅れたりスクーリングを休んだりして、3年間で卒業できない生徒も多くなります。
そうなると授業料の追加分がかかり、予定よりも高い学費を支払わなくてはなりません。
さらに、後ほど解説する「就学支援金」は3年の期限付きなので、4年目以降にかかる授業料は全額負担する必要があるのです。
通信制高校の学費の私立と公立の差に興味を持った方は、 「【通信制高校】私立と公立の学費の違いを徹底解説します!」を参考にしてみてください!
私立通信制高校の卒業までに必要な学費
私立の通信制高校は、全日制高校と同じように公立よりも学費が高くつきます。
また専門コースを選べば登校回数も増えるので、通学費や設備費、教材費などもかさんでしまうでしょう。
さらに不登校で手厚いサポートが必要な方、卒業できる自信がない方は、サポート校を併用するケースも多いと思います。
サポート校も合わせると学費は年間100万円ほどかかり、家計の大きな負担になることを念頭に入れておきましょう。
サポート校に興味を持った方は、 「通信制高校のサポート校とは?いらない場合も実はあり得る?」を参考にしてみてください!
通信制高校の学費を抑える3つの制度について
私立の通信制高校の学費平均をみて、その高さに驚いた方も多いでしょう。
ここからが本題ですが、ここまで紹介した学費を安く抑える方法があります。
では、通信制高校の学費を抑える3つの制度について、詳しく解説していきましょう。
就学支援金制度で私立の授業料も実質無償
令和2年4月から、私立の通信制高校でも「就学支援金制度」を利用できるようになりました。
その結果、これまで学費の安さで選ばれていた公立より、私立を選ぶ生徒が多くなったのです。
文部科学省のデータをみると、通信制高校に通う生徒数は公立が55,427人なのに対し、私立は151,521人と大幅に上回っています。
授業料が実質無償になるのは、以下のような支援が受けられるからです。
世帯年収 590万円未満
公立 | 336円/単位 (授業料は実質無償化) |
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私立 | 最大12,030円/単位(授業料は実質無償化) |
世帯年収 590万円〜910万円未満
公立 | 336円/単位 (授業料は実質無償化) |
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私立 | 4,812円/単位(不足分は自己負担) |
世帯年収が910万円以上になると、就学支援金を受け取ることはできません。
また上記はあくまでも目安で、世帯所得や学校によって加算支給されるケースがありますので、詳しい内容は学校に確認しましょう。
奨学金制度を活用する
就学支援金は授業料にのみあてられるため、教材費や設備費の支払いには充当できません。
その場合、都道府県や地方自治体の奨学金制度を利用するのがおすすめです。
中には返済義務がなかったり、卒業すれば返還が免除されたりする制度もあるので、よく確認してから活用してみましょう。
抜き出た才能があれば特待生制度が利用できる
スポーツで優秀な成績をおさめた、学力が秀でている、音楽や芸術分野のコンクールで入選した経験があるなど、優秀な成績をおさめている方に限り、特待生として入学することが可能です。
特待生の待遇は学校によって異なりますが、入学金無料や授業料免除、交通費支給などがあげられます。
誰でも利用できる制度ではありませんが、就学支援金や奨学金では足りない場合、特待生制度を設けている学校を狙うのもありでしょう。
通信制高校の学費が全日制高校よりもお得な理由
全日制も通信制高校のどちらも世帯年収が910万円未満であれば、公立の場合は実質無償、私立でも大幅に学費を抑えられます。
そのため、学費はどちらも変わらないと思いがちですが、実はそうではありません。
通学や学校生活にかかる費用がまったく異なり、登校が少ない通信制高校の方が学費が抑えられます。
通信制高校の学費がお得な理由について詳しく解説していきます。
全日制高校は高校に通うための費用が高い
当然ですが、全日制高校は制服を着て毎日登校するため、制服代と通学費がかかります。
文部科学省の調査によると、全日制高校の通学関係費は公立で79,432円、私立で230,026円となっていました。
また部活動へ入部することも多いため、ユニフォームや道具代なども必要になるでしょう。
さらに学校行事である修学旅行や遠足費も、公立で35,579円、私立で53,999円支払っているという統計があるようです。
一方で、通信制高校は制服の購入も自由で、通学も最小限に抑えられます。
また部活動や修学旅行も自由参加なので、家計を圧迫させることもほとんどないでしょう。
全日制高校は学費以外の負担が大きい
全日制高校は一斉授業が基本のため、学校でわからない学習を塾などでカバーすることが多くなります。
また大学受験に向けて、進学塾に通ったり家庭教師をつけたりする生徒も多いでしょう。
このような補助学習費は、公立の全日制高校で148,000円、私立で194,000円の支出になっています。
一方で、少人数制や個別授業を導入している通信制高校は学習塾に通う必要がないため、余計な出費を抑えられるのがメリットです。
通信制高校に興味を持った方は、 「通信制高校とは?」を参考にしてみてください!