子どもが通信制高校に行きたいと言ったらどうすればいい?親目線で見る通信制高校のメリット・デメリット

子どもが通信制高校に行きたいと言ったらどうすればいい?親目線で見る通信制高校のメリット・デメリット

子どもが通信制高校に行きたいと言ったらどうすればいい?親目線で見る通信制高校のメリット・デメリット

進学・進路について、悩んだり迷ったりするのは子どもだけではありません。

とくに高校進学を控えた子どもがいる親御さんは、将来の目標や就職に向けて誰よりも真剣に考えていることでしょう。

そんなとき、自分の子どもが「通信制高校に進みたい」「全日制高校を辞めて転入・編入したい」と言ってきたらどうしますか?

通信制高校への先入観やイメージから、はじめから肯定的な親御さんは多くありません。

しかし通信制高校を1つの選択肢として受け入れながら、「どんな学校に進むべきか」を親子で話し合うことが、お子さんのためになることもあります。

そこで今回は、通信制高校の現状や、通信制高校を選ぶメリットとデメリットについて解説していきます。

通信制高校のあり方や仕組みなどを理解した上で、子どもの将来を一緒に考えていきましょう。

保護者と子どもの通信制高校に対するイメージの違い

保護者と子どもの通信制高校に対するイメージの違い

高校生全体の割合で考えると、全日制高校に進む生徒が大半です。

そのため子どもが通信制高校へ行きたいというと、反対してしまう親御さんは少なくありません。

なぜなら、通信制高校に対して「全日制高校に通えない子どもが行く学校」という偏見を持っているからです。

ところが時代の変化とともに、通信制高校の在り方も大きく変わってきています。

まずは、今の通信制高校の実情についてお伝えしたいと思います。

保護者世代が抱く通信制高校のイメージ

通信制高校は全日制・定時制高校に通えない生徒のために、高校教育の機会を与える目的で設立されました。

そのため、設立当初は成人が多く、徐々に全日制高校を中退した生徒が増えていったようです。

校則を違反して退学になった生徒、不登校、引きこもり、発達障がいのある生徒が多く、それ以外の生徒が通信制高校を選ぶ選択肢はほとんどありませんでした。

通信制高校に対してネガティブなイメージを持った親御さんが多いのは、その時代の背景が大きく影響しているでしょう。

通信制高校は普通の子どもにも選ばれている

近年では、私立の通信制高校が中心となって、「新しい通信制高校のあり方」が構築されています。

これまで公立の通信制高校では、「月に2回、日曜日に学校へ行く」というのが一般的でした。

しかし「毎日学校へ通いたい生徒」や「全日制のようなスクールライフを楽しみたい生徒」に向けて、週1回でも5回でも生徒を受け入れようとする学校が増えたのです。

また通信制高校は拘束時間が少ないという特長から、トップアスリートや芸能人にも選ばれるようになりました。

そのことがメディアなどでも頻繁に取り上げられ、次第に多くの若者に浸透していったようです。

今では、「高校生のうちから専門性を高めたい」「大学進学に集中したい」といった多様な子どもの進学先として、通信制高校のニーズが高まっています。

また、通信制高校でどのような勉強をするのかについて、「通信制高校の豆知識が知りたい!どういう勉強をするの?」にてまとめているので、是非一度ご覧ください!

通信制高校の現状とは?注目が集まっているワケ

通信制高校の現状とは?注目が集まっているワケ

意外かもしれませんが、現在、通信制高校の人気は右肩上がりです。

「通信制高校に進学するのは反対!」というのは、通信制高校の変化や現状を理解していないからかもしれません。

本章では、通信制高校がどのように評価されているか、どうして注目されているのかを解説していきます。

私立通信制高校の数は30年で10倍に増加

日本の少子化が進んでいることは、皆さんもご存知の通りです。

以下の表をみても分かるとおり、平成2年と令和2年では、全日制高校の数は567校も減少しているのが読み取れます。

一方で、通信制高校の数は84校から257校にまで増えており、令和3年には生徒数も21万人を突破しました。

全日制・定時制 公立(通信制) 私立(通信制) 合計(通信制)
平成2年 5,506 67 17 84
平成7年 5,501 68 25 93
平成12年 5,478 69 44 113
平成17年 5,418 76 99 175
平成22年 5,116 72 137 209
平成27年 4,939 77 160 237
令和2年 4,874 78 179 257
      

中でも私立の通信制高校の人気は著しく、17校から179校と急成長を遂げています。

私立では今までの通信制高校のイメージを一新するような学校づくりに取り組んでおり、大学進学に特化したり、可愛い制服を用意したりして生徒を集めているようです。

通信制高校の仕組みは時代にマッチしている

新型コロナウイルスの感染拡大防止により、多くの学校で「オンライン授業」が開始されました。

自宅での学習に対し、「教室よりも集中して学べる」「通学時間を勉強にあてられる」と前向きに捉えた生徒も多かったようです。

今は登校して授業を受けられますが、またいつコロナの波が起きるかわからない状況から、感染リスクを抑えたい親御さんからの需要も高まっています。

通学回数が少ない通信制高校は、通学で交通機関を利用したり、友だちや先生と対面で接したりする機会を減らすことが可能です。

【親目線】通信制高校のメリット

【親目線】通信制高校のメリット

ここでは、親御さんの目線で考えた通信制高校のメリットをご紹介したいと思います。

  1. 不登校でも高校を卒業しやすい
  2. 学業以外のやりたいことに時間を使える
  3. 大学進学や就職に特化した専門コースがある
  4. 校則がそれほど厳しくない
  5. 学費を抑えられる

親御さんのメリットが、お子さんのメリットにもつながるケースがありますので、ぜひ参考にしてみてください。

不登校でも高校を卒業しやすい

通信制高校には、スクールカウンセラーや社会福祉士などの専門家が常駐して、不登校や障がいを持ったお子さんをサポートしてくれる学校もあります。

また小中学校で不登校だった生徒が集まりやすいため、中学時代にさかのぼって学習のやり直しをしてくれるのも通信制高校のメリットです。

また通信制高校には「留年という概念」がありません。

1年間で取得する単位を生徒自身が決めることで、自分のペースに沿って学習を進められます。

例えば、「1年目は10単位しか取れなかったから来年は30単位を目指そう」「3年目は大学進学に集中したいから2年間で75単位取っておこう」などなど。

これは全日制高校では叶えられない、通信制高校だからこそ可能な学習方法といえるでしょう。

学業以外のやりたいことに時間を使える

通信制高校の大きな特徴は、「毎日登校する必要がない」ことに尽きます。

全日制高校に比べると、学校に拘束される時間が格段に少なくなり、学業以外のやりたいことに時間を割けます。

そのため通信制高校には、トップアスリートや専門性を磨きたい生徒が集まっており、さまざまなタイプの人と関われるのも魅力です。

起業家やアイドル、YouTuberなど、多彩な仲間と接することが、お子さんの人間としての成長や将来の目標に大きな影響を与えてくれることもあるでしょう。

大学進学や就職に特化した専門コースがある

通信制高校の中には、美容師やネイリスト、調理師、介護士、トリマーなどの資格が取得できる専門コースを設けている学校もあります。

さらに就職だけじゃなく、大学や専門学校への進学に力を入れている学校も増え、難関大学への進学実績を持つ通信制高校も少なくありません。

予備校講師を招いた特別講習や、授業の理解度に合わせたマンツーマン指導、進路相談や願書作成のサポートと、全日制高校よりも手厚いサポートが満載です。

そのため中学の基礎を学び直しながら進学を目指したり、英語力強化のための海外留学を経験したりと、生徒一人ひとりの要望を満たせるコースが充実しています。

就職や進学に特化した学校を選ぶことで、将来の選択肢がグッと広がるでしょう。

校則がそれほど厳しくない

一部の全日制高校では、親御さんでも理解できないよう「ブラック校則」が存在します。

髪の色が少し茶色いというだけで、授業を受けずに帰される生徒もいるようで、中には退学処分を受けた生徒が通信制高校に編入するケースもあります。

一方で、通信制高校の校則は厳しく決められておらず、生徒の主体性や個性を尊重する学校がほとんどです。

また制服が用意されている学校もありますが、私服での登校も認められており、どちらを選択するかも自由に決められます。

校則がまったくない訳ではなく、最低限のマナーや礼儀を守る指導はきちんと行っているのが通信制高校のあり方です。

学費を抑えられる

高校課程の中で、公立の通信制高校の学費は安く、年間3〜5万ほどで通うことが可能です。

一方で私立は年間20万円以上かかりますが、令和2年から私立の通信制高校も「就学支援金」の対象になりました。

年収590万円未満の世帯であれば授業料は実質無償化に、910万円未満でも授業料の一部のみが自己負担となり、学費を抑えることができます。

また登校回数が多いと授業料が高くなるので、学費を抑えたい場合はネットコースを選択するといいでしょう。

「通信制高校は学費が高い」というイメージを持っている方も多いようですが、今は国や地方自治体の教育制度が非常に充実しています。

「就学支援金」以外にも、学費を抑える方法はいくつかありますので、学校選びのためにも知っておくと便利です。

また、通信制高校の学費について、「通信制高校の学費はどのくらいかかる?授業料無償化について徹底解説!」にて解説しているので、是非一度目を通してみてください!

【親目線】通信制高校のデメリット

【親目線】通信制高校のデメリット

次に、親目線でみた通信制高校のデメリットを紹介します。

  1. 自己管理力がないと卒業がむずかしい
  2. 通信制高校に対して偏見を持った人もいる
  3. 通信コースは友だちや先生との関わりが少ない

デメリットをしっかり理解した上で、お子さんの進路について家族で話し合ってみてください。

自己管理力がないと卒業がむずかしい

通信制高校の学習スタイルは、「自主学習」が基本です。

そのため自分で計画を立てて勉強し、日々のレポートやスクーリングをこなしながら卒業を目指さなければなりません。

しかし勉強に対する意欲がないと、卒業するまでに何年もかかったり、途中で挫折してしまったりするでしょう。

通信制高校へ行こうと決めたら、「絶対に卒業する!」という意欲が必要不可欠です。

自己管理がむずかしいお子さんの場合は、個別授業やフォロー体制が充実している学校を選ぶようにしましょう。

通信制高校に対して偏見を持った人もいる

通信制高校が多くの若者に受け入れられるようになった反面、大人の中には「全日制高校に通えない生徒が行く学校」という偏見が根強く残っているのも事実です。

通信制高校には不登校や病気などを抱えた生徒もいますが、「目標」」や「夢」を叶えるために自ら通信制高校を選んだ生徒もたくさんいます。

例えばプロサッカーとして活躍する香川真司選手、フィギュアスケートの紀平梨花選手、日本女子ゴルフ界で活躍する畑岡奈紗選手なども通信制高校の卒業生です。

また通信制高校を卒業した生徒は、

「全国に友だちができた」 「通信制高校で出会った仲間と起業した」 「指定校推薦で大学に進学できた」

などなど、通信制高校に通った経験をプラスに評価する卒業生もたくさんいます。

高校卒業の資格は、全日制も通信制高校も変わりありません。

周囲の目を気にしすぎて、子どもの意見に耳を塞いでしまわないよう注意しましょう。

通信コースは友だちや先生との関わりが少ない

通信制高校は登校日が少ないという特性があるため、友だちや先生と過ごす時間が少なくなってしまうのがデメリットです。

また体育祭や文化祭などの学校行事は必要最低限しかなく、全日制高校のようなキャンパスライフを望む人は物足りなく感じてしまうでしょう。

しかし近年は週5日の通学コースを用意している学校も多く、イベントが充実していて、全日制と同じような高校生活が楽しめる私立高校も増えています。

「高校では友だちとの思い出をたくさん作りたい」という場合は、登校日数が選べる学校を選ぶのがおすすめです。

ただし登校回数が多いと、学費の負担も大きくなるケースが多いことを念頭に入れておきましょう。

世間体は気にしない!通信制高校に行きたい子どもの意思を尊重しよう

世間体は気にしない!通信制高校に行きたい子どもの意思を尊重しよう

通信制高校に行きたい理由はさまざまで、お子さんのタイプも一人ひとり違います。

そのため通信制高校の現状を理解し、自分の子どもがどうして通信制高校を選んだのか、どこに魅力を感じたのかを明確にしましょう。

危険なのは、世間体やイメージに捉われすぎてしまい、お子さんの意思を尊重してあげられないことです。

「通信制高校は普通の子どもが行くところじゃない」という考えは一掃し、通信制高校の仕組みやメリットを知ることから始めましょう。

通信制高校は学校ごとに特徴や強みが異なるため、学校見学や体験入学を通して雰囲気を味わってみるのがおすすめです。

通信制高校も選択肢の1つとして親子でしっかりと話し合い、ベストな進路を選択してください。

また、通信制高校の卒業生にインタビューした内容を「通信制高校に進学してよかった!通信制高校の卒業者にリアルインタービュー」にて紹介しているので、是非一度目を通してみてください!

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