うちの子供は起立性調節障害なの?起立性調節障害になるとどうなるの? 更新時間 2022.11.22
「子どもが朝起きられない」
「起立性調節障害を疑われたけどどんな病気?」
このような悩みを抱える親御さんは、実は少なくありません。
朝起きられない、だるい、めまいがするといった症状で、学校に行けない子どもがいます。
では、自分の子どもが「起立性調節障害」の疑いがある場合、保護者はどのように対応したらいいのでしょうか?
この記事では、起立性調節障害の原因や症状、対処法についてご紹介していきたいと思います。
まずは病気について親が理解し、子どもに寄り添ってあげることが大切です。
起立性調節障害とは?
「朝起きようとすると立ちくらみがする」
「倦怠感があって学校に行けない・・・」
このように、立ちくらみや倦怠感、頭痛、動悸などの症状は、自律神経機能不全の1つです。
以前は思春期の一時的な生理的変化とされていましたが、近年の研究で「重症の起立性調節障害(OD)は循環調節がうまくいかず日常生活が著しく損なわれる」ということが分かりました。
そのため学校へ行けず不登校になったり、ベッドから起き上がれず引きこもりになったりと、さまざまな問題が生じてしまうようです。
こうなってしまうと「どうして学校に行ってくれないの?」と親御さんは心配になりますが、何よりもまず、起立性調節障害は身体の病気であることを理解することが大切です。
大人より子どもの方が起立性調節障害にかかりやすい
起立性調節障害は、10歳〜16歳ごろに多くみられる病気とされています。
第二次性徴期によって、身体の機能が大人へと変化していくことが要因とされているようです。
日本小児心身医学会のデータによると、軽症例を含めた小学生の約5%、中学生の約10%が起立性調節障害と診断されており、各学年に約12万人いると推定されています。
さらに、不登校児の30〜40%が起立性調節障害を合併していたことから、いつ誰が発症しても珍しくはない病気だと考えられるでしょう。
病気の発生理由
日本小児心身医学会によると、起立性調節障害を発症する成因は以下のようになっています。
- 1. 起立に伴う循環動態の変動に対する自律神経による代償機構の破綻
- 2. 過少あるいは過剰な交感神経活動
- 3. 水分の摂取不足
- 4. 心理社会的ストレス(学校ストレスや家庭ストレス)が関与する。身体が辛いのに登校しなければならないという圧迫感が、さらに病状を悪化させる
- 5. 日常の活動量低下によって筋力低下と自律神経機能が悪化し、下半身への過剰な血液移動によって脳血流が低下する
起立性調節障害はストレスも大きな要因となっており、真面目で周囲に気をつかうタイプの子どもは起立性調節障害になりやすいとも言われています。
起立性調節障害の4タイプの症状
今までに確認されている起立性調節障害の症状は、以下の4つのタイプがあります。
- 1. 起立直後性低血圧
- 2. 体位性頻脈症候群
- 3. 神経調節性失神
- 4. 遷延性起立性低血圧
では、それぞれの症状について詳しくみていきましょう。
起立直後性低血圧
立ち上がった直後に血圧低下が起こり、なかなか回復できないタイプが「起立直後性低血圧」です。
脳の血流が低下している状態に陥り、起立性調節障害と診断された人の大半がこちらに当てはまります。
とくに起床時や入浴時にめまいや立ちくらみを起こし、症状を感じることが多いようです。
体位性頻脈症候群
立ち上がった直後の血圧低下はないものの、心拍数が異常に増加するタイプが「体位性頻脈症候群」です。
起立直後性低血圧の次に多いとされており、動悸や冷や汗などを引き起こすことがあります。
神経調節性失神
「神経調節性失神」は、立ち上がっているときに急激な血圧低下が起こり失神を起こします。
顔面蒼白や徐脈、冷や汗、まれにけいれん発作を引き起こすこともあり、最悪の場合、心停止に至ることも。
また、起立直後性低血圧や体位性頻脈症候群を伴って発症するケースもあるようです。
遷延性起立性低血圧
「遷延性起立性低血圧」は、立ち上がっているときに血圧が低下し失神するタイプです。
起立して数分後に血圧が低下しはじめ、動悸や頭痛、倦怠感、ふらつきなどが起こります。
4つのタイプの中でも、このタイプに該当する人は少ないとされています。
自分の子どもが起立性調節障害になったら?
自分の子どもが「起立性調節障害かもしれない?!」と思ったら、親御さんはどのように対処したらいいのでしょうか?
「不登校になって勉強についていけなくなったら?」
「高校に進学できなかったら?」
など、勝手な判断で不安になるのではなく、まずは病院にかかることが優先です。
気になる症状があれば病院を受診する
朝起きられないからといって、「サボりかもしれない・・・」と疑ってしまう親御さんもいるかもしれません。
まずは、以下の項目をチェックして起立性調節障害の疑いがないかを調べてみましょう。
3つ以上に該当するのであれば、病院を受診することをおすすめします。
- 1. 立ちくらみやめまいがある
- 2. 立ち上がった時に気分が悪くなる
- 3. 動悸や息切れがする
- 4. 朝起きられず午前中は体調が悪い
- 5. 顔色が青白い
- 6. 頭痛や腹痛がする
- 7. 倦怠感がある
- 8. 食欲がない
- 9. 乗り物酔いをする
起立性調節障害は治らない病気ではありません。
成長とともに症状が軽くなったり、自然と朝起きられるようになったりと改善していきます。
しかし適切な対応を怠ってしまうと、症状が長引いてしまい重症化するパターンもあるので注意が必要です。
不登校を「サボり」と決めつけない
症状にこれといった特徴がない起立性調節障害は、怠けていると思われたり叱責されたりという誤解が起こりやすい病気です。
また朝は調子が悪くても夜は元気になることから、「勉強が嫌いだからウソをついているのでは?」「友だちとケンカしたのかな?」など、勘違いしてしまう親御さんも少なくないでしょう。
しかし子どもを持つ親は、子ども自身が「学校に行けない」という状態に追い込まれている可能性も考えなくてはいけません。
上記のチェック項目に当てはまらない場合でも、気になる症状や疑いがあれば、一度小児科や心療内科を受診してみましょう。
起立性調節障害の改善に、親のサポートは必要不可欠です。
不登校になる原因について詳しく知りたい方は是非 「不登校になる原因ランキング10選│原因がわからないときの対処法を解説!」を参考にしてみてください!
起立性調節障害について学校や担任に理解してもらう
子どもの起立性調節障害については、学校側の理解も必要不可欠です。
起立性調節障害に悩む子どもは、遅刻が増えたり不登校になってしまったりするため、授業に遅れをとってしまうのも仕方ありません。
そこで担任などと話し合い、学習面のフォローや進路指導など、個人の状態に合わせた柔軟な対応が必要になります。
また小学校や中学校は義務教育なので、卒業自体はむずかしくありませんが、高校になると「留年」や「退学」なども視野に入れる必要があります。
起立性調節障害とうまく付き合っていくためには、通信制高校や定時制高校など、卒業しやすい学校を検討してみるといいでしょう。
通信制高校の充実したサポートについて詳しく知りたい方は是非 「発達障害でもしっかり学べる通信制高校を紹介!充実したサポート体制とは?」を参考にしてみてください!
起立性調節障害は親と学校が協力してサポートしよう
子どもが朝起きられない、遅刻を繰り返す、不登校になった、という場合は、起立性調節障害を疑ってみましょう。
そして早めに医療機関を受診し、悪化を防ぐことが親の大切な役目です。
さらに子どもの生活ルールを整えたり、ストレスを溜めない環境づくりをしながら、家族だからできるこそできるサポートを行なっていきましょう。
不登校を克服するために親や周囲ができることについて詳しく知りたい方は是非 「不登校を克服するきっかけとは?親や周囲ができることは?」を参考にしてみてください!